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不動産投資の超基本 [ビジネス]

著者は東大経済学部卒後、第一勧業銀行→ボストンコンサルティンググループ→三井不動産→J-REITの日本コマーシャル不動産投資信託上場→オラガ総研株式会社代表取締役、という経歴。
本当のプロの視点から不動産を選ぶ方法を伝授する本。不動産の見分け方。本質の見抜き方を23の角度で具体的にやさしく解説。2016年9月の本。

株式や為替取引は比較的「短期」売買で利益が得られる
不動産投資は5年から10年のタームで見据えた「中長期の投資」


第1章 建物
建物は不動産の顔。

〇築浅VS築古
 不動産のプロの間では「マンションを買うなら築7・8年物を買え」という。新築は見た目はきれいでもまだマンションとしては稼働していないので不具合がわからない。建物であればなんらかの不具合があるのがあたりまえ。7・8年ならある程度問題が明らかになったうえで建物や設備が老朽化していないので安定している。
 プロはゼネコンの名前でなく現場監督と施工の時代背景で選ぶ。建設ラッシュの時期の建物はよい現場監督でも現場がおおすぎていい加減に施工が行われることがある。
 築古とは、戸建てでおおむね築25年から30年以上経過したもの。マンションで40年以上のものをイメージする。一番の懸念は建物の安全性。プロは目利きで蘇らせるのを醍醐味と感じる。目安は1981年(昭和56年)の新耐震基準前があとかで大分違う。旧耐震基準でも、地盤・揺れ方・構造で損傷・倒壊・崩壊リスクは違う。建物の耐震性や設備を調査する会社に依頼して納得いくまで調査して購入すれば問題ない。構造躯体さえ頑丈ならあとは自由にリノベーションすることで建物は輝きだす。
 築古は評価が低いので(ほぼ土地価格)ねらい目となる。建物を解体するときは産廃の規制強化でコスト上昇しているので注意。40から50坪程度の通常戸建てで150万円程度かかる。売主で解体してもらえないときは、その分を値引き交渉を。耐震補強には補助金をだす自治体が多いので積極的に利用。

〇豪華VS質素
 建物の豪華さに幻惑されてはいけない。プロからみたらコストの山。不動産は芸術作品ではない、シンプルで使い勝手がよく、誰にでも貸せてメンテナンスがしやすいのが一番。

〇大手施工VS中小施工
 設計と施工は違う方がチェック機能が働く。安さから設計・施工が同じ場合が多い。マンション施工はあまり儲からないから大手ゼネコンはやりたがらない。大手なら補償金を払っても倒産しない(横浜のマンション)というメリットはあるが、あとで補償がでてもプラスではない。資産価値もおちる。かといって中小では倒産リスクがあるので(姉歯事件)、中堅以下のゼネコンで公共工事の減少でマンション建設をやっているところなどが現場監督も優秀で、下請けのコントロールもうまい。

〇リノベ済みVSリノベ要
 リノベーション後ではどんな工事をしたのか見れない。リノベーション物件なら自分でやってこそ意味がある。リノベーションが高いといわれたのは、以前は町場の工務店が「ついで」にやっていたから、大手も参入しリノベーションが高いは都市伝説となっている。

〇一棟VS区分所有
 一棟まるごとなら他人の都合や不幸に左右されない。ただし、必要な管理を怠ると住民やテナントの質がおちるので注意。一棟の価値を育てるつもりで取り組む。
 区分マンションは建物の部分の価格がほとんどなうえ、最初は同じような入居者がいてもそのうち高齢化し、住民も一枚岩でなくなる。区分所有は他人の人生を背負った資産である。マンションは賃貸資産としては快適だが、これから少子化で相続したマンションなどが大量に賃貸に出され、家賃下落がおこるかも。こういった安いマンションを住み倒すもの不動産使いこなし術かも。

〇高層VS中低層
 プロはマンション高層階は買わない。狙うのは3・4回。高層階ではエレベーター時間の分駅まで遠い。風つよいと揺れを感じる。柱が多く部屋のレイアウトに制約ができてしまう。特に最上階は暑い・寒い、ゲリラ豪雨の雨音、水漏れの被害、吸水ポンプやエレベータの巻き上げ音などの心配も。高層階がよければ最上階は避ける。見晴らしはほとんどかわらない。
 3・4階なら災害時に水をもって会談であがれる高さ。2階までだと防犯が心配だが3・4階なら窓を開け放せる。南北か東西に窓があると夏も快適。二戸1基エレベータなども窓を開け放ちやすい。蚊などの虫は上昇気流で3・4階より上にいってしまう。

