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キズ・ヤケドは消毒してはいけない―痛くない!早く治る!「うるおい治療」のすすめ [健康]

うるおい治療
 1傷を水道水で洗う、水分をふきとる
 2白色ワセリンを食品包装用ラップまたは市販のハイドロコロイド被覆材につける
 3ラップで傷を覆ってテープで止める。
 4そのうえから包帯を巻く
 51日1~3回傷の周囲を洗って、2からを繰り返す。

ポイントは傷を消毒しない、乾かさないということ。
これを医者である著者は、この本の時点で10年提唱しているそうです。




傷口を消毒するのは、熱湯を傷口にかけるようなもの。消毒するとバイ菌も死ぬが、あなたの細胞も死ぬ。
消毒薬の本質は「タンパク質の破壊薬」だから。消毒薬を誤飲したり、点滴に入れたりしたら死ぬ。
生物のもつたんぱく質は、20種類のアミノ酸の組み合わせからできていて、細菌と人間で共通のものも多い。消毒薬は両方を破壊する。むしろ細菌の方が細胞壁で守ってあるぶん、裸の人体細胞より強い。
これまで治ってきたのは、人体が丈夫で痛めつけられても治る力があったから。でも一度壊してから治すより、最初から壊さないで治した方がいい。

医者が傷を消毒しているのは先輩にそうしろと言われたからで医学的根拠はない。

化膿とは、細菌が傷の中にたまった血液やリンパ液を隠れ家にしている状態。ここには免疫という巡回警備が来ないので安心して増えられる。逆に巡回警備があるところは、細菌は増えることはできない。だから口の中をヤケドして消毒しなくても化膿しない。

ケガをすると痛いのは皮膚に分布している神経終末が刺激されて、それが大脳に伝わって痛みとして認識されたから。消毒していたい、傷を乾かしていたいのは、体が警告を発している証拠。うるおい治療をすると痛みは治まる。

日本の水道水は塩素で殺菌されているので、洗っても細菌は入らない。また流れていれば大丈夫。また傷に細菌が入っただけでは化膿せず、細菌の隠れ家になっているものがあったから化膿するのである。

傷を乾燥させると治らなくなるが正解。細胞は乾くと干からびで壊死して、その組織がミイラになって傷口をおおう=かさぶた。これを治っていると勘違いしただけ。乾かして治すは19世紀の医学の迷信。

かさぶたには2種類あって、傷からでた浸出液が固まったもの=痂皮と、皮膚が死んでミイラみたいになったもの=黒色壊死がある。痂皮はうるおい治療を行うと自然にとけてはがれて治る。黒色壊死は下に膿がたまって化膿する率が高いので、医療機関で局所麻酔して除去してもらったほうがいい。まわりが赤くはれているときはすでに化膿している。

うるおい治療をしていると、傷口がグチャグチャしてくるし、においもしてくる。この浸出液は細胞成長因子という物質で、細胞を増やしたり細胞の機能を活性化する役目をもつ。皮膚や細胞の培養液のようなもの。傷口は洗えば前日より傷が小さくなっていることがわかるはず、ジュクジュクは治ろうとしている証。しかし、皮膚の炎症の原因になることもあるので、少なくとも1日1回は洗い流して、浸出液が多いときや夏は1日2回でも3回でもラップをはがして傷をよく洗い再び貼る。

家庭で必要な消毒はモノの消毒。
病院で使用している医療行為としての消毒も、本当に必要なのは次の3つだけ
・関節注射をする前の皮膚消毒
・カテーテル類を入れる前の皮膚消毒
・血液培養用の血液を採取する前の皮膚消毒

