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シャーロック=ホームズの帰還 下 シャーロック=ホームズ全集 (10) [小説]

BBCのドラマ「SHERLOCK」を見たら、すっごくおもしろかったので、原作を読んでみました。
ドラマの元ネタをひろいながら、あらすじを書いていくので、ネタバレしたくない人は特に後半は読まないでね。


6個の短編からなっている。6つのナポレオン像はどこかで読んで内容を覚えていたなあ。


3語ごとに読む暗号文がSHERLOCKにも出てくるが、「グロリア・スコット号」ででてくるね。
マスグレーブ家の儀式の冒頭にワトスンがホームズの悪癖を並べるところがあって、
そこでピストルで壁に穴をあけるのはやめてほしいといっていたが、それはSHERLOCKでもでてくるね。







1 6つのナポレオン像
レストレードが面白い事件があると教えてくれたのは、泥棒がナポレオン像を粉々に砕いていく事件が、連続でおきているということ。
一つは店先のものが壊され、一つは医師の自宅と診療所に別々においてあったものが両方こわされていたのだ。
ナポレオン像は石膏でできており、せいぜい2・3シリングのものだという。
壊された胸像はすべて同じ店でうられていたので、ナポレオンを憎む変質者が近所の像から破壊したのかもとレストレードはいうが、ホームズは、壊された状況から、注意深く砕く場所をえらんでおり、変質者の犯行ではなさそうだと述べる。
ホームズは興味を示し、またおこったら教えてくれという。

翌朝、レストレードから電報がとどき、ハーカーという新聞記者の家で胸像が盗まれ、身元不明の死体も発見されたという。
ナポレオン像は2・300ヤード離れた空き家の庭で砕かれて発見されたという。
ホームズはその場所が街頭の明かりに近いことを指摘、犯人が破片の中になにかさがしているたのだと推理する。

レストレードは殺された男の身元を調べるといい、ホームズはナポレオン像の出元を調べることにする。
さらにハーカー氏に、犯人はナポレオン像を狙う変質者だとウソの情報を流し、新聞にのせてもらうようにする。

ホームズとワトスンは胸像を売った店で、殺された男がもっていた写真をみせると、ベッポという手間仕事をしていたイタリア人だという。
さらに製造したところにいってみると、ナポレオン像はベッポがつくったものだとわかった。全部で6個あったが、そのうち4個は壊され、残り二つはチジックとレディングに売られていた。
ベッポは一年以上前に通りで同じイタリア人を刺して服役したという。いとこが今も働いているとのことだったが、
ホームズはそのいとこには、自分たちのことは内密にしてくれと口止めし、質問もしないで立ち去った。

夕方レストレードと下宿でおちあうと、レストレードは殺された男がイタリアマフィアで、写真の男がマフィアの掟に背いたので、殺すために追いかけてきて返り討ちにあったのだと推理を述べる。
ホームズは、捜査を称賛しながらも、イタリア人街より今晩チジックにいくべきだという。
そしてその夜、胸像を怖しに来たベッポを見事に捕まえる。
レストレードは驚く。

翌日ホームズの下宿でレストレードも呼ばれてすべての説明がされる。
レディングのサンドフォード氏が、ホームズの依頼でナポレオン像をもってきて、ホームズはそれを10ポンドで買う。
サンドフォード氏が去ってから胸像を割るとでてきたのはボルジア家の黒真珠だった。

事件は当時の持ち主コロナ公爵夫人づきの女中が真珠を盗んだ疑いがかけられたが、証拠があがらなかった。
それが殺された男の妹で、ベッポはその事件の関係者だったか、兄妹から真珠をぬすもうとしたかだった。
しかし、真珠をもっているときに人を刺して警察に追われたので、とっさにつくりかけのナポレオン像の中に隠したのだ。
服役後、その像をさがして真珠を回収しようとしていたのである。

ベッポが捕まった日付、レストレードが調べてきたイタリアマフィアの身元からそれらを推理したホームズは、
ベッポが警戒して、ナポレオン像を盗むのをやめないよう、わざと間違った解釈を新聞記者にかかせたのであった。

