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貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する [資産]

○自由に生きることは素晴らしい。
自由には責任が伴うものだ、国に責任を押し付けることは、国が個人への干渉を強めることにつながる。
政策や制度を批判する人たちのなかには、それを自覚していない人が多い。
雇用されている人を守り、若者に生活保護をうけさせることが、自由な社会といえるのか?

市場経済とは、お金という共通の尺度でモノとモノとを交換する仕組みのこと。
資本主義は「もっと豊かになりたい」という人間の欲望によってお金を自己増殖させるシステム。
この二つが合体した経済世界で私たちがお金を獲得する方法は、ひとつしかない。
○資本を市場に投資し、リスクをとってリターンを得ること。

働くことは人的資本を投資して、給料というリターンを得ることである。
だから高い教育を得た人ほど人的資本が大きいとされて、給料がいいわけだ。
そういう意味ではサラリーマンをしていても、私たちは企業家だといえる。
金融市場ではお金のリターンがすべてだが、人的資本の場合は、お金以外の基準(仕事がおもしろいとか)もある。
サラリーマンが決定的に他の企業家と違うのは、会計・税務・ファイナンスを会社に委託していることだ。
脱サラして成功する確率は3割といわれるけど、自分が会社に委託していた部分をうまくまわせないことも原因と思う。

○マイクロ法人は国家を利用して富を生み出す道具(ツール)だ。
マイクロ法人というのは、フリーエージェントを法人化したもの。
これを設立することで、会社という人格をもつことができる。
筆者は、日本の制度は、中小の自営に有利になっているので、その恩恵をうけるには法人という人格をもち。
個人と法人の間で利益を調整することで、節税しながら資本を蓄積できるという。

効率的な市場では超過利潤を得る機会は一瞬で消えてしまうが、制度の歪みから生まれる利益(黄金の羽根)は既得権として固定化される。

未来は不確実になり、明日なにが起こるか誰にもわからない。
生き残るには複数の選択肢が必要だ。
今、サラリーマンでもフリーエージェントやマイクロ法人という道をしっておくのは役に立つし。
ファイナンスの知識はすでに法人を持っている人に役に立つ。
マイクロ法人を作るとひとはビンボーになるが、それがお金持ちへの第一歩である。
雇われなければクビになることもない。
人は生き延びるためなら法の許す範囲でどんなことをしてもいい。

日本の制度は中小企業の経営者に有利にできている。良い悪いの批判ではなく、それを理解して利用して生き抜こう。
それが個人としての自衛策である。サラリーマンを続けるのももちろんよいが、有利不利を理解してファイナンスの知識をもつことはきっと役にたつ。



今の若者たちは会社に就職し正社員になって、安定したいという。
いままでの日本社会は、終身雇用と年功序列に守られて正社員は安定したいい仕事だったのは事実。(ただし社畜なんて呼ばれたが)
しかし、その楽園はすでに終わりを告げている。

筆者は満員の映画館にそれをたとえている。
入りたい人は長蛇の列だが、映画終身雇用という面白くない内容にもかかわらず、出ていく人はいない。
なぜなら、入るだけで既得権益に守られているからだ。
でも、この映画館は年々小さくなっているので、どうしても締め出される人がでてくる。
これまで映画館がなりたっていたのは、年々映画館が大きくなっていたからだ。

映画館に入れなくて並んでいるのは若者で、日本の企業では教育も社内で行うので、彼らは、教育をうけることもできない。
この世代間格差に気が付いた若者は閉塞感から戦争さえ望むと、赤木智弘の著作を引いて言う。
また、城 繁幸の著作から、日本の成果主義導入は終身雇用と年功序列を守るために若い世代の昇進と昇給をおさえるためのものといっていた。
このカラクリに気が付いた有能は若い世代は別の映画館にいってしまう(転職)
転職という選択ができるのは、30代の前半くらいまでで、それ以降は事実上道は閉ざされる。ここでも年功序列が邪魔をする。

若者を見殺しにする国 私を戦争に向かわせるものは何か


内側から見た富士通「成果主義」の崩壊 (ペーパーバックス)


