ビレッジガルテンという住宅というか街を建築販売する会社シティサイエンス株式会社は2007年から夏休みを1か月とることにしたのだそうだ。

ビレッジガルテンは、アメリカのビレッジホームズやドイツのクラインガルテン、を参考に「本当に豊かな暮らし」を求めて開発したものなのだそうだ。
特徴は住宅地の真ん中に共有スペースがあり、そこには木が植えられ、子どもの遊び場や散歩によい小道などが作られる、共益費を払い共同で管理すること。めざしているのはコミュニティのある暮らしなのだそうで、開発販売のみでなく、最初に共有スペースでイベントをして、住人の顔つなぎなどもやっているらしい。土地は定期借地権で、住宅価格は抑えられている。土地を所有することは「ほんとうの豊かさ」とは関係ないという思想の表現でもある。

社長は「本当に豊かな暮らし」とはなにかを求めているが、社員にそれが本当に共有してもらうにはどうしたらよいか考えて夏休み1か月という結論にいきついたらしい。

現代人の考え方として近所づきあいをわずらわしいと考える人がいる一方で、地域社会が必要と思う人も多い。
適度なプライバシーを維持しながらも、ゆるやかに近隣の人とつながる関係を持つというのが、豊かさなのではないか?顔見知りが多く、ある程度相手の生活がわかっているから、がちがちの管理規則でなく、話し合いで共有スペースの維持管理が行われる。顔見知りとそれ以外の人が明確に分かれるからセキュリティにもなる。あるビレッジガルテンではベンチが盗まれたのをきっかけに住民が盗まれないベンチを作ったそうだ。

もちろん、こういった住宅を嫌うひともいるし、実際販売不振なこともあるらしいが、面倒くさいことを楽しむことで本当に豊かな暮らしが得られるのではないか?

ほんとうの豊かさは、土に触れられる自然との共生、そして人とのふれあい信頼関係、ビレッジガルテンはそれを表現したものということかな。


夏休み1か月の会社が作るまち―「ビレッジガルテン」という暮らし方

  • 作者: シティサイエンス
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎メディアコンサルティング
  • 発売日: 2008/01
  • メディア: 単行本