レストレードとワトスンが拍手喝采するのを聞いて、ホームズが非常に喜ぶ描写がある、
しかし、その感動はすぐにきえて、最後には冷徹な推理機械にもどるのだった。



2 3人の学生
 ホームズが研究のため図書館に通うので、二人は有名な大学町の下宿に暮らしていた。
ある日、学生寮の個人指導権講師を務めているヒルトン=ソウムズという男が、青くなって駆け込んできた。
ホームズは研究に熱中していたので嫌がったが、どうしても警察にいきたくないというので事件の話をきくことにする。
ソウムズは奨学金試験のギリシア語の試験委員だったので、届いた校正刷りを確認していた。しかし途中でお茶の約束の時間があるのを思い出して1時間ほど留守にした。帰ってみると鍵がドアにさしこんである。自分の鍵はちゃんともっていたので、鍵は召使のものだろうと思ってきくとはたしてそうだった。召使のバニスターが主人のお茶の時間だったので用をききにきて、そのままにしてしまったのだ。
部屋に戻ると校正刷りの位置が変わっており、あとは折れた鉛筆の芯やけずりかす、土におがくずのようなものが混じった玉が書き物机に残っていた、他に痕跡はない。バニスターは試験問題が見られたとしると卒倒したが、ブランデーで回復したという。そして、自分は誓って試験問題にさわっていないという。
 3人は学生寮にでかけることにする。ホームズが事件のあった部屋を入念に調べ、あざやかに鉛筆の銘柄まであててしまう一幕がある。また、ソウムズの寝室からも部屋でみつかった土の玉が見つかった。
 学生寮には3人の学生が住んでいた。出入りするとき、みなソウムズの部屋の前を通り、3人とも奨学金試験を受けるという。
 2階にはギルクリストという学生が住んでおり、優秀で運動もできる、ラグビーやクリケットのチームに入り、ハードルと幅跳びにも優れている。父親は破産して苦労しているが、勤勉で努力家だという。
 3階にはインド人の学生ダウラトが住んでいる、几帳面にコツコツやっている。ギリシア語は苦手。
 4階には大学でも指折りの秀才マイルズが住んでいる、このごろはトランプ賭博で退学になりかけ、なまけているので成績に不安がありそうだ。ソウムズは彼を疑っている。
 ホームズはバニスターの話をきいてから3人の学生に会いに行く。2・3階の住人には会えたが、4階はドアさえあけてもらえなかった。ホームズは会えなかった学生の身長を聞くとさっさと帰ろうとする。ソウムズが慌てて止めると、予定通りに試験をするようにとだけいいおいていった。
 翌朝、ホームズは謎が解けたといって、土の玉をとってくる。そして2人はソウムズを訪ねるとバニスターを呼び出して問いただすが、彼は口を割らないので、ホームズはギルクリストを呼んでくるようにいう。ギルクリストが来るといきなり攻め立てたのでギルクリストはバニスターを見る、そこでバニスターが「何も申し上げておりません」といってしまい、すべてが明らかになる。
 実はバニスターはもともとギルクリストの父親の執事をしていたのぎだ。
 ソウムズの部屋で試験問題が見られたことを知った時、現場にギルクリストの手袋があるのを見て、とっさにその上に座り込んで隠し、ソウムズが出て行ってから寝室にいたギルクリストを逃がしてやったのだ。
 ホームズが犯人を割り出したのは、実は窓から机のみえる身長なのはギルクリストだけだったという事実からであった。
 そして、土の玉は幅跳びのピットにはいっている年度と滑り止めのおがくずが混ざったものだったのだ。これも証拠になった。


