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まんがサイエンス〈8〉ロボットの来た道 [自然科学]

2002年に発行された、マンガで先端科学を解説する本のシリーズ。
元は「5年の科学」「6年の科学」で連載されていた。
「あさりよしとお」が描いている。
レギュラーキャラは「よしお」くん、「まなぶ」くん、女の子は「あさり」ちゃん「あやめ」ちゃん。
なぜか女子がボケ担当で男子がツッコミというか常識キャラ。

巻頭写真は、いろんなロボットの写真と解説。
非人間型ロボットとして、地雷撤去ロボット、自動車工場の作業用ロボット、ヘビ型ロボット。
ASIOMOの誕生として、そのまえのロボットP2、P3が紹介されていた。
人間型ロボットへの一つの提案として、仕事をしないエンターテイメント型ロボットSDR-3X
感情がでるロボットとして、早稲田大学ヒューマノイド研究所が開発したWE-3RVを紹介。気持ちを表情に出せる。光の方向がわかり、音を感じる聴覚、たたかれたことがわかる触覚、アルコールの匂いがわかる嗅覚をもつ。
SDR-4Xが発表されたばかりだったらしく、「あさり通信」で転んでも立ち上がる、片足で立てるなどと紹介されていた。

☆ロボットの来た道
ロボットのシリーズを宇宙船のように長編でやったもの。

・もう活躍しているロボット
突然タクミくんのところに人間型ロボットがやってくる。
そのわけはロボットにもわからない。
ロボットがどかから来たのか探すために、タクミくんとロボットはロボットのことを調べ始める。
まず、近所で勉強を教えてくれているお姉さんにきくと、
「ロボット」という名前は1920年にカレル・チャペックという人が書いた「R.U.R]というお話にでてくること。語源は無理やり働かせる「robota」ということを教わる。
今では人間に代わって働いてくれる機械をロボットと呼んでいる。
一番多くつくられているのは工場で働いている作業用ロボット。
人間の手の動きをマネしてつくられており、とりつける部品を変えるといろんな仕事ができる。
専用の機械には劣るが、人間よりも正確に、長い時間働き、作るものが変わってもある程度の対応ができる。こうしたロボットはすでに私たちの生活を支えている。

・ロボットの意味は?
タクミ君とロボットはお姉さんから聞いて歩くロボットを作っているところ(大学の研究室かな?)にやってくる。そこではヘビ型ロボットやクモ型ロボットが動いていた。
人間型ロボットはいない理由を聞くと、逆に人間型でなければならない理由をきかれる。
荷物を運ぶなら車輪のほうが速く、ヘビ型なら段差も乗り越えられる。クモ型は岩山を超えられる。
思想としては、「何をさせるのか」という目的にあわせて一番よいしくみやデザインを探すのだという。
そのほうが便利だし、つくるもの簡単。
でも、人間型はムダは多いが何でもできる。

・人間型ロボットの活躍する場所は?
ロボットの種類は工業用のほかに、一つの仕事しかしない「おすしロボット」や銀行の自動支払機、自動販売機、人間が遠隔操作するマニピュレーターなどがある。宇宙ステーションのロボットアームもそう。惑星探査や深海探査をするロボット。
タクミとロボットは電車に乗って人間型ロボットを作っているところに話をききにいく。
そのときタクミは、ロボットはまったく人間と同じことをしている(マネしている)のにきがついて、建物も道具もそのままで、人間の代わりに働けるのが人間型ロボットの強みだと気が付く。
でも、人間型ロボットが全然働いていないのはなぜだろう?

・なぜ人間型ロボットは今働いていない?
話をきいてみると、人間型ロボットは何種類か作られているが、まだ売っていない。
なぜなら、まだ歩けるようになったばかりだから。
人間は倒れそうになると耳の奥にある三半規管で感知してバランスをとるが、これをロボットに組み込むだけで大変。
これができたら、次は歩行だが、まずは足のウラから重心をはずさない「静歩行」を実現。4本足のロボットなどはこうして歩いている。
これはコントロールは簡単だけど早くはあるけない。
そこで、人間の歩き方を徹底的に調べてたどりついたのが「動歩行」一度重心を前に向かってはずして足が地面に着いた反動で体がもちあがり、体が前にすすみ、その勢いで体が前にたおれ、今度は逆足がつく。これを繰り返す。
動歩行は早く歩けるが、同時に手の振りが必要になる。これを処理するのに高性能のコンピュータが必要で、コンピュータの進歩のおかげでロボットは歩けるようになった。
歩き方はまだ進化の途中で、やっと曲がりながら歩けるようになった。

・人間型ロボットの課題
いろいろ調べてわかったものの、人間そっくりのロボットを作ったり、仕事をさせたりしていることはなさそうだった。
歩くだけでなく手の仕事も大変だ。つかむ、持ち上げる、つまむ、まわすなど、人間はたくさんの動作を使い分けて仕事をしている。これをかなりマネできないといけない。
工場のロボットは1度に一つのことしかしないので、そこまで大変ではない。
しかし人間のすることをそのままマネして仕事をしてもらうには、精密な動きをする手とそれを制御する頭脳が必要。
そして家庭内で働くロボットは、転倒しても人間にけがをさせないように軽くないといけない。
ロボットは人間にけがをさせないように、そしてそのうえで自分をまもらないといけない。そういった判断が必要になる。
人間はひとうひとつの能力では機会にかなわないが、なんでもできるというスゴイ能力をもっている。
だから人間と同じように働けるロボットをつくるのは難しい。

・仕事しないロボットって何?
人間と同じような仕事はできないが、二本足で立って、役にたつロボット。
それは、エンターテイメント型ロボット。
身長50㎝体重5㎏。動いたり踊ったりはできるが、物を運んだり作業したりはできない。
このロボットのヒントになったのはゲーム機、ゲーム機の仕事は人を楽しませること。作業できなくても人の役にはたてる。
小さいロボットは倒れるまでの時間が短いので、センサーから情報を受け取ってから体を動かすまでの時間を短くしないといけない。そのため全身を同時に動かす全身協調制御を使っている。動作を早くするために小型軽量大パワーのモーターも必要。
めざすのはコミュニケーションエンターテイメント。人間と対話して動かす、会話することをめざし、宮力は人間の心がわかるロボットにしたいという。
二本足で歩くロボットの一番いいところは、仕事より人間に安心感を与えること。だから人間と向き合って対話する仕事が向いていると思われる。

