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「困った空き家」を「生きた資産」に変える20の方法 [資産]

日本では、新築住宅ばかりが過剰供給され、中古住宅の活用がほとんど行われないばかりか、売るときに解体処分が必要な邪魔者とさえみなされてきた。日本人の土地神話などが原因と考えられる。しかし少子高齢化を迎え、空き室が15%を超える現在、その考えは破たんが近づいている。これからは中古住宅の価値をみつけ磨き、それを正当に評価する仕組みが必要。

日本で空き家が増えるわけ。
相続税の控除額が下がり、相続税を払う人が増えた。相続対策としてアパートやマンションを建てる人が多い。
中古より新築を好む傾向。
相続のとき名義を変更しておらず、何代かたつと相続人が増えて売ることもできなくなってしまう。あるいは持ち主がわからない状態になる。
持ち家の高齢者が亡くなったり、施設にはいったりして空き家が増える。

相続対策としてアパートをたてても空き家になると家賃保証の金額がさげられたりして、結局ローンが払えなくなったりしている。アパートを建ててしまえば不動産業者は儲かるが持ち主は損になることも。

空き家は最初は個人の問題だが、放置すると近隣や地域の問題になる。
ゴミがすてられたり、動物がすみついたり害虫が発生したり、大麻栽培などの犯罪の温床になったり、放火の原因になったりする。雑草がそのままだったり、瓦がおちていたりと景観をそこねることで周囲の不動産価値を下げることも。地震や台風のときのリスクも高い。

この状態に国土交通省は放置された空き家の固定資産税をあげる、強制執行をおこなえるようにするなどの措置をとりはじめた。また、空き家を更地にたしたり、リフォームするための融資などもおこなわれている。

また、全国で公的機関の空き家相談が行われるようになっている。


〇困った空き家を生きた資産に変える20の方法

1.空き家をリフォームして子育て世代を団地に呼び込む
 著者の会社でおこなった広島市の制度を使った子育て世代むけに団地をリノベーションする例を紹介。


2.空き家を担保にして老後資金を借りる
 2010年に国から発表された新成長戦略の中で、リバースモゲージの拡充があげられた。 自宅の土地・建物を担保として銀行から生活資金を借りる方法。限度額は土地評価額の50~60%・
長生きする場合生活費がかさんで早い時期に限度額に達してしまうことが考えられるに限られ生活費をまかなえるかわからない地下が大幅に下落して担保割れを起こした場合は差額分の返済を銀行から求める求められるので借入額は慎重に決めるべき金利上昇リスク
  デメリット、長生きして融資の上限まで使ってしまう。金利が上昇したり住宅価値がさがって元本割れをおこし、金融機関から返済をさまられる。


3.空き家をローンを借りて解体する
 空き家対策ローンが全国で増えている。広島銀行空き家対策プランは無担保で借り入れできる。


4.空き家のリフォームにリバースモーゲージを活用する
 満60歳以上であれば、住宅金融支援機構が民間金融機関を支援して提供しているリバースモーゲージ型住宅ローン利用してリフォーム費用を借りることができる。融資期間は終身で毎月の支払いは利息のみ。借主が亡くなった際に担保にした自宅の売却代金や預貯金によって一括返済。子供にも生活拠点があり相続しても管理できないケースなどに活用したい。
 昭和56年以前の旧耐震基準で建てられた住宅なので耐震改修工事を含む住宅のリフォームをする場合には住宅金融支援機構のリフォーム融資もご利用できる。これも亡くなるまで利息のみ返済。

5.空き家・売れない田舎の土地を燐家の所有者に寄付する
 土地評価額が110万円以下なら贈与税がかからな。い贈与税登記費用を寄付相手に了承してもらう必要のことがある


6.空き家を定期借地で貸す
 旧借地権、普通借地権、定期借地権がある。
旧借地権とは借地期間を満了して持ち主側に明け渡してもらうための正当な理由がない限り更新されるもの
普通借地権は当初の借地期間が30年以上1回目の更新が20年以上2回目以降の更新は10年以上となっていて賃借人望めば契約は更新される
普通借地権には地上権と賃貸借権があり地上権であればその土地の上の建物を自由に売却家賃貸に出すことが可能借地権付きのマンションの場合その多くが地上権となっている戸建てではほとんどが貸借権であるため売却や賃貸に出すには地主の許可が必要
 定期借地権は期間満了後に土地を更地にして地主に変換するもの一般定期借地権では50年以上とするのが一般的で、貸主が更新しないといえば建物を壊して更地にして返さなければならない。土地は自分のものにならないので抵抗のある人が多いが土地の所有権付き物件の60から80%という価格の安さが魅力住宅ローンとは別に家代を支払う不動産取得税は登記費用など諸費用もいらないので購入時の諸費用を抑えられる戸建て土地定期借地権付マンションがある


7.空き家を買い取りリノベーションで再生
 著者の会社が得意としている方法。たまにタダで引き取ってくれといわれるが、登記費用や固定資産税がかかるのでそうもいかない。


8.老朽化したマンションをリノベーションで再生
 分譲マンションの老朽化が問題になる。いままで建替え事例は全国に200例くらい。たてかえのとき戸数をふやして販売利益で建替え費用がまかなう方法が多いが、敷地の余裕や法改正でできないところが多い。


9.空き家を DIY リフォーム
 自分たちでできることを行いできるだけコストダウン。
 自分たちで作れるものは作ることでより家の愛着が感じられるようになる。
 著者の会社では雑貨や DIY 用品を販売するショップをオープン空き家の賃貸物件を自由に DIY して良いとして貸し出すケースも増えてる


10.空き家をシェアハウスに
 空き家をシェアハウス賃貸の集合住宅におけるシェアハウスは今一番注目されている。シェアハウスとはリビングやキッチン浴室などを共有し10人それぞれの個室をプライベート空間とした共同生活スタイル。空き家だった集合住宅を改装したシェアハウスとして活用する事例が最近増えてきていて特に若い人たちに人気。著者の会社でもシェアハウスにするためのリフォーム依頼を受けている。家具や家電もついており若い人が身の回りの物持ってくるだけですぐ入居できることを人が集まることによるコミュニティが生まれることを期待