3 金縁の鼻めがね
 嵐の夜、刑事のホプキンスがホームズのところにやってくる。
 ケント州、チャタムの町から7マイルのところにある、ヨクスリーの古屋敷で秘書のスミスという青年が首を封蝋用のナイフでさされて殺された。犯人のものと思われる鼻めがねをつかんでいた。そして死ぬ間際に「先生、あの女です」と言い残した。ホームズはホプキンスから眼鏡をうけとって鮮やかに女性の人相書きをつくりだしてしまう。
 ホプキンスによると、何者かが足跡を残さないように道のわきの草の上を通って屋敷にむかったらしい跡があるという。ただしはっきりしないので、行きなのか帰りなのか足の大きさなどはわからなかったという。
 屋敷に住んでいるのは老学者のコラム教授、家政婦と女中、庭師だった。教授は病気で、ほとんどをベッドですごし、杖をついて屋敷内を散歩するか、庭にでるには車いすが必要だという。
 事件のあった教授の書斎はろうかで裏口と教授の寝室につながっており、寝室には教授がいたことから犯人は裏口から逃げたとおもわれるが、それらしい女性はみつかっていないという。
 ホームズたちはホプキンスに同行して、屋敷に向かう。
 事件のあった書斎でビューローの鍵のところに新しい傷があるのに気が付き、犯人の女が、中にあるものを盗ろうとしていると推理。
 そして女中に証言から、犯人は書斎の窓から逃げていないことを確認する。
 コラム教授はタバコばかりすっている老人であった。ホームズは誘われるままに教授のタバコを吸って、灰を盛大にまきちらした。そして午後2時にまたくるといいおいて出ていく。
 昼食をまたいで2時間まで庭で過ごしたあと、教授の部屋に戻るとホームズは「今この瞬間にすべて解決した」と言い放つ。
 そして犯人は教授の部屋の本棚の後ろにいるというのだ。
 すると、本棚が回転し、なかからホコリにまみれた意志の強そうな女性がでてきた。
 ホームズは女性が度の強い眼鏡をなくしていることから、草の上をふみはずさずに歩くことはできないと推理し、教授の部屋に向かう廊下と外に向かう廊下の敷物が同じことから、女性が間違えて教授の部屋にいき、そこにかくまわれていることを推理したのだ。そして煙草の灰をわざと、前に本が置いてない本棚の前におとし、教授が昼食を食べるときに、女性が一緒に食べる為にでてきて、灰が異動するのを観察したのだ。女中に教授の食欲について質問したのもそのためだった。
 女性はアンナと名乗り、すべてを話した。
 教授とはロシアで結婚し、革命の同志だった。しかし警官が殺される事件がおこり、教授は仲間と妻を裏切って警察に通報。賞金を得るとイギリスに渡ったのだった。アンナはシベリア送りになったが終身刑ではなかった。
 アンナが教授を追ったのは、まだシベリアで刑に服している同士の男性を助けるためだった。彼は非暴力主義者で事件とかかわりはないのに、それを証明できなかったのだ。アンナの日記や手紙があれば、それを証明できるのだが、教授はそれを持ち出してしまっていた。アンナは刑があけると、それを取り戻すためにイギリスにやってきた。探偵を使って教授の家のビューローに日記と手紙があり、鍵の型も手に入れた。そして自分で盗みにはいったのだ。しかし、秘書のスミスにみつかりとっさに机の上にあったもので殴ろうとしたところ、それがナイフで致命傷になってしまったのだった。 アンナは午前中にスミスと道で会って、教授の家をきいていたので、スミスは「あの女」といったのだった。
 そしてホームズの推理どおり廊下を間違えて教授の部屋にきてしまった。
 しかし、居所を昔の仲間に知られたくない教授はアンナと取引し、警察が引き上げるまで彼女を部屋にかくまうことにしたのだった。
 すべてを話したアンナは、本棚から出る前に飲んだ毒で自殺。
 ホームズはアンナの日記と手紙をロシア大使館に届ける。


