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不動産投資の超基本 [ビジネス]

著者は東大経済学部卒後、第一勧業銀行→ボストンコンサルティンググループ→三井不動産→J-REITの日本コマーシャル不動産投資信託上場→オラガ総研株式会社代表取締役、という経歴。
本当のプロの視点から不動産を選ぶ方法を伝授する本。不動産の見分け方。本質の見抜き方を23の角度で具体的にやさしく解説。2016年9月の本。

株式や為替取引は比較的「短期」売買で利益が得られる
不動産投資は5年から10年のタームで見据えた「中長期の投資」


第1章 建物
建物は不動産の顔。

〇築浅VS築古
 不動産のプロの間では「マンションを買うなら築7・8年物を買え」という。新築は見た目はきれいでもまだマンションとしては稼働していないので不具合がわからない。建物であればなんらかの不具合があるのがあたりまえ。7・8年ならある程度問題が明らかになったうえで建物や設備が老朽化していないので安定している。
 プロはゼネコンの名前でなく現場監督と施工の時代背景で選ぶ。建設ラッシュの時期の建物はよい現場監督でも現場がおおすぎていい加減に施工が行われることがある。
 築古とは、戸建てでおおむね築25年から30年以上経過したもの。マンションで40年以上のものをイメージする。一番の懸念は建物の安全性。プロは目利きで蘇らせるのを醍醐味と感じる。目安は1981年(昭和56年)の新耐震基準前があとかで大分違う。旧耐震基準でも、地盤・揺れ方・構造で損傷・倒壊・崩壊リスクは違う。建物の耐震性や設備を調査する会社に依頼して納得いくまで調査して購入すれば問題ない。構造躯体さえ頑丈ならあとは自由にリノベーションすることで建物は輝きだす。
 築古は評価が低いので(ほぼ土地価格)ねらい目となる。建物を解体するときは産廃の規制強化でコスト上昇しているので注意。40から50坪程度の通常戸建てで150万円程度かかる。売主で解体してもらえないときは、その分を値引き交渉を。耐震補強には補助金をだす自治体が多いので積極的に利用。

〇豪華VS質素
 建物の豪華さに幻惑されてはいけない。プロからみたらコストの山。不動産は芸術作品ではない、シンプルで使い勝手がよく、誰にでも貸せてメンテナンスがしやすいのが一番。

〇大手施工VS中小施工
 設計と施工は違う方がチェック機能が働く。安さから設計・施工が同じ場合が多い。マンション施工はあまり儲からないから大手ゼネコンはやりたがらない。大手なら補償金を払っても倒産しない(横浜のマンション)というメリットはあるが、あとで補償がでてもプラスではない。資産価値もおちる。かといって中小では倒産リスクがあるので(姉歯事件)、中堅以下のゼネコンで公共工事の減少でマンション建設をやっているところなどが現場監督も優秀で、下請けのコントロールもうまい。

〇リノベ済みVSリノベ要
 リノベーション後ではどんな工事をしたのか見れない。リノベーション物件なら自分でやってこそ意味がある。リノベーションが高いといわれたのは、以前は町場の工務店が「ついで」にやっていたから、大手も参入しリノベーションが高いは都市伝説となっている。

〇一棟VS区分所有
 一棟まるごとなら他人の都合や不幸に左右されない。ただし、必要な管理を怠ると住民やテナントの質がおちるので注意。一棟の価値を育てるつもりで取り組む。
 区分マンションは建物の部分の価格がほとんどなうえ、最初は同じような入居者がいてもそのうち高齢化し、住民も一枚岩でなくなる。区分所有は他人の人生を背負った資産である。マンションは賃貸資産としては快適だが、これから少子化で相続したマンションなどが大量に賃貸に出され、家賃下落がおこるかも。こういった安いマンションを住み倒すもの不動産使いこなし術かも。

〇高層VS中低層
 プロはマンション高層階は買わない。狙うのは3・4回。高層階ではエレベーター時間の分駅まで遠い。風つよいと揺れを感じる。柱が多く部屋のレイアウトに制約ができてしまう。特に最上階は暑い・寒い、ゲリラ豪雨の雨音、水漏れの被害、吸水ポンプやエレベータの巻き上げ音などの心配も。高層階がよければ最上階は避ける。見晴らしはほとんどかわらない。
 3・4階なら災害時に水をもって会談であがれる高さ。2階までだと防犯が心配だが3・4階なら窓を開け放せる。南北か東西に窓があると夏も快適。二戸1基エレベータなども窓を開け放ちやすい。蚊などの虫は上昇気流で3・4階より上にいってしまう。

第2章 土地・立地
 プロは土地の顔をみる。不動産選びは土地をしっかり見極めることが判断のほとんどを占める。土地は二つとして同じものは存在しない。同じ道に面していても、間口・奥行き・建物・視認性などが違う。

〇湾岸VS山の手
 東京の湾岸エリアにタワーマンションが開発されたのは小泉純一郎首相のとき公共工事をとりやめ都心部の容積率を緩和して再開発をバックアップしたため、そして円高で湾岸部の工業地帯がアジア諸国に工場をうつして土地もあいたから。戸数を確保してマンション内にコンビニやクリーニング店をつくり一つの街として演出するのに成功。都心で働く共働き世帯が保育所などの充実もあって購入するようになった。
 昔から続く山の手住宅地は武家屋敷の跡地。地歴をみればわかる。こういった土地は地盤がよく災害に強い。プロとしては山の手の安心感を推したい。
 街が発展する条件は老若男女が適度に入り混じまり一定限度でいれかわる新陳代謝があるおと。現代では一定限度の外国人でもいいかもしれない。

〇ブランド住宅地VS新興住宅地
 ブランド住宅地は意外と狭いエリア、田園調布でも何丁目かで全然違う。金持ちカテゴリーはいつでも金持ちときなり金持ちがいて、ステイタスの高いエリアは常に移り住もうとする人がいる。ビンテージマンションも同じ。
 川崎の武蔵小杉など新興住宅街のウリは交通利便性。これがブランド住宅街になるかは30年40年先。必要なのは街のソフトウェア。
 ブランド住宅地=価格上昇ではない。投資マーケットとしてはブランドではなく3年後を比較して「上がり」とみれば投資する。
 プロは流行をおわず老舗ブランドを買う。

