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宇宙=1.2.3…無限大 (G・ガモフコレクション) [自然科学]

1968年になくなったガモフはロシア生まれの理論物理学者で、科学の一般向け解説書がうまいことで有名だったらしい。この本は全集からの抜粋だそうで、3部にわかれている

Ⅰ1,2,3・・・無限大から

数の遊び
数に関する話題。0がない時代のローマ数字はおおきな数を表すのが大変だった。
それでも、アルキメデスは世界中の砂粒の計算をしようとしたり、アリスタルコスは宇宙の大きさを計算しようとしていた
インドのシーラム王と大臣シッサ・ベン・ダーヒルの話、褒美に小麦の升目で倍々していってほしいといった話。実は膨大な数になる。小麦2000年分。
世界の終わりまで動く円盤の話、世界の終わりまで58兆年
アルファベットをあらゆる組み合わせでうつ印刷機を考える。理論的にはあらゆる文章が印刷されるはずだが、全部打ち終わるのに10の110乗かかる、宇宙の始まりから印刷していてもまだ1%しか打ち終わっていない。
無限大を比較するときは、対応する数で考える
カントールは3つの種類の無限大を考えた、アレフ1=すべての整数と分数
アレフ2=線・面および立体上のすべての幾何学的点の数
アレフ3=すべての幾何学的曲線の数
自然数の話題、素数にはいまだに法則が発見されていないこと。
平方根という概念から、虚数がうまれたこと、虚数は長い間無視されてきたが、16世紀のイタリアでカルダノが意味のあるものとしてとりあつかってからは、数学の体系の中にいれられるようになった。実数軸と虚数軸をとったグラフを使うと、虚数=iをかけると、90度回転するということに捕らえられる、また、-1の虚数根をつかうことで4次元空間を考える手がかりが得られるようになった。

空間、時間、アインシュタイン
3次元空間にいるわれわれが、4次元空間を想像するのは難しい。そのためには2次元の空間をながめる私たちを想像してみるのが役に立つ。
ねじれた空間の例、メビウスの輪、これをつかうと2次元のロバの向きを変えられる
オイラーの定理の証明。
空間を裏返しにすることを想像してみる
3次元のものを投射して2次元にすることができる。同じように4次元のものを投射して、3次元にして考える
時間が第4の次元とすると、空間と単位を揃えるひつようがある。それには真空中の光の速度をつかう
光はとても早いので、普段第4の次元はわれわれに意識されない。その座標は√ー1を乗してもとめられる。
時間は空間にそして空間は時間に変換できる。ただし、両者の違いがあまりにおおきいので、実際には時間は意識されない。しかし、細かくいえば、離れたところで同じ時間におきたことは同時におきたとはいえない。
運動する物体の速度が光の速度に近づく場合のみ、相対的な収縮が明らかになることも4次元的な推論で理解できるのだそうだ。座標軸が回転するからとか書いてあった。
湾曲した空間に糸をあてて三角形をつくり測地線をもとめる、平面なら内角の和は180度だが、空間が湾曲していればそうはならない。
ただし、ヒマラヤ山脈でやっても、内角の和は180度になるらしい。
しかし、太陽のような巨大な質量のところでやると、誤差がでて空間の湾曲がわかるらしい

