SSブログ
[PR]本のベストセラー

空想法律読本〈1〉 (空想科学文庫) [雑学]

空想科学読本のシリーズ?なのかな?著者は違うけど。
正義のヒーローたちが、法律で裁かれたらどうなるか?という本。Mr.インクレディブル思い出すなあ。
2001年の出版だから、その時点での判例だと思う。

第1章 メイツ星人惨殺事件
事件のあらまし
 帰ってきたウルトラマン第33話 「怪獣使いと少年」では、地球に地質調査にきたメイツ星人が、地球の大気汚染のため動けなくなったのを、変わるにいた少年が保護。河原の廃墟で保護していたが、周辺住民が少年の行動を不審に思いおしかけて、メイツ星人を殺してしまう。それもなんと警官が拳銃で!

でも、警官は処罰されない、だってメイツ星人は宇宙人で国民じゃないから。基本的人権がない。
外国人の基本的人権が、はっきり認められたのは昭和53年の「マクリーン事件」なんと、憲法の施行は22年だ。
ウルトラマンの場合は日本国民のハヤタと一心同体なので、法律上は国民だろう。
ウルトラセブンは、モロボシ・ダンに化けているだけで国籍はないので、法律上は外国人。公務員になれないので、ばれれば警備隊をクビになるだろう。さらには不法入国なので、本国に強制送還。
逆にウルトラマンは日本国民なので、出国審査がないと、ゼットンに負けたからってウルトラの星には帰れない。


第2章 仮面ライダー連続蹴殺事件
 仮面ライダー1号は、71体の怪人を倒し、2号は48体を倒した。これって人を蹴り殺したことにはならないの?

改造人間は人間なのか?「死」の法的定義は、この時点で「三兆候説(呼吸と脈の停止と瞳孔拡大)」と「脳死説」があったが、脳死説によれば、改造人間は脳がいきているので人ということになる。もちろん仮面ライダーも人である。

これではライダーは連続殺人犯になってしまうので、正当防衛が適用されるか考えてみたが、パンチでボコボコにしたあとトドメをさしているのでは、過剰防衛であろう。殺した人数は多いが、加重される刑期の最大は20年で、そこから情状酌量されるので、最終的に懲役3~5年で済むかも、できれば執行猶予も勝ち取りたいところだ。
しかし民事訴訟は別である。先に怪人の方が殴りかかったから、過失割合を1:99としても、人数が多いので、1号は4646万6802円。2号は3141万4176円になる。

ところでショッカー怪人は、脳は生きているものの、改造されていうこと聞くしかないので、「心神喪失」と判断されて無罪。ショッカー怪人に命令していた死神博士は有罪だけど。ただし部下に判断能力があるばあい、ショッカーの首領は無罪かも。「共謀共同正犯」を追及できるけど、時間はかかるかも。まあ、みんな仮面ライダーが始末しちゃったけど。だから、ショッカーの被害にあった人たちは損害を請求できる場所がない。死神博士の遺族に請求しようとしても、相続放棄されたら、おしまい。国からもらえる犯罪被害者等給付金(最高1079万円)を申請するしかない。

仮面ライダーは、ショッカーの存在を警察に知らせて、逮捕してもらった方がよかったのでは?


第3章 人造人間キカイダー損害賠償事件
 キカイダーは「ロボット」なので、法律上は「モノ」扱い。スピード違反をしても、人に危害を加えても、器物破損をしようと、一切罪に問われない。番組では殺人容疑で全国手配されていたけどw

 しかし、ロボットもペットと同じと考えれば、持ち主に損害賠償を求めることはできるだろう。では、だれがキカイダーの持ち主なのか?キカイダーを作った光明寺博士は、実は敵のハカイダーに脳を移植されていたので、持ち主はハカイダーである。でも、ハカイダーはプロフェッサー・ギルに操られていた心神喪失にあたるので、責任はとれない。
 すると、ギルの持ち物のキカイダーがギルの持ち物のロボットを破壊したんだから、身内のケンカじゃない?プロフェッサー・ギルは、キカイダーが逃げたら、警察に遺失物届けをだしておけば、それでよかったのでは?