・心をもったロボット
あらかじめ用意されている答えを引き出すのでなく、その場ごとに直接ロボットが感じたままを反応する、心を持ったロボットはできないか?
というわけでそういうロボットを研究しているところへ。
感情を要素3つで分類、快・不快、確実・不確実、覚醒・不覚性
確実・不確実は相手がはっきりしているかどうか?
覚醒・不覚性は相手に注意がむいているかどうか?
相手がはっきりしていて、注意が向いていて不快だと「怒り」
この状態で相手がはっきりしなくなると「恐れ」など
これにセンサーで刺激の強弱をつけるとロボっトも感情を表せる。
ロボットに感情をつけるのは、機械を人間に近づけること。
そうすることで、人間が機械になれる必要があったのに、逆に教わったり、見ただけで機械の不調がわかるようになる。
人間型ロボットはムダが多いが、機械と人間が作る関係のまったく新しい可能性がある。

・人間型ロボットを作る目的は?
いろいろ聞いて回って、ロボットが出した結論。
今の時代に、自分のようなロボットはいない。
ロボットはすべて目的があって、作られる。では自分の目的は?
友達になるや、介護なら人間にやってもらったほうがいい。
自分のようなロボットがいる未来をタクミが選べば、きっと未来出会える。
そうしてロボットは消えてしまった。
お姉さんは、人間型ロボットを作ることは人間を研究すること。研究の成果はロボット以外にも応用される。人間型ロボットの研究は無駄ではないという。
ロボットは人間の代わりに役にたてれば人間に似ている必要はない。
だから、タクミのところへ来たロボットが作られる未来にならないかも、では自分で作ればいい。

・人間型ロボットが働く未来
タクミは家で人間型ロボットを考えて、難問が多いことに頭を抱える。
これからもいろんなロボットがうまれていくことは間違いないが、人間そっくりなロボットをつくるには時間がかかるだろう。でも技術はいつ爆発的に進化するかわからない。
人間型ロボットをつくる目的ははっきりわからないけど、携帯電話だって、いつ役に立つかわからないといわれていた。使ってみたらすごく便利なんてこともあるかもしれない。
それを聞いてタクミは元気いっぱいになる。
そして、未来。タクミは宇宙飛行士になり月の宇宙船ドックから木星に出発することころだ。
船内にはあのロボットが2台。宇宙での作業や話し相手として乗っているのだ。


☆流した水はどこへ行く?
解説は下水から上ってきた河童。そうじをして排水をたくさん流したあやめちゃんにお説教する。
台所やふろの排水は、一度小さな汚水ますに集められ、マンホールの下の大きな汚水ますに集まって下水道管に流れ込む。汚水は下水処理場に送られる。
最初に沈砂池で砂をしずめ、活性汚泥をまぜて空気をふきこむ。これは泥の中の微生物を元気にして汚れを食べてもらうためである。
汚れを食べたりくっつけた微生物がしずみ、きれいな水が残るのでそれを塩素消毒して川に排水する。
見た目はキレイになっているが、化学薬品や農薬は微生物が食べるのに時間がかかるので分解しきれないで排水される。洗剤の窒素やリンなどの栄養物も同様で、川に流れると微生物が増えすぎてその死体で赤潮やアオコが発生する。
昔の川は今と比べ物にならないくらい汚れをきれいにする力をもっていたが、コンクリートで固められその力はない。それに水をきれいにしたとき、1000のうち1の汚れが残っているとしたら、循環するうちに汚れは蓄積するのは間違いない。
皿の油はふき取ってから洗う、排水溝から食べくずを流さないようにネットをつける。無駄に洗剤や石鹸を使わない、一人一人がこうして気を付けることで水はキレイになる。
人間は水なしでは生きていけない。水は地球の中を循環している。それを知ってもまだ水を汚しますか?

☆汚れをきれいに落とすには?
解説は界面活性剤の形をした「洗い」の専門家サポーくん。
水と油は混ざらないが、界面活性剤は水になじむ部分と油になじむ部分があって、油を取り囲んで水に溶かして汚れをとる。
石鹸も洗剤もどちらも界面活性剤だが、あまり強力な界面活性剤をつかうと油をおとしすぎて、はだはカサカサ、かみはパサパサになってしまう。
石鹸の歴史は3000年ほど、最初は肉を焼いた油が肺におちたのがはじまりといわれている。
脂肪酸とアルカリが反応したものが石鹸。
むかしの石鹸は灰汁やくさったおしっこなんてものあった。
ヨーロッパでは硬水なので石鹸で汚れを落とすのが難しかった。そこで石炭から合成界面活性剤が作られた。その後石油を原料とする洗剤が世界中に広まった。
ただ、洗剤に含まれるリン酸塩で植物プランクトンを増やし過ぎて水中の酸素がなくなり、プランクトンや魚の大量死を引き起こした。その後無リン洗剤ができた。
そのほかに合成された界面活性剤には毒性のあるものがあるので、リンがはいていなくても困ったものである。合成界面活性剤なら原料は天然のものであっても理屈は同じ。
あと石鹸でも使いすぎると水を汚すから注意。

☆ボールの翼
解説は顔が渦巻きのミスター・ボルテックス、だけどみんな「なると男」と呼んでいた。
空気の中を進むとうしろにはウズができる。それは進行方向への動きを妨げる。
これを防ぐために空気の流れをはりつけるために表面に小さな凸凹をつくって小さな渦をつくる。
これをボーテックス・ジェネレーターといういう。
この凸凹は野球のボールなら縫い目、ゴルフボールならディンブルという凹みになる。
ボールがカーブしたりシュートしたりするのは、飛行機の翼が真ん丸になったのと同じこと。
上側では空気の流れとボールの回転は逆、下側では同じになって、下側の空気だけが加速して曲がる。
ボールは回転することで飛行機の翼のように空を飛んでいたのである。
フォークは回転しないボールで空気のブレーキを利用して落とすのである。



まんがサイエンス〈8〉ロボットの来た道

まんがサイエンス〈8〉ロボットの来た道

  • 作者: あさり よしとお
  • 出版社/メーカー: 学習研究社
  • 発売日: 2004/02
  • メディア: 単行本




まんがサイエンス 8 ロボットの来た道


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まんがサイエンス〈7〉「見る」科学 [自然科学]

2001年に発行された、マンガで先端科学を解説する本のシリーズ。
元は「5年の科学」「6年の科学」で連載されていた。
「あさりよしとお」が描いている。
レギュラーキャラは「よしお」くん、「まなぶ」くん、女の子は「あさり」ちゃん「あやめ」ちゃん。
なぜか女子がボケ担当で男子がツッコミというか常識キャラ。

巻頭写真は、すばる望遠鏡。星の誕生と最後。
電子顕微鏡の写真、カメラの写真。

☆「見る」科学
1 テレビ1本「線」勝負!
解説は、テレビの精霊、アノード、グリッド、カソートの宇宙服みたいなレオタード着た3姉妹
登場するときはブラウン管からでてくる。科学まんがだって突っ込まれていた。

