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もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら [ビジネス]

著者は放送作家をされていた方で、青春ストーリーとしても十分楽しめる。

高校2年生のみなみは、夏の大会で地区予選敗退の直後、病気で入院した親友のかわりに野球部のマネージャーになる。
そこで、マネージャーの仕事を勉強しようと思い。本屋で「マネジメント」の本を探したところ、ドラッガーのマネジメントを勧められて買って帰る。最初ははずれかとおもったが、野球部も一つの組織であることから参考になるだろうと読み進むうちに、感銘し、野球部のマネジメントに活用しようと決める。

1.マネージャーの資質は真摯さ。能力ではないし、制度でもない。それらは他のことや人で補うことができるが、真摯さは補えない。絶対必要なもの。

2.あらゆる組織において、共通のものの見方、理解、方向付け努力を完成するには「われわれの事業は何か?なんであるべきか?」を定義すること。たいていは難しく、わかりきった答えではない。
考えるときの指針は、顧客を満足させること。それが組織の使命。

 みなみは、野球部の顧客とは? で考え込んでしまう。しかし夏休みの合宿中に、「マネジメント」を読んだことがある部員、二階正義からヒントをもらい答えを得る。
 野球部に求められているのは「感動を与える組織」 そしてその目標は「甲子園に行くこと」

3.企業の目的は顧客の創造。その基本機能は二つだけ マーケティングとイノベーション。
 マーケティングは誤解されている。何を売りたいかではなく、顧客はなにを買いたいか? 何を価値ありとし、必要とし、求めている満足を知ることがマーケティング。

4.働く人たちには第一に仕事で成果を上げさせることが大切。人こそが資産。人を生かし、能力を引き出す。そのために、
 ①生産的な仕事 ②フィードバッグ ③継続学習 があることがポイント。働きがい=責任である。

5.専門家は教育者であり、ボスである。マネージャーは専門家の通訳になり、橋渡しをする。
 専門家のアウトプットが他の人たちのインプットにならなければならない。

 野球部では部員たちも顧客。かれらの希望や思いを知るために面談をおこなった。面談は入院中の親友が担当。
 そうして、親友はマーケティングの責任者として生産的になろうとして変化する。
 野球部の監督は東大をでながら母校の野球の監督になりたくてやってきた人物で膨大な経験と知識がある専門家であったが、部員達との間には溝があり、その力はいかされていなかった。みなみはその力を引き出すために1年生マネージャーの文乃をつけて練習メニューを作っていった。文乃は記憶力があって頭のよい秀才タイプで、監督の理論をよく理解した。

6.きっかけは外から来る。成長には準備がいる。いつ機会が訪れるかは予測できない。準備しておかなければ機会は去り、他所に行く。

 機会は秋の大会で訪れた。その日大敗した野球部の総括で、監督と部員の間に信頼関係が生まれる。
 それをきっかけに部員たちのやる気はあがっていく。そのとき、かねてから監督と1年生マネージャーが作っていた練習メニューが役にたつ。練習に魅力をもたせるために、みなみたちは試合がおもしろいわけから考えて、練習に①競争 ②結果 ③責任 を取り入れた。チーム制で競わせて記録はパソコンで管理し、結果を知らせる。目標

はマネジメントチームが示すが、具体的練習方法はチームに考えさせ、責任をもたせるなど。成長の準備ができたいたため、管理運営のトラブルはあったが反発はなかった。またピッチャーは別メニューで練習させて責任を自覚させた。

7.仕事を生産的にするために
①分析 ②総合(作業をあつめてプロセスにする) ③管理(プロセスの中に方向付け、質と量、基準と例外を決める) ④道具

8.イノベーション
 大きくなるのではなく、新しい満足をうみだすこと。科学や技術そのものではなく価値を組織の外にもたらす変化。そのために古いもの、死につつあるもの、陳腐化したものを体系的に捨てる。昨日を守るために時間と資源をつかわない。

 監督の理論のもと、野球部のスタイルが生まれる。「送りバント」「ボールを打たせて取る」この二つを廃止。
 ピッチャーはストライクを投げて打たせて取るために徹底的な下半身の鍛錬をもとめられる。

9.組織を社会に貢献させる。
①組織特有の使命をはたす
②仕事を通じて働く人たちを生かす。
③社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献する。

10.成果とは百発百中のことではない。長期のものである。すぐれているほど間違いを犯す。すぐれているほど新しいことを試みる。事なかれ主義は厳禁。

11.マネジメントがチームとして機能するには、
①担当者が担当分野の決定権を持つ。
②担当以外の分野において意思決定をしない。
③攻撃をしない。批判をしない、ほめあいすらしないほうがいい。
人間関係に左右されないことが大切。

 みなみたちは学校の他の部活を巻き込む。陸上部は「どうして部員がまじめに練習に来るようになったのか?」

という問いかけをされたのをきっかけに、短距離走をおそわることになった。
 家庭科部には試食とその評価のフィードバック、ピッチャーは柔道部で下半身の鍛錬。ブラスバンドとチアリーダーはグラウンドで応援の練習をしてくれるようになった。また、問題児の女生徒を新たにマネージャーに加え、マネジメントを手伝ってもらった。また対戦校のデータ集めをやってもらった。
 子供たちに野球を教え、私立大学の野球部から甲子園経験者に来てもらい講演をした。
 これらのアイデアはマネジメントチームに加わった部員の二階のもので、みなみは良し悪しの判断なくとりいれていく。成果は新しい試みから生まれるものだからだ。
 これらの活動はやがて、子供たちが地区大会で優勝したり、私立大学に招かれて指導や練習試合をしてもらうなどのフィードバッグになっていく。

12.組織の規模
地域社会に比較して大きすぎるのは問題。規模は戦略に影響を及ぼす。逆に戦略も規模に影響を及ぼす。
市場において目指すべき地位は最大ではなく最適。

 4月には大量の入部希望者が現れるが、みなみは学校における野球部の規模を考慮して、一人ひとり面談をして1/3に絞り込む

13.集中の目標と市場地位の目標
集中の目標は、アルキメデスが地球を持ち上げてみせるといったときの立つ場所のこと。

 野球部の集中のポイント 「ストライクとボールを見極める」「エラーをおそれない」

14.組織の中の人間や関心を、努力ではなく成果に向けさせることが大事
専門家や能吏としてでなく、マネージャーとして行動するもの、管理の技能や専門的な能力によってでなく、成果や業績によって評価されるものの数を可能な限り増やさなければならない。成果より努力が重要という錯誤を生んではならない。

 「もし、甲子園にいけなくても、これまでやってきたことを評価したい」という親友に、みなみは「マネージャ

ーがそれをいうのは真摯さに欠ける。あくまで成果を求めたい」と答える。

15.成果中心の精神を高く維持するには、配置、昇給、昇進、降級、解雇など人事にかかわる意思決定が最大の管理手段である。

 マネジメントチームに加わった二階正義は高校から野球をはじめた。もちろん技量はないので、選手としてベンチに入るのは絶望的だった。しかしみなみはなんとか彼の仕事にこたえたいと、キャプテンにすることを思いつく。現在のキャプテンがやめたがっていたこともあり、「人を生かす」方向で人事はきまった。
 他にも足は抜群に早いが出塁できない部員をレギュラーからはずし、ピンチヒッターにするなど人事がおこなわれた。

あとは、予選大会の話が感動たっぷりにかかれていた。
 

 
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

  • 作者: 岩崎 夏海
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2009/12/04
  • メディア: 単行本



タグ:ドラッガー
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