第4章 ウルトラマン建造物損壊事件
 怪獣は人でもなく、愛護動物でもなく、絶滅のおそれのある野生動物でもないので、ウルトラマンがシバいても全く問題ない。しかし、周囲の建物は別。
 ウルトラマンが怪獣を倒さなければ、周囲の建物はもっと破壊されたと考えると、緊急避難が適用されて、罪は問われないと思われる。ただし、緊急避難が適用されるのは、「やむを得ず」の行為のみ。それ以外のケースを探すと、あったのだが、巧妙にも建物のないところで戦っていて、被害がない。法律顧問がついているかのようだ。
 しかし、第2回で、ウルトラマンはバルタン星人を殺したあと、宇宙船の中でミクロ化していたバルタン星人20億3千万人を殺している。眠っていたバルタン星人は地球侵略の意図は明確にしていないので、世界130か国が批准している「集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約(ジェノサイド条約)」に違反して、国際裁判で死刑になってしまう!これを防ぐには「ウルトラマンがいないと、怪獣に侵略される」と日本の法務大臣が主張して、超法規的措置で執行猶予をつけてもらうしかないだろう。


第5章 モスラの卵カラ売り事件
 ゴジラの被害について、あらためて調べると、推定死者総数102164人。原爆や東京大空襲なみである。この場合、誰がその補償をしてくれるのか?ゴジラは「モノ」まので責任は問えないし、飼い主もいないので、自然災害になるだろう。保険会社に聞いてみると、生命保険は被害が甚大になると、現実的には支払えないので、それは約款に書いてあるという。どうやら無理そうだ。損害保険は約款にないものは一切支払われないので、こちらも無理。怪獣特約もないし。あとは国からの支援金最高で50万円と、義援金だが、人数多いからなあ。

 モスラでは、悪徳ブローカーが、インファント島から小美人をつれてきて、モスラがやってきた。彼らに責任は問えるのか?実は「小美人を連れてきたら、モスラも来ると知っていた」事実がないと、責任は問えないので、当然壊した東京タワーの賠償も求められない。
 キングコングの場合は、パシフィック製薬がつれきたんだし、当然被害が予測できたとして、損害賠償されて倒産だろう。

 では漁村に流れ着いたモスラの卵は?漁民が拾ってハッピー興行社にうってしまったが、刑事上は卵の所有者=インファント島の住民がいたとは知らなかったので、無罪。民事上も、ハッピー興行社から受け取った代金の残りを払えばよい。買い取ったハッピー興行社は、カラ売りとはしらなかったので、卵の所有権を主張できる。
 ただし、モスラの持ち主だから、被害がでたら補償しないといけないけどね。もちろん、モスラの子供の起こす被害もね。


第6章 ジャイアントロボ窃盗事件
 ジャイアントロボの草間大作くんは、太平洋で遭難し、ユニコーン機関日本支部の南十郎とともに島に漂着する。その島はギロチン帝王率いるBF(ビッグファイア)団の秘密基地だった。そこでドクトル・ガルチェアから、世界征服のためのロボットの話をきいて、その場で使い方(腕時計を奪って命令を出す)を実践。ジャイアントロボは最初に命令をうけた人のいうことをきくので、それから彼はジャイアントロボを操ってFB団と戦って勝つ。
 これは人の持ち物を奪う窃盗行為である。そそのかした南十郎も同罪だ。
 そのうえ航空法を無視して日本の領海にはいっている。
 原子力で動いているので、非核三原則にも違反。
でも、少年は小学生で14歳以下なので罪には問われないで、せいぜい児童自立支援施設にはいるくらい。南十郎は有罪だけどね。