人間の目は連続した写真や絵をみせられると動いていると認識してしまう。これを利用したのは映画やアニメーション。
テレビの画面を拡大すると赤・青・緑の四角いブロックの集まりである。
この3色の光の組合せで画面を作っている。本のカラー印刷も同じようにして絵をみせている。
テレビ局にあるカメラの中には「撮像管」という光を電気信号に変えるための装置が入っている。
レンズを通して光電面に映った絵では、明るい部分ほど、電気が発生して、それを電子ビームではしからぬりつぶすように読み取っていく。
1枚の絵を短冊のように細く切り離して、1本のヒモにしてテレビ局から送り出す。
テレビは電子銃で画面に書き込んでいく。
テレビは30分の1秒に1枚水平に525本の光の線をかいて画面をつくっていた。
セーターをほどいて編むのに似ている。
ライトを振ると光の線がみえるのにも似ている。
テレビ画面を写真にとると、ブラウン管の場合は線が入るが、それは1枚かいて次の1枚をかくまでの隙間の画面。
インターレス方式は60分の1秒ずつ半分に分けて絵をかいて、より早く画面をいれかえて画面のちらつきをなくす方式。
ノン・インターレス方式「クリアビジョン」機械でスキマ部分を埋める方法。
ハイビジョン方式は、絵を描く線=走査線を倍に増やして1125本にした方式。

2 ビデオななめ回転のひみつ
解説はビデオの専門家、美出尾平太。頭がビデオカセット。
磁気テープに記録する方法は、音の場合、音色の強さは電気信号の波形に変化させられて、その強弱がテープに書き込まれる。再生するときは、磁気をもう一度電気に変えて読みだす。
絵も書き込むと情報量が多くなるので、テープを早く動かせばいい。
ビデオテープに必要なスピードは1秒間に5.8m。テープの長さは200mなので普通に考えると40秒しか記録できない。でも実際は2-3時間記録できる。
その秘密は機械の中に2個のヘッドが逆向きにとりつけられていて、押し当てられたテープに回転しながら交互に信号を書いていくこと。
高速ではいsる細いテープをコマ切れにして斜めにびっしりはりあわせて幅のある1本のテープにしてるようなもの。これでテープをゆっくり走らせることができる。
これはテレビの仕組みと似ていて、ビデオも信号60本で1秒になるようにできている。
この約束のお蔭で別の機器で再生しても画面がみれる。(この解説はテレビ3姉妹が登場)
回転ヘッドを使ってテープにななめに高速の信号をかきこんでいくのがヘルカル・スキャン方式。
この方法を使うので音楽テープよりたくさんの情報を書き込むことができる。
8ミリやDV、DAT、デジタルマイクロテープもヘリカル・スキャン方式を使っている。
DATはこのおかげでCDより音がいい。

3 大きくはっきり見るために-顕微鏡-
解説は300年前の人類初の微生物を見た顕微鏡。ハエタタキみたいな形で針の先にみたいものをつけて1枚のレンズで見ていた。
ふつうの顕微鏡が1,500倍までしかないのは、人間の目のせい。人間の目は光の反射をとらえるが、光は波で、自分の波より小さいものはうまく反射できないから。
波長の短い光をあてれば反射はするが、人間の目は波長の短い光は見えない。
だから光の波長より小さいものはいくら拡大しても人間の目にはボケボケにしか見えない。
電子顕微鏡は光の代わりに電子を使う。電子銃で光をあててレンズの働きをする磁石を通して蛍光板やフィルムに像を映すのはテレビと同じ。
電子顕微鏡は100万倍から150万倍くらいに拡大できる。
操作型トンネル顕微鏡は、とても細い針の先で見たいものをなぞってその形を知ることができる。見分けられるのは1億分の5ミリ、倍率だと1千倍。
操作型電子顕微鏡は電子の反射をとらえるので倍率は80万倍だがリアルな絵としてみることができる。

4 よく見えるのはどっちの望遠鏡?
解説は宇宙観測の平和を守るパトロールのレンズマン。頭がレンズ。
屈折望遠鏡と反射望遠鏡の違い。
屈折望遠鏡は光をレンズで集める。広い範囲がきれいにみられる。ただ光の屈折率は色によってちがうのを修正するためレンズが高い。
反射望遠鏡は光を凹面鏡で集める。縁のほうはゆがんでしまう。
どちらも集めた光の焦点を接眼鏡(アイピース)という拡大鏡(ルーペ)で覗いているのは同じ。
焦点にフィルムを置くと写真が写る。
よく見えるためにはレンズや鏡が正確に磨かれていること、取り付けが正確であることが大切。
望遠鏡の倍率はA=望遠鏡の焦点距離、B=アイピースの焦点距離とするとA÷Bが倍率となる。
望遠鏡の倍率はその口径できまってしまう。口径の25倍が倍率の限界。それ以上拡大しても見分けられなくなる。光もたりないので画面が暗くなる。
一番きれいに見える倍率は口径×10倍くらい。
ユラユラして見えにくいときは、台がぐらついているか、地球の大気の揺れが考えられる。
光が空気をとおるとき空気がゆるれと光もゆれてしまう、これをシンチレーションと呼ぶ。
このゆれは口径が大きい望遠鏡ほど大きい。

5 「すばる」世界一の望遠鏡
解説は引き続きレンズマン。
この当時の世界最高性能の望遠鏡としてハワイ島マウナケア山の「すばる望遠鏡」が紹介されていた。
標高は4200mで富士山より高い。雲がないし、空気がうすいので、空気による光の乱れが少なくなる。
人間には過酷な環境なので望遠鏡はリモートコントロールで動かしている。
すばる望遠鏡は口径8.2mで一枚鏡では当時の世界最大。
鏡を大きくすると重さでわれてしまったりたわんでしまったりするので、あまり大きくできない。
すばるでは反射鏡の裏側から261本のアクチュエーターという棒でささえてたわみを修正している。
こういった大型望遠鏡はすべて反射望遠鏡だが、理由は1面だけを磨けばいいとか、裏側から重さをささえられるとか、星にあわせて望遠鏡を動かすときも重たい鏡が下における反射式のほうが有利だから。
鏡が大きいほど空気の揺れはおおきくなるが、自分自身が揺れて空気の揺れをうちけしている、さらにドームを風がすり抜けやすく設計して風の渦による空気の揺れを防ぐ、かげろうが出ないように機械の熱を吸い取って外に捨てるシステムもある。
ちなみにハッブル宇宙望遠鏡は空気のないところで観測できるよう、うちあげられた。
こうして観測されたデータで宇宙が膨張していることなどがわかって、科学法則が修正されてきたのである。
ところでハワイなので女の子たちは水着でした。寒いね。

