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空想法律読本 2 [雑学]

正義のヒーローたちが、法律で裁かれたらどうなるか?という本の第2弾。
2003年の出版。

第1章
仮面ライダークウガ警視庁利益供与問題
仮面ライダーウウガでは、警察も組織をあげて怪人をおいつめていく筋書だった。画期的。
ただし、クウガ自体は冒険家の五代雄介が、長野の古代遺跡から発掘されたベルトで変身していたから、つまり民間人。
警察では「未確認生命体第2号=白のクウガ」と「未確認生命体第4号=赤のクウガ」とされていた。つまり怪人と同じ扱い。
一条刑事は、クウガの正体を知りながら上司に報告せず、こっそり武器を貸与したり、情報を流したり、果ては警視庁が開発した最新型白バイトライチェイサー2000をあげちゃっている。
これって、警察官としては、報告義務違反で戒告。守秘義務違反(ただし、あまり厳格ではなさそうだが)で、こちらも戒告。銃刀法違反で1年以上10年以下の懲役、そのうえ窃盗罪!
もらった五代のほうは、しらなかったんだから、いいとしても、道路交通法違反ではあるな。民間人だから。
でも、最終的にはクウガが市民を守っているからって、黙認していたんだから、これって組織ぐるみの犯罪?


第2章 ウルトラセブン地球防衛過労死事件
 もともとセブンはM78星雲の恒点観測員340号で、惑星軌道図をつくるために地球の近くにきただけ。そのとき地球人の薩摩次郎という青年が身を挺して友人を救ったのに感銘をうけ、かつ地球が侵略をうけそうだときがついたので、薩摩次郎の姿をかりたモロボシ・ダンになり、宇宙警備隊に入り、セブンとして地球を守っていたのだ。
 だから、彼の身分は最初は観測員。最終回には上司と思われる人物がでてきて「変身したら死ぬ」とかいっているし。でも、過労死下のは、地球を守ったからで、観測員の仕事じゃないから、労災の責任はないよね。
 仮定だが、セブンは地球を守るときからウルトラの星の宇宙警備隊に入ったとしておこう。そうすると、過労死の責任は宇宙警備隊にある。セブンは最終回になるまえにエネルギー切れなどの症状があったわけで、交代要員を送るとか、医師を派遣するとかすればよかったのに、怠ったといえる。でも、宇宙警備隊の責任者ってウルトラの父でしょ。セブンはウルトラの母の姉の子どもだから甥にあたるわけで、さらにセブンの父も宇宙警備隊の要職にあるらしい。
 う~ん、骨肉の争い。


第3章 ジャイアン・ファンクラブ事件
 ジャイアンに脅されたのび太はドラえもんになきついて、「ファンクラブ結成バッジをだしてもらう。これをつけるとコントローラのいうなりになり、自分では外せない。こうして、しずかちゃんやスネ夫ら15人がファンクラブに加入させられ、さらにジャイアンはチャリティーコンサートを開くから、チケットを売れといいだし、のび太とドラえもんはさらにバッジをばらまきコントローラの出力を最大にして10円~50円の切符を売りさばいたのだ。
 これって肉体を拘束して社会的に無価値なものを売りつけたんだから強盗じゃないの?もっともドラえもんはロボットなんで罪に問われないけど、没収はされるかも。
 でも、のび太がそうしたのは、ジャイアンに脅されたから。ということはジャイアンが「間接正犯」?しかし、ジャイアンは切符が売れないのを「なんとかしろ!」といっただけ。するとやっぱりジャイアンが強盗をはたらこうとしたとはいえず、無罪。。
 ただジャイアンは、のび太やスネ夫をたびたび脅したり殴ったりしたので、脅迫罪や傷害罪にあたるし、嫌がる友達をリサイタルによびつけて、ひどい歌をきかせた監禁致傷罪がある、この場合は併合罪になるので、刑期はもっとも重い量刑の1.5倍で最高で15年になる。でも14歳以下なので罪は問えない。
 ただし、民事責任は別で、友人たちから損害賠償請求されたら、一人当たり50~100万円+コンサート切符代は弁償しなければならず、ジャイアンには両親から雷がおちて小さくなることだろう。