映画館に残っている人たちも、縮んでいくのに、役職や賃金を上げようとするのは無理というものだ。
かといって、法律や労働組合があるので、簡単に解雇や減給はできない(既得権益)
派遣というのは、こんな状況で企業が雇用を調節する役にたち、給料は少ないものの若者に雇用を与えることができたのである。
派遣制度があるから格差ができるという指摘は本末転倒である。
世界的にみても年齢で人を差別するのは日本くらいである。グローバル資本主義では年齢を問われることはないが、年齢に応じた賃金が支払われるわけではない。同一労働同一労働である。

日本の税金はそれほど高くないが、保険と年金という社会保障がどんどん膨らんでいる。
これは制度の設計(経済が永遠に成長するという考え)じたいによるものなので、抜本的には解散して自己責任でやっていただくしかない。
それを延命させるために、今はとりやすいサラリーマンからどんどん搾り取っている。
会社に税金と社会保障費の納付を代行させる制度のために、サラリーマンは逃げられないからだ。
国民年金の未納をサラリーマンが払って制度が維持されている状況だという。
しかし皮肉なことに、計算してみると国民年金のほうが、払った以上に返ってくる可能性は高い。

アメリカではすでに楽園を追われたサラリーマンがフリーエージェントになり、マイクロ法人を設立する流れがあるという。
アメリカの流れが日本に来る可能性はある。
自由を選ぶのではなく、無理やり自由がドアをあけてやってくる可能性があるのである。

トーマス・フリードマン
グローバリゼーション1.0では国家がグローバル化して栄えるか最低でも生き残る方法を考える必要があった。
2.0では企業がそれを問われた
3.0では個人が問われることになるだろう。

サラリーマンはすでに楽園を追われ始めている。
無駄な公共事業を削減し、若者に教育と、セーフティネットを用意することも大事だが、
サラリーマンのなかでもクリエィティブクラスの人たちはフリーエージェントを目指すべきだし、ファイナンスの知識があればメリットもある。
派遣社員の大量発生はその予兆である。



ダイエーの筆頭株主で経営者だった中内功は、会社を息子に譲ろうとして果たせなかった。彼は会社を人をしてみていた。
ロス・ジョンソンは株式を持たない雇われ経営者だったのに会社を支配した。その方法は週末の有名人を招いてのパーティで社員たちを接待することだった。これは、本来株主のものである利益を自分たちで散財することだ。ジョンソンはその後会社を買収しようとして失敗して退陣した。ジョンソンはモノとして会社をみていた。

法人は人の性格とモノの性格をもつ。
取引相手には人であり、株主にはモノだ。
株式会社は法人に有限責任というものを与え、市場経済で資金調達を可能にした。これが資本主義という発明だ。
どんなに負債をもっても、会社を解散して資産をすべて分配すればそれ以上責任を追及されない。
これをどこまでも認めれば経済はなりたたないから、実際には経営者が連帯保証人になって無限責任をもったり、悪意のある法人の利用は法人格のとりけしと代表者への無限責任の要求ができるようになっている。
それでも取引の主体が個人から法人に移動することは有利だ。

日本の会社法の変遷と、現在の状態を解説。
かなりつぎはぎ的にやってきたかんじだが、現在はだれでも気軽に資本金なしで会社が設立できるようになっているという。
個人に無担保でカネを貸してくれるのは消費者金融くらいのものだが、法人なら中小企業の支援制度で無利息・無担保に近い条件で融資がうけられるのだ。法人を利用した節税は、この個人と法人の多重人格を利用したものだ。

法人はだれのものか?
株式会社なら株主のものだろうか?
でも、社員は株主を設けさせようとして働いているわけではない。
ジョンソンの例をみればわかるが株主が会社を支配しているのではない。

