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アルジャーノンに花束を [小説]

小説は主人公チャーリィの書いた経過観察報告書で語られる。
最初はつづりまちがいだらけで、句読点がなく、稚拙でよみにくい報告が次第に読みやすくなり内容も高度になっていき、また最初のような文章に戻ることで彼の状態がわかるようになっている。

主人公は精神遅滞の青年チャーリィ。彼は利口になりたいと願っている。
周りの人たちのように利口になれば、もっとみんなに愛されると。
そしてそれは読み書き=知性をみにつけること。
彼はその願いを読み書きを習いたいといって通っているセンターの縁である知性を高める実験=外科手術と心理カウンセリングの併用の実験体になる。

アルジャーノンは研究室のネズミで、知性を高め、しかもそれを長期間維持している最初の個体。
チャーリィは彼と迷路を通り抜ける競争をさせられる。
手術しても最初はまったく勝てなかったが、やがて勝てるようになり、それどころか数か月で複数の外国語を覚え、本からあらゆる知識を吸収し、それを検討できるレベルに達してしまう。

その過程で、過去の出来事が想起され、精神遅滞のときにはわからなかった、からかいや憎しみ、人間の残酷さに気づいていく。
いままで、自分たちより下で、人間以下と思っていたチャーリィが、自分たちより優秀な知性を示し始めると、職場の人間や彼を実験体に選んだマーニー教授らのなかには彼を憎むようになるものたちがでてくる。
チャーリィも知的成長と、情緒的成長のバランスがとれず、主に母親に起因するトラウマから、好きになった女性とうまくいかない。

チャーリィの事例は、華々しく学会で発表されるが、自分が人間として扱われいないことに築いて怒りを覚えて、その発表中にチャーリィはアルジャーノンを折からだして会場を混乱に陥れているスキに逃亡。
自由な時間をもって高くなった知性を駆使して、自分の問題について取り組むことを決意する。一緒に逃亡したアルジャーノンは急激に知性を失いつつあった。そのことはチャーリィも同じ結末を迎えることを意味していたのだ。

かつて自分を実験体として扱った研究室で、チャーリィは研究するようになる。
アルジャーノンは急速に知性を失って亡くなり、チャーリィは彼の遺体を引き取ってアパートの裏庭に埋めて花を供えるようになる。
研究の結果、自分の知性が、急速に発達したように、急速に衰えること、それは避けようがないことを証明する論文をかきあげるころ、彼の知性は衰え始める。

センターで彼の先生であり、チャーリィと愛し合うようになったものの、彼の急速な知性の発達についていけず、疎遠になったアリスがやってきて、しばらく彼と暮らすが、チャーリィは彼女の助言をしだいにうとましく思うようになり、追い出してしまう。

やがて何もできなくなったチャーリィのところへ、実験で手術を受け持ったストラウス博士らがやってきて世話をしようとするが、チャーリィは受け入れない。彼らは大家に金を与えてチャーリィの世話をしてやってほしいとたのんでいく。

チャーリィはかつて精神遅滞の彼を受け入れてくれていたパン屋に戻って働く、彼が知性を示したときは、彼を憎み排除しようとした仲間たちが、快くかれを迎え、彼を友達として扱ってくれる。

ある日彼は、自分におきたことをすっかり忘れて、以前通っていたセンターに行ってしまう。アリスは彼をみて泣き出し、彼はようやく自分に起きたことをすっかり忘れていたことを思います。そして以前から決めていたように彼のような精神遅滞のための養護学校にいくことにする。実験の取り組みで、彼の知性が失われたら、そこに引き受けてもらうことが決まっており、費用は研究のスポンサーがもつことになっていた。知性のある間に彼はそれを知り、見学にいき、準備していたのだ。

チャーリィはアリスやストラウス博士にさよならの手紙を書く。
アルジャーノンのお墓に花を添えてほしいと。

知性のあるときに、彼はマーニー教授に訴える。
「愛情を与えたり、受け入れたりする能力がなければ、知性というものは精神的道徳的崩壊をもたらし、神経症ないしは精神病すら引き起こすものである。自己中心的な目的でそれ自体に吸収されてそれ自体に関与するだけの心、人間関係の排除へ向かう心というものは、暴力と苦痛にしかつながらない」


アルジャーノンに花束を

アルジャーノンに花束を

  • 作者: ダニエル キイス
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1989/04
  • メディア: 単行本



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