11.空き家をグループホームに
 空き家をグループホームにする全国的に見ると福祉介護施設に転用するケースは着実に増えているグループホームは建築基準上は寄宿舎とみなされるため本来は防火用の間取り間仕切り壁を設けるなど安全対策が必要
 しかし行政が一定条件内において規制緩和を行い年3回の避難訓練や消火器設置でグルーポン転用できるようになったため秋野菜活用の一つの可能性となった

12.空き家を古民家レストランに
 空き家を古民家レストラン広島市内で10年間空き家だった築150年の日本家屋を古民家レストランにした例空き家を古民家と捉え年月を経た建物しかかも知らせない雰囲気を活用した新たなる


13.空き家をサードプレイスに
 空き家をサードプレイスにするさスターバックスのような家庭と職場の中間地点にある居心地のよい場所にする試み。


14.空き家を三世代住居に
 空き家を3世帯住宅にする親・子・孫という三世代世代間のコミュニケーションが取りやすくなり、子育てを手伝ってもらい、将来介護が必要になったときも安心。
親子関係がうまくいっていることが前提。


15.空き家管理サービスを賢く利用
 空き家管理サービスを賢く利用する今すぐ考えられない場合に利用ハウスメーカーや不動産会社セキュリティ会社 NPO 法人もある。管理の程度によって料金が異なり広島だと5000円から1万円が相場。サービスの内容は通風・通水・庭木の確認・雨漏り点検・近隣からのクレーム対応など。写真付きの巡回報告書をメールで送ってもらえるただし空き家管理は問題の根本的な解決にならない期間限定の措置


16.空き家を売却する
 空き家売りたい人はまず不動産会社に相談して査定してもらう。住宅ローンが残ってる場合は債務の清算を代行し金融機関との調整を行う。住宅ローンが残っている場合住み替えをする時は今住んでる家の売却を先に行うのが基本。
 媒介契約の種類、専属専任・専任・一般の説明。大手がいいとは限らない。空き家の価値をみつけ磨き売却金額をアップさせてくれる不動産会社を選ぼう。不動産業者にも戸建専門マンション専門売買仲介賃貸仲介田舎の空き家専門など得意分野がある著者の会社では中古とリノベーションが得意で売るためのリフォームでお金を使わず買って頂いた方に思い切りリフォームしていただくためそのままの状態で早くご紹介するの得意としている。
 不動産鑑定評価不動産の評価額を算出する方法は主に三つ
  原価法・・・同等の不動産を再び購入する場合に必要な金額から減価修正を行い算出
  収益還元法・・・不動産から得られる地代家賃などの収益を将来にわたって算出し現在価値に割引して算出
  取引事例比較法・・・不動産業者は一般的に行う方法近隣の不動産の売却事例を基にして評価額を出します過去の取引を基準として角地であればプラスなどの要因を加えて修正収益を出すことを目的としていないエンドユーザー向け住宅の販売に向いているため不動産業者が多く使っている
 HOMESやイエイなどのサイトを利用する提案も。でも利用するなら相談したいだけか売却までやるのか担当者にきちんと伝えること。


17.空き家を買い取りしてもらう
 売却の他に業者による買取がある。
 業者はだいたい売値の7割程度で帰らないと割に合わない。

 買取のメリット
  売却代金が現金で手に入る
  仲介手数料はいらない
  売却後の瑕疵担保が免除される、
  誰にも知られずに売却できる
  買取では不動産会社に一度だけ見せれば済むので内覧者を受け入れる必要がない
  住宅ローンの残債務があると銀行などの金融機関が任意売却に応じてくれない場合があるそんな時に買取を行う不動産会社が代わりに交渉してくれる。

 買取でなければなかなか買い手がつかないケースもある特に問題なければ仲介による売却が有利だが事情がある場合は買取を上手に利用する


18.空き家バンクで相談&調査
 自治体が運営してる空き家バンクで相談無料相談会が行われている。相談や調査ができる。


19.空き家をホームインスペクションして売る
 より安心感を持って空き家を購入したいと考える物件購入者にとってその一つの手段となるのが ホームインスペクション。
 日本ホームインスペクターズ協会に加盟しているホームインスペクターに依頼して客観的な立場で住宅診断をしてもらう。
 金額は色々だが日本公認スペクターズ協会のホームページによれば目視による一次審査の場合は後から6万円前後。計測器を使用すると10万円以上。
 売主がホームインエクステンション行うメリットは高く安心して売れること。思った価格で早く売るためにホームインスペクションを出せば購入者の安心材料になる。

20.空き家の荷物を片付ける
 空き家を貸すメンテナンスするどんな手段をとるにしろまず問題になるのが荷物。
 荷物のある空き家は荷物のない空き家より痛みが早い。
 9割以上の方は1年経っても2年経っても整理しきれないことが多い。
 どこかで心の折り合いをつけて一日で大切な思い出のものを運び出し残りの荷物は全て処分業者に処分ということできれば早期にしていただくのがベスト。
 常に気がかりを残しておくより多少のお金を払っても荷物をすっきり処分しても仕事や家庭生活に集中した方が生産的。 実際のお客様を見ていてそう思う。
 著者の会社でも荷物撤去の業務を担っているかなりの安い。
 家の資産価値を守るために荷物をある程度減らしておくこと



空き家問題にあわないように
1名義変更をきちんとしておく。
2相続のとき相続人で遺産分割協議をして、不動産の活用法も同意をえておく。1000万円以下の相続でも、相続人およびその配偶者の間で争議になることが増えている。
3空き家を解体したりリフォームしたり、売却したときの補助について調べておく
4できれば親が生きているうちに荷物を減らしておく
5境界線などの確定は余裕のあるときにやっておく。

これまでは更地にすると税金が上がるので空き家でも放置していた人が多いが、これからは特定空き家とされると税金が6倍になるため、対策が求められる。

具体的には売るか、貸すになるが、立地条件によっては難しい。
売れない不動産は永遠に税金を払う必要があり負債。自治体はよほどでないと寄付をうけつけてくれないし、相続放棄するなら、他の資産も同時に放棄する必要がある。
また名義変更していない不動産も売ることも貸すこともできないため負債になるので注意。