第2章 土地・立地
 プロは土地の顔をみる。不動産選びは土地をしっかり見極めることが判断のほとんどを占める。土地は二つとして同じものは存在しない。同じ道に面していても、間口・奥行き・建物・視認性などが違う。

〇湾岸VS山の手
 東京の湾岸エリアにタワーマンションが開発されたのは小泉純一郎首相のとき公共工事をとりやめ都心部の容積率を緩和して再開発をバックアップしたため、そして円高で湾岸部の工業地帯がアジア諸国に工場をうつして土地もあいたから。戸数を確保してマンション内にコンビニやクリーニング店をつくり一つの街として演出するのに成功。都心で働く共働き世帯が保育所などの充実もあって購入するようになった。
 昔から続く山の手住宅地は武家屋敷の跡地。地歴をみればわかる。こういった土地は地盤がよく災害に強い。プロとしては山の手の安心感を推したい。
 街が発展する条件は老若男女が適度に入り混じまり一定限度でいれかわる新陳代謝があるおと。現代では一定限度の外国人でもいいかもしれない。

〇ブランド住宅地VS新興住宅地
 ブランド住宅地は意外と狭いエリア、田園調布でも何丁目かで全然違う。金持ちカテゴリーはいつでも金持ちときなり金持ちがいて、ステイタスの高いエリアは常に移り住もうとする人がいる。ビンテージマンションも同じ。
 川崎の武蔵小杉など新興住宅街のウリは交通利便性。これがブランド住宅街になるかは30年40年先。必要なのは街のソフトウェア。
 ブランド住宅地=価格上昇ではない。投資マーケットとしてはブランドではなく3年後を比較して「上がり」とみれば投資する。
 プロは流行をおわず老舗ブランドを買う。

〇駅前マンションVS郊外戸建て住宅
 駅前の高層マンションが大人気。駅前といっても本当に駅から徒歩2・3分のもの。購買層は資産分散をはかる中国人外国人投資家、相続対策の個人富裕層。中低層は定年退職したシニア層。定年したシニア層が駅前に越すというのは地方がやりたがっているコンパクトシティ。それが勝手におきている。社会の価値観の変化をあらわすもの。
 郊外戸建ては価格の下落が止まらず売却できればラッキー状態。郊外戸建てに明日はない。郊外マンションが建築費上昇で値段が2割ほどあがったのと、東京都心部のタワーマンションブームで人気がない。駅前にあつまる人口移動が郊外マンションの空き家を増やしスラム化が予想される。最後に残るのは駅前の不動産だけ。地方都市ではその都市を支える産業がどのエリアに立地するかがファクター。

〇大都市VS地方
 首都圏の高齢化はこれから本番。これから首都圏も住みやすい快適な都市ではなくなってくる。地方都市は高齢化の問題を通り越し、新たな価値軸をつくり輝きを取り戻すかもしれない。これからの不動産は「人」を奪い合う時代になる。プロは首都圏だけでなく地方の可能性もみるべき

〇通り沿いVS路地裏
 大通り沿いがいいとは限らないのが不動産の面白いところ。物販・オフィス・大型施設などは通り沿いがよい。ただし通りのどちら側かで大きく違うこともある。例・昭和通り。路地裏がいいのは住宅・サラ金・クリニック・出会い系喫茶・アダルト系のお店・ラブホテル。あるいは目的がはっきりしているお店、塾や教室、美容院・ビジネスモデル。路地裏は雰囲気のとのマッチングが大切なので最終的には現地で確認することが絶対必要。路地裏の変形値は安いのでホテルなどを建てるにはねらい目。


第3章 投資としての自宅
 日本人は不動産が好き。しかし自宅には儲かるという視点はいらないのでは?投資として不動産を選ぶことと自身の住む自宅として不動産を選ぶ判断は大きな違いがある。