4 スリークォーター失踪事件
 ホームズにめぼしい事件がなく退屈していたとき、ホプキンスに紹介されたというケンブリッジ大学のラグビーチームのキャプテンだというオーバトンという若者が訪ねてくる。そして一気にラグビーの選手についてまくしたてる。しかしホームズはまったくわからず、オーバトンは国際試合に5回もでた有名選手を知らないホームズにびっくりする。
 オーバトンによるとチーム要、スリークォーターのゴドフリ=ストートンが失踪したのだという。
 チームはオックスフォードとの対戦のためロンドンにやってきたが、その夜ゴドフリは手紙をうけとり、それを届けたあご髭の男とでかけたきり戻ってこないという。ケンブリッジにも戻っておらず、親類は叔父にあたるマウント=ジェームズ卿だけなので、そちらにも尋ねてみたが返事はこないという。ジェームズ卿は80歳を超える老人で、大金持ちではあるが、ひどいケチでゴドフリには一切援助していないという。しかし財産の相続人はゴドフリただ一人なのだ。
 ホームズは、ゴドフリを当てにしないで試合の準備をするようにアドバイスすると捜査にとりかかる。
 ホテルで、ボーイから、男が来る前にゴドフリが電報をうけとり返信を書いたことをつきとめ、部屋をしらべているとジェームズ卿があらわれ、探偵に払う金はないとまくした。ホームズはいたずらっぽくゴドフリはあなたの財産の相続人なので狙われた可能性があるかもしれないというと、急に態度をかえて、費用は5ポンドか10ポンドなら自分がだすといって帰って行った。しかしゴドフリの手がかりはなかった。
 ホームズは郵便局に向かい、窓口で「電報の返信がこないのだが、自分の名前をいれわすれたのではないかと思う。確かめたい」といって、まんまとゴドフリの電報の宛先を探り出す。
 宛先はケンブリッジの医学部の学部長レズリ=アームストロング氏だった。ホームズはゴドフリが彼に支払った領収書をみせて、ゴドフリが病気だったのか尋ねるが、健康だという。しかしなんの領収書なのかは教えてくれず、ゴドフリの行方もしらないという。
 ホームズはアームストロング家の前の宿をとり、アームストロング氏の行動を探る。馬車でどこかにでかけているのだが、御者も口が堅く、行先がつかめない、追跡もことごとく邪魔され、ホームズはアームストロングが犯罪方面にその才能を使えばモリアーティの後釜になれるという。
 ホームズはアームストロングの馬車の車輪に酒をかけ、それをドラグハウンド犬に追跡させる方法で馬車の行先をつきとめる。
 畑の中の小屋でゴドフリを発見するが、妻だという女性が亡くなったところだった。
 そこにアームストロング氏が戻ってきた。氏はホームズがジェームズ卿の依頼で動いていると誤解していたのだが、ホームズが誤解をといたので、すべてを打ち明けてくれた。
 ゴドフリはロンドンで下宿していたとき、そこの娘と結婚した。しかし結婚が公になるとゴドフリはジェームズ卿の財産の相続人の権利を失ってしまう。ゴドフリに目をかけていたアームストロング氏のはからいて、結婚は秘密にされた。しかし、娘は重い肺病にかかってしまい危篤状態になった。秘密を公にできないのでゴドフリはロンドンにいったが、娘の病状はおもわしくなかった。アームストロング氏はゴドフリには娘の病状を伏せておいたが、父親には正直に電報を打った。この父親があご髭の男で、知らせを聞いたゴドフリはケンブリッジに戻ってしまったのだ。
 すべてを知ったホームズたちは悲しみの中小屋を後にする。


5 アベ荘園
 早朝にワトスンはホームズにたたき起こされ、連れ出される。
 原因はホプキンスがよこした電報で、ケント州マーシャムのアベ荘園でホームズの興味を引きそうな事件がおこったというのだ。
 しかし、ついてみると夫人の証言ですべては解決にむかっているという。
 殺されたのはアベ荘園の主人ユーステス卿。金持ちで地位もあるが、大酒のみで夫人や召使に暴力をふるう問題のある人物だった。夫人とは1年前に結婚。夫人は1年半前にオーストラリアから女中とロンドンにやってきて、ユーステス卿と結婚したのだが、夫がまったく見込みと違う人物だったのに落胆して、結婚を後悔しながら暮らしていたらしかった。