6 -双眼鏡-ひみつのプリズム
解説はシルクハットのソーガン卿と親戚のボーエン卿。
双眼鏡は目で見たままなのに、望遠鏡は上下左右がさかさま。
これは望遠鏡のレンズが光を集める凸レンズだから。
凸レンズは逆に光を広げる。
レンズが光を曲げられるのは、ガラスには光を曲げる性質があり、光の入ってくる角度によってその曲げられ方は変わってくる性質をりようしているから。
曲げられた光を焦点にあつめるが、そのままのぞいても見えない。もう一つの凸レンズで覗くとさかさまに大きく映った像がみえる。これが望遠鏡。
最初はさかさまにならないように凸レンズと凹レンズの組み合わせにしていたが、実用になるのは2-5倍で、それ以上になると見える範囲が狭くなるので、今の望遠鏡の方法が採用された。
これはオペラグラスとよがれる2-3倍の双眼鏡でつかわれている。
普通の双眼鏡は望遠鏡と同じ凹レンズの組み合わせをつかっているが、像をもとに戻すのにガラスの塊をいれている。
光の屈折は入るときだけでなく出るときにもおこる。ある角度から光は外にでれなくなり反射してしまう。これは身近な例として水槽が鏡のようにみえたり、市中の防水時計が反射で読めなくなったりするのと同じ。
このようにガラスの塊で像を戻しているのをプリズム式双眼鏡と呼ぶ。
プリズムのタイプでいろんな双眼鏡がある。
鏡ではなくプリズムを使うのは、鏡が少しではあるが光を吸収してしまうのと角度をきめて組み立てるのが鏡は難しいから。また、同じ面で光を吸収したり反射したりするのは鏡ではできない。プリズムでは内部を光がいろんな方向へ反射したり通ったりしているのだ。
ライフルのスコープは、凸レンズ3枚で像をもとに戻しているが、全体が長くなりすぎるという欠点がある。
双眼鏡の設計は100年前に生まれてからほとんど変わっていない。

7 レンズ付フィルムってAFカメラ?
解説は頭にレンズがいっぱいついているカメラの妖精のお姉さん。カメラ・オブ・スキュラ。
AFカメラはレンズを前後に動かして焦点をあわせている。
使い捨てカメラはレンズを小さくすることで絞りを小さくしたのと同じことをしている。
絞りを小さくすると焦点の位置は広くなる。でも、撮りたいものだけに焦点を絞った写真はとれない。
カメラは「しぼり」と「シャッタースピード」でいろんな撮り方ができる。そのためには正確なピント合わせが必要だが、それを自動でやってくれるのがAFカメラ。

8電子の目でピントをチェック AFのしくみ
解説は引き続き、カメラ・オブ・スキュラ。
カメラがピントを合わせる仕組み。
距離計(レンジファインダー)カメラはカメラの上に距離計がのっていてそれでピントを合わせる。
距離計とは二つの窓から1つものものをみることで距離を測る装置。
一眼レフカメラは、レンズから入った光を鏡で曲げてスクリーンに映してそれを見ながらピントを確認する。とる瞬間は鏡をどける。
AFカメラからは赤外線がでてその反射で距離を測っている。光をレンズを通してあつめ、光の開き方で前に動かすか後ろに動かすかをきめている。このセンサーが横向きなので横シマのものはピントがあわせにくい。これを回避するにはカメラを一度縦にしてピントを合わせるといい。
撮りたいものが遠すぎてAFの光が戻ってこない場合は、センサー部分で像を二つにわけてピントを合わせている。
こうしてAFカメラは気軽に写真をとれるようにしているのだ。

☆飛んでる地球!-公転-
解説は地球の専門家Mrブルー
しし座流星群の場合、秒速40キロくらいで飛んでいる流星のもとに秒速30キロの地球が飛び込んでいくので流星の速度は秒速70キロになる。
流星群が空の一か所から広がるように飛んでいるのも、地球が公転している証拠。雨の日に車で走っていると雪や雨が同じようにみえる。
夜空の星座が、夏にしか見えないものと冬にしか見えないものがあるのも公転の証拠。
さらに決定的だったのが惑星の運動。星座は季節によって東から西へ動くのに、逆走したり静止したりする星があり惑星とよばれた。
これは他の惑星も太陽の周りを公転していると考えると簡単に説明できる。
地球の公転運動を利用しているのが惑星探査機。
スイング・バイと呼ばれる方法で地球の公転のエネルギーを利用して加速している。

☆ハイ(肺)、大きく息をすって!
解説は服部はいぞう。服の形に見えるが、肺のかたちなのか?
吸う息と吐く息では中身は違う。吐く息は一部が二酸化炭素になっている。
吸い込まれた空気は気管から肺に入り、気管から気管支に枝分かれして最後は肺胞というふくろでいきどまりになる。肺胞は1個たったの1万分の2-3ミリで左右の肺で3-6億個ある。酸素のこの肺胞の壁を通り抜けてすぐ外の血管の中に入り込む、酸素は血液に比べてかなり小さい。
酸素をもらった血液は一度心臓に集められた後、心臓の力で全身に送り出される。
そして細胞に酸素を配達して回る。酸素は細胞のなかで栄養分を燃やしてエネルギーをつくるのにつかわれる、そのときできる二酸化炭素のカスも血液が回収する。そして一度心臓に戻り、肺に送られ、二酸化炭素を肺胞に送り出し、再び酸素をもらう。
このシステムを皮膚でなく肺がおこなっているのは面積の違いによるものと説明していた。
肺胞の面積は大人の人間が息を吸ったとき1000平方メートル、体の表面積よりずっと広い。

☆おもちとごはん どこがちがう?
解説はおもちの専門家。モチ田こめ夫。頭は四角いモチで服装は背広。長所はねばり強さ。
もちの原料になるもち米は中に含まれるでんぷんが違う。
でんぷんは水と熱を加えることで結晶がひらいて隙間ができる。これを糊化という。
このときもち米のでんぷんはアミロペクチンという成分でできているが、うるち米のでんぷんにはアミロースがまじっている。
アミロースは1本のヒモのような形をしているが、アミロペクチンは枝分かれした複雑な形をしている。
蒸したもち米をキネなどでついたりこねたりしていると、アミロペクチンの枝がくっついたりからみあったりして元の構造から形がかわっていく。これがもちのねばり。
アミロースがまざっているとこうはならない。
もちになっても糊化はそのままだが、時間がたつとだんだん元の結晶状にもどっていく。これを老化とよぶ。
ただもち米は水を吸収しやすいので老化しても半分は水。だから焼いて熱を加えるとまた糊化して柔らかくなる。
最近ではうるち米ともち米の真ん中の性質をもつ米も開発されている。

