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もうひとつのMONSTER―The investigative report (Big comics special) [小説]

浦沢直樹の漫画MONSTERをまだ読んでいない人はネタバレなので読まないでください。
MONSTER 完全版(ビッグコミックススペシャル) 全9巻セット

MONSTERで登場した怪物「ヨハン・リーベルト」と同じ教育を受けて、同じ能力をもつ人物がいて、それをジャーナリストヴェルナー・ヴェーバーが追うという筋書きである。浦沢直樹は訳者ということになっており、最後は失踪したウェーバー氏を気遣うというストーリーになっている。

取材の過程でヨハンについてもさらに掘り下げており、彼の祖先についても詳細に取材する設定になっている。

内容は事件のあらましと、関係者へのインタビュー形式になっている。

事件は、2000年11月14日、当直の医師と受付、看護師の3人が斧で殺害されたというもの。犯人は斧でカップルを襲って7名を殺して逃亡中の連続殺人犯で、警官の前で「使命は果たした」といって自殺した。
実は殺された3人は、もう一人の怪物がけがをして病院に来た時にあったために殺害されたのではないかというのがウェーバー氏の推理であり。怪物がけがをしていたのは、旧チェコスロヴァキア政府で裏の仕事をしていた人物を事故にみせかけて殺害してきたためだったのだ。
怪物の能力をもつものは、快楽殺人犯を使って人を殺すことができる。
怪物たちは人の名前を奪って精神を崩壊させたり、心に入り込んて、その人にとって唯一の理解者になり思いのままに操ったりする能力をもつ。

それはチェコスロヴァキアで一人の天才ドイツ系チェコ人が開発したもので、政府が後押しをして開発をしていた。しかし天才は一人の女性に恋して、彼女の双子の子どもを逃がした。それが、MONSTERのヨハンとアンナ(リナ)である。彼らの世話をしてくれた大人たちが次々と死んでいく理由がヨハンにあるとわかったアンナが兄を殺そうとしたが、日本人天才外科医テンマによって奇跡的に救われ、そのごテンマは自分のしたことを後悔してヨハンを殺そうとするというのがMONSTERの内容だ。

この本ではテンマが日本で後妻の子どもとして生まれ、兄に気をつかいながら生きてきたことなども掘り下げられる。彼はいつもタイミングが悪いのだ。

全体に人物のほりさげと、背景の厚みについて、掘り下げる内容になっている。
特にチェコの歴史とドイツに近いズデーデン地方の話。チェコのドイツ系の人々の話が細かくかたられていた。ここではナチスに頼ってドイツの一部になろうとしてチェコ人が追い出されたがヒトラーの敗北によって、今度はドイツ系の人々が追い出された。残ったドイツ系の人々は苦しい道を歩くことなるという背景が語られていた。
ドイツ系のチェコ人というのがキーワードになっていた。

インタビューした人たち、あるいは周辺の人たちから話をきいた人たち。浦沢直樹のイラスト入り。
ケンゾー・テンマ (周辺の人)天才外科医
エヴァ・ハイネマン(本人)テンマの婚約者・父親はテンマの恩師でヨハンに殺された。
ハインリッヒ・ルンゲ(本人) ドイツ連邦捜査局警部。鉄壁の記憶力をもち。最初はテンマが多重人格で犯人と思っていた。
511キンダーハイム(アンナの指導教官)
ルーディ・ギーレン(本人) テンマの学友で心理学者
カール・シューバルト(本人) シューバルト財団の総帥の一人息子。ヨハンに利用された。
ロッテ・フランク(本人) カールの友達。ヨハンの行動をしっていた。
ユーリウス・ライヒワイン(本人) 心理療法センターの医師。偶然ヨハンにかかわり殺されそうなところをテンマに助けられた。ニナやエヴァの主治医でもある。

ヤン・スーク(本人) チェコの警察官。ヨハンの警察官殺害に事件にまきこまれ、グリマー氏に助けられる。
カレル・ランケ(本人) 元秘密警察の大佐。秘密警察時代に天才心理学者を知っていた。
赤いバラの屋敷(周辺の人) 天才心理学者が絵本作家をしていたときの担当編集者。
双子の母親アンナ(周辺の人) 旧秘密警察の悪事を暴き追及する闘士ハウセロヴァー女史。
ソボトカ(本人) 元朗読会メンバー。笑い方を研究している。
ヤロミール・リプスキー(本人) 天才心理学者の息子。
フリッツ・ヴァーデマン(本人)冤罪はらしの達人といわれる弁護士。テンマの弁護をひきうけた。はじめて父親がスパイだったことをメディアに告白。
マルティン(エヴァのメール)エヴァと一時的に行動をともにした殺し屋。銃撃戦で死亡。
ペトル・チャペック(周辺の人)チェコからの亡命者。天才心理学者の助手。彼を狙った暗殺者ミランを知る人アメフット・ムスタファ氏にインタビュー。トルコ人街焼き討ちのときの人。
グリマーノート グリマー氏が調べたことを書き残したノートのコピー。天才心理学者が絵本作家として出した本の調査。
ヘルマン・フェアー(周辺の人) 絵本作家。天才心理学者と似ているが別の人物と思われる。担当編集者にインタビュー。フォスの電話番号は誰もでない。
ベンヤミン・ヴァイスバッハ(本人)テンマが最初にヨハン事件にかかわったときの担当刑事。ヨハンと快楽殺人者の連絡方法をしっていた。ニナにであったあとヨハンの崩壊が始まる。
ルーエンハイム(天才心理学者が隠れ住む町、ヨハン事件の最後の舞台)での顛末。
ニナ・フォルトナーあるいはアンナ・リーベルト(本人のインタビューは断られ続けていたので他の人の話から)
「超人シュタイナー」の最終話について原作者にインタビュー。シュタイナーの最終回は二つあり、人格が融合した最終回のみがヨーロッパで放送された。アメリカでは最初の最終回の内容があまりに絶望的だったので、作り直している間にまにあわなかった。
アンナ(ヨハンの母親)下宿先の経営者、クラブで歌手のバイトしていたときの同僚の女性、ブルの大学の職員。プラハで短医官一緒に暮らした女性。
クラウス・ホッペ(天才心理学者の父親)故郷の共産党幹部だった老人から話をきく。どうやら息子の名前を奪う実験に使われて亡くなったらしい。
フランツ・ボナパルタ(天才心理学者)取材からわかったのは、もしかしてヨハンの父親は天才心理学者の異母兄弟かもしれない。ということ。 

終章は、ルンゲ警部が、一番最初に取材していた、斧による殺人の犯人が好きだと言っていた「闇のルドン」の挿絵がフランツ・ボナパルタに似ていると指摘。この「闇のルドン」はヨハンの好きだといっていた本。ただし連載はボナパルタが筆を折ってから始まっているので、ボナパルタではない。ルンゲ警部は「闇のルドン」の作者が怪物だと指摘。

その後、怪物本人からホテルの部屋に電話がかかり、「これから新作をもっていく」という。今隣の部屋にいるからと。
その後ウェーバー氏は行方不明。電話を録音したテープだけが落ちていた。

巻末には部屋に残されていた、怪物の新作と思われる「めざめるかいぶつ」がのっている。



もうひとつのMONSTER―The investigative report (Big comics special)

もうひとつのMONSTER―The investigative report (Big comics special)

  • 作者: ヴェルナー・ヴェーバー
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2002/06
  • メディア: コミック



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