日本の会社の種類と設立法を解説。
この本の出版時点で、日本では、株式会社・有限会社・合同会社というほぼ内容が同じものが並立しているという。
一番安いのは合同会社で、設立経費もいらない。(どちらも資本金はいらない)
将来上場しようとか思っておらず、かっこ悪くても法人格がほしいだけなら合同会社で十分である。
日本の株式会社は株の持ち合いができるので資本金を増やすのは簡単だ。互いに相手に増資すれば紙の上での資本はいくらでも増やせる。
さらには、取引するとき法人なら、登記してある場所や資本金、従業員数などだ。社長がフリーターでネットカフェで寝泊まりしていても関係ない。
資本を持ち合い、会計操作で取引をでっちあげ、歩合制の契約社員を雇って社員とよべば(明確な社員の規定はないから)あっという間に、フリーターから大会社の社長になれる。(理論的には)
稼ぐ能力とはまったく別な話なので、そこは勘違いしないでほしいけど。

コラムで実際に筆者がマイクロ法人を設立したときの書類の書き方などを解説していた。
1商号(会社名)
2本店の所在地
3目的
4資本金
5株主
6発行可能株式総数
7事業年度
8決算の公告
9株主総会
10取締役
11株式の種類や譲渡制限
電子認証と行政書士
エンジェル税制(ベンチャー企業への出資が控除される制度)



エンロンの巨大粉飾決算の話から会計の解説。
エンロンはガス取引に金融工学を持ちこんで、私設の先物取引市場を創設。
そのモデルとあらゆる業種で展開しようとしたが、支払いを保証するのはエンロン自身の成長と株価しかなかったので、損失の計上がゆるされなかった。
そのため損失を架空の会社に飛ばす粉飾決算が盛んにおこなわれ、それが発覚したときすべてが破たんした。
エンロンの破たん後、こうした手法を手にした人たちがウォール街に再就職していった。
バフェットは「ディリバティブは金融の大量破壊兵器」といったが、その後リーマン・ブラザーズやAIGの破たんを招いたもの同じ手法だった。
この手法は成長が続き株価が上がり続ける限りは富を生み出すのだ。

会計の歴史。
古代メソポタミアのトークンを使った農産物の在庫管理からはじまって、
ルネサンスのイタリアで今も使われている複式簿記が生み出された。
近代会計はイギリス王室の税収と出費を管理するために14世紀始まり、17世紀には宿屋や鍛冶屋が複式簿記を使うようになっていたという。

会計は効用によって5つにわけられる。
1投資のための会計(財務会計)
 株主などの投資家に財務内容を開示するための会計規則。ウォーレン・バフェットが使っているヤツ。
2納税のための会計(税務会計)
3ビジネスのための会計(管理会計)
4夢を実現するための会計
 中小企業の経営者を対象とした、ビジネスの体質を改善し会社を再生させるなどをみざす。さらには「夢が破れたときの会計」も登場。銀行融資を継続させるための見栄えのよい財務諸表の作り方などが指南される。
5自由に生きるための軽軽
 フリーエージェントやマイクロ法人のための会計、4との違いは成長ではなく安定をめざすもの。マイクロ法人では会社の破たんはすなわち個人としての破たんと同じである。本書で解説する内容。

会計は損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)、キャッシュフロー計算書(CS)の3つの財務諸表で経済活動の実態を表す仕組み。
家計になぞらえて解説。
個人企業家(マイクロ法人を持つフリーエージェント)にとって会計上の理想状態とは
1マイクロ法人と個人(家計)で税務上の所得がない
2マイクロ法人もしくは個人で財務上の利益が計上できる。
こうして生じた財務上の利益は税務上の所得でないから無税で投資できる。その投資収益も会計上の工夫で非課税化できれば運用利回りが向上する。
自営業者または中小企業の経営者で金回りのいいひとは、税務上存在しないお金を自由に使えるように手元にもっている。
会計力をつかって合法的にビンボーになっているのだ。

