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意志力の科学 [思考]

1意志力の量には限りがあり、それは使うことで消耗する。
2すべての種類の行動に用いられる意志力の出どころは一つである。

意志力を使用するカテゴリー大きく4つ
1思考のコントロール

2感情のコントロール

3衝動のコントロール
 (正確には衝動が起きたあとのコントロール)

4パフォーマンス・コントロール
 (取り組んでいる作業に没頭する、やり通す)

意志力の元になるのはグルコース。

ただし、砂糖は急激に血糖値をあげてしまい、
下がったときに、人を消耗させるのでGI値の低いものがよい。

具合が悪い時は、免疫システムがグルコースを使っている。
なので、風邪で運転するのは、ほろ酔いでするより危険。


対立する目標は、意志力を消耗させる。
長期的な目標と短期的な目標は一致させる必要がある。

短期的な目標を守ると、長期的な目標に結び付くようにする。

実験では、勉強の計画は1か月ごとにたてたグループが
一番進歩した。
毎日の勉強を計画するのは大変だし、守れないとおちこむが
1か月だとリカバリーも可能なせいらしい。
それより長い計画では、効果がおちた。

やりかけの仕事は、私たちの意志力を奪う。

面白いことに、実際に仕事を終わらせなくても、
詳細な計画をたてるだけで、意志力の消耗は減る。

私たちがやりかけの仕事を思い出すのは、
無意識の脳が、意識のある脳に「やり方を決めてくれ!」
といっているらしい。

なので、「どうやるのか」詳細な計画をたてるだけで、
無意識の脳は騒ぐのをやめてくれる。

これをザイガルニック効果という。
(別名 頭のなかのサルを追い出す)

やりかけの仕事を全部書きだすだけで効果がある。
また、行動は具体的な方が効果がある。

お礼のカードを書く。
 カードを買う
 ペンを用意する(なかったから買う)
 紙にお礼を書く
 封筒にいれる
  ・
  ・
  ・
単に「お礼のカードを書く」だと、
カードがない場合は、無意識に脳がその行動を避けようとする。

実際にやらなくても、計画をたてるだけで効果がある。



「決定すること」は私たちの意志力を奪う。
「選択肢が多い」と決定できない。
他のことを捨てることになるからだ。

衝動買い、不合理な決定。
スキャンダルになる行動。

これらは決定疲れで意志力がなくなっておきる。

なお、魅力的な女性の写真をみた男性は、
短絡的な選択をすることがわかっている。

車を買うときは、隣の美女ではなく金銭に目をむけよう。


自己認識が進化したのは、自己コントロールを高めるため。
集団で生活するには社会規範に従うことが生存可能性を高めるためだ。

鏡のある状態で、人は自己制御に成功しやすいことが、
実験でわかっている。

また、活動を数値で記録すると自己制御が高まる。
昔は日記と時計だったが、今はネット上のサービスがある。
ミントコムなど。

また、記録を友人と共有すると、
さらに自己コントロールを強化できる。

ミントコムで、あなたが「極端なけち」だとわかったら、
浪費家より注意が必要だ。(こういう人は浪費家より多い)

この人たちはお金を手放す恐怖から、現在がみえなくなり、
時間や友人関係を犠牲にして、人生の質を落としてしまい、
後悔する、という研究結果がでている。


意志力を鍛える実験で効果があったのは、
・意識して姿勢を正す
・食べた物を記録する
などだった。

これらの行動を2週間続けると、
意志力の消耗がおきたときでも、
自己コントロールを失うのが遅くなる。

つまり意志力のスタミナがついたのだ。

ちなみに「姿勢を正す」が、最も効果があった。
ポイントは、「習慣的な行動を変えること」

時間を区切ったりして利き手を変えてみるのもいいし、
略語を使わないように話し方を変えてみるのもいい。

そして、意志力を使って、一つの目標にまい進すると、
他のこともうまくいくこともわかってきた。

実験の途中で意志力実験をすると、
やはりスタミナがついて、意志力が消耗した状態でも、
自己コントロールを発揮しやすくなっていた。


長期的に自己コントロールを持つ方法
探検家ヘンリー・モートン・スタンリーを例に。

感情移入ギャップ
冷静で理性的で穏やかな心境のときは、
劇場にかられ誘惑に取り囲まれて、熱くなっているとき
どう行動するか理解できない。
「空腹でないときにダイエットを誓うのは簡単」

アフリカで極限状態にあるとき、
スタンリーはどのように意志力を発揮したのか?
・髭剃り
・自分の使命に集中する事
・それを外部にいうこと

まず、意志力を使って意志力を強化する習慣をもつ。
習慣化することで、それがずっと自己制御にプラスになるという
循環を生む。(髭剃り、詳細な日記など)

思考を高レベルに保つ。
宗教を信じている人の自己コントロールは高い。
宗教でなくても、自分より大きななにか、
使命とか、務めと行動が結びついていること。

そして、それを共有する仲間や、
発表して外部化しておくこと。

これらが長期的な自己コントロールに効果がある。

高レベルな思考とは、長期的な目標をすえた抽象的な思考と定義できる。
「なぜ=HWY」は思考を高いところへ押し上げ、将来に目をむけさせ、
「どうやって=HOW」は思考を低くして、今現在のことを考えさせる。