ミクロコスモス
もうそれ以上分割できない単位があると考えたのはギリシャのデモクリトス
ただし、現代の原子とはだいぶことなり、4元素(石、水、気、火)だったりして、それが相互にさようしあって他の物質がつくられるとかんがらえていたらしい
原子の大きさを見る実験、金属などを原子1個分のおおきさにたたきのばすことはできないが、水にうかべた油の膜を引き延ばすとその厚さはほぼ油の分子1個分と考えられる、そして最初の油の量と広がった面積から分子の大きさがわかる
分子線の研究装置の説明、原子の写真をとるのは困難、なぜなら被写体より光の波長が短くないとうつらないから。ただX線はそのままではなんでも通過してしまうので、X線バンド図形を重ね合わせることで写真を得る
原子の内部構造を探る旅
J・J・トムソン 原子は正と負の電荷をもつ部分からなりたち、電気引力で結びついている
ラザフォード アルファ粒子を原子にぶつけ、原子の原子核が非常に小さいことがわかる
最初、原子核と電子は、電子が決まった軌道をもつことから惑星系とよく比較されたが、ニュートン力学では原子の構造の説明はできない(すべての電子はすぐに原子核におちこんでしまうはず)そこには古典力学と違う
力学と不確定原理がはたらいている。微小な世界の力学では粒子の運動を波動のようにとらえるらしい
原子の質量と、陽子の質量があわないことから中性子の存在が予言され、それは確かめられた。
中性子は正の電荷を帯びて陽子になることがわかると、反陽子(負の電荷を帯びるもの)も考えられ現代では存在が確認されているらしい。ただしすぐに反対の電荷と反応して消滅してしまうので自然界ではめったに観測できないらしい、陽電子も同様
ニュートリノは物理反応のとき、エネルギーが消失していることから、数学の「背理法」のように発見された。つまりエネルギー保存の法則とあわなかったから。
ニュートリノは電荷をもたず、電子より軽い
素粒子の世界の法則
中性子→陽子+陰電子+ニュートリノ
陽子→中性子+陽電子+ニュートリノ
陽電子+陰電子→放射線
放射線→陽電子+陰電子
ニュートリノ+陽電子=陽中間子;ニュートリノ+陰電子=陰中間子;ニュートリノ+陽電子+陰電子→中性中間子
原子の核子にはたらく力は「ぎ集力」=液体の分子が互いにはなれるのを防ぐちから と 斥力=同じ電荷が反発しようとするちから のせめぎあい、
核子を核液のように考えると、近づけると融合するイメージ、力をくわえると分裂するイメージが持ちやすい
原子核の崩壊は斥力が強くなる原子番号の大きな原子では自然におきている。→核分裂
原子力の原理、崩壊して核子から放出された中性子がさらに多くの中性子を放出するような核分裂を引き起こすと分裂の連鎖反応がおきる。これを利用する。このような物資は自然界ではU235であるが、これは天然ウランの0.7%で普段は同位体のU238が中性子の増殖をとめている。だから重さの違いなどからU235だけをとりだし、使うのが原子力発電である。
温度によって分子の運動は激しくなる、絶対零度では分子運動はみられなくなる。分子の個々の運動は不規則で説明できないが、確率と統計処理によりその全体のふるまいを説明できる
エントロピーの法則 ある物理学上の系において自然におこる変化はエントロピーの増大する方向にすすみ、最終の平衡状態エントロピーがとりうる最大値に対応する。
熱を器械運動に転換するとき、この法則を使うが、実際には発生したエントロピーの一部をすてさることで一部を運動に変えている。
細胞と染色体の解説、細胞分裂と個々の細胞がある器官になる家庭の解説。染色体が2対であり、生殖でおやから半分ずつが遺伝することの解説。染色体の中でも一部が遺伝子として働いているのではないかとう解説

マクロコスモス
宇宙に対する人間の認識の変化
平面→球形、ギリシア人は球形であると考えてエラトステネスは太陽光線が球形の物体に平行にあたると考えて地球の大きさを計算した。
視差を利用して距離を測る方法で天文学者は太陽系のいろいろなものとの距離を計算した。しかし遠いものでは使えない。
そこで、地球の軌道の差を利用して視差を拡大し、銀河系の星への距離を計算した。
そうしてどんどん遠くを観察していくうち、渦状星雲にぶつかった、それは最初銀河の中に存在している比較的小さな天体と考えられたが、変光星を利用した大きさの測定からそれがとても大きなものであることが分かり他の銀河だということがわかった。

惑星・・・われわれの地球はないぶが融解状態でわれわれたとけた溶岩の上に浮かんでいる比較的薄い層を大地とよびくらしている。地球では1Km掘るごとに温度は30度あがる
太陽ができたとき、その周辺にあった物質は太陽のなかにはいるか、周りを回るようになった。それが衝突して惑星ができたわけだが、数学的に軌道がぶつかって惑星ができるようすが説明してあった。各惑星の軌道半径は大雑把に太陽に向かっていちばん近い惑星の軌道半径の2倍であって、この法則は惑星と衛星の関係でもなりたつのだそうだ
星の大きさによるその生涯の違いの説明。
銀河に存在する赤方偏移から、遠くの銀河ほど早く遠ざかっているのがわかり、宇宙は膨張していると考えられている。膨張の前は圧縮状態であるが、その痕跡は発見されていない