著者の会社での取り組みを紹介しつつ、費用をおさえて理想の住まいを手にいえるためにポイントなども解説。

日本では住宅投資をここ40年では約862兆円を投入して現在の住宅資産額は343兆円で500兆円を目減りしている。土地神話の影響。
アメリカでは60年で住宅の投資額14兆ドルに対し資産がや約14兆ドル。リフォームが価値になっている。住宅流通の主役も中古住宅が9割をこえている、


仏壇の処分する方法
お坊さんにお墓の「性根抜き」をしてもらってから、
お寺に引き取ってもらう
仏具店に引き取ってもらう
粗大ゴミとして処分する
移動した場合は「性根入れ」をする

遺品整理整は、親と軋轢をうまないように、自分が大変だからではなく、親が大変だからと説得しよう。
理業者は玉石混合状態。一つの目安として必要な許可書があるかみるのもあり。
家庭内のゴミは一般廃棄物収集運搬業
庭木や内装材などを運ぶ場合は産業廃棄物収集運搬業
買取をするなら古物商許可証

空き家に火災保険不審火のリスクがある火災保険に加入する。
使用頻度によって専用住宅、併用住宅、一般物件がある。

地震で発生した火災などの被害はすべて火災保険の適用外で地震保険の加入が必要地震保険補償額は火災保険の半分までしか入れない

2016年度税制改正により相続等により取得した空き家を譲渡した場合の3,000万円特別控除が創設。要件などがのっていた。適用期間は2019年12月31日まで



「困った空き家」を「生きた資産」に変える20の方法

「困った空き家」を「生きた資産」に変える20の方法

  • 作者: 前田政登己
  • 出版社/メーカー: ザメディアジョン
  • 発売日: 2017/05/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



タグ:前田政登己
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不動産投資 家賃収入&売却益 両取りのルール [資産]

2014年5月に出版された本。
著者はファイナンシャルアカデミー「不動産投資の学校」講師。
自身もサラリーマン大家さんとして区分マンションからはじめて、出版時の資産は2億円、12世帯マンション1棟、6世帯アパート1棟、区分所有6室。

著者はデフレ時代10年間の不動産価格は買った時より下がるだけといわれる時代に、購入価格より高い価格での売却に成功している。

この体験から購入と売却についての適切な知識とノウハウがあれば買ったら価格が上がるのが当たり前。家賃と売却益=出口戦略で2倍のもうけを狙うべきと説く。

これからは政府の方針もありインフレがくると思われる。過去不動産価格はインフレの10倍程度の上昇をしてきた。オリンピック要因もあり、購入より売却時に値上がりしている状態を作りやすい。
不動産はインフレ時代に適した資産形成方法。

出口=ある物件を購入価格より高い価格で手放すこと
出口戦略=上記のための作戦や戦略
家賃のインカムゲイン=安定しているが爆発的な利益は見込めない。
売却のキャピタルゲイン=出口戦略があれば得ることができる。利益も大きい。

大まかなやり方
1出口戦略で大切なのは入り口での価格交渉でいかに安く仕入れるか。
2ポイントを抑えたリフォームで家賃を上げて利回りを向上させ、家賃収入のインカムゲインを増やす。
3利回りがあがっていることで強気の売却ができ、出口戦略が書きやすい。

著者のおすすめはRC構造の区分所有で築16~32年くらいまでの物件。
売り手が投資家でなく転勤や住み替えで売却をかけている素人(自分より不動産の知識と経験が少ない人)を狙いリフォームや設備のいれかえが必要だからと価格交渉をする。
壁紙など見栄え重視のリフォームで家賃を高めにして貸し出してインカムゲインを確保。
5年以上保有して売却益の税率が下がったところで、周辺の利回りより高め(+2%ほど)で売り出す機会をまって売却。
物件がワンルームなら投資家向けなのでオーナーチェンジ物件として、ファミリータイプなら住宅ローンが組める実需層を狙って空き室になってから売却する。

超長期保有して売却しない物件の出口戦略は、いつでも損しないで売却でいる状態になった段階と考える。
ローンの残高が土地の価格より小さくなったとき出口を完成とする。プロは「土地値に食い込む」と表現する
あるいは建物も含んだ売却可能価額をローン残高が下回った段階で安全圏に到達したとする考え方。残債利回り。



個人投資家が出口戦略を検討していくことのメリット

1資産としての流動性が向上する。売ろうと思ったとき短期間で現金化できる。売却時の価格の下振れがしずらくなる。次に購入する人も出口戦略が書きやすい。

2資金を比較的安全に、効率よく増やせる。しっかり出口戦略が確立している不動産への投資は、定期預金並みの安全性で株式投資に匹敵する利回りが期待できる。

出口戦略のメリットを得るには、かなりの部分購入の「入り口」時点で決まる。
入り口でダメ物件をつかまないこと。

ダメ物件とは
1表面利回りが周辺地域のキャップレートより低い物件

2立地地域が田舎すぎる物件やリゾート物件(原則として都市部の物件に投資先を限定するのが一番、地方ならある程度人口増がみこめる地域や土地勘のある地域で現地の状況がわかるところにする)

3購入の際に、ローンの利用ができない物件。融資がつかない=売るのが困難=出口戦略がたてずらい。

キャップレート=物件の立地する地域やエリアごとにいわゆる相場が作り出す利回りのこと。東京23区に中心部なら表面利回り5%前後が圧倒的に多いので、キャップレートは5%と考えられる。地方都市では6大都市圏でも表面利回りは10%程度があたりまえ。不人気な土地ほどキャップレートは高いが取引がすくなすぎると妥当な水準が測定不能になってしまうので注意。

キャップレートを把握するには、エリアを決めて最低でも1000件の情報をみて、最低100件の現地調査をする。目安は1年。これでその地域のキャップレートをおおよそ把握できるようになり、広告をみただけでお得かどうか瞬時に判断できる。
そうして10件の買い付け申し込みをして、3件の融資交渉をして、1件の購入に至る。ここまでやれば不動産投資で失敗する可能性はゼロに近くなる。

キャップレートは同じ地域でも時代によって変動する。購入後に不動産ミニバブルがおきて利回り10%で購入した物件が利回り7%でもうれるようになれば、売却益が増えるが、逆のことがおきると売却できなくなる。キャップレートが大きく変動しているときには物件の購入は慎重になるべき。