「歌手は何の例か?」(高)
「歌手の例といえば?」(低)


AA(アルコール中毒者更生会)の活動は、
仕事の後あつまって、お互いの話をきくこと。
(批判したり、意見をいったりしない)
12ステップ・プログラムに従うこと。
毎日連絡をとる支援者をもつなど。

これだけで、他の医療機関などのプログラム並みに効果がある。

今日1日酒をのまないだけで、認めてもらえる仲間がいる安心感。
仲間からの監視。
かれらに目標を公表すること。
これらが、結果として「酒をのまない」という選択をさせるらしい。

「背筋を伸ばして座る」のようなよい習慣がつくことと
仲間からの監視がポイントなのだ。

これは宗教でも同じ効果がある。

だがパブやカクテルを目の前にしたとき、
誘惑が強くなる。
そして1杯飲んでしまうと歯止めが効かなくなる。

「明確な一線」
適度な飲酒というのは、ルールが不明確だ。
どんなときでも全面的に禁酒なら明確だ。

「明確な一線」は、(ダイエット以外なら)
多くの状況でうまいく。
ルールを決めて、今従えば、将来の自分もルールに従うと自信がもてる。

ルールを聖なるもの=神の掟や人知をこえた絶対的な法だと思うと、
将来の自分が、それを守るだろうと思う理由が増える。

信じる力が自己コントロールの一つの形になるのだ。

エリック・クラプトンは「酒を飲みたい」という衝動にかられ、
神に助けを求めた。すると衝動は消えてしまった。
それから彼は、息子が死んだときにさえ、飲酒をしなかった。

このエピソードを聞いた、AA参加者の女性は、
「子どもに何かあったら、酒を飲んでもいいという考えが
間違っているとわかった」といった。



教育の分野では、
自尊心がもてはやされたことがあった。

その理由は、
成績のよい生徒ほど自尊心が高かったからだ。

しかし、これは因果関係が逆らしい。

実は、成績のよい生徒は自己コントロールができている。
なので、結果として自尊心も高くなるのだ。

成績の悪い生徒の自尊心を高める働きかけをしても
成績はあがらず、むしろ悪くなっていた。

何もなしとげていない子どもを褒めることは
よい結果につながらないばかりか、悪影響があるらしい。

必要なのは自制心のほうで、
罰や褒美はルールにのっとて与えるべきなのである。

自己コントロールを身に着けた子どもは
よい成績をとり
収入のよい職につき
犯罪歴がなく
健康に
人生を送る確率が高くなる。

これらは「マシュマロテスト」の
追跡調査などからわかった。

※「マシュマロテスト」
幼児の前に皿に乗ったマシュマロを置いて

「私が戻ってくるまで、食べなかったから
もう1個あげる」

と告げて外にでて30分後に戻る。
2個もらえた子は、自制心が強いというわけだ。


罰を与えるときは、重さよりも早さ。
重い罰は、よいことを奨励するより、人生は厳しいという教訓になってしまう。

親にはルールを守る規律(一貫性)が必要。

それなしに、子どもを肯定しても、
子どもに自己コントロールは身につかない。

報酬(お金やモノ)を与えると、
「楽しいから勉強する」という動機を奪うという説がある。

筆者の考えでは、
仕事に精をだして金銭を受け取るのは当然の事実で、
成績をとってお金をもらうのは準備としていいのでは?

また、金銭をうけとったからといって
「仕事が楽しい」という気持ちが損なわれていないと思う。

適切な時期に大人からの監視(働きかけ)をうけた子どもは、
監視がなくなってからも、自己コントロールが発揮しやすい。

「見守る目」が少ないシングルの家庭の子どもは、この点で不利だ。

また、ゲームは自制心を養うのに効果がある。
子どもたちは、新入りとしてゲームをはじめ、
努力してウデをあげたり、お金をためてアイテムを買う。

最初から、「キミはなんでもできるよ!」なんてゲームは
つまらないだろう。


自己コントロールの高い人でも、
ダイエットについてだけは、それほどの成果の違いを生むことができない。

これは食べることが生命維持と結びついているためである。

自己コントロールの高い人は、意志の力で
運動したり、食べる量や時間をコントロールできる。
なので、しばらくは結果がだせる。

しかし、意志の力は有限なので、
他のことをすれば、食欲コントロールの能力は下がる。
つまり、いつかは食欲に負けてしまう日がくる。

ダイエット中の人は、常に「食べること」のルールをもっている。
そのルールを一度でもやぶると、

「もう今日のダイエットは失敗だ!どうにでもなれ!」

と、たくさん食べてしまうことがわかっている。

そのうえ、体は「欲しい時に食べてもらえない」という状態を
長い間経験することで、

「何か入ってきたら、最大限栄養にして蓄えよう!」

というモードに入っているので、
以前と同じ量を食べただけでも体重は増えるようになっている。

人間は、もともと適正な量を食べると食べ物を欲しがらなくなる。
しかし、この能力は学齢に達するころから失われ始める。

ダイエットをすると、この能力はもっと下がる。
体のシグナルではなく、時計やスケジュールに従って食事をするからだ。

食べ始めと食べ終わりのシグナルは結びついているので、
空腹で食べる、満足してやめるというサイクルが回らなくなる。

これらを踏まえたうえで、できるアドバイスは
・ダイエットをしない
・チョコレートを断つという誓いはたてない
・自分を評価するときも他人を評価するときも、肥満と意志力の弱さを一緒にしない