3つの財務諸表の解説をしながら、ビンボーから金持ちが生まれる仕組みを解説。
PLの解説では会社の利益から個人に支払うわけなのだが、どちらも控除後に課税されなくなるように、利益を分配する。
BSでは難しかったが、課税はされないが残った可分所得を資産にかえていくってことらしい。
磯野家でマスオさんが会社に勤めながらマイクロ法人になった例をあげて具体的な解説をしていた。
法人を使った節税のキホンは
1法人で生活経費を損金とし、個人で給与所得を受けることで経費を二重に控除する。
 自宅で開業したら、家賃や光熱費の半分とか。自宅用のテレビなど。
2家族を役員や従業員にして、役員報酬や給与を法人の損金にしつつ給与所得控除を得る。
 家族に103万円以内で給料を払うと家族は個人としては課税されずに給与収入が得られる。この支出で法人のほうは赤字になる。
3自営業者へ中小企業向けに日本国が用意した優遇税制を活用する。
 さらには小規模企業共済や国民年金基金などを利用すると、そこに払ったお金を全額控除できる。(実質無税で投資できる)
このようにして、両方の税金をゼロにする。
こうすると手取りは300万近く増えるが、見かけ上の家計は楽にならない。だが非課税で貯蓄できる部分が330万増えている。ここがサラリーマン時代と違う。将来楽になる可能性があるのだ。

法人のもうひとつのメリットはあらゆる金融商品の損益を通算できること。
また税務上は資産を時価評価する必要がないので、年末に損のでているものだけを売却し、利益のあるものを保有することで合法的に節税できる。
法人の損失は7年間繰り越せるので、本の例ではマスオさんがボーナスで稼いだ年に投資損失を計上すると、損失の半分は国が補てんしてくれる計算になる。
含み益がでたときも、法人は最初から家族に給与を払って赤字にしてあるから、通算されて税金を払う必要がなくなる。
こうして合法的に節税しながらBSを育てていくことになる。
このような中小企業(同族会社)は自民党の支持基盤だったので、国税庁も手を出せない状態が続いていると解説していた。

税金を立法・行政・司法などの公共財の維持管理費といった応益原則で考えれば、経済的に合理的な税制は人頭税だけだ。
しかしほとんどの国は応能原則(各人の能力によって支払うこと)を採用している。これは国家に公共財の提供とは別に所得再配分の機能があるからとされている。これが胡散臭いのは所得の再配分機能が国家でなくてもできるから。
著者は本当の理由は応能原則では大多数の国民は払った以上にもらえるから、国家が肥大化するのに都合がいいからとしていた。

応益なら人権との適合は高いが、応能ではプライバシーは侵害される(所得を把握する必要があるから)
日本では会社が徴収を代行してこの問題を回避しているのだ。同時にこれで税制はなりたっているといえる。

納税のキホンは申告納税で、個人が税法を理解して正しく納税するのが理想だが、そんなことはできない。
というわけで、税務署が調べて間違ったら指摘して修正してもらうということをする。
そして、故意に間違えたらバツを与える(重加算税など)
しかし、ただの間違い(善意)と故意の間違い(悪意)をどう見分けるのか?
申告内容が説明可能なら納税者を善意とみなすといのが今の原則。
というわけでランボルギーニの社用車や、仕事の打ち合わせに家族同伴で海外旅行なんて成立するわけだ。
というわけで納税者は合理的には次のように行動する。
1説明できないことはしない
2説明できることはなんでも経費に申請
3税務調査で否認されたものだけをとりさげて修正申告する
白色申告はこの最たる姿で、所得が300万以下なら帳簿の作成が免除される。領収書もなしで経費申告できるのだ。
ただし、赤字は繰り越せないし、家族への給与も全額控除はできない。
弱者救済のためにつくられた制度だが、やろうと思えば所得1億円でも白色申告はできる。1億円の経費を申告してなにか理由をつくれば理論上無税である。ただし自己責任でやってください。

こういったことが横行したら税金をとることはできない。
というわけで税務署には質問検査権が与えられ、違反には刑事罰がある。
そして同族会社の場合には、税法に適合していても、著しく納税額が減る場合は税務署が再計算をできることになっている。
ただ、適用基準はあいまいで、常に使えるわけでない。

税務署員の成績は追加徴税した税額で評価される。
だとしたら、悪意の納税者をみつけても、面倒な裁判などにせず、修正申告に応じてもらった方が双方が合理的だ。
というわけで、間に税理士がたって、納税額を調整するようなことがおこなわれていたらしい。
しかし、裁判までやるとなると税務署も負担はおおきく、譲歩するようなことも行われる。
こうして、西原恵理子の「脱税できるかな」にでてくる税務署員の発言「いくらなら、払うつもりがありますか?」ということになる。