第4章 宇宙戦艦ヤマト森雪セクハラ事件
 ヤマトの艦内でロボット・アナライザーは森雪のスカートをめくっていた。これは犯罪?
 もちろんロボットであるアナライザーに罪は問えないが、これってPL法は使えないのか?森雪もアナライザーが優秀なロボットであることは認めており、スカートめくりだけをプログラミングで直してくれって艦長に談判しているし。もっともPL法では、慰謝料はもらってもアナライザーを改造してもらえることはない。スカートめくりは続くのだ。
 ではセクハラはどうか?森雪がいやがっているのは確実なので、適用できそうだ。その場合責任を問うのは職場の責任者沖田艦長と地球防衛軍。しかし森雪だって、仕事場でめくられるようなスカートはいているのが悪いって考え方もあるわけで、ヤマトが地球に戻ったらシビアな訴訟になるかも。


第5章 ウルトラマンレオ亡命事件
 ウルトラマンレオの故郷は、しし座L77星。凶悪宇宙人マグマ星人の侵略でほろんだ。地球にたどり着いたレオは、「おおとりゲン」と名乗り、スポーツクラブでインストラクターとして働き始める。
 でもこれって密入国だから、いきなり3年以下の禁固のあと国外退去。しかし、レオの故郷は滅んでいるんだし、難民認定できないか?事情はよさそうだが、問題は提出する資料がないこと。これでは事情を証明することはできない。
 だいたい強制退去といっても送るべき国がないんだし、第3国をたらい回しにされるのでは?そのうち自分で飛んでけっていわれるんじゃあ、あ、でもわからない場合は放免になるんだった。禁固のあとだけど。
 では、禁固の間、宇宙人や怪獣がでたら、よど号の犯人みたいに「超法規的措置」で釈放して戦ってもらう?でもレオはけっこうドジだから、釈放は論議をよんで、政治闘争につかわれるんじゃない?


第6章 ウルトラマン怪獣死体遺棄事件
 怪獣の死体は、法律上はゴミ。ゴミを片づけるのは自治体。ウルトラマンはゴミを捨てたわけではないので片づける義務はない。その義務があるのは自治体。
 でもウルトラマンが倒した怪獣の約115万トン、こんなに処理したら税金があがるだろう。宇宙人なら人なので埋葬するけど、この費用も膨大だ。だいたい肉体組成がちがうのに有毒物質でもでたらどうしよう。
 こうなったら、子どもにお願いしてもらって死体は宇宙にもっていってもらおう。ウルトラマン第15話では、子どもたちの書いた絵が怪獣になったので、子どもたちが殺さないでと頼んだら、宇宙に連れて行ってくれていたし。


第7章 ショッカー怪人再入国問題
 改造人間にも人権はあるので、旅行もできる。
 ただし、飛行機にのるには、爆発物や毒物、放射線、引火物などはダメなんで、これらの能力のある怪人はダメ。またパスポートもみるからにヤバそうな人には出ないので、素顔が人間離れしている怪人はムリ。
 さらには入国しようとすると希少動物保護を目的とした「ワシントン条約」違反になる怪人が続出。きっと入国できないだろう。
 国内旅行でも電車は危険物持ち込み禁止。怪人が旅行するには改造人間をやめるしかないようだ。

第8章 仮面ライダーV3無免許手術事件
 仮面ライダーV3は、仮面ライダー1号・2号の後輩の風見士郎。たまたま友人をかくまって、秘密結社デストロンにつかまり、Wライダーが助けにいくが、巻き添えで死にそうになったところを、1号・2号が改造人間にしてくれて助かった。V3を手術したのは1号・2号なのだが、医師免許は?
 もちろん無免許なので、傷害と医師法違反である。しかし、風見自身には改造人間になって戦いたいという意思があり、さらには命の危険があったこと、改造人間手術ができるのが二人だけだったことを主張すれば無罪になるかも。
 もっともバッタになりたかったのにトンボに改造されたと風見が慰謝料を求めるかも!


