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新版 ファーブルこんちゅう記〈2〉セミのうた・コオロギのうた [自然科学]

ファーブルの書いた昆虫記を、子供向けに抜粋したもの。
虫ごとにわけ、時系列で生態観察のみに絞って翻訳したもの。実際の昆虫記は自伝や風刺もまざった読み物であまり子供向けではないらしい。ファーブルは極貧の中、独学で勉強して先生になった人で、本を買ってごはん代もなく、他人の家の塀からはみだしているブドウを食べていたなどというエピソードも紹介されている。買った本はルブールの詩集だったらしい。

フランスには「ありとせみ」というお話があって、ありは勤勉に働きセミは歌ってばかりいて、冬に困るという内容らしい。
ファーブルは実際の観察ではセミは冬には死んでしまうし、セミが樹液をすっているとおこぼれをいただこうと寄ってくるのはありの方で、しかも死にかけたセミまでバラバラにして巣に運んでしまう、獰猛で図々しい生き物だどいっている。

夏になると、ファーブルの家の庭中でセミがなきだすが、どこから来たのか?
疑問におもって調べてみると、地面に親指が入るくらいの穴があいている。セミはここからでてくるらしい。
しかし、縦穴はまっすぐで、周辺に掘った土を置いた後もない。どうやっているのか?

最初は土を食べるのかもと思ったが、口の形態からそうとは思えない。どうやら木の根から親と同じように汁をすうらしい。観察してみると、掘った土は壁に押し当てていた。土が湿っているときはそれでよいらしい。乾いているときはなんとじぶんおおしっこで柔らかくする。そのために生まれたときは水分がいっぱい入ったぶよぶよの体をしている。そして木の根から汁をすっておしっこをだす。そして天気の良い日を選んで地面にでてくる。
ファーブルはその様子庭から掘り出した幼虫ををガラス瓶で観察した。

地面にでた幼虫は木や草によじのぼり、30分ほどで空から出て、3時間ほどで体を乾かすと成虫になって飛んでいく。
その様子も子細に観察されていた。

シミのなく仕組み。おなかはがらんどうで、膜とそこについている筋を動かして音をだしている。筋はV字構造になっている。ちなみに鳴くのはオスだけで、メスはおなかに卵をもっている。
また、耳はあまりよくないのではないかと推測し、セミのそばで大砲をうってみたが、セミは全然きにしなかったと書いてあった。訳者の中で虫に聞こえる音ではなかったからで、耳が悪いわけではないのではないかと書いてあった。

メスのセミは枯れた木の枝に切れ目をつけて、そこに卵を産む1匹が3百や4百産むそうだ。
しかし、産み付けるそばからその卵に自分の子供を産むヤドリバチや、スズメによって減ってしまうのでたくさん産むのではないかとファーブルは推測していた。

ファーブルは卵がかえるところを見たいと枯れ枝を集めたが、見ることができなかった。しかし、ある日ストーブのそばに置いた卵がかえったことから、温めることで卵がかえるのだとわかった。また生まれた幼虫は皮をかぶっており、卵を抜け出しやすくなっていること、それが地面に落ちるとき脱げるようになっていることを観察した。
落ちた幼虫は前足で地面を掘ってもぐり、木の根にたどりつこうとするが、風などで必ずしも木の根元におちるとは限らない。このあたりも卵が多い理由ではないかといっていた。

ファーブルは幼虫の生活を観察しようと、植木鉢に木を植えて、幼虫を飼い。ときどき逆さにしてだしてみるということをしたが、虫はみんな死んでしまってうまくいかなかったそうだ。それで、農家の人がたくさんとってきてくれた幼虫から推測して、4年くらい土のなかで木の根の汁をすいながら生活するのだろうと推測していた。
訳者の注によると日本のミンミンゼミとアブラゼミは5年土の中で生活するそうな。


コオロギの観察。
南フランスのイナカコオロギの観察記録。
コオロギは地面に斜めに穴をほってそこで生活している。ファーブルは息子とわらでコオロギを追い出して、穴を掘りひろげて観察したそうな。そして、穴を掘るのは10月くらいで、2時間くらいで5センチくらい掘って、あとはゆっくり掘るなどの観察をした。
卵は地面に産むところが観察できたので、家で孵してみたが、菜っ葉を与えても食べなくて食べ物がわからなかったので庭に話してあげたらトカゲやありに食べられてしまったとあった。訳者によるとコオロギの幼虫は生まれて2日ほどはなにもたべず、その後親と同じものを食べるそうな。
ある程度大きくなるとアリやトカゲには食べられないけど、穴蜂に刺されてしまうことがあるんだそうな。

鳴き方はバイオリンのように羽をこすり合わせてなく。ファーブルは左右の羽の構造が同じのをみて、右利きのコオロギと左利きのコオロギがいると推測するが、実際には右利きしか見つからない。では作ってみようと、脱皮したばかりのコオロギの羽を左右逆に重ねてみたが、いつのまにかもとに戻ってしまったそうだ。どうしてかわからないし、そうとしか言えないことも自然界にはあると書いてあった。





新版 ファーブルこんちゅう記〈2〉セミのうた・コオロギのうた

新版 ファーブルこんちゅう記〈2〉セミのうた・コオロギのうた

  • 作者: 小林 清之介
  • 出版社/メーカー: 小峰書店
  • 発売日: 2006/06
  • メディア: 単行本



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