〇駅前マンションVS郊外戸建て住宅
 駅前の高層マンションが大人気。駅前といっても本当に駅から徒歩2・3分のもの。購買層は資産分散をはかる中国人外国人投資家、相続対策の個人富裕層。中低層は定年退職したシニア層。定年したシニア層が駅前に越すというのは地方がやりたがっているコンパクトシティ。それが勝手におきている。社会の価値観の変化をあらわすもの。
 郊外戸建ては価格の下落が止まらず売却できればラッキー状態。郊外戸建てに明日はない。郊外マンションが建築費上昇で値段が2割ほどあがったのと、東京都心部のタワーマンションブームで人気がない。駅前にあつまる人口移動が郊外マンションの空き家を増やしスラム化が予想される。最後に残るのは駅前の不動産だけ。地方都市ではその都市を支える産業がどのエリアに立地するかがファクター。

〇大都市VS地方
 首都圏の高齢化はこれから本番。これから首都圏も住みやすい快適な都市ではなくなってくる。地方都市は高齢化の問題を通り越し、新たな価値軸をつくり輝きを取り戻すかもしれない。これからの不動産は「人」を奪い合う時代になる。プロは首都圏だけでなく地方の可能性もみるべき

〇通り沿いVS路地裏
 大通り沿いがいいとは限らないのが不動産の面白いところ。物販・オフィス・大型施設などは通り沿いがよい。ただし通りのどちら側かで大きく違うこともある。例・昭和通り。路地裏がいいのは住宅・サラ金・クリニック・出会い系喫茶・アダルト系のお店・ラブホテル。あるいは目的がはっきりしているお店、塾や教室、美容院・ビジネスモデル。路地裏は雰囲気のとのマッチングが大切なので最終的には現地で確認することが絶対必要。路地裏の変形値は安いのでホテルなどを建てるにはねらい目。


第3章 投資としての自宅
 日本人は不動産が好き。しかし自宅には儲かるという視点はいらないのでは?投資として不動産を選ぶことと自身の住む自宅として不動産を選ぶ判断は大きな違いがある。

〇買いVS借り
 不動産は投資理論を離れた瞬間「ドタ勘」の世界。欲しかったから買ったで満足して住み続けている人も多い。実は著者もその一人。毎日1時間半もかけて都心に通っている。子どもが成長するなどの人生のタイミングもある。ただし資金はリスクを勘案しえも大丈夫といえる範囲で行うこと。
 不動産投資としてみるなら、物件調査を徹底的に行う。土地の瑕疵土壌汚染、地歴、建物の耐震基準や修繕歴、管理状態、テナント信用調査(反社会的勢力かなど)。物件価格の90%とか100%で自宅に投資するのはかなりリスキーな投資。普通こういった投資は短期で売り抜けるキャピタルゲイン狙いで行うもの。
 自宅は基本的には「何も収益を生み出さない」と考えるべき。住む道具なら、人生の一時点で一番適合した住宅に住むのがよい。今後は買うより借りる流れが加速する。
 住宅は820万戸の空き家があるなか、毎年100万戸供給されている。選ぶ側からしたらよりどりみどり。
 住宅保有をすすめる論理は時間軸を無視して単純に住宅ローンの返済額と家賃を比較しているので変化のリスクが盛り込まれていない。すべてが平穏無事であるという前提がないと自宅購入は給料債権だけを担保にした危ないゲーム。30年後の自宅の劣化を想像していない。賃貸の方がリスク耐性が高い。購入は老後をすごすところだけでよいのでは。

〇戸建てVSマンション
 マンションという形態の住宅が登場して60年。中古マーケットが存在している。マンションの価値は総額ではなく、坪単価でみるとよい。一戸建ては評価すべきは土地。
 時間軸の概念で不動産を眺めると朽ち果てる建物にウエイトを置いたマンションよりも、朽ち果てることのない土地にウエイトを置く戸建てが資産価値を維持・向上するにはよい不動産。マンションは中古流通マーケットがしっかり形成されていて換金しやすいが中長期的な投資としては向いていない不動産。
 マンションは建物で、一戸建ては土地でみるのがプロ。

〇新築VS中古
 新築住宅は建設コストに30%増しで間接費が上乗せしてある。建物が完成する前に売る「青田売り」は住宅が少ない時代のもの+デベロッパーの都合。そのために工期はプレッシャーがかかって、くい打ちデータ偽造などの問題を生んだかも。新築はリスクの塊。どんな不具合があるかわからない。今後は完成売りが主体になってもいいのでは。
 中古の胡散臭さは、仲介会社が手数料をとる仕組み。売れたら金額の一定%をうけとるので、値引き交渉などは熱心にやってくれないし、自分で売り買いの手数料をとりたがって物件をすすめてくる。戸建ては修繕記録もないし、定められたチェックもないので選ぶのが難しい。
 これら胡散臭さを和らげようとする動きがでている。ポイントなどで評価する動きが広まれば売るときも「なるべく安めに売ろう」とする仲介業者を見抜くことができるかも。
 不要な間接経費がない中古住宅はお買い得、じっくり選んで、お隣さんが変態だったというリスクを回避しよう。


第4章 お金を増やすなら
 いつまでにどのくらい増やしたいか言えない人が多い。不動産は運用・売却でお金になるが、まず購入しないといけない。売り上げだけでなく出費を減らす(節税など)もお金を増やす手段。

〇短期VS中長期
 不動産投資は時間軸をどこに置くかが非常に大切。いつまでのどのくらいの収益を得るのかで不動産の選び方は変わってくる。
 住宅ローンの金利が低いことは長期金利の金利が低いことで、日本が将来にわたってあまり成長しないことを物語っているともいえる。投資としての金利の見方。
 短期で増やすには流動性がカギ。
 中長期(3~5年)では土地の見極め。建物は現状がある程度しっかりしていればよい。
 10年だと劣化するので現状の建物に惑わされないこと。
 プロは投資の入り口と出口をつねに考えながら、期間中にかかる金利を計算して投資を行う。不動産選びはすごろくのように初めと終わりがあるゲーム。

〇売却狙いVS運用益狙い
 不動産は短期で利益を狙う狩猟系の「売却狙い」と中長期で着実に利益を享受する農耕系の「運用益狙い」があり、まったくキャラクターが違う投資。長く行きたければ農耕系をめざすべき。
 不動産では最初に先祖伝来の土地がある地主が圧倒的に優位。ただしその不動産にほとんど価値がなければ、いい不動産を安く仕入れた人の勝ち。どこで稼ぐかしっかり見定めて行動をおこすこと。
 狩猟系では出口を見誤ると転ぶ。
 大手の不動産会社は農耕系が多い。じっくり育てて果実をとる。