第7章 竜が森ビートル機墜落事故
 ウルトラマンは逃げられた怪獣ベムラーを追って地球にやってきたが、ハヤタの運転するビートルと激突。死んでしまったハヤタにウルトラマンは命を分け与える。
 ハヤタのビーグルの最高速度はマッハ1.5。ウルトラマンはマッハ5。ともにベムラーを追いかけていた。レーダーでウルトラマンに気が付かなかったハヤタも不注意だが、巨大な上に速度もでているウルトラマンの方がもっと不注意だ。ハヤタに「申し訳ないことをした」と謝るのも納得。
 過失割合の大きいウルトラマンが刑事責任を問われるけど、命を共有したというのを考慮して罰金で済むのでは?ただし、民事は別で、過失割合(この場合、7:3くらいか)でハヤタの命の補償を求められるが、すでに自分の命で補償してしまっているので、チャラになるのでは?だいたい、一心同体になっているので同一人物だし。
 ただ、最後にハヤタが完全に復活したとき、9か月分の記憶をなくしているのは損害賠償が請求できるかも。ただし相手はM78星雲に帰っているので、あくまで請求するだけだけど。


第8章 マジンガーZ没収事件
 マジンガーZを乗り物で分類すると、特殊大型車両になると思われるが、重すぎて道路がボコボコになるから、陸運局に申請しても、ナンバープレートはもらえない。よって道路は走れない。立ち止まっても邪魔で違反になるし、景観重視の京都市内なら、和風じゃないとダメなんで、着陸したら30万円の罰金だ。
 さらには武器等製造法違反、爆発物使用などの凶悪犯罪にもあたる。しかし兜甲児は高校生、少年犯罪になるが、これだけ凶悪だと、普通の刑事事件になるかもなあ。
 まわりの大人もかなりヤバイ。光子力研究所を創立した兜重蔵博士は、富士山の裾野で新元素・ジャパニウムを発見。光子力エネルギーと超合金Zの抽出に成功して、研究所を設立。博士の没後は弓教授が引き継いでいるが、バリアだのロボットだの、航空防衛チームだの、かなりの重装備をもっていた。でも軍備していいのは自衛隊だけなので、これは機動隊が強行突入する武装集団。マジンガーZは没収である。残るのはボスボロットくらいか。それを回避するには武装解除して、敷地から一歩もでないしかない。でも、兜甲児は免許ないだろうから、ホバーパイルダーも運転できないし、合体も無理だな。
 では、ドクターヘルに対する国家を守る正当防衛を主張したらどうか?いけそうだ。最後に残るのは相続税問題。兜重蔵は、兜甲児の祖父なので、マジンガーZは相続したとみなされる、超合金をプラチナの値段で計算すると、487億2千万円で、相続税は337億8668万円。物納するしかないくて、結局マジンガーZは没収。公売にかけられたら、間違いなくドクターヘルが競り落とすだろうな~。


第9章 エイトマンスピード違反事件
 エイトマンはロボットなので、キカイダーと同じくモノ。だからスピード違反にはならない。彼を作った谷博士もロボットなので責任は問えない。危険物を取り除いていいという法律を適用しようにも、エイトマンは警視庁の刑事。なんでモノが刑事なんだ!マッハ3で走り回る危険物を撤去できないとは、法律は無力だ。
 ではサイボーグ009はどうか?彼は改造人間なので人間だ。しかし「歩行者」なのでスピード違反はナシ!ただしマッハ3で走ったことで起こる衝撃波での暴行罪は成立する。道交法ではなく、刑法なのね。
 仮面ライダーはアウトである、空ぶかしからスピード違反まで、第1話で免許取り消し。それでも乗ると一生免許とれなくなったろうな。さらにヘルメットの問題が。あの仮面がヘルメットと認められない場合さらに違反の点数が、免許見せても本人だってわかんなくて「変身したんです」って言い訳いるし。まあ、人身事故起こしたわけではないから、一生バイクに乗れないだけだけど。
 しかし仮面ライダーV3はマズイ。彼の愛車は原子力エンジンだ。コケて爆発したら放射能汚染。こんなバイクがみつかれば、刑務所いきでしょう。もういっそバイクに乗らないで走ったらどうだろう?そうすると仮面ウォーカーnなってタウン情報誌になっちゃうか。