融資がつきにくい物件
〇築年数が古すぎる物件。一般的に法定耐用年数が15年以下だとローンを組んでも返済額が家賃収入を上回りぶっけんを維持するのが難しくなる。例外として都心のRC物件。住宅ローンが使える物件(床面積40平米を超えるマンションなど)

〇違法建築物件。容積率・建ぺい率違反

〇道路付けの悪い物件、再建築不可能物件。4m以上の幅がある道路に2m以上接していなければ再建築できない。

〇木造テラスハウス、長屋。単独での建て替えができない。法定耐用年数が22年と短い。

〇更地にしづらい物件。木造の方がRCより取り壊しやすい。

これらのダメ物件は、損失を上回る多額の利益がみこめない限りは手をださない。

出口戦略がたてやすい物件のデメリットは、みなが欲しがるので安く買うのが難しいこと。投資で大切なのは大儲けするより大損しないこと。常識的な物件を常識的な価格で買うところからステップアップしていけばよい。


株の出口戦略を不動産に応用する方法の解説。

物件のタイプ別(RC構造、木造、鉄骨)出口戦略の立て方を解説。
RC構造の新築は新築プレミアムがついていて、急速に値下がりするので手をださないほうがよい、狙うなら中期(築16~32年)がよい。

著者の区分所有マンションの購入事例を紹介。東京カンテイの「マンション価格情報サービス」を利用。過去の売りだし価格を調査。値引き交渉で80~100万円の値下げをしてから購入。リフォームして14~16%の高利回り物件にして数年もってから売り出すということをした。住みながらリフォームする「ヤドカリ投資」で家賃節約効果も。

高利回りの物件は人気エリアから少しずらした妥協エリアで探す。
〇都心まで電車で乗り換えなし30分以内にターミナル駅にアクセス
〇JRや私鉄・地下鉄など複数の路線が同時に使える「路線コンボ」
〇複数の駅が最寄にある「駅コンボ」
自分より不動産の知識と経験がない売り手を探す。そういった人たちが利用する不動産会社はCMしているような会社。そこで探すと仲介業者は両手取引になるので、協力してくれることが多い。
検索が面倒、難しいならライバルが探していない可能性があるのでチャンス。


一番大切なのは入り口での値引き交渉でいかに安く買うか。
そのための交渉術。自分の立場を相手の立場よりも強く保つことが大事。
がっつかないためにたくさんの物件をみる。物件にほれこむと目的を見失う。購入できなくても構わないくらいのきもちで臨む。
購入希望者が多い物件は交渉の余地が低い。ある程度競争率の低い物件。売り手が素人な物件を狙うのがよい。
営業マンからそれとなく売り手の情報を引き出す方法や、ほのめかしで下値を探る方法、現金一括購入やローン特約なし(ローンがとおらなかったら契約を白紙にもどすという特約をなしにする)をほめかして大幅な値引きを交渉する方法を解説していた。


購入後に利回りを変えられる最短ルートがリフォーム。
まず内装から。壁紙を柄物にするなどで差別化を。水回りは高額になりやすいので浴槽コーティングなどを利用して見栄えを重視で。部品もホームセンターやネットで自分で調達し、工事だけお願いした方が安い。夕方の内見にそなえて照明もつけておいたほうがいいなど。

リフォーム業者を選ぶポイント

1なるべく物件に近い地元業者を選ぶ

2広告が地味か広告をだしていない

3電話に社長がでる

4自宅ではなくアパートのリフォームだと点開ける

5見積もりは最低でも3社以上からとる



金融機関は投資が嫌い、経営が好き、短期間で不動産を売ると嫌がられることがある。5年間は売却をしないのが一つの目安。5年保有した方が税率も安い。またひんぱんに売買をくりかえすと行政に不動産業として登録するように求められる可能性がある。せいぜい半年に1件か2けんにする。

固定金利のローンは売却するとペナルティがあることがあるので注意。5年で売却する予定があるのなら、固定金利で融資してもらうのは5年までにしておく。

ローン残高がたくさん残っていると売却価格の値引きができないので、利回りが低い物件を買うなら頭金を多くいれる。残債利回りが12%を超えるまで何年かかるか計算しておく。

残債利回りは、ローン残高と同じ値段で売り出した場合、何%の利回り物件と表示できるかという数字。

残債利回りが高いなら、ローンがいくらでも心配ない。物件を売却したら借金と縁がきれるから。地域のキャップレートに+2%程度の残債利回りなら安心。

自分の属性が低い間は金利の高い金融機関を使うのも手。金利が高い金融機関は出口重視の不動産投資と初歩段階では相性がよい。ある程度軌道にのってきたら物件を売却して利益を確定して融資を一括返済すればよい。

日本政策金融公庫は全期間固定でかりても途中解約の違約金がなく売却しやすい。ただし返済期間が通常は10年未満と短い。

メインバンクにしたい銀行のと引きであは売却は慎重に。担当者が人事異動するまで売却しないくらいにしたい。

売却で利益がでるときは保有期間に注意。5年以上保有するの基準は、5年経過したあとの最初の1月1日を起算日とするので気をつける。

利益を計算するときは建物の減価償却を計算するのをわすれずに。

マイホームを売って利益が出た場合3000万円の特別控除がうけられる。
投資用の不動産の売却で損失がでた場合、他の所得と通算できないが、不動産所得同市なら通算できる。マイホームの売却損がでたら一定の条件をみたせば給与所得と通算可能。

法人名義で購入した物件の売却は総合課税で通算が可能。税率が安く、節税手段も豊富。ただし設立費用や維持費用がかかるので専門家によく相談すること


出口戦略の成否は入り口でほぼ決まっている。

高利回りの物件を買うために買い手のできること
・他の人が狙わないエリアや種類の物件を探す
・ブームが過熱しているときは買わない。
・買ったあとはリフォームでさらに利回りを高める。

売り手なら、自分より知識が少なく弱気の相手を狙う。金融機関との良好な関係をつくる
税金を安くおさめること。


著者が海外不動産に投資しない理由
・土地勘が活かせない
・言葉や商習慣の違いで交渉力を発揮できない
・物件購入後の維持・管理業務に即応できない
これらの理由から海外ならREITか投資信託の金融商品の方がよいのではないか。



不動産投資 家賃収入&売却益 両取りのルール

不動産投資 家賃収入&売却益 両取りのルール

  • 作者: 束田 光陽
  • 出版社/メーカー: すばる舎
  • 発売日: 2014/05/16
  • メディア: 単行本



タグ:束田 光陽
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貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する [資産]

○自由に生きることは素晴らしい。
自由には責任が伴うものだ、国に責任を押し付けることは、国が個人への干渉を強めることにつながる。
政策や制度を批判する人たちのなかには、それを自覚していない人が多い。
雇用されている人を守り、若者に生活保護をうけさせることが、自由な社会といえるのか?