〇借金買いVS自己資買い
 借入金で不動産投資を行うと高い利回りで運用できる(レバレッジ)。しかし物件価格のその後の動向では地獄への道先案内人になる。(物件価格が急落しても借入金元本は下がりゆく物件価格のお供はしてくれないから)。借入金で不動産投資を行うのであれば「出口」で必ず簿価(購入価格ではない)よりも高い価格で売却できるストーリーでなければならない。
 不動産投資のために自己資金は60%くらい必要。5年後でも十分売却できる可能性が高い物件を選ぶことと、物件価格が下落する最悪の場合をシュミレーションしてローンを組むことが大切。長期で物件を所有できる人は長い時間軸の中で運用して稼ぐことができるが、時間軸に余裕のない普通の投資家は借入金の割合は極力おさえないと出口までの最終利回りで儲けることはできない。
 住宅ローンは悪魔のささやきに思える。借入金を90-100%もつので。特に新築は割高なので、オーバーローンになる可能性が高い。住宅ローンでも自己資金は40%は欲しい。

〇高利回りVS低利回り
 利回りが高いほど投資のリスクは高くなるのは投資の構造。価格と利回りはトレードオフにある。リスクがあらわれなければ高い利回りがはいる。利回りが高いならある程度の期間をおくことで投資のリスクを減退させることができる。 低利回りなら売却(出口)で大きな利益をとるのを狙う。しかしあまりに利回りが下がれば投資に対するリスクが高くなる。
 物件の利回りと借入金の金利、借入割合を見定め、どこで売却 OR 運用 で儲けるのか見定めて投資するのがポイント。

第5章 節税対策
 不動産は実際の購入価格より低い財産評価をうけるので相続の際節税になるといわれる。また不動産から得られる収入からさまざまな費用を経費にすることで収入を小さくできる。

〇相続対策 「する」VS「しない」
 不動産が相続対策に使われるのは購入価格より評価価格が低いから。相続税は重税化の方向。マンションは建物が減価償却されて評価額がさがるのでより節税になる。借入金は財産評価から控除できるので節税になる。
 不動産は相続さえすればいいというものでなく、そのあとの運用が問題。相続不動産で悩みをかかえることも多い。本当に相続資産が助けとなる不動産の買い方や持ち方を実践してもらいたい。

〇アパート一棟VS高級マンション
 アパート投資、タワーマンション投資は節税ばかりに目を奪われるとのちのち売却できないなどのしっぺ返しが、大切なのは物件の流動性。
 あまりに広まった相続対策は封じ手ができて、実際には機能しないリスクもある。
 節税をすすめる税理士や業者、金融機関はあなたの将来なんかきにせず、今儲ければ仕事はおわり。悪徳業者にだまされないこと。

〇所得圧縮VS評価圧縮
 借入金や不動産の維持経費を大きく費用計上することで不動産所得を赤字にする節税策のポイントは、出口価格が値上がりすることが前提。不動産と節税は自身のライフステージと密接に関係してくる。節税対策に求められるのは一族としての将来にわたってのグランドデザイン。

第6章 資産運用の理屈
 不動産は「放っておけば勝手にテナントが入って賃料を払ってくれて儲かる」ものではない。テナント交代、家賃滞納、修繕、税金、トラブルや夜逃げなど手間がかかる。ライフスタイルや状況で管理方法を使い分けよう。

〇業者任せVS自己管理
 業者任せにするなら業者の出来次第。長期の保証期間をうたったサブリースは修繕費を法外に要求したり、大規模修繕を条件としたり、アパートを売ったうえで大家から搾り取ろうという魂胆が丸見えなので注意が必要。
 地元の不動産屋は管理報酬ではさほど儲からない、管理でつきあってイベントが発生したときお役にたつのが目的。地元の評判が大事なので(優良地主を優先はするが)ろくに管理しない業者より安心。
 不動産運用は基本的に人との付き合い。入居者はしでかすもの、しかも部屋にいる夜が多い。自己管理は難しい。とくにテナント募集はハードルが高いのでそこだけでも業者に依頼することで空き室を短くしたほうが運用収益が上がる。業者との付き合いも人間関係。

〇現物運用VS証券運用
 現物不動産の最大の特徴は自分自身で自由に運用できること。証券化商品のメリットは流動性が高い(出口がある)こと。REITなどの不動産証券化商品はアマチュア向けともいえる。

不動産は一時に動くお金が多額なので一攫千金を狙った多くの輩が集まるところでもある。そういった人は「いいこと」しか言わない。不動産の本質をマスターして煽り文句に踊らされず、自分のベストパートナー=不動産を選択できるようになろう。
不動産は自分で手をかけて磨くほど魅力が発揮され、愛情に答えてくれる存在でもある。


不動産投資の超基本

不動産投資の超基本

  • 作者: 牧野 知弘
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2016/05/27
  • メディア: 単行本



タグ:牧野 知弘
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大家さん必携! ! ライフサイクルから考える 賃貸経営の税務Q&A [ビジネス]

著者は2007年実家のアパートを引き継いで、節税、法人化、リフォーム資金借り入れなどで黒字化した。顧問税理士は「売却して借入金を返済しましょう」しかいわなかったので、自分で大家さん専門の税理士・司法書士になり提案・手伝いをしているそうです。

賃貸経営は節目で決断が必要。そのライフサイクルは賃貸経営者と賃貸物件両方をさす。
・創業期(30~50代、築1~2年)
・成長期(40~60代 築2年目~20年目)
・成熟期(50~70代 築15年目~35年目)
・衰退期/第二創業期(60~80代 築30年目~)

それぞれの時期にわけてQ&A形式で解説。


第1章 創業期
〇賃貸経営を始めるにあたって注意すべき点
 賃貸経営をする目的をはっきりさせる。楽して儲かるとか節税だと失敗する可能性が高い。資産形成・家族に安定的な収入を残すなど目的をしっかりもつ。
 大家さんの仕事は管理(マネジメント)、建物(建物の魅力を保つ)・入居者(滞納されないコミュニケーション)・お金(利益がでてもお金が残らないと継続できない)

〇取得したとき行うこと
 経営とはリスク管理。大家さんのリスク。滞納・家賃下落・金利上昇・まとめて退去・雨漏り発生など。リスクを見込んで数字で目にみえる形で管理する。事業計画表をたてることをすすめていて、例がのっていた。作成ポイントとして考慮すること、空き室リスク、金利上昇・大規模修繕(積み立て)。将来的に売却・建替え・修繕の時期がかならずくる、将来の方向性(出口)をイメージしておく。

