新版ファーブルこんちゅう記〈4〉カマキリとクモのふしぎ：読書記録：So-netブログ

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新版ファーブルこんちゅう記〈4〉カマキリとクモのふしぎ　[自然科学] [編集]

ファーブル昆虫記を子供向けに編集しなおしたシリーズで、カマキリ(オガミカマキリ）とクモ（コモリグモ）を取り上げた巻

オガミカマキリという名前は、両手の鎌を収めたところがお祈りしているようでつけたものだが、実際にはこのお祈りしそうなかぎづめでバッタなどを捕まえて食べる虫。
ファーブルはカマキリを捕まえて、植木鉢に草を植えたところに平べったい石をいれ、そこにカマキリをいれた。エサは子供たちがとってきてくれた。そうして、カマキリが自分より大きい昆虫を捕まえるとき、羽を広げてこすり合わせて音をだし、相手を脅しつけたところで前足で押さえつけ、首のところにかみついて（神経がある）動けなくしてから食べる様子を観察した。また、大きいのがメスで、オスは小さくて、小さいバッタしか食べないこと、メスはオスを食べてしまうこと。ときには仲間同士でも食い合いをする様子を観察した。

秋になると、道端の石や木や枯草に小さなふのようなかたまりがつく。これがカマキリの卵。
ファーブルの住んでいた南フランスのプロバンス地方ではティオニとよばれ、しもやけのくすりとして売られていたそうだが、ファーブルが家族と実験してみたところ、さっぱり効き目がなかったそうで、迷信らしい。
カマキリは夜の間に卵を産むので、ファーブルはなかなか観察できなかったが、ある日4時くらいに卵を産み始めたカマキリがいて、ゆっくり観察できた。お尻の先にスプーンのようなものが2個あって、それで出てくるねばねばしたものをかき回して空気をいれて泡立て、そこに卵を産み付けるそうだ。2時間ほどかかって卵を産むとあとはまったく知らん顔なのだそうだ。空気が入ることで、卵は寒さから守られるのだそうだ。1つの袋にだいたい400個の卵が産みつけられるそうだ。

卵は7月のじりじりお日様がてりつける10時くらいに孵る。孵ったカマキリの子虫は、袋の細い裂け目を通ってでてくる。それは魚のような格好で薄い皮の袋をかぶっている。出てくると袋を脱ぎ捨てる。
ファーブルが生まれるところを観察していたところ、生まれたばかりの子虫はアリに狙われたそうで、しばらくすると体がしっかりして、それほどつかまらなくなったが、そのあとはトカゲに襲われたそうだ。
また、生まれる前にカマキリタマゴバチというハチに卵を産み付けられて、卵をすべて食べられてしむこともあるそうだ。

コモリグモは地面の小石と小石の間に深さ20センチほどの穴を掘ってすんでいる。穴のふちには糸でつづった小石と木のくずがあり、その淵の上で待ち伏せして、通りかかる他の昆虫を捕まえる。血をすうのではなく、かじって食べる。
ある日ファーブルは庭でオスを食べているメスを見つけ、植木鉢に網をかぶせたものに捕まえて、卵を産むところを観察した。
コモリグモはお尻から糸をだして網をはりお椀のようにして、そのなかに金色の卵を産み、さらに糸をだして卵の上にお椀のようなものをつくり、二つをつないで卵袋を作った。そしてそれをおしりにくっつけて歩く。
ファーブルは別のクモの卵袋とすり替えてみたりしたが、コモリグモはまったく気が付かなかったそう。また、コルクなど同じ形の違うものでも区別はつかなかったそう。

3週間くらいたって、9月のはじめくらいには、卵が孵って袋がやぶれ、200匹くらいの子グモが生まれる。生まれるとすぐお母さんクモの背中によじ登る。ファーブルはこれも、親子を変えてみたが、お互いに気にしなかったそうだ。また、オニグモ（別のクモ）のそばに子グモをおいても、よじ登ったという。

コモリグモの子供は6，7月の間、お母さんの背中ですごし、そのまま穴の中で冬を越す。そして春4月の初めごろの晴天の日、高いところに上っていき、糸を吐いて風にのって飛んでゆく。この行動は一生に一度で落ちたところが気に入らないからともう一度飛んで行ったりはしないそうだ。
そして、小さいうちは身が軽く、早く動き回れる。ファーブルはジャンプしてハエを捕まえるコモリグモの子供を観察したそうだ。8月のおわりから9月の初めには穴を掘り始め、そのころには素早さは失われているそうな。
一度穴を掘ると何年もその穴でくらし、長生きだそうで、ファーブルが買っているのは丸3年生きていると書いてあった。