市場経済とは、お金という共通の尺度でモノとモノとを交換する仕組みのこと。
資本主義は「もっと豊かになりたい」という人間の欲望によってお金を自己増殖させるシステム。
この二つが合体した経済世界で私たちがお金を獲得する方法は、ひとつしかない。
○資本を市場に投資し、リスクをとってリターンを得ること。

働くことは人的資本を投資して、給料というリターンを得ることである。
だから高い教育を得た人ほど人的資本が大きいとされて、給料がいいわけだ。
そういう意味ではサラリーマンをしていても、私たちは企業家だといえる。
金融市場ではお金のリターンがすべてだが、人的資本の場合は、お金以外の基準(仕事がおもしろいとか)もある。
サラリーマンが決定的に他の企業家と違うのは、会計・税務・ファイナンスを会社に委託していることだ。
脱サラして成功する確率は3割といわれるけど、自分が会社に委託していた部分をうまくまわせないことも原因と思う。

○マイクロ法人は国家を利用して富を生み出す道具(ツール)だ。
マイクロ法人というのは、フリーエージェントを法人化したもの。
これを設立することで、会社という人格をもつことができる。
筆者は、日本の制度は、中小の自営に有利になっているので、その恩恵をうけるには法人という人格をもち。
個人と法人の間で利益を調整することで、節税しながら資本を蓄積できるという。

効率的な市場では超過利潤を得る機会は一瞬で消えてしまうが、制度の歪みから生まれる利益(黄金の羽根)は既得権として固定化される。

未来は不確実になり、明日なにが起こるか誰にもわからない。
生き残るには複数の選択肢が必要だ。
今、サラリーマンでもフリーエージェントやマイクロ法人という道をしっておくのは役に立つし。
ファイナンスの知識はすでに法人を持っている人に役に立つ。
マイクロ法人を作るとひとはビンボーになるが、それがお金持ちへの第一歩である。
雇われなければクビになることもない。
人は生き延びるためなら法の許す範囲でどんなことをしてもいい。

日本の制度は中小企業の経営者に有利にできている。良い悪いの批判ではなく、それを理解して利用して生き抜こう。
それが個人としての自衛策である。サラリーマンを続けるのももちろんよいが、有利不利を理解してファイナンスの知識をもつことはきっと役にたつ。



今の若者たちは会社に就職し正社員になって、安定したいという。
いままでの日本社会は、終身雇用と年功序列に守られて正社員は安定したいい仕事だったのは事実。(ただし社畜なんて呼ばれたが)
しかし、その楽園はすでに終わりを告げている。

筆者は満員の映画館にそれをたとえている。
入りたい人は長蛇の列だが、映画終身雇用という面白くない内容にもかかわらず、出ていく人はいない。
なぜなら、入るだけで既得権益に守られているからだ。
でも、この映画館は年々小さくなっているので、どうしても締め出される人がでてくる。
これまで映画館がなりたっていたのは、年々映画館が大きくなっていたからだ。

映画館に入れなくて並んでいるのは若者で、日本の企業では教育も社内で行うので、彼らは、教育をうけることもできない。
この世代間格差に気が付いた若者は閉塞感から戦争さえ望むと、赤木智弘の著作を引いて言う。
また、城 繁幸の著作から、日本の成果主義導入は終身雇用と年功序列を守るために若い世代の昇進と昇給をおさえるためのものといっていた。
このカラクリに気が付いた有能は若い世代は別の映画館にいってしまう(転職)
転職という選択ができるのは、30代の前半くらいまでで、それ以降は事実上道は閉ざされる。ここでも年功序列が邪魔をする。

若者を見殺しにする国 私を戦争に向かわせるものは何か


内側から見た富士通「成果主義」の崩壊 (ペーパーバックス)


映画館に残っている人たちも、縮んでいくのに、役職や賃金を上げようとするのは無理というものだ。
かといって、法律や労働組合があるので、簡単に解雇や減給はできない(既得権益)
派遣というのは、こんな状況で企業が雇用を調節する役にたち、給料は少ないものの若者に雇用を与えることができたのである。
派遣制度があるから格差ができるという指摘は本末転倒である。
世界的にみても年齢で人を差別するのは日本くらいである。グローバル資本主義では年齢を問われることはないが、年齢に応じた賃金が支払われるわけではない。同一労働同一労働である。

日本の税金はそれほど高くないが、保険と年金という社会保障がどんどん膨らんでいる。
これは制度の設計(経済が永遠に成長するという考え)じたいによるものなので、抜本的には解散して自己責任でやっていただくしかない。
それを延命させるために、今はとりやすいサラリーマンからどんどん搾り取っている。
会社に税金と社会保障費の納付を代行させる制度のために、サラリーマンは逃げられないからだ。
国民年金の未納をサラリーマンが払って制度が維持されている状況だという。
しかし皮肉なことに、計算してみると国民年金のほうが、払った以上に返ってくる可能性は高い。

アメリカではすでに楽園を追われたサラリーマンがフリーエージェントになり、マイクロ法人を設立する流れがあるという。
アメリカの流れが日本に来る可能性はある。
自由を選ぶのではなく、無理やり自由がドアをあけてやってくる可能性があるのである。

トーマス・フリードマン
グローバリゼーション1.0では国家がグローバル化して栄えるか最低でも生き残る方法を考える必要があった。
2.0では企業がそれを問われた
3.0では個人が問われることになるだろう。