とはいえ、食欲のままに食べればいいというわけではない。

「食べない」という方向に意志力を使わないこと。

まず、食べ物を手の届かないところに置くなど、
環境を変えることに意志力を使う。

パーティーに行くなどのときは、事前に戦略をたてる
「野菜と赤身の肉だけは食べる」
「フライドポテトだけは食べない」

あるいはブックメーカーなどで、賭けをする。

ポイントは意志力があるときにプリコメットメント(事前約束)をすること。
そして、監視があること。

毎日体重や食べた物を記録すると
カロリー摂取が少なくなることがわかっている。

また、食べ物をよく観察すること。
ダイエットと書いてあると、イメージでカロリーを控えたと思っていたりする。
また、食べるときテレビをみたり、友人と話したりすると、
食べ物から注意がそれるので、普段より沢山たべることがわかっている。

意志力にはグルコースが必要なことも覚えておかないといけない。
なので、意志力が下がると人間は甘いものが欲しくなるようにできているのだ。

意志力が下がると、感情を強く感じるようになるので、
この欲求は強力だ。

対抗する防衛戦略として「お楽しみは後回し」戦略がある。

・一定時間まっても、まだ食べたかったら食べる。
 (ただし、小さなデザートにする。大量の砂糖は意志力の回復に必要ない)

・甘くない、GI値の低い食べ物を食べる
 (健康的な食べ物からでも、砂糖ほど早くはないが、意志力は回復できる)



意志力の強い人ほど誘惑に抵抗している時間が短い。
彼らは、最初から誘惑されるような状況をさける習慣をもっているのだ。

なので、意志力に関する攻めの戦略は、
意志力を、意志力を使わない習慣を作ることに投資することになる。

ピンチになったとき、不屈の意志力で切り抜けるのは、
カッコイイと感じるかもしれないが、それは守りの戦略だ。

意志力は有限であり、朝の時間帯に豊富で、次第に減っていく。
迷ったり、葛藤したりすると、結果につながることは何もしていなくても
意志力は消耗する。

意志力が消耗している「かすかなサイン」は、
欲求や感情を強く感じることだ。

そうなったら、まず最優先にすべきは意志力の回復である。
血糖値が急激に上がらない方法でグルコースを補給する。
また、睡眠と整理整頓は、意志力を使って行うと、意志力を上げてくれる。

意志力が豊富にあるときに、意志力の使い方を計画する。
まずは、意志力を使わなくて済む習慣を作ることに意志力を使おう。
そうすれば、残った意志力を使う事ができるようになる。

習慣にするもの
プリコメットメント
明確な一線

ただし、いきなり禁煙とか、甘いものは一切食べないという誓いはたてない。
大きな変化を起こそうとすると、無理だと感じたとき逆効果になる。
完全に禁煙するのではなく、1・2本減らすことからはじめよう。
そして、1年とか1か月とかで全体像を俯瞰してみる。

やることが多すぎるときは、全部書いてから
「やらないことリスト」を作って、あとで検討することにする。
計画さえあれば、サルは黙ることを思い出そう。

計画が守れず、意志力が足りないと感じるのなら、
変化が大きすぎるか、目標が多すぎるのだ。

私たちは、自分の能力を高く見積もっている=計画錯誤
だから、計画をたてるときには、過去の実績を思い出すといい。
人にみてもらうのも有効だ。
目標は3つ以内。それを達成するまで、次にはいかない。

先延ばしを防ぐために、「代わりのことをやらない」戦略。
一定の時間何かすると決めたら、集中できなくても他のことはいしない。
経験者の言葉によると、それだけで「自然についてくる」ようになるそうだ。

計画をたてていなくても、記録=監視だけでも効果がある。
そして記録は詳細な方がいい、
ミントコムのようなネットサービスに支援してもらうのも一つの方法

できないからと自分を否定すると意志力が消耗される。
オンラインゲームのように、
適切なタイミングで小さなご褒美をたくさん用意しよう。
自分をいじめても意志力は増えない。

私たちは将来もっと自由な時間が増えると計画錯誤して、
仕事を引き受けすぎてしまう。
そうやって楽しみを先延ばししてしまう。
楽しみにも明確な一線が必要だ。

自己コントロールが高い人は、愛他的になる。
意志力が進化したのは、私たちの先祖が仲間とうまくやっていくのに
不可欠だったから。

意志力は今も進化を続け、人間を地上で最も適応力の高い生物にしている。



WILLPOWER 意志力の科学

WILLPOWER 意志力の科学

  • 作者: ロイ・バウマイスター
  • 出版社/メーカー: インターシフト
  • 発売日: 2013/04/22
  • メディア: 単行本



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