できるかなV3 (SPA! comics)


納税者が税務署の指摘にこたえていたのは税務署が怖いからだが、この構図も教育の崩壊のように失われつつあるようだ。
このままでは所得税や法人税の維持は難しいかもしれない。
欧米が消費税に移行するのは、こうした軋轢がないことも理由である。
そして、事実上マイクロ法人に税務調査はこないといわれている。だってがんばっても追加でとれる税金がたかがしれているからである。
もし、来てくれたら帳簿の付け方などを指導してもらえるボランティア的な意味になってしまうだろう。

コラム 法人税の申告方法
コラム 事業所得を使ったサラリーマンの節税。只野範男

「無税」入門―私の「無税人生」を完全公開しよう




フラワーチルドレンの代表マイケル・ミルトンのジャンクボンド債。  
信用力の低い会社の債権をパッケージ化してリスクを分散する手法を発明した彼は、頭のなかに投資先のすべての財務データをもっている驚異の人だった。LBOで資本にレバレッジをかけて企業を買収する手法の考案者でもある。
資金調達に苦しむ企業経営者からの相談に誠心誠意答えていた彼は、インサイダー取引の罪に問われ、実刑をうけ、彼のつくったジャンクボンド市場も同時に崩壊した。刑をうけたあとは証券業界への関与は禁止となり、出所後は幼児教育の会社を設立、かつて彼に資金調達を助けられた多くの有名企業かが出資した。

ファイナンスはバランスシート(BS)を最適化する財務戦略である。
事業とは資金を調達し運用する投資の一種で、BSでいえば右側の負債と純資産の部で調達したお金を左側の資産の部で増やすこと。
お金を増やす不思議な貯金箱である。100円いれるとある年には105円吐き出され、あるとしは90円や80円になる。
よい貯金箱の条件は
1より安いコストで資金を調達する
2より高い利回りで資金を運用する。
ブラック=ショールズ式がいっているのもこれだけである。
資金調達にはデッド(負債)とエクイティ(増資)がある。
エクイティはもうかったときだけお金を吐き出せばいいからコストが安いと考えられてきたが、実際にはリスクの分(リスク計算はCAPMとベータなどで説明していたが)コストになる。そしてそれは一般にデッドより高くなる。
税法上もデッドで支払った利子は損金にできるという差がある。

日本の株式市場でおこなわれている第三者割り当ては一種のインサイダー取引だといっていた。
本来増資は公募の時価発行が基本だからだ。
そんなことが行われるのは、そうでなければ誰も増資に応じてくれないから。
それでも資金が調達できないと第三者割り当てのMSCB(転換社債の一種)まで出回ることになるが、こんなことをしたら株が下がるのは必須でアメリカでは裁判沙汰だが、日本では見逃されている。
エクイティのコストは株価が下がって初めて健在化するからだ。

事業活動はすべて
「すべての透視は、資本コストを上回る利回りをもたらさなくてはならない」
に集約される。
企業が利益を株主に還元しないのは内部留保して来期に投資するためだが、日本では内部留保をとりくずして雇用を守れといわれている。
これは市場経済としてはおかしな話である。

バランスシートにレバレッジをかけると利回り(ROE)は向上するが、リスクが大きくなりバランスシートは不安定になり格付けは下がる。
しかしレバレッジ経営はいまや商業銀行までが普通におこなっている。

ミルケンの考えたLBOは会社を買うときに不動産と同じようにレバレッジをかけるという方法だ。
LBOの担保はハイリスクだからミルケンだけが、営業力でこの債権を売りさばいていた。
こうして彼がもっていた情報がインサイダー取引とみなされたのだ。

キャッシュフロー計算書(CS)について。
PLとBSだけでは住宅ローンを持っている人はうまくいかない。
PLに損金として計上されるのは支払利息だけだから。
経営でもPLで利益があるのに支払いが滞るという事態がおきることがある。
他にも買掛金や売掛金が齟齬の原因となる。
町の八百屋は現金で売り上げて、仕入れ代は月末に払うから、資金繰りに悩むことはないが、問屋は、先に農家に支払って、あとで代金をうけとるから運転資金がなければ倒産してしまう。
減価償却も大事で、社長が4年落ちのベンツを買うのは、減価償却の恩恵を最大にうけるためである。

