リンボウの愛称で有名な作家で書誌学者の林望さんが実践している節約術

「見栄をはるためにお金は絶対に使わない」がポリシーなのだそうで、自分の軸をしっかりもって、目的を持った節約をせよといっていた。
また、井原西鶴の「金持ちになれる妙薬」をあげ「朝起き5両、家職20両、世詰め8両、始末10両、達者7両、この50両を細かにして、胸算用秤目の違いなきように、手合いを念をいれ、これを朝夕飲み込むからには長者にならざるということなし」の通り、朝はきちんと起きて(朝のお金は夜なべより低い)夜遅くまで家業に集中して一生懸命働き、節約をして健康に生きること(これは早起きより高い)がよいといっている。


家の食事は全部著者が作っているそうで、買い物は夫婦でいくそうな。献立で買い物はせず、野菜、肉、魚などの分類で栄養バランスよく買ってきて、冷蔵庫を満タンにする。そして使い切るまで絶対買い物に行かない。大根は皮まで使うそうである。
材料から組み立てることで、栄養バランスのとれた節約メニューができあがり、レシピを工夫するので楽しみも生まれるといっていた。
また分相応な生活の目安として「外食費は5日間食べ続けても懐が痛まない」額にすべきといっていた。

お金の管理
お金をおろすときは3万4千円。このくらいがちょうどいいそうな。万札はくずれるとあっというまになくなるのでなるべく崩さないのがコツ。
家計簿はストレスになるうえに節約につながらないのでやらないそう。
小銭はもたず、ポケットの小銭は家に帰るとためておき、1年で10万ほどたまるので旅行にいくそうな。
投資はしない。それくらいなら正業に精をだす。
クレジットカードは1種類を使い倒す。ただしネットが怖いので、それ用のカードは作ったそうな。
著者はマイレージでイギリスへいくそう。
友人の間でお金の貸し借りは絶対にしない。
保険料は惜しまない。掛け捨て保険なんて焼け石に水だと書いていた。著者自身は大きな病気をしたことがあるらしい。

交際費
冠婚葬祭費は反対。ご祝儀はお金でなく物(骨董品)で渡すそう。
プレゼントはあげない・もらわない。飲み会に行かない。
すごつ付き合いにくそうだが、約束を守る、迷惑をかけないなど普段から丁寧に人とつきあっていけばよいとしていた。

衣服と車
収入に合わない服や車ほどみっともないものはない。車は月収以下のものがふさわしい。新車より中古車。車両保険ははいらず、入ったつもりで保険料を積んでおく。壊したらそれを使うが、安全運転なので使ったことがないそうな。ちなみに著者はどこでも車でいくそうで、中古のベンツに乗っている。
服は3着まとめ買いできる値段が目安。

旅行・趣味
旅行は自分で楽天トラベルなんかで手配するそうである。車でいけて、インターネットが無料で使えるところとか、基準がはっきりしていて、一番やすいとこ。キャンセル無料のにしておいて、日付がせまったらもっと安いのがあればきっぱり乗り換える。
食事は高いので素泊まりに限っていて、旅館は大嫌いだが、それしかないときは、つくのが九時過ぎになるといって食事は断るそうな。
友人の家には泊まらない、泊めない。土産だなんだとわずらわしいし、案内なんかされるとお仕着せのガイドブックの店につれていかれてつまらないのだそうだ。
趣味は自分の小遣いの範囲で家族に迷惑かけずにやるもの。自分だけが楽しい趣味はやめるべき。
一番の節約は家族団らん。
本だけは買って読めと書いてあった。

教育
お金に余裕があるなら子供に投資するのが一番。でもお金で愛情を示しても子供には伝わらないどころか害になる。愛情はもうたくさんといわれるまで手間をかけてたっぷり与えること。
習い事は1点集中で金を惜しまない。
著者は子供たちに受験させたこともあるし、自身が先生でもあるが、小学校は公立で十分といっていた。
ブランド品は絶対に買わない。小遣いは少なくほしいものは親が買ってやることで子供はなぜほしいか親に説明して考えることができる。
学生時代はアルバイトはさせなかったそうである。親が買ってあげた自由な時間を、子供がもっと安く売るのは合理的でないからだそう。アルバイトするなら遊べといっていた。

住まい
自分の軸をもつ。建築家は住むことは考えてくれない。作品には住めない。
どんな家をたてたいのか、絶対にゆずれないことはなにか?譲歩していいのはなにか?
しっかり自分で把握していることは大事。
安全を考えると自分の足で登のが難しくなる6階以上のマンションにはすまない。
今のマンションなら和室は必要ない。
調度品は一度に買い揃えず、少しずつ骨董品を吟味してかっているそう。

節約と人生
節約が趣味の人生はむなしい。目的をもった節約をする。
特に若い人が「年金があてにならないから、老後のために」と貯金するのは心得違い。自分に投資してどんな世の中でも生き残れるようにならないと、お金だけあっても危険。
病気にならないことがなによりの節約。著者は病気をしてから低脂肪・高繊維の食事をこころがけているそうで、体重計でチェックしては、いきすぎると夕飯にそば1杯で戻すなどしてるそう。
ジムにいくより毎日道を歩いたほうがよい。たまにやる大量の運動より毎日の軽い運動。
加齢臭のおやじに香水つけないで、煙草と酒やめて、毎日歯を磨いて風呂にはいれと書いていた。
アンチエイジングや整形もしたい放題しといて、お金を払って若さを買おうとするような愚かな行為だといっていた。中高年のおしゃれは足し算ではなく引き算。
著者は酒も飲まない、煙草も吸わない(浪費以外の何物でもないといっていた)、毎日歩く、食事に気を付けている、嫌な仕事はしないでストレスをためないというローリスクな人生を送っているといっていた。
それでも死はいつ訪れるかわからない。でも自分はやるだけやったから、悄然と従えるといっていた。


節約の王道(日経プレミアシリーズ)

  • 作者: 林 望
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2009/10/09
  • メディア: 新書