サラリーマンはすでに楽園を追われ始めている。
無駄な公共事業を削減し、若者に教育と、セーフティネットを用意することも大事だが、
サラリーマンのなかでもクリエィティブクラスの人たちはフリーエージェントを目指すべきだし、ファイナンスの知識があればメリットもある。
派遣社員の大量発生はその予兆である。



ダイエーの筆頭株主で経営者だった中内功は、会社を息子に譲ろうとして果たせなかった。彼は会社を人をしてみていた。
ロス・ジョンソンは株式を持たない雇われ経営者だったのに会社を支配した。その方法は週末の有名人を招いてのパーティで社員たちを接待することだった。これは、本来株主のものである利益を自分たちで散財することだ。ジョンソンはその後会社を買収しようとして失敗して退陣した。ジョンソンはモノとして会社をみていた。

法人は人の性格とモノの性格をもつ。
取引相手には人であり、株主にはモノだ。
株式会社は法人に有限責任というものを与え、市場経済で資金調達を可能にした。これが資本主義という発明だ。
どんなに負債をもっても、会社を解散して資産をすべて分配すればそれ以上責任を追及されない。
これをどこまでも認めれば経済はなりたたないから、実際には経営者が連帯保証人になって無限責任をもったり、悪意のある法人の利用は法人格のとりけしと代表者への無限責任の要求ができるようになっている。
それでも取引の主体が個人から法人に移動することは有利だ。

日本の会社法の変遷と、現在の状態を解説。
かなりつぎはぎ的にやってきたかんじだが、現在はだれでも気軽に資本金なしで会社が設立できるようになっているという。
個人に無担保でカネを貸してくれるのは消費者金融くらいのものだが、法人なら中小企業の支援制度で無利息・無担保に近い条件で融資がうけられるのだ。法人を利用した節税は、この個人と法人の多重人格を利用したものだ。

法人はだれのものか?
株式会社なら株主のものだろうか?
でも、社員は株主を設けさせようとして働いているわけではない。
ジョンソンの例をみればわかるが株主が会社を支配しているのではない。

日本の会社の種類と設立法を解説。
この本の出版時点で、日本では、株式会社・有限会社・合同会社というほぼ内容が同じものが並立しているという。
一番安いのは合同会社で、設立経費もいらない。(どちらも資本金はいらない)
将来上場しようとか思っておらず、かっこ悪くても法人格がほしいだけなら合同会社で十分である。
日本の株式会社は株の持ち合いができるので資本金を増やすのは簡単だ。互いに相手に増資すれば紙の上での資本はいくらでも増やせる。
さらには、取引するとき法人なら、登記してある場所や資本金、従業員数などだ。社長がフリーターでネットカフェで寝泊まりしていても関係ない。
資本を持ち合い、会計操作で取引をでっちあげ、歩合制の契約社員を雇って社員とよべば(明確な社員の規定はないから)あっという間に、フリーターから大会社の社長になれる。(理論的には)
稼ぐ能力とはまったく別な話なので、そこは勘違いしないでほしいけど。

コラムで実際に筆者がマイクロ法人を設立したときの書類の書き方などを解説していた。
1商号(会社名)
2本店の所在地
3目的
4資本金
5株主
6発行可能株式総数
7事業年度
8決算の公告
9株主総会
10取締役
11株式の種類や譲渡制限
電子認証と行政書士
エンジェル税制(ベンチャー企業への出資が控除される制度)



エンロンの巨大粉飾決算の話から会計の解説。
エンロンはガス取引に金融工学を持ちこんで、私設の先物取引市場を創設。
そのモデルとあらゆる業種で展開しようとしたが、支払いを保証するのはエンロン自身の成長と株価しかなかったので、損失の計上がゆるされなかった。
そのため損失を架空の会社に飛ばす粉飾決算が盛んにおこなわれ、それが発覚したときすべてが破たんした。
エンロンの破たん後、こうした手法を手にした人たちがウォール街に再就職していった。
バフェットは「ディリバティブは金融の大量破壊兵器」といったが、その後リーマン・ブラザーズやAIGの破たんを招いたもの同じ手法だった。
この手法は成長が続き株価が上がり続ける限りは富を生み出すのだ。

会計の歴史。
古代メソポタミアのトークンを使った農産物の在庫管理からはじまって、
ルネサンスのイタリアで今も使われている複式簿記が生み出された。
近代会計はイギリス王室の税収と出費を管理するために14世紀始まり、17世紀には宿屋や鍛冶屋が複式簿記を使うようになっていたという。

会計は効用によって5つにわけられる。
1投資のための会計(財務会計)
 株主などの投資家に財務内容を開示するための会計規則。ウォーレン・バフェットが使っているヤツ。
2納税のための会計(税務会計)
3ビジネスのための会計(管理会計)
4夢を実現するための会計
 中小企業の経営者を対象とした、ビジネスの体質を改善し会社を再生させるなどをみざす。さらには「夢が破れたときの会計」も登場。銀行融資を継続させるための見栄えのよい財務諸表の作り方などが指南される。
5自由に生きるための軽軽
 フリーエージェントやマイクロ法人のための会計、4との違いは成長ではなく安定をめざすもの。マイクロ法人では会社の破たんはすなわち個人としての破たんと同じである。本書で解説する内容。

会計は損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)、キャッシュフロー計算書(CS)の3つの財務諸表で経済活動の実態を表す仕組み。
家計になぞらえて解説。
個人企業家(マイクロ法人を持つフリーエージェント)にとって会計上の理想状態とは
1マイクロ法人と個人(家計)で税務上の所得がない
2マイクロ法人もしくは個人で財務上の利益が計上できる。
こうして生じた財務上の利益は税務上の所得でないから無税で投資できる。その投資収益も会計上の工夫で非課税化できれば運用利回りが向上する。
自営業者または中小企業の経営者で金回りのいいひとは、税務上存在しないお金を自由に使えるように手元にもっている。
会計力をつかって合法的にビンボーになっているのだ。

