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線形代数がわかる (ファーストブック) [自然科学]

大学の基礎数学でやった「線形代数」を対話形式で優しく解説。

序章
ベクトルのわかりやすい例、ある地点の風向きを矢印で、風速をその長さで表したもの。数値よりわかりやすい。
行列が役に立つのは連立方程式、1次や2次なら中学の方法で解けるが、変数が10個や100個だと行列を使ってコンピュータにやらせることになる。コンピュータが微分方程式を解くときには、問題を連立方程式で解くように書きなおすことが多い。
行列は()で囲んだ中に数値=成分がはいったもの。
行列式は||で囲まれていて、各成分をかけたり足したり引いたりして作った数のこと。

第1章 ベクトルとスカラー

1-1 ベクトルのすみか
ベクトルは次元に住んでいる、平面に置かれたベクトルは2次元に住んでいる。2次元ベクトル。3次元ベクトルは2次元に垂直な上下方向を加えた3次元空間に住んでいる。
ベクトルは「大きさ」と「方向」をもっているが、それを定量的に表すのが成分。2次元ベクトルで第1方向と第2方向の成分が()に囲まれたなかに数値ではいっている式で説明。3次元ベクトルでも同様に説明。この場合()の中に縦に3つの成分が入る。この方法で何次元のベクトルでも書き表せる。

1-2 ベクトルとスカラー
スカラーは簡単にいうとベクトルの定数倍。線形代数では成分を持たない量のことをスカラー量あるいはスカラーと呼んでベクトルとはっきり区別することが多い。
たいていの場合ベクトルは太文字でvとかVで書き、スカラーは普通の文字を使うことが多い、例えばvをk倍したベクトルはkvでvは太文字。
ベクトルの和・・・各成分の和で求められる。図でみると一方のベクトルの終点を新たな始点として一方のベクトルをつなげて新しいベクトルをつくる演算。ベクトルの平行移動。平行移動させると平行四辺形ができる。
ベクトルの和には u+v = v+u という交換法則が成り立つ。
3つのベクトルなら順番に足していく。順番は違っても結果が同じになるので、(u+v)+w = u+(v+w) 加法に関する結合法則と呼ぶ。
またこのときスカラー倍について k(u+v) = ku+kv という分配法則も成り立つのを図形で説明。
ベクトルの差・・・ベクトルの和で足し算するところをー1のスカラー倍すると考えると説明。そして普通に加算。

1-3 基底ベクトル
2次元ベクトルの成分を分解していくと第1方向と第2方向をむいた長さが1の互いに直交するベクトルが得られる。これがあれば2次元平面上の任意のベクトルが作れる。2次元ベクトルvは(1,0)と(0,1)の線形結合で書けると表せる。この(1,0)=e1 (0,1)=e2が2次元平面の正規直交基底と呼ぶ。正規は長さが1ということ。基底はお互いが独立していること。2次元ベクトルは v=ae1+be2で表せる。
3次元の場合は、3つのベクトルが独立。3つのうち一つをとっても他の2つの線形結合になっていない。3次元ベクトルはV=ae1+be2+ce3と表せる。
()に数字が並んだものを「数ベクトル」と呼ぶ。式で表した書き方だと矢印だとはっきりする。
ここの解説は数ベクトルと規定を使った表現は同じものと考えて不都合はないということをいっている。

1-4 内積
ベクトルの内積は、2本のベクトルからスカラーをつくること。
自分自身との内積はベクトルの長さの2乗のなることを三角形と三平方の定理から説明。
そしてベクトルを違う方向からみたときに、見え方が違うが、ベクトルの長さは変わらなくてそれが内積であると解説。
次は2本の異なるベクトルa,bが挟む角θについて考える。そして余弦定理かをつかて、2本のベクトルの内積とそれらが挟む角の関係を求める。
内積から2本のベクトルが挟む角がわかる。
内積とはベクトル同士の関係のうち、どの方向からみても変わらないものを盗りだす操作。
これで空間ベクトル(3次元)を考える。ややこしいので射影をつかっていた。
ベクトルの長さ|v|と内積には v・v=|v|~2の関係がある。 
2本のベクトルvとwが挟む角θに対して v・w = |v||w|cosθが成り立つ。

1-5 外積(ベクトル積)
空間ベクトルA,Bはある平面をつくるが、その平面上に作られる平行四辺形の面積が決まる。ベクトルA,Bの外積はこの平面に垂直でかつ、この平行四辺形の面積の大きさを長さにもつ、あるベクトルをつくる操作。
外積は2本のベクトルからもう1本別のベクトルをつくる操作なのでベクトル積ともよばれる。
空間の正規直交基底のうちe1とe2の外積を例にとって解説。できるベクトルは第3方向を向いた長さ1のベクトルになるが、上下の向きがある。普通は右ネジの向きできめる。e1からe2に向かって右ネジをまわしたとき進む方向をとる。
つまり外積は順番をいれかえると符号が変わる。
次に長方形で解説。
そして平行四辺形で解説。