第9層 光明寺ミツ子犯人蔵匿疑惑
光明寺博士が悪の組織ダークのために作ったキカイダー。しかし、ダークに無理やり働かされていた光明寺博士はひそかに良心回路をキカイダーに組み込んで反乱を企てる。途中で露見したため、良心回路は中途半端なままキカイダーは光明寺博士の娘ミツ子と基地を脱出、ダークに追われることになる。光明寺博士は記憶を失って放浪。のちにダークにつかまり改造されてハカイダーとなり、キカイダーを襲うようになる。良心回路が不完全なので、変身前の人間体ジローはダークの笛を聞くと狂暴化して人を襲ってしまう。
 ジローが笛で狂暴化して再開した光明寺博士に襲い掛かり、さらには偽の光明寺博士の死体が発見され、ジローは全国指名手配される。ミツ子は彼をかばう。
 ジローが指名手配されていても、ミツ子には通報義務はないのであっていても罪には問われない。ただし、パトカーの方にいってはダメと助言したのは犯人蔵匿にあたる。でも、キカイダーはロボットなので、そもそも罪には問えない。つまり警察が間違っているわけだ。本当の犯人=正犯は、ダークの首領で笛を吹いたプロフェッサー・ギルであり、キカイダーは凶器にすぎない。つまりジローは証拠物件。するとミツ子は証拠隠滅?

第10章 ナチスの財宝発掘事件
 ナチスの財宝を狙うショッカーの怪人、死神・カメレオン。彼が埋蔵物を掘り出そうとすると、そこにいたのは棺桶にはった仮面ライダー(どうやって自分を埋めた?)。仮面ライダーは財宝は太平洋に捨てたと言い放つ。
 埋蔵物は、「土地その他の物の中に、外部からは容易に目撃できないような状態でおかれ、しかも何人の所有であるかわかりにくいもの。」というわけで財宝は埋蔵物。ならばそれは土地の所有者と発見者で半分ことなる。ただし半分だけならどーやってもいいのではなく、所有権が半分なだけで、勝手にいじれないのだ。というわけで仮面ライダーは土地の所有者から損害賠償の民事訴訟をおこされるかも。あと器物破損で刑事告訴も。
 ウルトラマンでは、ビルの工事現場からカプセルが発見され、アボラスとバニラの怪獣が出現してしまう。持ち主は3億5千年前の先住民族だが、遺族や相続人はいないとおもうので、カプセルは無主物。その場合発見した人が持ち主になる。ただし、文化財は別。まあ、怪獣は文化財じゃないので、この場合最初に発見した工事現場の人が持ち主。まただれにも発見されなかったカプセルの方は「のら怪獣」となる。ただし所有した時点で怪獣だとは予見できないので、怪獣が壊した国立競技場の賠償義務は工事現場の人にはない。ただし、死体は別。処理費用の請求は当然くるだろう。のら怪獣のほうは、自治体が処理費用だすしかないけどね。


第11章 シナリオライター外患援助疑惑
 ウルトラマンダイナにでてくるミジー星人3人は、安アパートで人間の姿で暮らしている。侵略に来てうまくいかなかったので地球でアルバイトで暮らしているのだ。このアパートに住むシナリオライターの三上は、特撮のシナリオを書いたが没になり、それをゴミに出す。ジミー星人がそれを見て、「素晴らしいが、お金がかかりすぎるので、お金のかからない地球侵略のシナリオを書いてくれ」と三上に依頼。滞納していた家賃を払ってもらった三上は、脚本だと思ってシナリオを書きあげるが、ジミー星人の正体を知って、スーパーGUTSに通報しようとするが、計画をバラすと殺されるかもと思い直し、電話を切ってしまう。
 「外患」とは外国から武力で攻撃されることをいう。外患誘致は、敵をけしかけて時刻に攻め入らせること、外患援助は、攻め入ってきた敵に便宜をはかること、外患予備・陰謀は、敵のために自衛隊を混乱させるなどのこと。三上の場合は予備罪なので刑罰はおそらく5年前後の懲役になるはず。ただし、書き終えるまで脚本だと思っていたので、やっぱり無罪。
 一方でジミー星人は外国人といえど、日本国内で犯罪をおかすと国内犯となり、内乱罪で少なくとも10年は刑務所いき、さらにはダイナに対する殺人未遂もあるけど、これは内乱罪に吸収されると思われる。ジミー星人にとって10年は長いの?短いの?