他、開業届などの届け出、青色申告のメリット解説、事業的規模解説、大家さんに関係する税金など。

〇取得にかかる税金と節税法
 中古アパートを購入したときの諸費用。印紙税・仲介手数料・登録免許税・固定資産税清算金・不動産取得税・火災保険料など、物件価格の8~10%をみこんでおこう。不動産取得税はあとから請求がくるので支払いのお金をとっておくこと。

他、賃貸住宅建築時の不動産所得税軽減措置、取得にかかったお金を経費にするのか資産計上するのかの解説。賃貸経営を始める前に取得した土地の経費について解説。

〇売買により取得した場合の経理・税務の注意点
 売買契約書に土地建物一括の値段しかない場合。消費税の記載があれば建物価格がわかる。消費税は土地にかからないから。固定資産評価額の土地建物の比率を使う方法もある。評価額は3年に1度変わるので取得時点の評価額を時点修整する必要がある。

中古の耐用年数、リフォーム費が資産計上になる場合について。

〇自宅を賃貸に転用した場合
 自宅を賃貸に転用した場合、自宅で使用していた期間の減価償却相当額を計算して、賃貸開始時点の未償却残高を計算する。自宅で使用していた機関の耐用年数は法定耐用年数を1.5倍した耐用年数になる。賃貸開始後は法定耐用年数を使う。賃貸開始前の修繕費は資産の取得価額に含まれて資産計上して減価償却となる。

〇相続により取得した場合
 賃貸物件を相続した際の相続登記費用は必要経費に計上できる(平成17年以後に相続した場合)。相続税は家事費に該当。不動産所得の必要経費に計上することはできない。

共有名義は後でもめる。賃貸経営を引き継ぐ場合のポイント(青色申告などはひきつがないので届け出が必要)。遺産分割までの賃料は相続人でわけることになるなど。

〇共有で取得した場合
 共有名義の場合持ち分割合に応じて収入と経費をわけて申告。どちらかが経営・管理をしていても収入の配分を変えられない。贈与はできるが、収入は別々なので申告すること自体は変わらない。
 共有の事業的規模は建物全体の部屋数で行う。共有者を専従者にすることは基本的にできない。共有者以外の専従者をつくった場合、同一人を他の共有者の専従者にはできない。
 共有者がそれぞれ青色申告の特典をうけることができる。事業的規模ならそれぞれが65万円。少額減価償却資産の特定の30万円未満の判定は、固定資産の金額を持ち分で按分した後の金額でする。

〇消費税の還付をうける場合
 消費税の課税事業者に該当するかは、個人の場合は通常2年前の課税売上高が1000万円超かどうかで判定する。店舗や事務所の賃料や駐車場代は課税売上。住宅用の賃料は非課税売り上げ。

消費税を還付してもらえる場合の例。

〇法人で取得すべきか、個人で取得すべきか
 賃貸物件保有時に赤字になった場合、土地にかかる借入金の利子分を法人は損益通算できるが個人はできない。売却時の違いは分離課税かどうか。個人はマイナスがでても通算できない。相続時は借入金のマイナスを他の財産から控除できるかどうか。個人だとできない。
 不動産の購入後3年以内の会社の株式の評価は、その不動産について相続税評価はつかえず時価評価(こちらのが高い)になる。所得税は給与所得や不動産所得と合算されるので高い税率が課される可能性がある。そのときは法人の方がいいかも。法人を設立すると税理士報酬や社会保険料など税金以外のコストがかかる場合がある。


第2章 成長期
〇賃貸経営を運営するにあたり注意すべき点
 常に現金の手残りを意識する。税金計算上の収入・必要経費と実際の収入・支出は異なる場合がある。キャッシュフロー表を作成することで手残り金がわかる。
 デッドクロスとは、借金をして経営している場合、1年間当たりの元本返済額が減価償却費よりも大きくなる時点をいう。デッドクロスにより税金が増えてキャッシュフローがマイナスになる危険性がある。デッドクロスの時期を把握して対策を準備する。
 個人の場合、不動産所得が赤字になった場合、土地取得にかかる借入金の利息部分の金額は損益通算の対象にならない。土地建物の区分が困難な場合は借入金はまず建物から充てられたものと考える。借入金の返済は当初の土地の取得にかかる部分と建物の取得にかかる部分の割合で充てられるものと考える。

〇保有にかかる税金と節税法
 賃貸収入を得るためにその支出が必要かどうかで経費かどうか判断。判断が難しいものは関連性を示す証拠を提出できるかがポイント。個人事業主で家族以外の従業員がいない場合は福利厚生費を経費にできない。

経費にできるものとできないもの。経費にする際のポイント。親の土地に建物をたてる場合の経費。小規模企業共済と経営セーフティ共済の解説。火災保険の解説。災害の損失。青色申告の減価償却、フリーレントの経理処理。太陽光発電の経理処理解説。

〇自主管理する場合
 家賃の収入計上は、その定められた支払日、1月分の家賃が12月に振り込まれれば、その年の収入。要件を満たすと賃貸期間に対応した収益の計上(期間損益計算)がみとめられる。権利金や礼金は貸し付ける資産の引き渡しを必要とするものは引き渡しのあったひ、必要としないものは契約の効力発生の日に収入になる。
 近年不動産所得がある個人への税務調査や文書照会が増えている。敷金のうち収入計上するべき部分が非常にもれやすいのでよく確認される。ただで親族に居住させている部屋にかかる経費は計上できない。

〇管理会社に委託する場合
 預かった敷金・補償金のうち返還しなくてよい部分は収入に計上。それで支払った修繕費は経費に計上。敷金や保証金から相殺される原状回復工事費用相当額は消費税の課税対象になる。

〇サブリース契約をする場合
 サブリース契約の一番のメリットは賃貸経営の計画が立てやすいこと。トラブルは契約内容の理解不十分から生じる場合が多い。経営者としての意識をもち経営努力は必要。


第3章 成熟期
〇変革が求められる時期に注意すべき点
 一般的に築15年を過ぎたあたりから、賃貸経営の資金繰りは苦しくなる(デッドクロス)キャッシュフローを改善するには、1収入をあげる、2支出を減らす 3税金をおさえるの3つしかない。資金繰りがわるくなっている原因を数字で分析することで対策がみえてくる

〇修繕に関する問題
 リフォームすべきところ、しなくてよいところの色分けをしてみよう。安易を家賃を値下げすることで建物全体の価値が下がってしまう可能性がある。リフォーム以外で空き室の原因がないか探してみる。