第10章 ジャミラ放水殺人事件
 ウルトラマン第23話「故郷は地球」にでてきたジャミラは元人間で宇宙飛行士。某国の宇宙船で遭難して救助されなかった恨みをもって全人類に復讐するため地球にやってきた。しかし彼は人間だ。ウルトラマンは殺人罪に問われないのか?
 ジャミラの弱点は水だったので、ウルトラマンも放水で殺した。だから弁護人は「水をかけただけ」=不能犯を主張できる。でも判例から認められないと思われる。さらに弁護側は「故意犯処罰の原則」を持ち出すかもしれない。「水をかけて死ぬとは夢にも思わなかった」と。しかしジャミラが水に弱いという情報はウルトラ警備隊も知っており、これも通らないだろう。では正当防衛は?ジャミラは明らかなテロ行為をしている。確かに正当防衛になっていそうだが、ジャミラが倒れてからも10秒間放水して殺したのはやりすぎと判断されるかも、倒れた時点で逮捕すべきということだね。しかし過剰防衛でも、懲役3年執行猶予2年くらいの判決になるのでは?
 ここでウルトラマンがウルトラ警備隊も水をかけたと主張したら?しかし、そうだとしてもウルトラマンの判決に影響はないと思われる。またウルトラ警備隊は正当な業務なので無罪だろう。
 では、ウルトラ水流が止められなかったと主張したら?これで無罪になるかもしれないが、立小便と同じ罪に問われるかも。これはこれでイヤだなあ。
 せっかく地球に帰れたんだから、ジャミラは復讐なんかしないで、某国に損害賠償すべきだったのでは?そして賠償金で雨の降らない砂漠で優雅な余生を送ったらよかったのに。


第11章 少年仮面ライダー隊事件
 悪の秘密結社との殺し合いの場面に、小学生をいかせるのってまずくないですか?立花藤兵衛に罪は問えるのか?
 強要罪→少年たちが自発的にやっているので成立しない
 労働基準法→お金は払っていなので労働させているとはいえない。
 適用できそうなのは、子どもを管理下において有害な影響を受ける行為をさせたというくらいのもので、せいぜい慰謝料くらいしか請求できない。法律は無力。
 
 ジャイアントロボのユニコーン機関はどうか? 少年が犯罪をおかした「触法少年」としりながら通報しなかった。しかも両親に内緒でFB団との戦いに巻き込んで、散々危険な目にあわせた。労働基準法違反だし、強制労働で憲法違反である。しかしユニコーン機関は政府機関。国家の犯罪なので、世界から非難され、少年を救えという運動がおこるに違いない。そしてジャイアントロボと少年はアメリカに移され、アメリカ軍体FB団になるだろう。

 藤兵衛とユニコーン機関で大きく差がでたなあ。


六法全書の六法
 憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法

刑罰の区分
 法律に罪と罰が定められているとき、刑罰が科される。刑法の他に商法、労働基準法にも刑罰が定められているものは多い。

刑罰は重い方から、死刑、懲役、禁固、罰金、拘留、科料、これらに付加して没収がある。

法律上の事件の区別、民事訴訟、刑事事件、行政事件があり、それぞれ別々に裁かれる。

民事裁判は、私人間のモメごとを審理する。刑事裁判は個人ではおこせない、検察官が行う。

条約・政令・条例は法的効力があるが、法体系で優劣が決まっており、憲法→条約→法律→政令→条例となる。

最近の法律事情。少年法改正、犯罪被害者保護。


空想法律読本〈1〉 (空想科学文庫)

空想法律読本〈1〉 (空想科学文庫)

  • 作者: 盛田 栄一
  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2004/03
  • メディア: 文庫



タグ:盛田 栄一
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

[PR]Kindle ストア ベストセラー

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。