第12章 にせウルトラマン事件
 ザラブ星人は、まず地球を助けるふりをして、科特隊にはいりこみ、隊員たちを洗脳した。さらに、ウルトラマンをおびき出して拉致して、その間にウルトラマンになりすまして、ビルを破壊。日本の国防長官に「ウルトラマンこそ地球を狙う宇宙人で科特隊はそれを応援している」とふきこんだ。これって名誉棄損?
 名誉棄損は、たとえ本当のことでも相手の名誉を貶めることを不特定多数にいうと名誉棄損。でも、マスコミに限り公益のため真実をいうと罰せられない。ザラブ星人の場合、いったのは不特定多数ではなく、発言が広く流布しないので名誉棄損は使えない。ただ、大勢の前でウルトラマンに変身して暴れたのは該当するかも。ザラブ星人は、ウルトラマンに似ているけど、ちゃんと違う形(耳がとんがっている)とかだから、真似したんじゃなく、相手が勝手に誤解したといいそうだけど、身長40mの相手の細かい特徴なんてみえないっていって争うしかない。
 名誉棄損のほかに業務妨害罪を適用できるかも。さらにビルを子ました建造物損壊罪も。2個以上の罪を犯すと、併合罪となり、最も重い罪の1.5倍になるのだが、ウルトラマンに化けるのとビルの破壊は同時におこなったので、これで問える罪は一つだけ。というわけで、最も重い罪の建造物損壊罪の5年以下の懲役になるが、これってザラブ星人がそのままビルを破壊したのと変わらないのでは?う~ん、ずるがしこいなあ。よっぽど六法全書をお勉強したのでしょう。
 しょうがない民事訴訟で謝罪広告を要求することにしよう。でも、特に知らせたい相手は子どもなので新聞などに謝罪広告を載せても意味はないから、壁新聞をつくって貼って回ってもらうしかないな。凶悪宇宙人なのに。


第13章 ケットル星人民間人殺傷事件
 ケットル星人を追いかけていたMAC隊員は、歯がたたず、おおとりゲンが追跡。そのとき、前からプロボクサーがやってきたので、「捕まえてくれ!」と叫んでしまう。武器をもったMACがやられてるのに、民間人に頼んでいいのか?案の定相手は殺されてしまい、ゲンはモロボシ・ダン隊長に叱責されてしまう。それなのに、2週間後にはバイブ星人を警官二人と追いかけて行って、ナイフを奪われ警官が一人刺されて死んでしまう。バイブ星人は透明化できるので、罪をゲンになすりつけたわけだ。これで謹慎になったゲンは、再びバイブ星人を発見、工事現場で、「そいつを捕まえてくれ!」作業員がバイブ星人を取り囲むが、再び透明化して、ゲンの鉄パイプで作業員を殺してしまう。
 警察官が職務を遂行する際、民間人に危険を及ぼしてはならない。だからゲンは「逃げろ!」というべきだった。故意ではないが、重過失と判断され、しかも2回なので懲戒免職で刑務所いき。民事訴訟で賠償金二人分で1億となるだろう。
 ただし、2件目の土木作業員については、ゲンは職務の最中ではないので業務上過失致死罪は適用されず、賠償責任はないかも。
 それにしてもゲンは学習能力なさすぎ。


第14章 恐怖新聞人格権侵害事件
 中学生の鬼形札くんは、毎日0時過ぎに恐怖新聞が窓から届く。それは明日起こることがかいてあり、しかも怪事件ばかり。読むと100日寿命が縮むともいわれている。鬼形くんはなんとか受け取らないようにしようとするが、新聞は雨戸をつきやぶり、窓ガラスを割ってやってくる。さらにナイフを突きつけられて読まされる。
 これって、名誉棄損ににあたるかも。明日の鬼形くんの行動がのっているのだから。配達はポルターガイストだけど、新聞の発行所はのっているので、これなら訴えられるし。
 ただ、名誉棄損が成立するには恐怖新聞が太く多数に読まれている必要があるのだが、そんな様子はないので無理かも。では民事訴訟で、よみたくもない新聞を読まされたのは人格侵害として訴えたらどうか?迷惑メールみたいなものだから、裁判所も配達差し止め命令をだしてくれるかも。それでも止まらないなら、1日あたりいくら払うという命令を出してもらう。これで多少は気が晴れるかな?
 でも、まだ読まないといけないので、発行差し止めはできるのか?この場合みとめられるかもしれないけど、相手も表現の自由で提訴してくるかも。これを争っている間に鬼形くんの寿命が縮まって死んでしまうのでは?、100日縮むなら、残りの寿命を65年とすると、1年以内に死んでしまう!。これって殺人未遂?
 でも恐怖新聞って翌日は違う新聞になって証拠にならないんだった。じゃあ刑事告訴も民事告訴もできないじゃん!
 あれ?でも恐怖新聞が翌日違う新聞になるってことは、恐怖新聞がほかの新聞を偽造しているってこと?


