SSブログ
[PR]本のベストセラー

空想科学読本1[新装版] (空想科学研究所の本) [雑学]

著者の柳田理科雄さんは、物理学者になりたかったんだそうで、名前は本名なんだって。

ウルトラマンや仮面ライダーといった空想科学の世界を科学的に考えてみようという本。

第一部 設定からしてトンデモない。

・怪獣の身長と体重

ウルトラマンの設定は身長40m、体重3万5千トン。これは適当な値なのか?
人間の20代から30代の男性の平均身長と体重は170㎝、66㎏。
身長が24倍なので体重は幅と厚みを考慮して24×24×24これだと860t。ぜんぜんたりない。
いったい彼らは何でできているのか、とっても密度が重い。
地上で沈まないで戦えるのは奇跡的だ。
ちなみにウルトラ兄弟の身長、体重を比較すると、もし同じ物質でできているなら、
ゾフィーを平均体型とすると最初に地球に来た3兄弟はチビのふとっちょ。エースは明らかに肥満児。タロウは背が高くてガリガリになるそうな。

ゴジラについては人形を水に沈めて体積をはかり、人形の身長14.8㎝とゴジラの身長50mでは340倍
ここから体積は39000倍。生体の密度は1立方メートル当たり1tなので、適正体重は1万2500t。
ゴジラの体重は2万トンとされているので、こちらのほうがウルトラマンよりマトモ。
海からきたから、浮力も使えるしね。でも水には浮かばないから海底を歩いてきたんだろう。

ところでゴジラの体重は製作年代でかなり変わっているそうで、初代ゴジラ1954年は50m、2万トンだけど、
この本の最新2004年のゴジラは100m、5万5千トン。上記の方法で計算した適正体重は9万9600トンで、重量比は0.6倍なので水に浮くそうな。

他の怪獣たちも人形を水に沈める方法で適正体重をだしていたけど、
一番まともなのがテレスドンが体の密度が水の6倍。生体というより金属の値。
鳥の怪獣リトラは金の250倍の密度があるので翼の力では飛べないし着地するとめり込む。

ロボットの適正体重はASIOMを基準に算出。
ASIMOは身長120㎝、体重52㎏、外板のアルミニウムの密度は2.7g/立法センチメートル
これと同じくらい機械がつまっていると仮定したとき、
マジンガーZの適正体重は180トンだが、実際は20トン。重量比0.11倍。なんと中身は空っぽだ。
コンバトラーVは0.099倍、機動戦士ガンダムは0.25倍。

この方法で計算していくとガメラは身長60mで体重80t、重量比0.0026倍、気体でできているらしい。
ギャオスも同じくで、両者が空中で戦うと風船が戦っているようにみえるだろう。

結局科学的に納得いくのはゴジラだけ。


・ヒーローの変身
一瞬で姿を変えることはどの程度可能なのか?

コスチュームを身にまとうだけの変身を考える。
服を脱いでいる様子はないので、平服の上に戦闘服をきているのだろう。暑いだろうに。

ガッチャマンの変身ではブレスレットから服がでてきているようだが、
彼らの装備はどう考えても推定2㎏前後。こんな重いものをいつも左腕につけていたら、左腕だけ太いだろう。
また質量は変わらないで、あの大きさになったら密度は恒星の中心部並みに高い。

人造人間キカイダーの場合、PL学園の応援のように、体の表面を細かいピースにわけて、表を人間の外形、裏をロボットの外形にして、くるくるまわすのが現実的。
しかし、ひっくりかえすときの動力が必要だ。電磁石がよいと思うが、あまり強くすると機械が狂うので、弱くしておくと戦っている最中に波立ったりするし、敵の磁力でひっくりかえって人間とロボットのまぜこぜ状態になるかも。

仮面ライダーの返信はオタマジャクシがカエルになるように、肉体そのものが変化してしまうと考えられる。
だから変身というより変態。
しかも変態には時間がかかるはずなのに、一瞬でおこなうには、よほど大量の変態促進ホルモンを使っているに違いない。しかしあまり大量に使うと、急激に老衰したり、変態が途中で止まってしまうことがあるかも。あと、変身後は食細胞で後始末しているとおもわれるが、これが異常にはたらくと手足が極端に短くなってしまったりするかもしれない。

イナズマンはサナギマンになってからイナズマンに変身するが、サナギの間は器官をどろどろに溶かして作り直しているはずで、あんなにあばれたら形成作用が阻害されて記憶障害を起こすかもしれない。そうしたらイナズマンになったら、何をしていたのか忘れてしまうのではないか?