修繕費と資産計上の事例解説。耐用年数の解説。

〇借り換えを検討する
 借入金額によっては金利を下げることで利息の総支払額を抑えることはできるが、月々の返済額は抑えられないことがある。返済期間を延ばすと利息の支払い総額は高くなるが、月々の支払を抑えられることがある。借入金の金融機関で返済期間をのばすと条件変更に該当し、今後の融資に影響する可能性がある。
 借り換えによって担保権を設定しなおすため登記費用がかかる。固定金利で借りていた場合一括返済することで違約金がかかる場合がある。借り換えにかかる費用と借り換えた後の効果をシュミレーションして実行の判断をする。

〇法人化する場合
 管理法人・サブリース法人の目安は家賃収入3000万円以上。所有型法人の目安は所得(収入ではない)1000万円以上。所得税対策としての効果がなくても相続税対策で設立した方がよい場合もある。
 法人化の最大のメリットは所得分散と給与所得控除の活用にある。法人にすることで社宅や退職金など個人ではできない節税が利用できることがある。法人は赤字でも住民税の均等割りの課税がある。


第4章 衰退期・第二創業期
〇修繕・建て替え・売却の判断と税金
 建物の寿命はメンテナンスで決まる、法定耐用年数ではない。賃貸経営の終活を始めるには「賃貸経営を本当に残したいのか」を考える。相続対策は相続後にはできない早めに行う方がいい。

建替え、売却、修繕のポイント解説。賃貸経営を続けるのか判断し、売却ならなるべく高く売る。売却すると建物部分は消費税がかかる。

〇相続対策を見据えて生前にやるべきこと
 平成27年以後の相続から基礎控除が圧縮され税率構造が変更された。相続税は原則一括払い。現金がなく土地が多いと相続対策が必要な場合がある。相続はいつ発生するかわからないので早めの準備を。
 賃貸経営をすると建物は3割、土地は2割減額される(借地権割合が70%の場合)空き室期間が長いと評価減が使えないことがある。相続対策よりも何十年と続く賃貸経営の事業計画をしっかりつくるのが大切。
 借金をしても相続税は下がらない。借金をして不動産など評価の低いものにすると相続税がさがることがある。借金をするのは現金を調達する手段。相続対策になるからとむやみに借入金を増やすと後の返済に苦労するだけ。

現金を不動産にすることで価値をさげて相続税を下げるのが基本。借金は関係ない。
保険金の活用方法。贈与の活用方法。相続前のリフォームなど。
基本は現金を減らして評価額の低いものにしておくこと。

〇事業継承を考えた対策
 法人化による相続税対策は相続までの時間をかければかけるほど効果を発揮する。所有型法人の場合には、一時的に相続財産が増える可能性がある(個人の資産を法人に売却して現金がはいるから)。その後は個人の現金などの資産をいかに減らすかという対策が必要。賃貸経営を学ばせるための事業承継対策としての法人化は有効
 相続時精算課税制度は平成27年1月1日以後は、原則60歳以上の直系親族から20歳以上の直系卑属の贈与に拡大された。建物だけを贈与することにより、土地の貸家建付地評価、小規模宅地の減額の特例が適用できず、相続税評価額が上がる可能性がある。負担付贈与にしたくなければ敷金の負担を引き継がせないように敷金相当額の金銭を一緒に贈与する。


第5章 今後の賃貸経営の流れ
〇人口減少が大家さんに与える影響
 空き家率は年々増加して、平成25年時点で全国平均は13.5%。賃貸住宅がまったく必要なくなることはない。差別化をして選ばれる部屋作りをめざそう。今までの既成概念をすてて新しいことにチャレンジし、賃貸経営を楽しんでいけば賃貸経営に未来はある。

〇高齢化社会が大家さんに与える影響
 認知症の高齢者が増えると予想される。成年後見が開始されると相続対策の生前贈与や土地活用などは原則できない。認知症対策には任意後見制度、家族信託、生前贈与、法人化がある。

〇マイナンバー制度が大家さんに与える影響
 マイナンバー制度は国民に番号を与え、社会保障、税、災害対策などの分野で効率的に情報管理するもの。当面は社会保障・税・災害対策の3つの分野での利用に限定される。今後は情報管理が徹底されるのでむやみにマイナンバーを教えないこと。
 平成28年分の確定申告からマイナンバーの記載が求められる。支払調書に大家さんのマイナンバーを記載する場合があるので不動産会社などへマイナンバーの通知をしなければならない。マイナンバーを記載しなくても罰則はないが税務調査に発展する可能性が考えられる。
 平成30年から預金口座にもマイナンバーが導入される予定。預金以外には医療・パスポート・戸籍事務に拡大していくことが検討されている。マイナンバーには正攻法での所得税対策、相続税対策をするしかない。


大家さん必携! ! ライフサイクルから考える 賃貸経営の税務Q&A

大家さん必携! ! ライフサイクルから考える 賃貸経営の税務Q&A

  • 作者: 渡邊 浩滋
  • 出版社/メーカー: 清文社
  • 発売日: 2016/03/03
  • メディア: 単行本



タグ:渡邊 浩滋
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ちょっと待った!! 大家さん! 不動産投資では賢い節税がたんまりお金を残す秘訣です!! ~今すぐ知っておきたい《アパマン経営の税金》のツボ59~ [ビジネス]

2013年の本なので、解説されている制度ですでに終わっているものもあるが、収益不動産投資専門の税理士さんなので、銀行融資、購入、節税、売却、リフォームなどかなり詳しく解説されていた。また、税率は変更があることがあるので、最新の情報を確認してね。

税金の知識がないと大家さんは損をする。税理士は正しい申告をしてくれるのが基本なので大家さんが正しい税務知識をもつことが必要。知らない人が損をするのが税金の世界。

第1章 節税戦略
やたらと節税して赤字経営にしていると銀行からの融資がおりにくくなる。目標で節税戦略はちがってくる。

節税のポイント
・必要経費にならない支出の削減
・必要経費にできるものをしっかり計上
・お金がでていかない必要経費をつくる

お金がでていかない必要経費
・家族に給与を払って必要経費として計上
・青色申告をして特別控除をうける
・青色申告をして赤字をくりこす

税金の額は 収入ー必要経費 = 所得 所得から所得控除をひいた「課税所得」に税率をかけて税金がきまる。所得控除は、住宅ローン控除など。

所得は10種類あってほかの種類の所得と合計できる総合課税方式と、単体で税率がきまる分離課税方式がある
サラリーマン大家さんでは給与所得と不動産所得は両方総合課税なので合計できる。