☆細胞内探検ツアー
解説は細胞隆盛。もろに細胞の形に手足が生えている。
なぜか4人は潜水艦みたいなものにのって体内の細胞内探検ツアー中である。
細胞は生き物をつくるもっとも小さなブロック。人間の場合60兆ある。
普通の細胞ではだいたい20分の1㎜。それがある規則にそって集まって人間という巨大な生き物に合体している。
大昔の生き物はみんな1個の細胞だけで生きていた。それが何十億年もかけて進化した。
細胞がよいあつまっても規則正しく働くのは、細胞同士が連絡をとっていることと、同じ設計図=DNAをもっているから。
DNAは太さが百万分の2㎜くらいしかないが長さが1.7mもある。人間一人で1000億㎞以上。
ここに人間の設計図を2本のらせん間の4種類の物質で暗号にして記録している。
細胞がDNAの指令で動く方法。
・核の中でDNAがRNAというコピーを作る
・コピーが核から外にでる
・RNAはリボソームに向かい、そこで読み取られタンパク質が作られる。リボソームは工場。
・小胞体は集荷センター、ゴルジ体は配送センター。
・発電所はミトコンドリア、ここでは酸素と糖を使ってATPというエネルギー源を生み出す。
こういった仕事をするほかに細胞は分裂して増えたりする。
分裂しない神経細胞や核がなくてあとは死ぬだけの赤血球などもある。
形や機能もいろいろな精密機械。
精密機械なので、特にDNAはエラーがおきやすい。それががん細胞。

☆光る標識!?
解説は、夜中野レフレク太。顔と体は駐車停止の標識。
夜に光る謎の標識を確認しに来た4人の前で解説。
光の反射には「鏡面反射」のほかに「乱反射」がある。乱反射は当たった光がてんでバラバラの方向に散ってしまう。
乱反射は表面がザラザラしたもの、そのへんのすべてのもので起こる。
夜に光る標識は「再帰性反射」をしている。これは入ってきた光が同じ方向にかえる反射。
この反射を起こすために、表面に直径0.01m程度の細かいガラスビーズがちりばめられている。光はビーズにあたって屈折してビーズの奥にすすみ、アルミ膜で反射してビーズをでるとき再び屈折、入ってきた方向へ出ていき、照らしたものだけに光って見える標識ができる。
4人が懐中電灯で照らした時は、実は光は懐中電灯にかえっていた、懐中電灯を目のそばにもってっくると光ってみえる。
この再帰性反射は最初センターラインに使われたが、踏まれると見えにくくなるので道路標識に採用された。
ただむき出しだと雨水で能力がおちるのでプラスチック膜でコーディングしたものが使われている。
現在ではさらに改良されたカプセルレンズタイプの反射シートがつくられている。表面が細かい6角形になっているので、道路標識をよく見るとわかる。
この反射シートは60年前から作られていて、道路工事の人の直帰ラインや、大型トラックの荷台脇のライン、自転車の反射板などに利用されている。

最後に作品リストが乗っていた。

読んだのはこちらですが、

まんがサイエンス〈7〉「見る」科学

まんがサイエンス〈7〉「見る」科学

  • 作者: あさり よしとお
  • 出版社/メーカー: 学習研究社
  • 発売日: 2004/02
  • メディア: 単行本



Kindle版もあるようです。


まんがサイエンス 7 「見る」科学


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まんがサイエンス〈6〉夢はなぜ見る?ほか [自然科学]

1994年に発行された翼の、マンガで先端科学を解説する本のシリーズ。
元は「5年の科学」「6年の科学」で連載されていた。
「あさりよしとお」が描いている。
レギュラーキャラは「よしお」くん、「まなぶ」くん、女の子は「あさり」ちゃん「あやめ」ちゃん。
極端発言のあやめちゃんキャラは健在、あさりちゃんもさらっとボケるの担当。

巻頭で取材した写真が載っていた。
表面効果翼艇という、空を飛ぶ船というイメージの乗り物を解説。
これは海面近くを飛行し、翼の地面効果により翼効率の向上を狙った乗り物。WISEと略される。
研究は1930年代にはじまり、この時点ではロシアのWISE「エクラノプラン」が全長100m重量540トンの実験艇で成功している。
日本のWISEは1960年代にはじまったが、いったんとん挫。
1980年代後半に鳥取大学の久保昇三教授のアイデアを三菱重工業が具体化した実験艇「ミュースカイ1」を開発。
1900年には2人乗りレジャー艇「ミュースカイ2」は公開された。
WISEは速度は船舶より早いが、輸送量はおとり、飛行機より速度は速いが輸送量はまさる。
巻末付録にWISEの模型がついていた。

☆不死身の怪物!?クマムシ
解説は巨大クマムシ。
暑くても水がなくても生き続けるしぶとい生き物。
アフリカの乾季に干上がる川に住むメダカは、卵の状態でほんのわずかな湿り気をたよりに乾季をのりきる。
ミジンコは普通はメスだけが卵を産み、メスだけで増えるが、環境が悪くなるとオスも生まれて、特別な卵をつくる。この卵は氷漬けになっても生きられる。
アリジゴクは真夏の炎天下水一滴もなしで、2週間以上生きる。エサが足りなくて成虫になれないときも2-3年冬を越して生き続ける。
ニホントゲクマムシは、世界中にいる体調㎜以下の、植物の汁を吸って生きる生物で、似ている生物がいない。
150度の暑さに耐え、-250度に耐え、真空でも生きられるタフな生物である。
人間の1000倍の放射線許容量を持ち、完全な乾燥状態でも生き続ける。
クマムシは水分を失うとカプセルのような形(クリプトビオシス)に変身して、あらゆる環境に耐える。
記録では120年前のコケの中にいたクマムシに水分を与えると活動を再開したという。復活後2-3分でしんじゃったけど。
ただし、人間がマネしようとしても体の構造が複雑なんでミイラになっちゃっうだけです。