〇買いVS借り
 不動産は投資理論を離れた瞬間「ドタ勘」の世界。欲しかったから買ったで満足して住み続けている人も多い。実は著者もその一人。毎日1時間半もかけて都心に通っている。子どもが成長するなどの人生のタイミングもある。ただし資金はリスクを勘案しえも大丈夫といえる範囲で行うこと。
 不動産投資としてみるなら、物件調査を徹底的に行う。土地の瑕疵土壌汚染、地歴、建物の耐震基準や修繕歴、管理状態、テナント信用調査(反社会的勢力かなど)。物件価格の90%とか100%で自宅に投資するのはかなりリスキーな投資。普通こういった投資は短期で売り抜けるキャピタルゲイン狙いで行うもの。
 自宅は基本的には「何も収益を生み出さない」と考えるべき。住む道具なら、人生の一時点で一番適合した住宅に住むのがよい。今後は買うより借りる流れが加速する。
 住宅は820万戸の空き家があるなか、毎年100万戸供給されている。選ぶ側からしたらよりどりみどり。
 住宅保有をすすめる論理は時間軸を無視して単純に住宅ローンの返済額と家賃を比較しているので変化のリスクが盛り込まれていない。すべてが平穏無事であるという前提がないと自宅購入は給料債権だけを担保にした危ないゲーム。30年後の自宅の劣化を想像していない。賃貸の方がリスク耐性が高い。購入は老後をすごすところだけでよいのでは。

〇戸建てVSマンション
 マンションという形態の住宅が登場して60年。中古マーケットが存在している。マンションの価値は総額ではなく、坪単価でみるとよい。一戸建ては評価すべきは土地。
 時間軸の概念で不動産を眺めると朽ち果てる建物にウエイトを置いたマンションよりも、朽ち果てることのない土地にウエイトを置く戸建てが資産価値を維持・向上するにはよい不動産。マンションは中古流通マーケットがしっかり形成されていて換金しやすいが中長期的な投資としては向いていない不動産。
 マンションは建物で、一戸建ては土地でみるのがプロ。

〇新築VS中古
 新築住宅は建設コストに30%増しで間接費が上乗せしてある。建物が完成する前に売る「青田売り」は住宅が少ない時代のもの+デベロッパーの都合。そのために工期はプレッシャーがかかって、くい打ちデータ偽造などの問題を生んだかも。新築はリスクの塊。どんな不具合があるかわからない。今後は完成売りが主体になってもいいのでは。
 中古の胡散臭さは、仲介会社が手数料をとる仕組み。売れたら金額の一定%をうけとるので、値引き交渉などは熱心にやってくれないし、自分で売り買いの手数料をとりたがって物件をすすめてくる。戸建ては修繕記録もないし、定められたチェックもないので選ぶのが難しい。
 これら胡散臭さを和らげようとする動きがでている。ポイントなどで評価する動きが広まれば売るときも「なるべく安めに売ろう」とする仲介業者を見抜くことができるかも。
 不要な間接経費がない中古住宅はお買い得、じっくり選んで、お隣さんが変態だったというリスクを回避しよう。


第4章 お金を増やすなら
 いつまでにどのくらい増やしたいか言えない人が多い。不動産は運用・売却でお金になるが、まず購入しないといけない。売り上げだけでなく出費を減らす(節税など)もお金を増やす手段。

〇短期VS中長期
 不動産投資は時間軸をどこに置くかが非常に大切。いつまでのどのくらいの収益を得るのかで不動産の選び方は変わってくる。
 住宅ローンの金利が低いことは長期金利の金利が低いことで、日本が将来にわたってあまり成長しないことを物語っているともいえる。投資としての金利の見方。
 短期で増やすには流動性がカギ。
 中長期(3~5年)では土地の見極め。建物は現状がある程度しっかりしていればよい。
 10年だと劣化するので現状の建物に惑わされないこと。
 プロは投資の入り口と出口をつねに考えながら、期間中にかかる金利を計算して投資を行う。不動産選びはすごろくのように初めと終わりがあるゲーム。

〇売却狙いVS運用益狙い
 不動産は短期で利益を狙う狩猟系の「売却狙い」と中長期で着実に利益を享受する農耕系の「運用益狙い」があり、まったくキャラクターが違う投資。長く行きたければ農耕系をめざすべき。
 不動産では最初に先祖伝来の土地がある地主が圧倒的に優位。ただしその不動産にほとんど価値がなければ、いい不動産を安く仕入れた人の勝ち。どこで稼ぐかしっかり見定めて行動をおこすこと。
 狩猟系では出口を見誤ると転ぶ。
 大手の不動産会社は農耕系が多い。じっくり育てて果実をとる。