不動産購入から売却までに発生する税金
・購入するとき・一度だけ納税
 印紙税
 登録免許税
 不動産取得税
 固定資産税清算金

不動産を経営している間
・毎年納税
 固定資産税
・所得があれば納税
 <個人>所得税 住民税 個人事業税
 <法人>法人税 法人住民税 法人事業税

手放すとき
・譲渡益が出た場合に納税
 <個人>所得税 住民税
 <法人>法人税 法人住民税 法人事業税
・贈与・相続したときに納税
 贈与税
 相続税

☆購入時の税金
印紙税は1通を原本、もう1通をコピーで契約書を作成すると原本だけですむ、売主と交渉する。そのときは原本をどちらがもつか契約書に書いて、そのとおり保管する。契約書の内容が履行されなかったとき、解除にも印紙が必要になる。

登録免許税は国税。
売買契約を交わしたら「所有者移転登記」を行う。土地、建物それぞれの固定資産税評価額の2%。
借り入れで不動産を購入する場合「抵当権の設定登記」を行う。借入金の0.4%

不動産取得税は都道府県税
 契約と登記が完了すると納税通知書が送られてくる。目安は取得後3~6か月、納付は1か月以内が多い。土地は固定資産税評価額の半分の3%、建物は固定資産税評価額の3%

固定資産税・都市計画税(市町村税)
 固都税(ことぜい)ともよばれる。その年の1月1日に不動産を所有している人が払うが、持ち主が変わった場合交渉で費用負担を調整する。関東は1月1日方式、関西は4月1日方式が慣例だが、はっきりと決まってはいない。評価額は4月1日発表なので1~3月に売買契約するときは前年の評価額を使い、再計算しないことを取り決める。

☆節税のメインは不動産経営時に納める税金。

個人の場合は黒字がでたら所得税・住民税・個人事業税を納める。サラリーマンは給与所得と合計する。住民税=所得割+均等割り。所得割は所得税に税率をかけるが均等割りは定額で課税される。個人事業税は不動産賃貸業がある程度の規模になったらかかる。東京都ならアパート・マンションで10室以上、戸建てで10棟以上。

所得税の所得控除の基礎控除は38万円、住民税の所得割の基礎控除は33万円、個人事業税の事業主控除は290万円。ただし開業日からの按分となるので最初の年は満額使えない場合がある。個人事業税の納付は8月31日と11月30日。納付書が送られてくる。

法人の場合は不動産収入から経費を引いた不動産所得に法人税がかかる。法人住民税は法人税に応じた課税と均等割りがある。均等割りは利益がでていなくても払う。規模に関係なく法人事業税を払う。

100%居住用に貸し付けている場合は消費税はかからない。
事務所・店舗・駐車場として貸していると消費税がかかる。

☆不動産売却時の税金
物件購入時とほぼ同じ諸経費(印紙・登録免許税・司法書士手数料・仲介手数料)がかかる。
個人なら所得税・住民税、法人なら法人税・法人住民税。法人の場合は法人としての活動すべての損益でみるので物件売却で利益がでても税金は払わないことがある。

贈与の場合評価額-110万円に応じて譲与税、相続の場合は他の財産も含めての評価額から相続人分の基礎控除をひいて相続税がかかる。ちなみに不動産が節税対策になるというのは現金などより評価額が下がるから。特に賃貸にしていると評価額が下がる。

贈与や相続で所有権が移転した場合登記費用が必要。
贈与なら不動産取得税が必要。

大家さんのつけるべき帳簿。会計ソフトで作ろう
・現金出納帳
・預金出納長
・経費帳
・仕訳帳
・総勘定元帳

これも用意したほうがいい
・家賃入金管理台帳
・固定資産税台帳

勘定科目は決まりはないが、一度きめたら同じ勘定科目を使うこと。
不動産経営で使用する勘定項目(個人事業主用)の例があった。


第2章 必要経費
所得=収入ー必要経費
必要経費が増えれば税金はへるが、減らしすぎて融資が受けれない!ってことがないように。

必要経費になるもの
・租税公課のなかで必要経費になるのは、印紙税・登録免許税・不動産取得税・固定資産税・都市計画税・個人事業税・法人事業税・利子税・自動車税。ならないのもは、所得税・住民税・法人税・法人住民税・延滞税・加算税

・借入金の返済は「支払い利息」が経費。借り入れが開業前の場合開業前の支払い利息は建物の取得価額に含めて減価償却。開業後からは支払い利息を経費にする。

・入居者へのプレゼント(金券は税務調査される可能性あり)受領証や明細表をきちんと管理すること。また在庫が資産とされることがある。

・店子付けのために支払った「仲介手数料」と「広告料」
・管理会社に支払う「管理費」
・エレベータの点検保守や消防の点検保守など「建物を維持するための費用」
領収書をきちんと保管

・法人の場合は手付金や違約金も必要経費

・書籍やセミナーの費用は不動産賃貸収入に関係あるかないかで認められないものがある。宅地建物取引主任の資格取得など、個人帰属するスキルは認められない。
空き家対策や不動産投資セミナーなどは研修費として経費にできる、懇親会や二次会参加費も経費
法人の場合経営者としてのセミナーも対象となるので範囲は広いが、やはり個人のスキルになるものはダメ。

・コンサルティング料も経費、銀行引き落としのときの契約書や会則をとっておくとよい。

・所有物件の確認や新規購入物件の現地確認の移動費などの交通費・宿泊費は経費。セミナーのための宿泊・交通費も経費。領収書のない場合は「旅費精算書」をつくっておく。

・車の場合高速代、駐車場代は経費、ガソリン代は合理的基準で按分する。法人名義の車ならすべて経費にできる。

・従業員の50%以上が参加した旅行は慰安旅行で「福利厚生費」で経費。証拠の写真などを残しておく。国内4泊、一人1泊2~3万円くらいまでなら認められやすい。旅行にいかなかった従業員に相当額を払うと給与になるので注意。

・マイカーの費用はガソリン・オイル代から車検費用や税金まで不動産賃貸業では認められやすいが、按分処理が必要なのと、勘定科目で一貫してつけること。交通違反の罰金は経費にならないがレッカー移動代やレッカー後の保管代金は経費にできる。

・交際費はだれと食べたかがポイント領収書に誰と食べたか記入するとよい。
法人の交際費は資本金に応じて上限がきめられている。

・不動産購入前の請求書・納品書・領収書はとっておいて開業費にできる。感熱紙は劣化するので半分におりまげ太陽の光にあてないなど注意が必要。領収書がないネット注文などの場合は支払いの証拠書類をプリントアウト。クレジット明細とクレジットカードの領収書を補完。代引きの領収書、銀行振り込みでネットバンクなら振込画面を印刷。引き落とし会費などは会則などを保管。