 夫人によると、昨夜みなが休んでから屋敷をみまわっていると強盗と鉢合わせして殴られ気を失った。気が付くと引きちぎった呼び鈴の紐で椅子にしばりあげられて、口もふさがれていた。そこに夫のユーステス卿がやってきたが、強盗たちが火かき棒で殴り倒した。また気を失っていたが、気が付くと強盗たち3人がワインをあけて飲んでいた。そして引き上げていった。夫人は15分以上かけて口の自由を取り戻して人を呼んだという。3人の強盗の容姿に対する夫人の証言から2週間前にルイシャムで一仕事したランダル一家が押し込んだと思わるという。ホプキンスは、見込みとちがって単純な事件になってすまいとホームズに謝る。ホームズはひととおり屋敷をみて、夫人と女中の証言をきいて、いったん引き揚げる。
 しかし、帰りの汽車のなかで、どうしても納得いかず「戻る」といいだす。アベ荘園の人たちはびっくりするし、ホプキンスはすでにひきあげていたが、ホームズはもう一度入念に事件のあった部屋を調べ、夫人に本当のことを話してほしいというが、拒否されて引き上げる。
 ホームズはホプキンスに庭の池を調べるようにいう。強盗たちがとっていったのは少しの食器類だけだったのだったが、それが池からみつかった。さらにランダル一家はニューヨークで逮捕され、ホプキンスは混乱するが、ホームズは自分の考えを話そうとはしなかった。
 そして夫人がオーストラリアから乗ってきた船のことを調べていたのだが、ある人物を選んで電報をうって呼び出した。
 現れたのはクローカー船長という人物で、夫人の乗ってきた船では一等航海士をしていた。
 ホームズは部屋を調べた時、夫人を縛り上げた呼び鈴の紐をきるときに犯人が残したと思われる手形を発見しており、身軽であることから船乗りであること、手形から身長を推測。船乗りということで、その男性が航海中の知り合いだろうと推測して、彼をわりだしたのだ。
 クローカー船長は、ホームズの推理どおりの話をしてくれた。
 船で夫人に恋したが、夫人のほうは友人として接してくれただけだっという。
 その後、航海から戻ると夫人が結婚したときいたが、身分も財産もふさわしい男性だからと諦めるつもりでいた。
 しかし、女中に夫人が酷い扱いをうけていると聞いて、よなかにこっそり夫人を訪ねた。そこをユーステス卿にみつかり、卿が夫人を殴ったので、火かき棒で彼を殺してしまったというのだ。
 その後夫人と女中と話し合い、強盗のしわざにすることにして、夫人を縛るとたちさったのだという。
 ホームズは彼がすべてを正直に話してくれて、なおかつ夫人に対する気持ちもとても強いのを確かめると、事件の真相は秘密にするといってクローカー船長を解放するのだった。


6 第二のしみ
 この冒頭でワトスンは、ホームズがサセックスの丘陵地帯で学究とミツバチの飼育にうちこんでいるので、昔の冒険談を発表するのは、アベ荘園で終わりにしようと考えていたと述べる。
 しかし、この事件は最初からいずれ発表するとの約束があるし、重要な国際的事件なので、最後の事件としてとりあげることにするとしている。 詳細をあきらかにできないことを誤ってもいる。
 火曜日の朝、イギリスの首相を2度務めているベリンジャー卿と、若手の政治家トレローニ=ホープがホームズを訪ねてきた。
 国際問題に発展しかねない書類がなくなったのだという。
 手紙は6日前に届き、非常に重要なのでホープが家に持ち帰り書類箱にいれて鍵をかけておいたという。昨夜は確かにあったのに、今朝なくなっているのに気が付いた。夫人ともども眠りは浅いほうで、夜中にだれかが忍び込んだ形跡はないという。
 書類箱の置いてある寝室に入れる使用人は限られており、いずれも信用が置ける上に、誰ひとり重要書類があるとはしらなかったという。妻にさえいってはいなかった。
 書類があることは、昨日閣僚全員が知らされたという。他にには役人が3人知っている。
 内容を教えるのを渋る二人からホームズが聞きだしたところでは、外国君主からのもので、その国の大臣もしらないうちに届けられており、内容が公になればイギリスが大戦に引き込まれることになるという。ホームズはその外国君主の名前を紙に書いてみせて当てる。ベリンジャー卿によると手紙を書いた君主も後悔していて公表は望んでいないだろうが、公開してイギリスを大戦に参加させたい国はあるだろうとのことだった。ヨーロッパのどこかの高官に手紙が渡れば公開されてしまうに違いないとのことだった。
 ホームズはホープの家の状況から内部の人間が盗んだと判断。もし手紙がどこかに送られているとしたら、もう取り戻すのは不可能なので戦争の準備が必要だと言い放つ。しかし、重要なものなら自分で届けるためまだ手元にもっている可能性があるので調べると約束する、政治家たちはかえっていった。

