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黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 [資産]

橘玲さんが、「臆病者の株入門」の上級編としてかいたもので、今現在の世界の投資状況がいろいろ書かれていた。
資本主義とは絶え間ないグローバル化と大衆化のうねりで、いまやプライベートバンカーしかできなかった金融取引が個人に開放されている。

1章 究極の投資対至高の投資
プライベートバンカーが富裕層のために行う投資を至高の投資と仮定し、サラリーマンの山岡(美味しんぼ)が「究極の投資」で対抗しようとしたらとの過程で話がすすめられている。
まず、山岡はサラリーマンで、自分自身が人的資源として1億円(生涯賃金を現在価値に割り引いた額)をもっていると仮定して、これを日本円の債券をもっていると考える。すると合理的資産配分で考えると投資する300万は全額株式にレバレッジをかけて投資することになるというもの。仮に8倍のレバレッジをかけて2400万のバーチャルなポートフォリオを組んで、それが年利8%で運用されれば(株式のこれまでの年平均リターン)、30年後の資産は2億2000万円、さらに毎年100万円をつみたてて3年に1回8倍のレバレッジで追加投資すると、30年後の資産は10億円。
じつはこれは住宅ローンと同じで、300万の頭金で2400万円のローンを組み、30年支払いをしると、投入する自己資金は上とおなじだが、30年後には建物価格は0になっているだろう。実は日本人はそうとはしらずにゆがんだ不動産投資をしているのである。

株式をインデックスで投資するのは合理的だが、1国の株式に全額投資するのは危険である、世界全体でみると株式のこれまでの平均リターンはプラスだが、特定の国でマイナスまたは著しくさがることはよくあるからである、インデックスをかうなら世界株に分散投資すべきである。
世界株ポートフォリオの保有はMSCI国際株価指数に連動するインデックスファンドを買えばよい。
上場している商品であるETFをつかえファンドよりもさらにコストは削減でき、さらに売りから入れる。
ETFについても、どこの市場にどんなETFがあるか投資先ごとに解説されている

新興国に投資したい場合はMSCIのエマージング指数に投資する商品を買えばよい

2章 冒険する投資家
かなりくわしい、海外投資の方法が書かれている。
著者が実際にベトナムやインドネシアで口座を開いたときの話や、その後のアジア株式市場の熱狂ぶりがかかれている。現地で株をかう(主要な株はきまっているのでそれをかっておけばよい)と、ベトナムの場合1年で2倍になった、一方ベトナム株式ファンドは60%ほどの利益
資本主義こそが貧困を救済するといった、インフォシスのナラヤナ・ムルティの話や、著者がニューヨークの市場で同社の株を買った話がかかれている。エマージング国や中東の株がADR(American Depositary Receipts)という仕組みでアメリカの市場に上場されている。
同じく商品市場にもADRで商品化されているものもある、指数は「ロジャーズ国際コモディティ指数」
GDR(Global Depositary Receipts)はADRのアメリカ以外のバージョン、中東・東欧ではこちらに上場されているものが多い

3章 ミセス・ワタナベの冒険
FXの仕組み解説。
外貨預金・為替先物との比較
昨今おこった円キャリートレードにより極端な円安の解説。
普通
インフレで物価が上昇すれば為替はやすくなる。
デフレで物価が下落すれば為替は高くなる。
(こうすることで、日本とアメリカのスターバックス・ラテの値段は等しくなろうとする)
さらに
名目金利の高い通貨は下落する
名目金利の低い通貨は上昇する
(名目金利は、実質金利に物価上昇率を加味したもの)
なのに、デフレで金利の低かった円は安くなっていた。
これは、商品の仕組みもわからず、スワップ金利を外貨預金の金利と同じと考えた日本の無知?な投資家のなせることだったのではないか?実際にほんの個人金融資産は1500兆円でそれに300倍のレバレッジをかければ45京円になる。これで、ミセス・ワタナベは多額のスワップ金利を得ることができるかもしれないが、財政赤字と株価下落と不動産価格下落で日本国は終わりを告げるだろう。