家のキズ用消毒薬は不要なので廃棄しましょう。役にたたない上に誤飲すると死亡することが多いです。
著者の外来にも消毒薬はない。

傷の周りの皮膚が赤く腫れている状態を「蜂窩織炎」という。細菌感染が皮膚の下の組織(脂肪組織)まで及んだために起こる。この場合戦いは傷口ではなく深いところなので表面を消毒しても意味はないし、消毒しても細菌は死ぬわけではない。
化膿している傷口からは膿がでるが、これはタンパク質のかたまり。消毒しても消毒薬の成分はタンパク質と結合するだけで意味はない。また消毒薬には界面活性剤がはいっているものがあるので、確実に傷口の組織を傷めることになる。

手にはバイ菌もついているが、普通は皮膚常在菌という菌におおわれていて、バイ菌は繁殖できない。皮膚常在菌は人間に対する病原性をもっていないか、もっていても低い細菌。それらの菌は人間の皮膚から養分をもらって、弱酸性の代謝物を排泄する。だから健康な皮膚は弱酸性になっていて、病原菌の侵入を防ぐことができる。手を洗いすぎると、これらの菌も殺してしまい、結果として病原菌の侵入を許してしまうこともある。手についたバイ菌は水で洗えば十分おちるので、消毒する必要はない。

ガーゼを傷口にあてるとくっついてはがすときに痛い。この治療は19世紀に傷を乾かすと治ると誤解した医者がつくったもので、1970年代には乾かすと治らないとわかっていたのに、代わりのもの(創傷被覆材)がなかったり、積極的にやめようとしなかったりで残っている方法。

人間は皮膚呼吸していないので、ラップをしても大丈夫。ラップしてあせもができるのは、本来排泄器官である皮膚を密閉したための症状。

破傷風菌は普通芽胞とうかたい殻に囲まれて眠っている。この状態だと消毒薬でも死なない。よく洗うことでこの芽胞を傷口から除去すればよい。
ちなみに昭和42年以前に生まれた人は破傷風の予防接種をしておらず、三種混合を受けた人も10年で抗体がなくなるという。破傷風は特定の地域で発症し、薔薇のとげなど浅い傷でも発症するという、ちょっと不思議な感染症である。

症状別のうるおい治療の解説
・すりむきキズ
 ころんでひざをすりむいた。皮膚がグチャグチャに裂けていたり、ぱっくりと口があいていたら医療機関を受診。そうでないならうるおい治療をする。
 おでこの場合も同じだが、目立つのでハイドロコロイド被覆材を貼ったほうが目立たない。医療機関を受診するなら医療用の創傷被覆材を使っているところを選ぼう。たんこぶはこぶの周りの筋肉などの組織で血液が吸収されて平らになるが、いつまでも引かない場合は血液を注射器で吸引して除去する方法があるので受診を。

・切りキズ
 病院にいくべき傷は、以下のようなもの
  出血が止まらない。
  切れたところから先の部分が感じない、しびれている→神経損傷
  指が動かない、うまく動かせない。→腱創傷
  指先の皮膚とお肉(脂肪組織)を切り落とした場合。
  パックリと傷口があいている場合
  汚れた包丁で切った場合
  傷が土や砂で汚れている場合
 それ以外なら、傷口を圧迫してけがをした部分を心臓より高くする。心臓に近いところを縛ると出血が止まらなくなるのでやらないこと。その後うるおい治療をする。膿がでてきたり腫れたりして来たら抗生物質を処方してもらう。
 ガラスの破片が血管に入って心臓に達して死ぬというのは都市伝説。
 破片が大きかったり、神経の近くにあると痛みの原因になるので、摘出が必要、できれば「手の外科」に行く。

・ひっかきキズ
 擦過創などの浅い傷ならうるおい治療の方がキレイになおる。
 猫に引っかかれたとき、深い部分なら抗生物質の治療が必要。

・軽いやけど
 やけど部分を氷か流水でとにかく冷やす、これで痛みが引いていれば治療完了。
 痛みがぶり返すようなら冷やしを再開。
 ラップにワセリン(サラダ油で代用できる)をちょっとたらし、水気をふき取った患部にあてて、包帯やタオルで巻く。