資金繰りを管理するための計算書がCSで、直接CS(家計簿と同じ)と間接CS(PLやBSと整合性がとりやすい)がある。
ここでは直接CSで説明していた。
CSでは現金の流れを3つにわける
1営業キャッシュフロー
2投資キャッシュフロー
3財務キャッシュフロー
この3つを合わせたのがCSで原理的にマイナスにならない。
そして家計でも企業でもこの残高が高いほどいい。

現状をみるのにCSが一番いいといわれている。PLやBSと違って操作もしにくいから。
一番のポイントは営業キャッシュフローでマイナスなら経費が多いか過大な仕入れをしているかどちらかで早晩破綻してしまう。
フリーキャッシュフロー(FCF)とは営業キャッシュフローに投資キャッシュフローを加えた使える手元資金で、ファイナンスではPLより重視される。
企業の価値をキャッシュを生み出す能力だとすれば、フリーキャッシュフローから企業の価値が測れるこれがDCS法。
これは将来のキャッシュフローを一定の割合で割り引いて現在価値に戻し、一株の理論株価をもとめるもの。
将来の価値を現在の価値に直すのはファイナンスの重要な公理。
しかし、単純には使えない、株式は債権と違って償還時期が決まっていないなどの理由で、DCS法に条件を付ける。
会社は永遠に事業を行うとか、フリーキャッシュフローは長い間の平均では変わらない、資本コストを正しく計算できるなどである。

個人とマイクロ法人のキャッシュフローを連結する。
個人でマイホームを購入しつつ、法人で株式を売却したり、個人で住宅ローンを返済しながら、法人で融資をうけるなどを一元化する。
資金繰りを管理し、倒産や自己破産を防ぐには
1買掛金を多く、売掛金を多くする
2固定資産より流動資産を保有する
3資金調達する際には低利の資金を余裕をもって借りておく。

マイクロ法人を使うと恐ろしく低金利で資金を調達できる例として、著者が自治体の創業支援融資で1000万を実質金利0.8%で調達してそれを返済したこと。それが信用となって日本政策金融公庫から(かな?)実質金利0.37%で1000万円の運転資金を無担保有保証で借りた例をあげていた。
日本の公的融資制度は非常にゆがんでおり、公的融資をするひとたちは予算の消化をすればよく、保証協会が保険をだすので、回収を気にする必要がないという状態なのだという。彼らが気にするのは書類が整っているかだけである。
実質的な審査は保証協会がするわけで、銀行には信用調査能力がなくなってしまう。これではヒドイので保証協会の保証は8割に引き下げられた。
中小零細企業への支援は手厚いので、自治体の利子補給などを使って実質金利を0.37%までさげられたとのことだった。
こんな状態なので、資金繰りに苦しんでいる中小企業があったとしたら、保証協会の枠まで使い切った本当に回収不可能な会社なのだ。
予算を使い切るためにはBSのきれいな中小企業が一番貸すほうとしては都合がいい。
中小企業という弱者をすくういろんな対策は実際の弱者はほとんど救済しない。貸す方もBSの傷んだ会社には融資できないからだ。
しかし、BSのキレイな中小企業やマイクロ法人には、この制度は福音である。
そして、資金調達は余裕をもってやることだ。日本人はなるべく借金しないことを美徳と考えるクセがあるが、銀行は晴れた日に傘を貸し、雨の日に取り上げるといわれているように、雨になってからでは傘は借りれない。晴れた日にこそ、運転資金を用意しておく必要がある。

コラム 公的融資制度を利用してみよう

コラム 節税とファイナンス、節税のために法人を赤字にするとファイナンスに不利になる

コラム 担保と連帯保証人


国家に依存するな、国家を道具として使え。だそうです。

楽園をすてて、夢をおいかけて起業するならファイナンスの知識がなければいけない。とも。



貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する

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  • 作者: 橘 玲
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/06/04
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