☆おなかの中は細菌の世界!?
解説は腸内細菌の専門家ビフィズス菌太郎。
細菌とは、微生物の代表格で、大きさは5ミクロンから0.3ミクロンくらい、千分の5㎜から1万分の3㎜というごく小さな単細胞生物。
高度1万8千㎞の成層圏から深さ1万2千mの深海まで、どこにでもいる。
種類がすごく多くて、それぞれが一番得意な場所にすみついている。
形や能力も種類がすごく多い。
細菌のなかには空気が好きな好気性菌とないほうが好きな嫌気性菌がある。これは地球に酸素がなかった時代から細菌がいたためである。
人間に害になるもの、赤痢菌、コレラ菌、ペスト菌、破傷風菌など、人間の体に入り込んで増えるものと。ボツリヌス菌のように食べ物にくっついて増えて、それを食べることで食中毒をおこさせるものがある。
一方でいろんな薬やモノを作り出す役に立つモノもある。
一番身近でおなかの中に住んでいるビフィズス菌は、人間の腸に住む細菌の中でも有力な菌。
乳酸桿菌とともに役にたつ善玉菌の代表である。
ふつーの人間は腸の中に100種類、100兆の菌がいるといわれている。ウンコの半分は菌でできている。
ビフィズス菌は悪玉菌の代表ウェルシュ菌をやっつけてくれる。
ウェルシュ菌は加齢や肉食などで増える。


☆腸内細菌は健康のもと
解説は前回に続きビフィズス菌太郎。町内会長もやっているそうです。
肉を食べ続けるとウェルシュ菌が増えてウンコやおならが臭くなるが、それは有害物質が増えているから。
増えた有害物質の一部は体内に吸収されて、がんの発生を助けたりする。
普通は肝臓が毒素を分解してくれているが、あまり酷使すると疲れて処理しきれなくなって、有害物質が全身にまわってしまう。
ビフィズス菌は悪玉菌がきないな乳酸や酢酸をつくって悪玉菌を減らしてくれる。
乳酸や酢酸は腸の活動を活発にするので便秘が解消する。そうすると有害物質も早く排泄される。
ビフィズス菌にも長い間腸にすみつくものと、すぐに出るタイプがある。加齢でビフィズス菌は減る。他にも食べ物などの腸内環境の変化で悪玉菌と善玉菌の比率は変わってくる。
腸の中をよい状態にしたければ善玉菌を補給し続けたほうがよい。
オリゴ糖は、ビフィズス菌の大好物で、増やしてくれる。また虫歯菌はオリゴ糖を食べられない。人間も消化できないので大腸まで届く。
ゴボウや玉ねぎにもオリゴ糖が含まれている。
牛乳やヨーグルトに含まれる乳糖もビフィズス菌を増やす。
他にも善玉菌はほどよく免疫と戦い鍛えてくれる。
腸の悪玉菌を直接やっつけるなど、善玉菌がいると全体に長生きできる。


☆津波パワーの正体は?
解説は海の専門家、人魚姫のアリエル。めずらしくきれいなお姉さんが登場。
津波とは、津(港)だけがやられる変わった波という意味で、沖に出ていると津波が通ったことにさえ気が付かない。

ふつうの波の始まりは、水面に風がふきつけて、水面が盛り上がって始まる。
風に吹かれ続けると、だんだん大きく、間隔も長くなっていって、風がやんでも一定のうねりとなって水面をずっと伝わっていく。
でも水そのものは移動していない。ヒモをパタパタするようなもので、水自体はその場で円を描くように動いて、エネルギーだけを伝えている。
そうじゃないと海の水はみんな陸にあがってきてしまう。
波が海岸に近づくとそこが浅くなり、波のスピードが落ちて、波長が短く、波高は高くなり、最後は岸に打ち上げる。

津波は基本的に同じ原理だが、「波長」が長い。
普通の波は数mから数十mだが、津波は100㎞を超える。
でも波高はせいぜい1mなので沖にいると気が付かない。
津波ができるのは地震による海底の断層。
深さ4000mの海(世界の海の深さの平均)では、津波のスピードは時速700㎞以上、ジェット機並み。
海岸に近づくとスピードは落ちるが波高が高くなり、深さが10mでは波高は4mになる。
普通の波はこれくらいのものもあるが、津波は水の量が違う。後ろに何㎞も水が続いている。
地形などの条件によっては津波は甚大な被害をもたらすことになる。
たった1mの波高でやってきた波が、ときには30mを超す巨大津波になることも。
押し寄せる津波も怖いが、引いていく時も強いので注意が必要だ。

地震以外にも、海底火山の噴火や沿岸の海底の巨大土砂崩れ、台風などの低気圧が海面を吸い上げるなどの原因で津波が起こることがある。
特に日本は、津波のエネルギーが閉じ込められて逃げにくい日本海。
波が立ち上がりやすいリアス式海岸。
太平洋の反対側の津波がハワイでレンズのように集められて日本にやってくるなどの条件が重なって、注意が必要だ。
遠くの地震で発生した津波が押し寄せることもある。
津波注意報がでたら海岸から離れるのが一番の対策だ。


☆銀はキンよりも強し!!
解説は、悪魔を滅ぼす銀の女神シルビア。おお、二回連続できれいなお姉さんだ!
キャラのみなさんは「これは、科学まんがです」って突っ込んでいたけど。

ワサビやからし、ニンニクなどの食べ物に菌を殺す成分があることは昔からわかっていた。
オキシフルに含まれる酸素、空気中にある酸素やその仲間のオゾンにも菌を殺す力がある。
水銀も防腐剤として有効で(人間には有害)2000年前のミイラがくさらなかったのはコレのおかげだという。
銅にも殺菌作用があって、戦争中に銅でコーティングした弾で撃たれた兵士のほうが生き残る確率が高かったという。

金・銀・銅は、伸びやすく、電気を通しやすく、熱を伝えやすい。そして菌を殺す力ももっている。
銅はさびるとよわい毒性をだすし、金は玉水にしかとけなくて加工しにくい。
そこで銀が抗菌剤に選ばれた。
抗菌剤の正体はゼオライトという四角い箱のような物質の中に、銀の原子が入り込んだもの。
銀は普通はいくつか合体しているが、ゼオライトの中にいるとばらばらになっていて、菌がやってくるとそのイオウと結びつく。
菌は食べたものをイオウと合体させて体の材料にするので、銀がくっついていると増えられなって死んでしまう。
これは銅も金も水銀も同じ。
人間は菌と違って体をつくるのにイオウを使っていないので害はない。

でも、菌は地球上のどこにでもいっぱいいるので、周りまでは殺菌してくれない。
普段の手洗いなどの衛星がやはり大事。


☆オシッコはどうして出るの?
解説は、オシッコの専門家。押子ジンゾー。腎臓が頭になっていて、両方の腎臓に目がついている変な怪人。
せっかくきれいなお姉さん路線になったと思ったのに・・・

オシッコとウンコの違いは、ウンコは体の外を通るもの。オシッコは体のなかのものという大きな違いがある。
人間の体のなかからでたばかりのオシッコには、病気をしていない限りは、はばい菌はいない。
体の内側には免疫があってばい菌ははいれないためである。

