著者は作家でロシア語ができることからTBSが大黒屋光大夫の軌跡をおう番組を1984年に作成したときに同行したらしい。
その中で訪れたヤクート共和国(サハ共和国)世界一寒い国としてしられているところで、寒極の地とよばれているそうだ。標高と大陸性の気候、そして山脈で寒気が溜まりやすく高気圧になりやすい。地面は永久凍土で夏の間は1.5から2mほどとけるが、冬は暖まることがない。そうして冬はマイナス50度の世界ができあがる。
ただし空気は乾いているので、ヤクート人にいわせると、モスクワの冬のほうがつらいのだそうだ。

住んでいるのはヤクート族で、モンゴロイドの外観をもつが、言語はツングース系で、もともとは南方にいたものがこの寒極においやられてきて、適応したものと思われる。伝統的な生活ではヤクート馬を放牧し、エスキモーのようにその血からビタミンを補給している。短い夏の間は気温が17度くらいまであがり、雨は1年で200ミリしかないけれど溶け出した永久凍土のおかげで、1年分の牧草が手に入る。今は都市にすんでいる人も多いし、天然資源で注目されている。

この地ではプラスチック製品や合成繊維製品はみんな凍ってばらばらになってしまう。現地の人たちは毛皮を着ている。毛皮をみるとなんの動物かわかるくらい詳しいそうだ。
また、人のいるところでは水分がでるので、発生した水分はすべて瞬時に凍って居住霧が発生する。
冬は暖かいとこの霧で1mさきもみえなくなるのだそうだ。
また、氷は滑らない。氷が滑るのはその上に水の膜があるからで、スケートは摩擦熱で氷を水にするからすべるのだが、ここでは摩擦ごときでは氷はとけないので、スケートは暖かくなってからするものであるらしい。

他にも現地の人たちが永久凍土の上で適応して生きている姿が写真とともに語られている。


マイナス50℃の世界

  • 作者: 米原 万里
  • 出版社/メーカー: 清流出版
  • 発売日: 2007/01
  • メディア: 単行本