・開業前の活動で経費にできるのは2~3年前までくらい。その間の自宅の光熱費や固定電話代・インターネット代金・携帯電話代金なども按分すれば経費にできる。セミナーや不動産会社への手土産なども。

・税務庁舎で否認されにくい必要経費の按分は事業用を10~20%にすること。


第3章 法人化
個人の課税所得が2600万円以上だと税率が法人の実効税率33%くらいをこえてくるので法人化の目安になる。法人化にはメリットだけでなくデメリットもあるので個人によって判断が違う。

☆法人化のメリット
・経費が認められる範囲が広い。典型が生命保険。ただし生命保険を必要経費とするとき代表取締より先に奥さんにかけたりすると節税目的だと税務署に解釈されることがあるので注意。

・役員報酬を使った節税ができる。退職金も必要経費にできる。役員報酬は期の途中で変更すると変更分は損金にできないので注意。利益がでそうなとき役員報酬で調整できないようにするため。大規模修繕などで減らすのは認められることもある。あまりに高額は認められないこともある。また予定より利益が少なく役員報酬が払えないと未払いということになるので注意。

・小規模企業共済で掛け金を全額所得控除できる。資金不足のときは借り入れもできる。事業をやめたときや満65歳になったときに退職金として受け取れる。

・旅費規程をしっかり決めると日当の全額が必要経費になる。個人では実費。顧問税理士に頼んで作ってもらおう。日当に法律の規定はない、社長なら2~3万円、役員1~2万円、いっぱん従業員5000~1万円が相場。出張旅費精算所をつくる義務がる。税務調査がはいると必ずカラ出張がしらべられるので領収書はきちんと残す。

・売却損がでた場合、個人は分離課税で損して終わりだが、法人は損金に計上して利益を減らせる。自宅を社宅にすると賃料の50%程度が会社の経費になる。

☆法人化のデメリット
・損金不算入。交際費の10%を経費とみとめないなど。法人は個人と違い行った行為すべてを帳簿に漬ける必要があるので、最悪利益がなくても交際費の10%が残って利益があるということになる。

・会社の維持には費用と手間がかかる。法人住民税の均等割りは利益がでていなくても払う。定義の認証や法務局への登記など手間がかかる、依頼すると費用がかかる。登録免許税は最低15万円。屋号や事業目的変更でも登録が必要。事業をやめるときは清算が必要。税務署の目が厳しくなる。

・法人の確定申告の期間は個人より2週間短い。税務処理がややこしく作業も大変

・法人の方が融資ハードルがあがる。利益のない法人には銀行はお金を貸さない(個人なら個人の所得がある)

法人でメリットがあるのは事業規模が大きくなってから。個人の事業の所得が2600万円を超えた翌年か銀行からの融資があるという内諾ができてから。税理士と計画をたてよう。

☆個人から法人への物件移転は要注意。税務署の注目ポイントだから。
個人の物件を法人に移すとき、売却物件となり手数料がかかる。だいたい物件価格の5%
不当に安いのは追徴課税される可能性があるので、必ず時価で売買する。

不動産の価格は国土交通省の「地価公示価格」、都道府県の「地価調査価格」、相続税のため国税庁がだす「相続路線価」。市町村が固定資産税のために算定する「固定資産税評価額」がある。
固定資産税評価額は時価の70%、路線価は80%相当で計算されている。
時価の判断として使われる「不動産鑑定評価」は「原価法」「収益還元法」「取引事例非核法」を使って判定する。国家資格「不動産鑑定士」が行う。
親戚や同族間の売買では時価を使う。

法人へ売却した物件は最低6か月、できれば1年売却を控える。第三者へ売却した価格が時価だと指摘され、追徴課税の可能性があるから。

銀行が抵当権を設定していても所有者が変わるだけなら勝手にできるが、後日第三者に売却するとき所有権で違うと銀行でわかると権利関係が確認できず抵当権解除ができない場合があるので、銀行にはきちんと伝える。そのとき法人に融資しない銀行では承諾してもらえないことがある。

法人のお金を勝手に使うと業務上横領。法人との間でお金を貸し借りすることはできる。個人から法人に貸し付ける場合金利はあってもなくてもよい。金利をとるときは同族間取引で設定に注意が必要。やりとりは銀行経由で振り込みの証拠をのこす。法人から個人へ貸し付ける場合は金利を必ずとり返済期限もきめる。そうでないと賞与とみなされてしまう。

管理会社方式
 法人に管理委託して節税する。法人に管理の実態がないと寄付とみなされる。管理料が明らかに高額なら否認される。認められるのはせいぜい家賃の10%。
 サブリース方式は物件全部を法人に貸し付け、法人が入居者にまた貸しする。空き室リスクは法人がおうのでサブリースの相場は家賃の20%前後になる。相場より明らかに安い金額で一括貸しをすると否認されるので注意。


第4章 減価償却
減価償却・・・すでに払ったお金を一括ではなく数年間にわたって順次経費化していくもの。何年で償却するかは耐用年数として定められている。普通車6年など。取得評価額が10万円未満だと一括経費。植物や動物の耐用年数もある。

償却方法には定額法と定率法がある。
個人事業は償却が強制され原則定額法。
法人は償却は任意で原則として定率法。
建物の償却方法は必ず定額法。月数按分

土地建物の按分
土地には消費税がかからない。売買契約書に全体の値段しかない場合は消費税から建物部分も求められる。
固定資産税評価証明書の土地・建物の金額の比率をあてはめる。
建物比率を高くすると償却費が大きくなり節税になる、しかし売却するとき利益が大きくなって譲渡所得が多くなる。

中古品の法定耐用年数を上手に利用すると節税になる。4年落ちのベンツが一番節税になる理由がこれ。

建物は躯体部分と付帯設備にわけられ付帯設備の減価償却は15年。個人事業者は届け出れば定率法で付帯設備が償却できる。注意点、中古だと簡単にわけられない。不動産鑑定士などきっちりした根拠がない按分は危険。

特別償却、割増償却はお得なので上手に使う。使えるのは租税特別措置法できめられている。変わることがあるので確認する。特別償却に太陽光発電の事例がのっていたがすでに終わっている。割増償却に高齢者向け優良住宅がのっていたが終わっている。

少額減価償却資産制度で30万が一括経費。すでに終わっている。

一括償却資産制度で10万円以上の資産を必要経費。累計150万円以上の償却資産になったときは固定資産税が免除されなくなるので使うとよい。

リフォームで節税。
リフォームで現状回復すると修繕費として一度に経費に。
使用期間を延長したり、価値を増加させるようなリフォームは資本的支出として減価償却。
基準は20万円以下なら修繕費と判断。それ以上は内容で判断。

