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松本清張傑作短篇コレクション〈上〉 [小説]

宮部みゆきの編集によるもの。松本清張の短篇は260篇あるそうで、宮部さんは103篇読んであったそう。
リストに従って巨匠の足跡をたどりながら松花堂弁当をつくるような気持ちで作ったそうで、これは3部にまとめられたものの一つ。一応テーマ別になっていて、宮部さんの解説のあと、1から4の短篇がのっていた。

テーマ 巨匠の出発点
或る『小倉日記』伝・・・芥川賞受賞作、小倉時代の森鴎外の日記が紛失していることから、その足跡をたどろうとした男の物語、モデルとなる人物がいたらしい
恐喝者・・・ミステリ作家としての出発点は『張り込み』だが、それ以前の作品

テーマ マイフェバリット
宮部さんの好きな作品
「1年半待て」・・・教養ある女の夫殺しの真相
「地方紙を買う女」・・・小説が面白いからと前金で地方紙を買っていた女、小説家は女が小説のクライマックスで購読をやめたことを不思議に思い、調査をする
「理外の理」・・・古典の文献を焼き直した作品が定番の作家が仕事をなくしたときとった行動は
「削除の復元」・・・再び小倉時代の森鴎外がテーマ、宮部さんは「生身の人間を研究するときは知的好奇心だけで突っ走らず、対象への敬愛と謙譲の念、事実にたいする冷静な観察眼がないと大事なものがかけてしまう」と松本清張がいいたかったのではないかとかいていた

テーマ 歌が聞こえる、絵が見える
「捜査圏外の条件」・・・男の計画した犯罪は流行歌でこわれる
「真贋の森」・・・真贋を見極める目をもちながら美術界から追放された男の復讐
どちらも絵と歌の料理がいいのだそうです

テーマ 「日本の黒い霧」は晴れたか
ノンフィクション作品。昭和史研究家としての松本清張の作品
「昭和史発掘」より2・26事件・・・結果的には軍部の勢力を伸ばすことになった事件。青年将校たちの理想に燃える様子。革命をちかった見方がつぎつぎに寝返り、ついに反乱軍にされた将校たちは部下の安全と引き換えに投降するが、かれらを待っていたのは非公開の軍事裁判で、その主張を世間にしらしめることもなく処分された。
「日本の黒い霧」より「追放とレッドパージ」・・・GHQの追放の最初の狙いは日本を軍国主義にした人々を公職から追放することだったが、冷戦とともにそれは赤狩りにと変化した。そして初期の追放組があらゆる手段をつかってGHQにとりいり、元の権力をとりかえしているのと裏腹に赤狩りで追放になったものは、公職どころかあらゆる就職、婚姻などでことごとく長い間差別されてきたとあった。


松本清張傑作短篇コレクション〈上〉 (文春文庫)

松本清張傑作短篇コレクション〈上〉 (文春文庫)

  • 作者: 松本 清張
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2004/11
  • メディア: 文庫



タグ:松本清張
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