・中くらいのやけど 熱いお湯をカップ半分くらい手にかけてしまったとき
 着ている服にお湯がしみこんでいる場合、服を脱ぐ。
 あとは上と同じ。熱さまシートは傷にくっついてしまうので使わない。

・ちょっとひどいヤケド やかんのお湯をこぼして10㎝の水ぶくれ
 水泡を破って水泡液を出し、水泡膜をはさみで切り取って除去。あとはうるおい治療を。2週間くらいで治るはずだが、患部が痛かったり熱ができたら細菌感染なので抗生物質を処方してもらう。3か月くらい患部を直射日光に当てないように努力する。まちがった治療をするとヤケドが深くなるので、かかる医者には注意を。

・低温やけど
 低温やけどになったら、うるおい治療で様子をみるが、やけどのなった時点で脂肪層の損傷がひどいと皮膚は壊死してしまう。それは止めようがない。


うるおい治療をしてくれる病院は著者のサイト「新しい創傷治療」にある。この原稿を書いている時点で300ほど。ただし病院全体でうるおい治療をしているわけではないので、医師を指名すること。自薦で作成しているので厳密ではない。

深い傷をおったり、動物に噛まれたりした場合は破傷風の危険があるので病院を受診する。

もし病院で傷口を消毒されたら、家で洗いながしてうるおい治療のできる病院を受診するか自分で治療を。ただし、傷の程度が深い場合は自分ではやらないこと。

毎日傷口を消毒する病院はやめた方がいいが、現状そうもいかない。

今の手術では、髪を剃らない。それは感染がないことがわかったから。特に眉毛は絶対に剃らないほうがいい。縫い合わせるとき、眉毛を目印にしないと、段違いになってしまう可能性がある。

お風呂はラップを外してはいり、傷口は周りを洗う感じでついでに洗いましょう。石鹸がついたら洗い流せばいいです。石鹸が染みる場合は露出した細胞が傷んでいる証拠なので、その場合はつけないよう、気をつけましょう。お風呂に入ってもバイ菌が入ることはありません。むしろ傷口の方が細菌が多いので、きれいに洗ってから入浴を。

ケガをしたあとでも痛くなければなにをしてもいいので、海でもプールでも大丈夫。ただし、縫った傷が傷む場合は、傷の深いところで血液がたまって起こることが多いので、病院を受診すること。ただし、傷のある人は入らないでくださいという表記のところは社会ルール的にはいらないこと。

主婦手湿疹を治す方法
 小さじ半分以上の白色ワセリンを手にとり、十分になじませるように時間をかけてもみこむ。
 ペーパータオルなのでふきとる。べたつきがなくるまで。
 これを1日に何度も繰り返す。
尿素は皮膚の角化層を破壊する薬剤で、皮膚を保護しない。またクリームの界面活性剤は細胞膜を破壊するので、使わない方がよい。

髭剃り後にかゆみや痛みがあったら、さっと水洗いして白色ワセリンまたはハイドロコロイド被覆材を。

アセモやニキビにうるおい治療はしてはいけない。
靴擦れにはうるおい治療が有効。
痔には使えません。

爪がはがれてしまったときはうるおい治療が向いている。完全にはがれていないと、爪と下の組織に血液がたまり化膿する危険があるので、うるおい治療をしている病院で除去してもらった方がいい。

巻き爪は深爪から起こる。切りすぎないで。

ピアスの穴の膿はうるおい治療では治らない。ピアスの穴の化膿の原因は、金属アレルギーと、ピアスの穴の中に細菌が閉じ込められて化膿のどちらか。金属アレルギーの場合はシリコンのピアスを使い。穴に細菌を閉じ込めないように、軸の長いロング・スタッド型を選ぶとよい。

虫刺されにうるおい治療は無効。毒の注入やアレルギーなので。
中には命にかかわることもあるので、虫に刺されて症状がでたら、迷わず受診しましょう。動物に噛まれた場合も同様です。

