亜玖夢博士は、天才経済学者で、世の人を救うために、新宿は歌舞伎町で無料相談をしている。
お客は配られたチラシ「相談無料 地獄をみたら亜玖夢へ」を手にやってくる。

行動経済学
50万円の借金をもつ男が相談にやてくる。
亜玖夢博士の回答は、行動経済学にのっとって男の悩みは借金ではなく、借金が増えていくことだといって、もっと自己破産できるくらい借金を増やすようにすすめる。男は最初は博士の助手につれらて借金をしてまわるが、やがて、借金取りから夜逃げして、親にまで督促がいく事実にあぜんとする。

囚人のジレンマ
ヤクザの抗争で一旦は勝利を収めた男が、やがて相手の勢力の増大により、次第においつめられ、つぶされる寸前。亜玖夢博士のところへやってくる。
亜玖夢博士はゲーム理論をつかって、無限回のゲームではしっぺ返し作戦がもっとも有効で、やがて相手も合理的判断を下して協調するようになると教える。
ただし、有限回のゲームでは裏切りあって、最後に裏切ったものが勝つ。
これにヒントを得た男は、亜玖夢博士の助手のつてで中国マフィアをうしろだてに、生き残りをはかるが、最後に相手の裏切りをおそれるあまり、相手を殺そうとして、中国マフィアのわなにはまり、相手の本家筋を敵にまわして逃げ回ることになる。

ネットワーク経済学
いじめにあった少年がやってくる。亜玖夢博士はネットワーク理論をつかって、少年がせまい学校という人間関係でいじめられるというハブになっていると説明する、この形になってしまうとフィードバック効果が働くので、ハブが消滅するまで、いじめられっこはなくならなくなる。少年は絶望し、殺してくれというが、亜玖夢博士の助手の勘違いで、馬の首が小学校におかれるなど大騒ぎになり、学校が休校になって少年は別の学校にうつり、いじめはやむ。しかし、今度はいじめっ子のリーダーだった子どもがいじめられるようになり、少年は「自分はいじめられるのに慣れているし、学校以外のネットワークならいじめられっこでないこともわかったから」といじめられっこに逆もどりする。しかし、今度は学校での立場がなくなっても他にうけいれてくれるところがあるとわかっているので、いじめがエスカレートするような反応をしなくなった。

社会心理学
マルチ商法の男が「奇蹟の水」を売りにくる。彼は「南極でペンギンに氷をうる」話術を持った男だ。
亜玖夢博士は彼のコールドリーディングの手法をことごとく喝破する。
実は亜玖夢博士はコールドリーディングの手法がアメリカでうまれたとき、会議に参加していたのだ。
マルチ商法は「子ども」を増やすことで利益を加速するが、亜玖夢博士にいわせると男は「子ども」なのである。

ゲーデルの不完全性定理
自分探しの自殺願望の女の子。自分をさがしているというが、亜玖夢博士はゲーデルの不完全性定理をつかって、自分に自分を探すことはできないと証明してみせる。外部システムからの事実がなければ証明できないから。
女の子は亜玖夢博士の研究室に住み着き、助手の仕事を手伝うようになるが、相談者の一人に同情したことkらお金をつくろうとする。そこにヤクザの元相談者がくいつき、株の空売りによる儲け話をもちかける。作戦はうまくいき、元ヤクザは新宿の帝王に返り咲くが、女の子は生贄として、元ヤクザの敵に殺されそうになる。亜玖夢博士の助手によって救われ、今も研究室にいるらしい。


亜玖夢博士の経済入門

  • 作者: 橘 玲
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2007/11/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



コールドリーディングの話が一番解説がしっくりきているし、詳しかった。
コールドリーディングのオススメ本


一瞬で信じこませる話術コールドリーディング

  • 作者: 石井 裕之
  • 出版社/メーカー: フォレスト出版
  • 発売日: 2005/06/01
  • メディア: 単行本