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犬と私の10の約束 [小説]

北海道函館市に住む主人公の女の子は12歳のときに母親をなくす。
父親は仕事人間でほとんど家にいない、母と娘はとても仲良く楽しく暮らしていた。しかし、母親はガンで突然なくなった。
だまっていれば美人だけど、ドジで明るくて、マドンナとシンディ・ローパーが好きな明るいお母さん。

主人公あかりは、犬が飼いたかった。母親が入院直前に、近所のコンビニから犬をもらってくれていた。一度はいなくなったが、家に戻ってきたところをあかりがみつけて飼うことになった。あかりは、あとでその経緯を知る。

犬は足が白いのでソックスと名付けられる。母親があかりに話した犬を飼うときの10の約束が。

・私と気長につきあってください。
・私を信じてください。それだけで私は幸せです。
・私にも心があることを忘れないでください。
・言うことをきかないときは理由があります。
・私にたくさん話しかけてください。人のことばは話せないけど、わかっています。
・私をたたかないで、本気になったら私の方が強いことを忘れないで。
・私がとしを取っても仲良くしてください。
・私は10年くらいしか生きられません。だから私と一緒にいてください。
・あなたには学校もあるし友達もいます。でも私にはあなたしかいません。
・私が死ぬとき、お願いです、そばにいてください、どうかずっと覚えていてください、私がずっとあなたを愛していたことを。

病室でこの話をきいた12歳のあかりは、深く考えず「守る」と約束した。
のちに、これはソックスを譲ってくれたコンビニの店長からもらったものだとわかる。
10年後にソックスはなくなるが、あかりはこの約束が全部思い出せなくなっていた時期があった。父親がもっていた紙にかいてあってのをみて、初めて母親のオリジナルではないことや、ソックスをもらってくれたのは母親だと知ることになる。

母親を亡くし、仕事人間の父親は娘を気遣いながらも、仕事をあきらめることはできない。あかりはコンビニを頼りに、ほぼ一人で過ごすことになる。そんなときソックスはそばにいてくれた。あかりは泣くことなく母親の死を乗り越えたかにみえた。

あかりは中学でギターのうまい同級生星くんと仲良くなる。素直な星くんは、ギター教室を経営する両親からギターの才能を期待され、フランスに留学することになる。

あかりの父は札幌の病院に転勤になり、宿舎ではソックスは飼えないと、星くんにあずかってもらうことになっていたが、星くんが留学することになり、あかりは父親の運転する車で見送りとソックスを引き取りに空港に向かう。しかし、父の携帯に病院から連絡が入り、途中からタクシーを使うことになり、見送りに遅れてしまう。
しかし、病院からの連絡は「難しい手術」ではなく「政治的要人の絡んだ手術」だったことを知った父は、退職して函館に戻り開業する。

あかりは空港から星くんの家に向かうが、星くんの母親はあかりによい感情をもっていないので、冷たい対応をうける。ちょうどソックスが家を逃げ出し、あかりは必死で探す。なんとかみつけてびしょ濡れで星くんの家に戻り、助けてもらう。父親が迎えにきて病院をやめるという。
あかりが渡した連絡先は、星くんの母親がかくしてしまい、二人は音信不通になる。
星くんの家は引っ越してしまい、連絡手段もなくなる。

あかりは高校から短大にすすみ、進路を模索する。そんなとき偶然星くんの出るコンサートをみつけ二人は再会。自然とつきあうようになる。

あかりは獣医になりたいという夢をもち、動物園でバイトをしながら勉強を開始。星くんとの付き合いもあり、ソックスのことは次第に気にかけなくなる。それどころか、短大の卒業式の晴れ着を汚されたと怒ったりする。

ある日星くんが待ち合わせ場所にやってこなかった。連絡もとれない。札幌に越した星ギター教室にいくと、事故にあって今まで通りにはギターが弾けなくなったという。
あかりは、ソックスが父の開業した医院で、セラピードックのようなことをしていたことから、星くんの家につけれくる。星くんは元気を取り戻し、作曲家になるといって音大に入り直す。

あかりは山口の大学に入り、最初はソックスと暮らす家を探したりもしたが、次第に忙しくなってそのままに。ソックスは寝てばかりいるようになり、あかりが二年生のとき亡くなった。父が連絡してくれたので、あかりはソックスが死ぬまでに間に合った。そして、母親が亡くなったときも流さなかった涙を流す。

獣医になって東京で動物園に勤めるようになったあかりと、音大を卒業した星くんは結婚することになる。結婚式のシーンで話は終わる。

深刻なシーンが多いのにさわやかで、そして主人公が約束を覚えていないことがとてもリアルに感じるお話しでした。


犬と私の10の約束

犬と私の10の約束

  • 作者: 川口 晴
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2007/07/28
  • メディア: 単行本



タグ:川口 晴
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