3つの財務諸表の解説をしながら、ビンボーから金持ちが生まれる仕組みを解説。
PLの解説では会社の利益から個人に支払うわけなのだが、どちらも控除後に課税されなくなるように、利益を分配する。
BSでは難しかったが、課税はされないが残った可分所得を資産にかえていくってことらしい。
磯野家でマスオさんが会社に勤めながらマイクロ法人になった例をあげて具体的な解説をしていた。
法人を使った節税のキホンは
1法人で生活経費を損金とし、個人で給与所得を受けることで経費を二重に控除する。
 自宅で開業したら、家賃や光熱費の半分とか。自宅用のテレビなど。
2家族を役員や従業員にして、役員報酬や給与を法人の損金にしつつ給与所得控除を得る。
 家族に103万円以内で給料を払うと家族は個人としては課税されずに給与収入が得られる。この支出で法人のほうは赤字になる。
3自営業者へ中小企業向けに日本国が用意した優遇税制を活用する。
 さらには小規模企業共済や国民年金基金などを利用すると、そこに払ったお金を全額控除できる。(実質無税で投資できる)
このようにして、両方の税金をゼロにする。
こうすると手取りは300万近く増えるが、見かけ上の家計は楽にならない。だが非課税で貯蓄できる部分が330万増えている。ここがサラリーマン時代と違う。将来楽になる可能性があるのだ。

法人のもうひとつのメリットはあらゆる金融商品の損益を通算できること。
また税務上は資産を時価評価する必要がないので、年末に損のでているものだけを売却し、利益のあるものを保有することで合法的に節税できる。
法人の損失は7年間繰り越せるので、本の例ではマスオさんがボーナスで稼いだ年に投資損失を計上すると、損失の半分は国が補てんしてくれる計算になる。
含み益がでたときも、法人は最初から家族に給与を払って赤字にしてあるから、通算されて税金を払う必要がなくなる。
こうして合法的に節税しながらBSを育てていくことになる。
このような中小企業(同族会社)は自民党の支持基盤だったので、国税庁も手を出せない状態が続いていると解説していた。

税金を立法・行政・司法などの公共財の維持管理費といった応益原則で考えれば、経済的に合理的な税制は人頭税だけだ。
しかしほとんどの国は応能原則(各人の能力によって支払うこと)を採用している。これは国家に公共財の提供とは別に所得再配分の機能があるからとされている。これが胡散臭いのは所得の再配分機能が国家でなくてもできるから。
著者は本当の理由は応能原則では大多数の国民は払った以上にもらえるから、国家が肥大化するのに都合がいいからとしていた。

応益なら人権との適合は高いが、応能ではプライバシーは侵害される(所得を把握する必要があるから)
日本では会社が徴収を代行してこの問題を回避しているのだ。同時にこれで税制はなりたっているといえる。

納税のキホンは申告納税で、個人が税法を理解して正しく納税するのが理想だが、そんなことはできない。
というわけで、税務署が調べて間違ったら指摘して修正してもらうということをする。
そして、故意に間違えたらバツを与える(重加算税など)
しかし、ただの間違い(善意)と故意の間違い(悪意)をどう見分けるのか?
申告内容が説明可能なら納税者を善意とみなすといのが今の原則。
というわけでランボルギーニの社用車や、仕事の打ち合わせに家族同伴で海外旅行なんて成立するわけだ。
というわけで納税者は合理的には次のように行動する。
1説明できないことはしない
2説明できることはなんでも経費に申請
3税務調査で否認されたものだけをとりさげて修正申告する
白色申告はこの最たる姿で、所得が300万以下なら帳簿の作成が免除される。領収書もなしで経費申告できるのだ。
ただし、赤字は繰り越せないし、家族への給与も全額控除はできない。
弱者救済のためにつくられた制度だが、やろうと思えば所得1億円でも白色申告はできる。1億円の経費を申告してなにか理由をつくれば理論上無税である。ただし自己責任でやってください。

こういったことが横行したら税金をとることはできない。
というわけで税務署には質問検査権が与えられ、違反には刑事罰がある。
そして同族会社の場合には、税法に適合していても、著しく納税額が減る場合は税務署が再計算をできることになっている。
ただ、適用基準はあいまいで、常に使えるわけでない。

税務署員の成績は追加徴税した税額で評価される。
だとしたら、悪意の納税者をみつけても、面倒な裁判などにせず、修正申告に応じてもらった方が双方が合理的だ。
というわけで、間に税理士がたって、納税額を調整するようなことがおこなわれていたらしい。
しかし、裁判までやるとなると税務署も負担はおおきく、譲歩するようなことも行われる。
こうして、西原恵理子の「脱税できるかな」にでてくる税務署員の発言「いくらなら、払うつもりがありますか?」ということになる。

できるかなV3 (SPA! comics)


納税者が税務署の指摘にこたえていたのは税務署が怖いからだが、この構図も教育の崩壊のように失われつつあるようだ。
このままでは所得税や法人税の維持は難しいかもしれない。
欧米が消費税に移行するのは、こうした軋轢がないことも理由である。
そして、事実上マイクロ法人に税務調査はこないといわれている。だってがんばっても追加でとれる税金がたかがしれているからである。
もし、来てくれたら帳簿の付け方などを指導してもらえるボランティア的な意味になってしまうだろう。

コラム 法人税の申告方法
コラム 事業所得を使ったサラリーマンの節税。只野範男

「無税」入門―私の「無税人生」を完全公開しよう




フラワーチルドレンの代表マイケル・ミルトンのジャンクボンド債。  
信用力の低い会社の債権をパッケージ化してリスクを分散する手法を発明した彼は、頭のなかに投資先のすべての財務データをもっている驚異の人だった。LBOで資本にレバレッジをかけて企業を買収する手法の考案者でもある。
資金調達に苦しむ企業経営者からの相談に誠心誠意答えていた彼は、インサイダー取引の罪に問われ、実刑をうけ、彼のつくったジャンクボンド市場も同時に崩壊した。刑をうけたあとは証券業界への関与は禁止となり、出所後は幼児教育の会社を設立、かつて彼に資金調達を助けられた多くの有名企業かが出資した。