サンゴなどで切った場合も、普通の擦り傷と同じ。海水の濃度が3分の1になり、海水温が20度以上になると繁殖するビブリオ・バルニフィカスという細菌は例外的に死亡することがあるので、夏に大雨の降ったあとの河口などには近づかないほうがいい。

薔薇のトゲなどがささって腫れる場合は、中にとげが残っていて細菌がふえているので、医療機関でとげを取り除いてもらい抗生物質を処方してもらおう。

うるおい治療をするとかさぶたはできない。かさぶたはミイラ。できてしまったかさぶたにはラップやハイドロコロイド被覆材で覆うとやわらかくなり自然にとれる。皮膚や皮下組織が深いところまで挫滅されて「全総皮膚壊死」になった場合は真っ黒で硬いかさぶたになり、その下に化膿がたまることがある、こうなると切除が必要なので医療機関へ。

日焼けしたら、白ワセリンをぬったラップを赤く腫れて痛い部分にはるだけで、数秒で痛みがとれる。抹消神経が空気にふれて乾いて痛みの原因になっているためである。

貼るカイロでするような低温やけどは完治まで3か月かかる。小さくても甘く見ないで、うるおい治療でも水疱になるなら病院へ。

化粧品でかぶれたら、その化粧品を使わないこと。筆者は化粧品に含まれる界面活性剤がわるいのではと疑っている。皮膚常在菌を殺してしまうから。

おむつかぶれは、皮膚が接している水分が多いことでおきるので、うるおい治療では治らない。濡れている時間を短くして1週間たっても症状に改善が見られない場合は、皮膚病かもしれないので医療機関へ。

樹液でかぶれた場合はステロイド軟こうが有効だが、市販のものは効き目がよわいので医療機関を受診したほうがよい。
ウルシの場合、予防クリームがあるので、使用することも検討を。ちなみに白色ワセリンやゴム手袋では予防できない。
もし、触れてしまったら、石鹸と水でよく洗う。

レーザー治療のあとは、乾かしてかさぶたにしないで、うるおい治療をするときれいに治る。

へその緒を切ったあとの消毒は不要。きれいに洗って白色ワセリンをぬって市販のガーゼで覆っておくでよい。生まれたばかりの赤ちゃんは1年後までにデベソ→普通の穴になる。それを過ぎると自然には難しくなるので形成外科で相談を。

赤ちゃんにおっぱいをあげるとき乳房を消毒しない方がいい。気になるなら消毒薬をつかわないで拭きましょう。
おっぱいに傷がついたら白色ワセリンを縫ってよい。口にいれても安全だから。

熱をさげるシートは、熱を下げる効果はない。メントールの香りで嘘の情報を脳に伝えているだけ。湿布も香りがないと効かないという人がいるのは、この効果。

消毒をしてから注射しても化膿する確率は変わらないので、意味はない。ハリ治療も同様。細菌が皮膚や注射針にいるのは本当だが、感染源となるものがないと化膿しないからである。

いれずみをいれたあと、うるおい治療をするといたくないというのは本当で、経験的にもしられていたが、入れ墨はやめたほうがいいと思います。

最後の自宅での常備品 



そのほか、包帯、はさみ、絆創膏。

病院で使っているもの
 ハイドロコロイド被覆材、ポリウレタンフォーム被覆材、アルギン酸塩被覆材、各種フィルム、傷口を乾燥させない被覆・保護材料など。

うるおい治療を行った写真がのっていた。かさぶたにならずに、数日で治るのが特徴らしい。

キズ・ヤケドは消毒してはいけない―痛くない!早く治る!「うるおい治療」のすすめ

キズ・ヤケドは消毒してはいけない―痛くない!早く治る!「うるおい治療」のすすめ

  • 出版社/メーカー: 主婦の友社
  • 発売日: 2007/11/30
  • メディア: Kindle版



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