人間の体には、いくつかの場所で外とやりとりをしている。
杯、腸、肛門、腎臓、ぼうこうなどである。
腎臓は根フロント呼ばれるものが約100万個あつまってできている臓器で、ここでは血液から不要なものや水分をこしだしている。
左右あわせて200万個の根フロンから大人で一日200リットルほどの不要物をこしだしている。
ただし、尿細管で必要な水分と栄養分を吸収して残りをオシッコにするので、量は1日1リットルくらいになる。
水をたくさん飲んだ時や暑いとき、体のなかの水分を調整しているのは尿細管での吸収である。
宇宙では血液が頭に上るので、脳が水分が多いと判断してオシッコが増えることがあるという。

人間の体の70%は水でできていて、水に浮かんでいるようなもの。
人間は水に溶けるものしか吸収できない。
大切な水の量を調節し、ゴミをとりのぞいているのが腎臓なので、壊れるとたちまち体の中の水はにごりはじめ、放っておくと死んでしまう。オシッコがでなくなるのは本当の非常事態。その前にオシッコを観察して体のなかの様子を観察できる。


☆折れ曲がった翼は、何のため!?
解説は飛行機の専門家、ジャンボ・ジェット・尾崎。もろにジャンボジェット・・・

飛行機は翼があるから飛べる。
タコと同じように揚力を機体でうけると、空気抵抗もあって前にすすめない。
空気抵抗は表面にそってねばりつく性質がある。
翼が少し角度があることで、翼の前の縁をまわりこむ空気は流れは大きく加速させる。
空気の流れが速いと圧力がサガうので翼は圧力の低いうえに引き寄せられる。
こうして飛行機は上向きの力をえていたのだ。

上下の空気の流れ速度の差があることから、翼の芯がなくなる端っこでは、圧力の高い下側から圧力の低い上側にくうきが巻き込んで渦がはっせいする。
両側の翼から発生する渦は翼を後方に引っ張り飛行の邪魔をする(誘導抵抗)
大きな飛行機ほど渦もつよくなるので、小型機はまきこまれると墜落することもある。
この邪魔な渦を発生させないようにするのが、翼の先端の折り曲げ=ウィングレッドである。

渦は細かく巻くものほど吸い込む力が強いので、ウィングレッドでうずを大きくゆるやかに散らして、吸い込む力をごく小さくしてしまうわけ。しかもウィングレットも浮き上がる力を稼いでくれるので一石二鳥。
ウィングレットのお蔭で燃料が3%節約できたので、東京ーワシントンのノンストップ便が実現した。
ただし近距離では違いがでにくいのでつけていないものもある。

翼の角度をあげると揚力(浮き上がる力)はつよくなるが、空気抵抗は増え、最後には空気が貼りつこうとする力を超えてしまう。
この状態を失速といって、飛ぶことができなくなる。
つまり、条件さえなければ翼がなくても飛行機は飛ぶんだね。


☆銀行ロボット!?ATMのひみつ
よしおくんが銀行のATMの前で悩んでいると、みんなが「銀行強盗?」と突っ込む「つかみ」から始まる。
すると、CD呼ばわりされたATMが怒り出し、自分は預金の引き出しだけでなく、お金の預け入れや通帳記入もできるATMだと騒ぎ出す。解説は彼がしてくれる。

ATMは銀行の窓口でやっていることを代わりにやってくれる銀行ロボット。
画面にさわると表示が出るしくみは、画面のワクの細い隙間にとりつけられたセンサー。
または画面の上に透明でやわらかい2枚のフィルムを置いたタイプでフィルムの内側に電気を通す物質が網の目のように張り付けてあり、押すことで電気が流れる仕組みのものもある。
フィルムだと汚れたり傷ついたりするので、光センサーが主流になりつつある。
これも最初はただの金庫に暗証番号がついたみたいだったのが、ボタンになり、テレビ画面になりと進化してきた。
昔は一定の金額しかおろせなかったのが、好きな金額をおろせて、記帳ができと、どんどん人間の要望にあわせて現在の形になった。
かなりのことができるようになったが、まだ人間の窓口にはかなわない。
特に中にお金がなくなると機能しなくなるので、今では裏方ロボットがお金をいれてまわっているところもあるそうだ。


☆はずみ車がバッテリー!?
解説は、「一次」「二次」の電池兄弟じゃなくて、はずみ車(フライホイール)。
はずみ車は、おもちゃなどに使われているメカで、おもりの円盤が一度回り始めるとなかなか止まらないことを利用した力を蓄える装置。
止まっているものは動きにくく、動いているものは止めにくいという慣性の法則を利用している。

電気自動車でははずみ車に電気を蓄えて、モーターで走る。
モーターと発電機は鏡の関係。発電機を回すと電気をうみ、モーターは電気を加えることで力(回転)を生み出す。
電気自動車のはずみ車の中には磁石が、ふたにはコイルがとりつけられていて、モーターと発電機の両方をかねている。
コイルに電気を流すと内部のはずみ車が周りだし、今度は回転を利用して電気を起こす。
はずみ車は電気を「回転」で蓄え、回転を再び電気に戻すフライホイール・バッテリーなのである。
わざわざ回転を電気に変えるのは、はずみ車をどこにも触らない構造につくって力を無駄にしないため、そのためはずみ車を小さくできる。
電気に変えるなら、はずみ車の回転数がおおければそれでいいし、1個は小さくてもたくさん積んでコードでつなげば大きいのを積んだのと同じことになる。
はずみ車が接触しないので寿命も長い。普通のバッテリーは数百回の充電でダメになるが、フライホイール・バッテリーなら10万回は充電できる。
同じ重さで貯められるエネルギーはバッテリーの3倍以上、これは5倍くらいまで強化できそう。
ただ、ガソリンに比べると思いが、車体全体ならいい勝負になる。
時速100㎞に加速するのに約7秒。1回の充電で500㎞以上走れる。普通のガソリン車に迫る性能である。
そして排気ガスはでない。
ただ、高速で回転させると遠心力で壊れるので昔は実用化が難しかった。
現在は強く軽い炭素繊維製のはずみ車などをつかっている。
この仕組みは揚水発電所と似ている。