 ホームズは心当たりのスパイ3人に会って、金で交渉してみようとうするが、ワトスンがそのうちの一人が昨夜殺されたと新聞に載っていたことを教える。
 事件はウエスト民スター大寺院の近くの自宅で、テノール歌手として有名なエドゥアルド=ルーカス氏が殺された。氏は34歳の独身で、老家政婦と執事が同居しているが、事件のとき家政婦は階上の自室にひきとっていて、執事は外出していた。午後10時以降にルーカス氏一人だったが、12時15分ごろ通りかかった巡査が戸が半開きなのに気が付いて死体を発見した。凶器は壁に飾ってあったインドの短剣で、なくなったものはないという。
 ホームズはこの事件がつながっていると直感。そこへ、ホープ夫人があらわれて、夫の困りごとについて聞きだそうとする。ホームズは内容は教えなかったが、解決できなければホープ氏の経歴に傷がつくだろうと答えると落胆して帰っていく。
 ホームズはルーカスの氏について調査していたが、3日ほど進展はなかった。
 進展は、パリからあった。ルーカス氏はパリでまったく別の人物として暮らしていたのだが、こちらでは妻をもっていた。その妻が狂人になり保護されたのだが、なにかの拍子でルーカス氏がロンドンで二重生活をしているのを知って、おいかけてきてルーカス氏を殺害したというのだ。

 ホームズはルーカスの死については解決したが、書類については解決していないという。書類が公開されている様子もない。
 そこにレストレードから呼び出しがくる。二人がルーカスの自宅にいってみると、ルーカスの部屋を片付けようとカーペットを上げると、血のしみがカーペットと床で違う位置にあったというのだ。ホームズは見張りの警官を脅して、白状させるようにアドバイスする。
 レストレードがいってしまうと、ホームズは急いでカーペットを動かして床をさがし秘密の羽目板をみつけて中を探るが書類はなかった。そこにレストレードが戻ってきていうには、警官が白状したという。
 警官によると昨夜若い婦人がやってきて、犯罪のあった部屋をみてみたいというので、つい言うことをきいてしまった。すると婦人は血のついたカーペットを見て倒れてしまったので、自分は婦人を残してブランデーをとりにいったという。戻ると婦人はいなくなっていた。

 ホームズはホープ氏の自宅を訪れると夫人に面会を求め、書類を戻すようにいう。
 夫人は抵抗したが、最後には夫にはいわないでくれと、警官をだまして書類をもちだしたことを認める。
 実は夫人はルーカス氏に昔の手紙をネタに脅されており、そそのかされて夫の書類入れから手紙を持ち出したのだ。内容はしらなかった。それを届け、自分の昔の手紙を取り戻した。そのとき廊下で足音がして、ルーカスが手紙を床下に隠すのをみた。廊下から知らない女性がはいってきてフランス語で「女といっしょのところをみつけた」といってナイフを手にルーカス氏に襲いかかった。夫人は怖くなって逃げ出した。しかし翌日になって、自分が持ち出した手紙がひどく重要であるらしいことに気が付き、なんとか取り戻そうとしたのだった。
 ホームズはすべてを聞くと、手紙を元の書類入れの底のほうに戻すようにいう。

 そこにホープ氏がベリンジャー卿とともに帰宅してくる。
 ホームズがもう一度書類入れを探すようにいい、書類が見つかるとホープ氏は歓喜するが、ベリンジャー卿は、ホームズがどうやって書類を戻したのか知りたがる。ホームズの答えは「我々にも、外交上の秘密がありまして」だった。




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