ファイナンスはバランスシート(BS)を最適化する財務戦略である。
事業とは資金を調達し運用する投資の一種で、BSでいえば右側の負債と純資産の部で調達したお金を左側の資産の部で増やすこと。
お金を増やす不思議な貯金箱である。100円いれるとある年には105円吐き出され、あるとしは90円や80円になる。
よい貯金箱の条件は
1より安いコストで資金を調達する
2より高い利回りで資金を運用する。
ブラック=ショールズ式がいっているのもこれだけである。
資金調達にはデッド(負債)とエクイティ(増資)がある。
エクイティはもうかったときだけお金を吐き出せばいいからコストが安いと考えられてきたが、実際にはリスクの分(リスク計算はCAPMとベータなどで説明していたが)コストになる。そしてそれは一般にデッドより高くなる。
税法上もデッドで支払った利子は損金にできるという差がある。

日本の株式市場でおこなわれている第三者割り当ては一種のインサイダー取引だといっていた。
本来増資は公募の時価発行が基本だからだ。
そんなことが行われるのは、そうでなければ誰も増資に応じてくれないから。
それでも資金が調達できないと第三者割り当てのMSCB(転換社債の一種)まで出回ることになるが、こんなことをしたら株が下がるのは必須でアメリカでは裁判沙汰だが、日本では見逃されている。
エクイティのコストは株価が下がって初めて健在化するからだ。

事業活動はすべて
「すべての透視は、資本コストを上回る利回りをもたらさなくてはならない」
に集約される。
企業が利益を株主に還元しないのは内部留保して来期に投資するためだが、日本では内部留保をとりくずして雇用を守れといわれている。
これは市場経済としてはおかしな話である。

バランスシートにレバレッジをかけると利回り(ROE)は向上するが、リスクが大きくなりバランスシートは不安定になり格付けは下がる。
しかしレバレッジ経営はいまや商業銀行までが普通におこなっている。

ミルケンの考えたLBOは会社を買うときに不動産と同じようにレバレッジをかけるという方法だ。
LBOの担保はハイリスクだからミルケンだけが、営業力でこの債権を売りさばいていた。
こうして彼がもっていた情報がインサイダー取引とみなされたのだ。

キャッシュフロー計算書(CS)について。
PLとBSだけでは住宅ローンを持っている人はうまくいかない。
PLに損金として計上されるのは支払利息だけだから。
経営でもPLで利益があるのに支払いが滞るという事態がおきることがある。
他にも買掛金や売掛金が齟齬の原因となる。
町の八百屋は現金で売り上げて、仕入れ代は月末に払うから、資金繰りに悩むことはないが、問屋は、先に農家に支払って、あとで代金をうけとるから運転資金がなければ倒産してしまう。
減価償却も大事で、社長が4年落ちのベンツを買うのは、減価償却の恩恵を最大にうけるためである。

資金繰りを管理するための計算書がCSで、直接CS(家計簿と同じ)と間接CS(PLやBSと整合性がとりやすい)がある。
ここでは直接CSで説明していた。
CSでは現金の流れを3つにわける
1営業キャッシュフロー
2投資キャッシュフロー
3財務キャッシュフロー
この3つを合わせたのがCSで原理的にマイナスにならない。
そして家計でも企業でもこの残高が高いほどいい。

現状をみるのにCSが一番いいといわれている。PLやBSと違って操作もしにくいから。
一番のポイントは営業キャッシュフローでマイナスなら経費が多いか過大な仕入れをしているかどちらかで早晩破綻してしまう。
フリーキャッシュフロー(FCF)とは営業キャッシュフローに投資キャッシュフローを加えた使える手元資金で、ファイナンスではPLより重視される。
企業の価値をキャッシュを生み出す能力だとすれば、フリーキャッシュフローから企業の価値が測れるこれがDCS法。
これは将来のキャッシュフローを一定の割合で割り引いて現在価値に戻し、一株の理論株価をもとめるもの。
将来の価値を現在の価値に直すのはファイナンスの重要な公理。
しかし、単純には使えない、株式は債権と違って償還時期が決まっていないなどの理由で、DCS法に条件を付ける。
会社は永遠に事業を行うとか、フリーキャッシュフローは長い間の平均では変わらない、資本コストを正しく計算できるなどである。

個人とマイクロ法人のキャッシュフローを連結する。
個人でマイホームを購入しつつ、法人で株式を売却したり、個人で住宅ローンを返済しながら、法人で融資をうけるなどを一元化する。
資金繰りを管理し、倒産や自己破産を防ぐには
1買掛金を多く、売掛金を多くする
2固定資産より流動資産を保有する
3資金調達する際には低利の資金を余裕をもって借りておく。

マイクロ法人を使うと恐ろしく低金利で資金を調達できる例として、著者が自治体の創業支援融資で1000万を実質金利0.8%で調達してそれを返済したこと。それが信用となって日本政策金融公庫から(かな?)実質金利0.37%で1000万円の運転資金を無担保有保証で借りた例をあげていた。
日本の公的融資制度は非常にゆがんでおり、公的融資をするひとたちは予算の消化をすればよく、保証協会が保険をだすので、回収を気にする必要がないという状態なのだという。彼らが気にするのは書類が整っているかだけである。
実質的な審査は保証協会がするわけで、銀行には信用調査能力がなくなってしまう。これではヒドイので保証協会の保証は8割に引き下げられた。
中小零細企業への支援は手厚いので、自治体の利子補給などを使って実質金利を0.37%までさげられたとのことだった。
こんな状態なので、資金繰りに苦しんでいる中小企業があったとしたら、保証協会の枠まで使い切った本当に回収不可能な会社なのだ。
予算を使い切るためにはBSのきれいな中小企業が一番貸すほうとしては都合がいい。
中小企業という弱者をすくういろんな対策は実際の弱者はほとんど救済しない。貸す方もBSの傷んだ会社には融資できないからだ。
しかし、BSのキレイな中小企業やマイクロ法人には、この制度は福音である。
そして、資金調達は余裕をもってやることだ。日本人はなるべく借金しないことを美徳と考えるクセがあるが、銀行は晴れた日に傘を貸し、雨の日に取り上げるといわれているように、雨になってからでは傘は借りれない。晴れた日にこそ、運転資金を用意しておく必要がある。

コラム 公的融資制度を利用してみよう

コラム 節税とファイナンス、節税のために法人を赤字にするとファイナンスに不利になる

コラム 担保と連帯保証人


国家に依存するな、国家を道具として使え。だそうです。

楽園をすてて、夢をおいかけて起業するならファイナンスの知識がなければいけない。とも。



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