今あるものが壊れたからもっといいものにした場合。同等のもので用意した分の見積り額を修繕費、それ以上を資産計上する方法もある。

一括でデザイン料は払った場合、それぞれの工事にふりわけて合計をだす。

新築マンションの定期修繕は過去の実績がないので他社の実績が参考になる。
説明資料が必要。修理・改良の記録は税務調査用にとっておく。

用途変更は資本的支出になるのが一般的。

法定耐用年数を経過していても補修費用を修繕費にするのは問題ないし、資本的支出も問題ない。

機能復旧保証金(電波障害・日照妨害・騒音)で資産を取得した場合、支出を修繕費、支払われt保証金を収入として処理する。

建物取得価格の10%を超える支出については資本的支出か修繕費か判定する必要がある。

区分所有の修繕積立金は必要経費になる。


第5章 確定申告
年間20万円以上の不動産所得がある場合は確定申告は必須。ばれると何年たっていてもつ超課税され、延滞税をとられる。確定申告していないと次の融資はおりない。

白色申告でも記帳の義務はあり、推計課税といって実際の利益と無関係に課税される可能性がある。

青色申告のメリット
・青色申告特別控除が使える。事業的規模で複式簿記を使うと65万円。それ以外は10万円。
・家族に給与を支払うことができる。青色事業者専従者給与。
・赤字を3年間繰り越せる(法人は9年間)
・減価償却制度の各種特例が使える

青色申告は事前申請が必要。個人事業主は開業から2か月以内。法人は設立後3か月以内。
事業的規模は5棟10室。あとでばれると指摘され、延滞税や追徴課税の可能性ある。
個人に所得税がかからない103万円以内で家族に給与をだすと、不動産の利益が減り、家計に入るお金が増える。ただし共有名義にはいっている妻を従業員にするのは無理がある。

青色事業専従者の条件
・事業主と生計を一にしていること
・その年の12月31日時点で15歳以上であること
・その年を通じて6か月超、その仕事にもっぱら従事していること。
社会通念上相当対価なら問題ない。過大な給与と判断されると必要経費と認められず贈与とみなされる。
毎月定額にする。

確定申告までの流れ
・決算修正手続き
 前年12カ月の会計帳簿を見直し、間違った処理を修整
 建物や付帯設備の資産の減価償却を計算して計上
 前回申告時の前受賃料があれば当年分の収入として正しく計上されるよう修整
 未賃料収入があれば、当年分の収入として計上さえるように修整
 前払いの火災保険料。地震保険料を当年分相当額を計上
 12月請求である必要経費を計上。当年の必要経費にならないものを除外

必要書類解説。
賃借対照表は、気温事業の資産と負債を見直す。
 資産 事業用現金 事業用通帳 収益物件の土地および建物その他固定資産、前払いの保険料、未収の賃貸料
 負債 前受の賃貸料、借入金、預かり敷金

確定申告の期限に間に合わないと加算税がかかる可能性がある。

書類をだして終わりではない。間違いに気が付いたらなるべく早く修整する。
もし、税金が少なかった裸、税務署の指摘をうけてからだと過少申告加算税がかかる。事実を隠したり、所得を隠すと加えて重加算税がかかる。起訴される可能性がある。更に延滞税がかかる。
税金を納めすぎていたら「更正の請求」をして申告から5年以内なら返してもらえる。

納税額が大きい人は金融機関の「納税準備預金」を利用してためておくと利率も高く、非課税でおすすめ、ただし引き出しは原則納税のときのみ。


第6章 税務調査
大家さんに関係する税務署の部署は個人課税部門、法人課税部門、資産課税部門、調査は強制ではないが暗黙の了解で義務のようなもの。
調査は3年に一度といわれているがケースバイケース。大家業は調査に入られにくいといわれている。過去の実績などからリスアップされる可能性がある。大家さんに調査が入るのは収益物件を法人と個人の間で売買しているのが複数ある場合。
基本的に総勘定元帳と仕訳帳を調べられる。大家業では修繕費をチェックされて資本的支出がないかみられる。管理費や管理会社との契約書も見られる。売買契約書の提示と印紙、歳建物の按分方法を確認される。按分につっこまれたら「相対取引」を主張。
税務調査は机上で行われrの出、怪しいと思われることがあれば青色決算書のコメント欄に本年中における特殊事情として書いておくとよい。いつもより修繕費が多い理由など。嘘はいけない。
税理士と顧問契約していれば書面添付制度がつかえる。これがあると調査はまず税理士のところにヒアリングに行く。あくまで正確な記帳と税理士との信頼関係によるもの。
調査官にわからないことや不明なことを聞かれたら余計なことは言わないのが鉄則。「きちんと思い出します。後で回答していいですか」としのぎ、顧問税理士と打ち合わせしてから答える。ただし「税理士さんにすべてまかせています」という対応は心証を悪くするのでさけたほうがいい。逆に調査官の態度が横柄だったり強引なら抗議してもよい。


第7章 消費税
駐車場やテナントがあるとかかる。居住用には消費税はかからない。
課税売上が1000万円を超えると赤字・黒字関係なく消費税の課税事業者になり、「消費税課税事業者届出書」をだす。実際の申告・納税は2年後。申告期限は法人は事業年度終了の2か月以内。個人はその年の3月31日まで。

申告方法は原則課税(賃貸収入にかかる消費税ー賃貸業における経費にかかった消費税を納める)と、簡易課税(賃貸収入にかかる消費税×50%を納税)どちらかを選ぶ。簡易課税を選べるのは2年前の課税売上高5000万円以下。

原則課税の場合は消費税のかかる経費と掛からない経費にわけて計算する必要がある。
消費税のかかる経費、水道光熱費、修繕費、広告費、支払い手数料
消費税のかからない経費 租税公課、減価償却費、給与、借入金の支払い利息、保険料

消費税還付
 仕入れた商品が売れ残った場合など支払った消費税の分が返してもらえる制度。大家さんでの例をあげて解説していたが、税理士でも慎重にやらないと間違うことろなので顧問税理士と相談して慎重に行うべきとしていた。

平成26年の消費税8%アップの話題。消費税の納税義務が2年前の判定+その年の前半6か月の課税売上1000万円を超えたかで判定されるようになった。大家さんの場合は売却する時期に注意する必要がある。給与の支給額が1000万円を超えている場合も納税義務者となる。
建設の契約の日付と引き渡し日によって消費税がかわるので注意。





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