☆一次電池と二次電池!?
解説は、前回ちらっとでてきた電池一次郎と二次郎の兄弟。
電気とは、原子の間で電子が動くこと。電線の材料はたいてい銅なのだが、銅は電子が29個で一番外側をまわっているの電子は1個だけでバランスが悪い、だから電気を通しやすい。銅の電子はその場から動かないが、飛び込んできた電子をとなりの銅に渡すという繰り返しで電気を通している。
電池はマイナスから電子をだして、プラスからいれている仕組み。
もっとも簡単な電池はミカンに亜鉛板と銅板を刺すとつくれる。
亜鉛がマイナス極、銅がプラス極、ミカンの汁が電解液になるのだ。
電解液は水になにか溶けて電気を通せるようになった液体のこと。
電解液に亜鉛板をいれると亜鉛がバラバラになって電解液に溶ける。このときマイナスの電子を残していく。一方でプラス極の銅板では亜鉛の置いていった電子がやってきて電解液の中の水素を結びついて安定な水素ガスになる。だから亜鉛が溶け終わるまで電気は流れる。
実際の電池では、材料は違うが同じ原理で動く。ちなみにアルカリとマンガンの違いは電解液が違うこと。
また、亜鉛に電気を通しても、亜鉛はもとに戻らないので、アルカリ電池やマンガン電池は充電したら危険。
二次電池は電気を流すと元にもどる材料をつかっている。
ニッッケル・カドミウムが代表だが、これだと、電気を出しながらお互い違う物質に変化して、電気を通すと元に戻る。
材料によって、ニッケル・水素電池(ビデオカメラのバッテリ)、鉛(車のバッテリ)、リチウムイオン(ノートパソコンや携帯電話)があり、使い分けられている。
ただし二次電池は、買ってきてすぐ使えないし、電気のないところでは充電できない。

☆どちらが長生き!? ゾウとネズミ
解説はタマ(あやめちゃんの飼っていたネコが化けてでたらしい)科学まんがなのにってつっこまれていたけど。

哺乳類では、呼吸は5億回、心臓の鼓動は20億回で寿命がくるという説がある。
小さな生物はセカセカ動き、おおきな動物はゆっくり動く。生きているペースがちがうだけで、一生にやれることは変わらない。
小さな生物がセカセカ動くのは熱が逃げるのが早いから。大きな生物のほうが表面積だけは大きいが、体積は表面積より10倍増えているので熱が奪われにくい(コップのお湯はお風呂のお湯より冷めにくい)
体の大きな生物ほど、体重に比べて食べる量は少ないが、モグラなどは一日で自分の体重分食べる。
大きな生物はスタートダッシュでは小さな生物にかなわないし、寿命が長いので環境が激変すると適応できないことがある。
どんな生物も自分の時間を精一杯生きている。寿命が短いからかわいそうとは言えない。


☆夢はなぜ見る?
解説は狂いドレスの夢の女王。多分頭についているのは眠り草?

実験では11日間起きていたという記録がある。(ただし、3日目くらいから幻覚や幻聴はしたらしい)
人間は寝なくても体は大丈夫らしい、ただし脳は違う。
実験中に起きているはずなのに、寝ているときの脳波が観察された。本人が起きているつもりでも脳は勝手に眠ってしまうらしい。
どうして眠らないといけないかは、はっきりしていないが、夜間はエサを探せないので無駄なエネルギーを使わなくなったのではという仮説がある。
あと、脳の大脳新皮質は急に進化したので休みが必要だからとう説もある。
眠りには体まで眠っているノンレム睡眠と、目がさめる直前で体もほとんどおきているのと変わらないレム睡眠がある。
夢は浅いノンレム睡眠と、レム睡眠のとき見る。このとき新しい外側の脳は眠っているが、古い内側の脳はおきている。
普段は外側の脳が記憶や考えを統制しているが、夢をみるときは古い脳が勝手にはたらくので昔の記憶からいろんなものが引っ張り出されて夢になる。古い脳はすべてを記憶しているので、夢で思い出そうとしても思い出せないことを思い出したり、発明や発見のきっかけを持つ人は多い。」
という解説をあやめちゃんの夢オチでやっていた。


☆より速く、より多く
解説は、でてくる船たちがやっていました。

船は何万トンもの荷物を運べるけど、速度はだいたい時速40~50㎞。
飛行機は速いけど、詰めるのはせいぜい250トン。
船は水に浮いているからたくさん荷物が載せられるけど、いざ動くとなると水の抵抗が邪魔をする。
水中翼船は、飛行機と同じで翼で船体を持ち上げる。水に浮くというより、水の中を飛ぶかんじ。
水の抵抗を受ける部分が少ないので時速80㎞はだせる。
ホバークラフトは船体が水にはいらないので、もっと速い。
でもそうなると重い荷物は積めない。

TSL(テクノスーパーライナー)飛翔と疾風は、スピードと荷物を両立するために考えられた。
疾風は水中翼船だが、水中に翼だけでなく第2の船体をもっているので浮力がえられ、荷物も積める。時速は90㎞まで出せる。
飛翔は双胴船。二つの船体をつなげた船で間の空いているところに空気を送って船体を持ち上げるのだが、ホバークラフトと違って水に沈む部分があるのでその分荷物がつめて、水の抵抗もおさえられる。こちらも時速90㎞はでる。

地面(水面)効果機 エクラノプランは地面すれすれを飛ぶことで大きな揚力が得られるマシン。
時速500㎞はでるけど、船並の荷物は載せられない。でも飛行機よりは積めるんだって。


☆とけた食塩はどこに消えた?
これ、記念すべき第1回目の作品なのだそうです。

水は小さく分けていくと、それ以上分けられない水分子になる。
コップ一杯の中に水分子は6兆の1兆倍も入っている。
食塩は規則正しい結晶になっているが、もっと拡大すると水分子と同じくらいの大きさの2種類の電気をもったつぶでできている。
この粒が1種類はプラス、1種類はマイナスになっていて、引き合いながら規則正しくならびあっている。
水分子も普段は食塩のように電気をもってひきあったり反発したりしている。
温度が下がるときちんと並んで氷になり、熱を加えると動きが速くなりばらばらに飛び出すのが水蒸気。
水分子がコップの中を動き回っている速度は時速720㎞。
これが食塩の結晶にぶつかると、食塩はばらばらになり、水分子がそれにくっついてコップ全体にちらばり、見えなくなる。
食塩を大量にいれると、くっつく水分子が足りなくなって食塩が残る。
食塩水を熱すると、水は水蒸気になって食塩の粒をのこしたまま飛んで行ってしまい、食塩が残る。
そして元通り粒がくっついて目に見える大きさになる。
地球上の海水中にとけている塩を全部取り出すと、地球を約35㎝の暑さでとりまくといわれているそうだ。


まんがサイエンス〈6〉夢はなぜ見る?ほか

まんがサイエンス〈6〉夢はなぜ見る?ほか

  • 作者: あさり よしとお
  • 出版社/メーカー: 学習研究社
  • 発売日: 2004/02
  • メディア: 単行本



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