〇借金買いVS自己資買い
 借入金で不動産投資を行うと高い利回りで運用できる(レバレッジ)。しかし物件価格のその後の動向では地獄への道先案内人になる。(物件価格が急落しても借入金元本は下がりゆく物件価格のお供はしてくれないから)。借入金で不動産投資を行うのであれば「出口」で必ず簿価(購入価格ではない)よりも高い価格で売却できるストーリーでなければならない。
 不動産投資のために自己資金は60%くらい必要。5年後でも十分売却できる可能性が高い物件を選ぶことと、物件価格が下落する最悪の場合をシュミレーションしてローンを組むことが大切。長期で物件を所有できる人は長い時間軸の中で運用して稼ぐことができるが、時間軸に余裕のない普通の投資家は借入金の割合は極力おさえないと出口までの最終利回りで儲けることはできない。
 住宅ローンは悪魔のささやきに思える。借入金を90-100%もつので。特に新築は割高なので、オーバーローンになる可能性が高い。住宅ローンでも自己資金は40%は欲しい。

〇高利回りVS低利回り
 利回りが高いほど投資のリスクは高くなるのは投資の構造。価格と利回りはトレードオフにある。リスクがあらわれなければ高い利回りがはいる。利回りが高いならある程度の期間をおくことで投資のリスクを減退させることができる。 低利回りなら売却(出口)で大きな利益をとるのを狙う。しかしあまりに利回りが下がれば投資に対するリスクが高くなる。
 物件の利回りと借入金の金利、借入割合を見定め、どこで売却 OR 運用 で儲けるのか見定めて投資するのがポイント。

第5章 節税対策
 不動産は実際の購入価格より低い財産評価をうけるので相続の際節税になるといわれる。また不動産から得られる収入からさまざまな費用を経費にすることで収入を小さくできる。

〇相続対策 「する」VS「しない」
 不動産が相続対策に使われるのは購入価格より評価価格が低いから。相続税は重税化の方向。マンションは建物が減価償却されて評価額がさがるのでより節税になる。借入金は財産評価から控除できるので節税になる。
 不動産は相続さえすればいいというものでなく、そのあとの運用が問題。相続不動産で悩みをかかえることも多い。本当に相続資産が助けとなる不動産の買い方や持ち方を実践してもらいたい。

〇アパート一棟VS高級マンション
 アパート投資、タワーマンション投資は節税ばかりに目を奪われるとのちのち売却できないなどのしっぺ返しが、大切なのは物件の流動性。
 あまりに広まった相続対策は封じ手ができて、実際には機能しないリスクもある。
 節税をすすめる税理士や業者、金融機関はあなたの将来なんかきにせず、今儲ければ仕事はおわり。悪徳業者にだまされないこと。

〇所得圧縮VS評価圧縮
 借入金や不動産の維持経費を大きく費用計上することで不動産所得を赤字にする節税策のポイントは、出口価格が値上がりすることが前提。不動産と節税は自身のライフステージと密接に関係してくる。節税対策に求められるのは一族としての将来にわたってのグランドデザイン。

第6章 資産運用の理屈
 不動産は「放っておけば勝手にテナントが入って賃料を払ってくれて儲かる」ものではない。テナント交代、家賃滞納、修繕、税金、トラブルや夜逃げなど手間がかかる。ライフスタイルや状況で管理方法を使い分けよう。

〇業者任せVS自己管理
 業者任せにするなら業者の出来次第。長期の保証期間をうたったサブリースは修繕費を法外に要求したり、大規模修繕を条件としたり、アパートを売ったうえで大家から搾り取ろうという魂胆が丸見えなので注意が必要。
 地元の不動産屋は管理報酬ではさほど儲からない、管理でつきあってイベントが発生したときお役にたつのが目的。地元の評判が大事なので(優良地主を優先はするが)ろくに管理しない業者より安心。
 不動産運用は基本的に人との付き合い。入居者はしでかすもの、しかも部屋にいる夜が多い。自己管理は難しい。とくにテナント募集はハードルが高いのでそこだけでも業者に依頼することで空き室を短くしたほうが運用収益が上がる。業者との付き合いも人間関係。

〇現物運用VS証券運用
 現物不動産の最大の特徴は自分自身で自由に運用できること。証券化商品のメリットは流動性が高い(出口がある)こと。REITなどの不動産証券化商品はアマチュア向けともいえる。

不動産は一時に動くお金が多額なので一攫千金を狙った多くの輩が集まるところでもある。そういった人は「いいこと」しか言わない。不動産の本質をマスターして煽り文句に踊らされず、自分のベストパートナー=不動産を選択できるようになろう。
不動産は自分で手をかけて磨くほど魅力が発揮され、愛情に答えてくれる存在でもある。


不動産投資の超基本

不動産投資の超基本

  • 作者: 牧野 知弘
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2016/05/27
  • メディア: 単行本



タグ:牧野 知弘
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