Ⅱ宇宙の創造から
宇宙の期限を探る
原子の年齢は崩壊の程度でわかる。だいたい数十億年前に重い原子が生まれたと考えられる
岩石から推定すると放射性鉱物に含まれる鉛の分量から近くの年齢は二十億年前後とかんがえられる
海洋の塩分濃度から海洋は20から三十億年前にできたと考えられる
月はだんだん地球から遠ざかっている、それによって潮力はへっているその減り方から月は四十億年前に地球すれすれにあったと考えられる
太陽や星の年齢は質量と燃料の使い方から、銀河系をつくっている星の大部分は三十億年前にうまれたと考えられる。
散開星団の年齢を調べることでも星の年齢がわかるらしい
天の川の分布をしらべてもわかるらしい
ハッブル望遠鏡などで遠くの星を詳しくしらべることで、われわれの宇宙にはたくさんの銀河があること、銀河同士は離れていて、宇宙は膨張していることがわかってきた。その理論的説明。また膨張が止まるかの考察。空間が閉じているか開いているのかによるのだそうだ
原子は膨張の初期に非常に高い密度と温度のもとで作られた。宇宙の55%は水素、44%ヘリウム、残り1%がその他の諸元素。地球は宇宙全体からいうとかなり特異な存在。
宇宙にある元素の実測値を対数目盛でプロットした表では、その関係が一目瞭然
現在の原子が生まれるまでの仮説には原始原子仮説(おおきなかたまりがわかれていった)や平衡理論(温度がさがるにつれて反応が凍りついた)などいろいろあるらしい
著者が考えたのは「アイレム」の仮説で、最初は原子核期待があって、当初はとても激しく変化し平衡状態にならなかった、しかし冷えるにつれて新しい中性子を供給していた反応が遅くなり速い熱電子がいなくなったのでついにまったくとまってしまった。その後温度がさがると中性子と陽子がくっつく集合に最適になり原子核ができる、その時間はだいたい1時間とかんがえられるのだそうだ
原子が1時間でそろってから3000万年のあいだ熱いガスは膨張を続け温度はさがっていった。そのなかで放射の密度とガスの密度の関係は、主役が前者から後者にかわっていった。ガス状の物質はぎ集して星雲をつくるそれが渦をまく(乱流)乱流の理論の説明から星の出現が語られる
惑星の回転運動の数学的解説
原子核の融合によるエネルギーの発生と、融合のエネルギーを使い果たして恒星が死ぬまでの様子の解説


Ⅲわが地平線から
著者の自叙伝。ロシアの黒海沿岸のまちオデッサの教師の家にうまれ、革命で祖国はソビエト連邦になった。
その混乱のなか、レニングラードの大学に進学、ドイツ留学の機会を生かして、ニールス・ボーアに会い、デンマークから奨学金を得て、その後イギリスから奨学金を得て、ラザフォードと研究を続けた。最終的にはアメリカにわたったようだが、自叙伝は途中なので記述はなかった。ただ、昔生活のためロシアの赤軍で大佐をしていたことがあり、後にアメリカの原子力開発にかかわったとき、問題になったとの記述があった。
世界大戦と冷戦の時代であり、記述できないようなこともたくさんあったのでないかと解説にかいてあった。
ボーア、ラザフォード、フェルミ、アインシュタインなど、伝説的な物理学者と実際にあったり、手紙を交換したときの様子などがおもしろかった。
また、いろんな教授と働いて、いろんな仕事をしたが実験は不得手であったこと、しかし理論物理学を研究する気持ちはとても強かったらしい。
ガモフの功績とされているのは、ビックバン宇宙論、アルファ崩壊理論、陽子・陽子連鎖反応の提案、アミノ酸をめぐる遺伝暗号研究


宇宙=1.2.3…無限大 (G・ガモフコレクション)

宇宙=1.2.3…無限大 (G・ガモフコレクション)

  • 作者: ジョージ ガモフ
  • 出版社/メーカー: 白揚社
  • 発売日: 1992/04
  • メディア: 単行本



タグ:G・ガモフ
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