4章 ヘッジファンドの解説
ヘッジファンドの手法はいろいろあるが、基本は「裁定取引」安く買って高く売るか 高く売って安く買い戻す
しかし個々にも資本主義の大衆化の力学がはたらき、投資ファンドが上場されるにいたり。個人でもヘッジファンドの取引に参加できるようになった。
オプション取引の解説がのっていた。宝くじと保険をあわせたものと解釈すればよいそうな。これを使いこなせると投資がもっと楽しくなるそうです。
ファイナンス理論の頂点であるモダン・ポートフォリオ理論は「株価はランダムに動き、市場は効率的である」「市場は予測できない」というものであったが、実際の市場ではこの理論では説明できない暴騰・暴落がおこる。そこで行動経済学が登場し、投資をおこなう人間は必ずしも合理的でないからこのようなことがおこると説明された。この流れをくむネットワーク理論では、市場は脳の神経組織と同様な緊密なネットワークでそこでは強いフィードバック(自己強化)が働いている、その結果ネットワークの世界で勝ち組が富のほとんどをもっていくように、金持ちはますます金持ちになり、株式市場では暴騰と暴落が繰り返されるというもの。モダン・ポートフォリオは正規分布を前提としているが、ネットワーク理論では市場を支配しているのはべき乗の法則であるということだ。
しかし、個人の投資家の判断はまちがっているが、大勢の投資家の判断はおおむね正しいという研究もある。ただし正しい結論が導きだされるためにもっとも大切なのは「多様性」でひとたび投資家のほとんどが同じ判断をし始めると、フィードバックによって市場は1方向へ暴走しはじめるというのが最近の見解らしい。
というわけで、みんなの意見は普段は正しいので、インデックスを買っておき、ときどき暴走するのには目をつぶるということになるらしい。

5章 タックスヘイブン
国際金融の革新はコルレス口座。
国際間で資金を移動するとき、銀行などではどのような取引がおこなわれるかが解説されている。
日本の銀行からイギリスの銀行に送金すると
日本の銀行⇒その銀行が海外の銀行にもつ海外口座(コルレス口座)に送金
海外の銀行が指定の銀行口座に送金
当初の送金先に入金
となるらしい。このコルレス口座への送金は国際送金となり、このコルレス口座にデータが計上されるとそれは他の国にお金が移動したことになる。
SWIFTコードはこの海外送金の銀行間のあて先である

証券にもこうした国際間の移動をおこなう会社があり、それはクリアリング機関とよばれ、ヨーロッパに二つある
ユーロクリアとセデル(現クリアストリーム)。

6章 非居住者裁判など海外居住
フィリピン・タイ・マレーシア等で暮らす海外居住者の状態。政策として、海外居住者をうけいれる東南アジア政府と人口減少と財政赤字の日本に不安を感じる退職者。

武富士の会長の長男の非居住者裁判のゆくえ、判例が増えて非居住者の定義がはっきりしてきていること。

終章 億万長者になるなんて簡単だ
期待資産額=年齢×年収/10
この指標よりも、自分の純資産額がおおければ金持ち、マイナスならどんなに収入がおおくても貧乏。
金持ちになるには収入のなかから一定額を貯蓄し、それをインデックスで投資することだ。
こんな単純なことで確実に億の資産が手にはいる。

しかし、これは資本主義社会が続き、世界全体が成長をつづけるというシナリオのもとである。
もしも、資源の枯渇や戦争などの状態でグローバル化がとまるとすれば、別の投資戦略が必要になる。
肝心なのはどんなリスクをとって、どんなリターンを得たいのかをはっきりさせること。自分が引き受けるリスクを理解すること。

黄金の扉を開ける賢者の海外投資術

黄金の扉を開ける賢者の海外投資術

  • 作者: 橘 玲
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2008/03/07
  • メディア: 単行本



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