第2章 行列と連立1次方程式
2-1 行列とその演算
行列のサイズは行数と列数で決まる。
行数と列数が同じ場合を正方行列という。
行列の成分は、行列の中のそれぞれの数。ある行列の第i行、第j列にある数を(i,j)成分と呼ぶ。aの右下にijと小さく書いてあらわしてあるものもある。
行列を足し算したり引き算したりするにはサイズが同じでないといけない。
スカラー倍の場合は各成分をスカラー倍すればいい。
行列の賭けさんの場合、ijの2列で具体例をあげていた。行列ABの(i,j)成分はAの第i行列の成分とBの第j列成分の積同士の和で求める。
こうして求めるとわかるが、行列のABとBAでは交換法則は成り立たない、これを行列の非可換性という。
ちなみに3つの行列ABCの積は結合法則 (AB)C=A(BC)が成り立つ。
同様に分配法則 A(B+C)=AB+ACも成り立つ。

2-2連立一次方程式とガウスの消去法
連立一次方程式
 x+2y=1 と 3x+y=2 を例に行列に表して解く方法を解説。
行列にあらわして、もとの連立方程式を復元するために必要な最低限の情報にしてから、行列の基本変形をおこなっていた。
そして、左側の2×2行列が(10
                 01)になると解がでる。この行列が2×2の単位行列。
未知数をもうひとつふやした例を解説。
対角線より下を消していく操作を全身消去と呼ぶ。
対角線より上半分しかない行列を植え三角行列と呼ぶ。
その後後進消去。
「行基本変形」を使って行列を必要な形に変形する方法をガウスの消去法あるいは掃出し法という。

2-3 逆行列
普通の割り算では「逆数を掛ける」と同じ。
これは、歩かずにその逆数を掛けると乗法の単位元1がでてくるから。
乗法の単位元とは、ある数に掛けた時、その数を変えないような数のこと。
これを行列バージョーンで考える。
単位行列は行列の乗法についての単位元。
逆行列は、あるn×n行列Aに掛けた時、結果n×nの単位行列になるような行列。
2×2行列を例に解説。
この行列の横に単位行列をつけくわえて2×4行列をつくる。
これを行基本変形して左がの2×2行列を単位行列に変形する。これが逆行列。
元の式にあてはめて確認。
3×3行列を掃出し法で求めるのを解説。

2-4 逆行列がない
2×2行列で掃出し法で左がの第2行が全部ゼロになって後進消去できない例をあげる。つまり逆行列はない。
ある行が他の行の定数倍になっているような行列には逆行列がない。
逆行列をもとない正方行列を非正則行列と呼ぶ。
逆行列をもつような普通の行列は正則行列と呼ぶ。
連立方程式を解く操作に逆行列を使う方法を解説。
そして逆行列がないときには解がひとつにきまらないことを解説。
また明らかに矛盾した式(0=-2とか)連立方程式自体が矛盾していて意味をなさないと考える。



第3章 行列式とその応用
3-1 行列式って何
2×2の正方行列が正則かの条件判定を考える。
2×2行列が非正則のときには、どちらかの行の成分を基本変形ですべてゼロにできる。または、第2行が第1行のちょうど何倍かになっている場合。
これをベクトルで考える、横にならんだ数字を縦に並び替えてベクトルにして考えると、そのふたつのベクトルは長さが違っても方向は一致していることになる。
同じ方向をむいたベクトルの外積は常にゼロベクトルになるので、これが使って、ベクトルが同じ方向を向いているか判定できる。
ここから2×2行列が正則かどうか判定する行列式を導き出していた。
簡単にいうとたすき掛けして引き算してゼロにならなければ正則。
行列式は、行をいれけると±の符号がかわる性質をもつことを例をあげて説明。
元の行列の行と列を入れ替えた行列を転置行列という。
転置行列の行列式ともとの行列の行列式が等しいとことを例をあげて説明。
3×3の行列が正則か調べる。
ベクトルを使っていた。そして外積を使う。また独立していることを確認するには内積を使う。
こうして行列式を求めていた。これもたすき掛け。あんどプラスとマイナス方向の符号がある。
3×3の行列の巡回置換の性質について説明。
さらに転置行列がなりたつことを説明。

3-2 行列式の仕組み
3×3行列が2×2行列で展開できる説明。
この展開をつかって逆行列の公式を求める。
行列の積の行列式は、それぞれの行列式の積という性質を具体的に説明。
そして一般的に説明。


第4章 行列の特性を引き出す
4-1 固有値と固有ベクトル
行列とベクトルのかけ算をするとベクトルは方向と長さを変える。
元のベクトルを(1,1)を選び、特定の行列をかけると方向が変わらない場合がある。このとき元ベクトルのことを行列の固有ベクトルという、また長さが5倍になる場合は、5を行列の固有値という。
行列が与えられた時、固有値を求める方法を具体例で説明。

4-2 対角化とは
4-1で使った2×2の行列の固有値と固有ベクトルを使う。
これは2つの固有値をもっているが、それをひとまとめにした式をつくる、
それを変形すると対角線上に2つの固有値が並んでいて、成分はそこだけという行列が現れる。これが対角行列。
ある行列を正則行列とその逆行列ではさんで変形することを行列の相似変形という。
行列を相似変形して対角行列にすることを、行列の対角化という。
対角化の御利益の例としてフィボナッチ数列をあげて、隣り合う項の比を計算すると1.61・・・に収束していくことを行列で計算。

それぞれの章ごとに宿題がついていた。


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