第15章 罪に濡れたふたり恋愛妨害事件
 鈴村香純と鈴村由貴は、実の姉弟としらずに出会って惹かれた。その後真実がわかっても気持ちを抑えられず、同棲する。二人の母親はなんとかして二人をわかれさせようとする。
 法律は三親等いないの結婚を禁じている。理由は優生学的なものから社会的なものまで、いろいろいわれている。しかし、二人が結婚なんてしなくていいというなら、二人を別れさせる法律はない。ただし、生まれた子供は非嫡出子として父親の戸籍に入れないけど。二人が愛し合うのは憲法で保障されているのだ。
 母親の由香の方が、別れさせようと、香純を眠らせ=傷害罪、偽造カルテ=虚偽診断書作成罪まで作ってニューヨークに拉致=国外移送目的略取罪したり、パスポートを隠したり=私用文書等毀棄(ただし国外なので適用されない)、ほかの男との婚姻届けを出したり=私文書偽造+偽造私文書等行使、ニューヨークに追いかけてきた由貴を刺そうとして、由貴の元恋人を刺したり=殺人未遂(国外でも適用される)と罪をおかしまくり。
 罪にぬれた二人は一切罪に問われないのに、母親は刑務所いきで、邪魔がなくなった二人はくっついたまま。
 由香は、二人が疑心暗鬼になったときを狙って警察に「娘がストーキングされている」と訴えればよかったのでは?こうすると一時的にでも二人を引き離すことができる。でも由貴が逮捕されるまで最低でも半年はかかりそうだから、その間によりが戻ってしまうかも。


第16章 怪奇大作戦にせ心神喪失者殺人事件
 心神喪失者による殺人が続き、不審に思ったSRI所員の牧史郎は、最初の事件の犯人で、逮捕後に入院治療した後社会復帰した女性を追う。すると、洋装店で店主の美川冴子になにか頼みごとをして断られているのを目撃。その後女性はまたも殺人を犯すが、今回は心神喪失を装うがうまくいかなかった。牧は、情状酌量をちらつかせて、彼女から真相を聞き出す。
 冴子の夫は優秀な科学者で脳波の研究をしていたが、あるひ精神障がい者に夫も子どもも殺されてしまう。冴子は夫の研究を引き継いで、人工的に脳波を変調させて心神喪失をつくりだして、社会に復習していたのだ。
 牧はおとり捜査を試みるが、冴子にバレて本当の心神喪失状態になり、仲間を追い回して捕まえられる。その後冴子もつかまるが、その前に自分に機械を最大出力で使い、本物の心神喪失になってしまう。
 心神喪失者は正常な判断ができないので、犯罪をおかさない自由がなく、責任は問えないとなっている。この場合不起訴処分となり、入院するが、医療機関が判断すれば釈放されることになる。実際には退院した患者の数%が再犯をするといわれているが、日本には、こうした患者をめぐる環境が整備されているとはいえない。
 この話の場合、犯人は自らすすんで脳波変調器にかけられたので、無罪にもならず軽も軽減されない。「原因において自由な行為」とみなされる。これは飲酒運転などと同じ。
 最初の女性の場合は、不起訴になっていれば、最初の殺人と合わせて裁かれる。ただ失恋して自分も自殺未遂をおこしており情状酌量で無期懲役になるのでは?ほかの殺人犯も懲役15年あたりではないか。
 冴子は、脳波変調器を使った傷害罪と、殺人の教唆犯あるいは共同正犯となり、犠牲者が7人いるので極刑だろう。ただし、心神喪失になっていることから、不起訴となる可能性が高い。


空想法律読本 2

空想法律読本 2

  • 作者: 盛田 栄一
  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2003/07
  • メディア: 単行本



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