人間を改造するなら変身を前提としないで、初めから強い改造人間を創った方がいいかも。


・ヒーローの巨大化
生物が習慣的に身体の大きさを変えることはできるのか?生物でなくても化学変化によって質量は変わらないはず・・・

ウルトラセブンは身長1mmから40mまで体を大きくしたり小さくしたりできる設定だ。
モロボシ・ダンは身長1.8m。そして生物だから、巨大化なら細胞増殖による成長だろう。
人間の場合、成長期でも食べた量の1.1%から成長できない、ということはセブンになるには310万トンが必要で牛1260万頭分。1回の変身で日本の牛は絶滅。
細胞の増殖速度は、もっともはやい受精卵で30分で2倍。ダンがセブンになるのは9時間半。
しかも細胞分裂中は絶対安静なので、深さ10m以上の50mプールに横たわって、牛1260万頭分の栄養を含んだ生理食塩水に使っていなければならない。

しかし、セブンは瞬時に変身しているから、細胞分裂ではなく、太陽エネルギーを質量に変えているのかも。
1gの物質をつくるには90兆Jが必要だ。太陽からふりそそぐ光エネルギーをダンの身体でうけても、1秒間に増加する体重は0.0000000045㎎なので、変身には1200億年かかる。
ウルトラの星からエネルギーを送ってもらうとすると、3兆Jの1兆倍のエネルギーを1秒で照射すると、現在開発されている最高出力のレーザーの30億倍。ダンにあたらなかった場合地球をかるがると貫通する。
ウルトラの星は地球かrあ300万光年はなれているので、ダンに命中させるのは北極星にいるミジンコの目を射抜くようなもの。また届くまで300万光年かかるので、すでに発射されていないと変身できない。しかも地球の太陽を回る軌道と、そのずれ、自転する地球の上を動いているダンを予測するのだから、すごい科学力である。

というわけで、物質が増加するのは無理なら、体重70㎏で体積だけが増えているのかもしれない。
人体を水と仮定すると70㎏の水が水蒸気になって、セブンの体積になっても圧力をまわりと同じにするには温度を2千度にする。すると必要なエネルギーは3億Jでガソリン8リットルが燃えるエネルギーで済む。
ただし、パンチもキックも威力はなく、必殺技をだしたり、怪獣と接触するたびにエネルギーが流出して小さくなってしまう。

ミクロ化では身長に比例して小さくすると体重は0,012㎎になるが、このとき戦った怪獣ダリーは重さ100㎎。体重8300倍の相手と戦ったことになる。
しかも脳の体積も小さくなると脳細胞は2.4個になるので記憶はなくなってしまうのではないか?
では体重は変化しないとすると、密度は金やプラチナの3億倍になってしまう。
原子核の周りを電子がまわることができないので、やはり記憶はなくなってしまう。
微生物となるか原子核となるかで人間の体内で一生をおえるだろう。


・ヒーローのエネルギー源
光子力のマジンガーZ、風力の仮面ライダー、太陽エネルギーのウルトラマン、原子力の鉄腕アトム。
彼らのエネルギーを計算していみた。

仮面ライダーは風力エネルギーを電気に変えて動いていると仮定してみる。
現行の実用機での発電効率は40%で、理療上は59.3%まで可能。これは発電のなかでトップクラス。
ただ風のエネルギーは体積あたりの密度は低いので、巨大風車が必要。
仮面ライダーの直径10㎝のベルトで風速10mの風をうけたとき、出力は最大で2.8W 。
歴代の仮面ライダー14人があつまって、風速10mの風が吹く山の尾根にたつと、あわせてトイレの電球40W がつく程度。
変身するときのジャンプで力を得るにはうつ伏せでおちてこないといけない。TVでは直立で風はほとんどうけられない。しかもビルから落とされて力をうけたとしてもランドマークから落ちて2400J。これは800Wの電気ストーブを3秒つけるくらい。
バイクなら時速500kmでるので発電出力は7500W、23分19秒走ると2500カロリーという、常人の一日の生活に必要なエネルギーが得られる。
これでは、普通に戦った方がよっぽど強い。

光からエネルギーを得るには、光の運動エネルギーを利用する(光子ロケット)、熱エネルギーを利用する(対応温熱水器)、物質中の電子にぶつけて電気を取り出す(太陽電池)があるが、瞬間的なパワーをだすには向かない。
重さ1㎏、消費電力100W の懐中電灯を宇宙空間におくと、光子が飛び出すことで懐中電灯は動き出すが、その反動は0.034㎎。抵抗がない空間でも停止した状態から1m進むのに41分かかる。
太陽熱温水器だと、マジンガーXの黒い部分がゴムで、中に水が入っていることになるが、あったまるまで日向ぼっこが必要だ。雨の日はお休み。
太陽電池のエネルギー変換効率は最先端の試作機で40%。全身が太陽電池で覆われているとしても、受けられる面積が推定35m、直立しているときの発電力は11kw。しゃがんだ状態から立ち上がるのに2分40秒かかる。
自然エネルギーで戦うのは無理がありそうだ。

アトムやエイトマンは原子力を使うが、核分裂にせよ、核融合にせよ、厚い壁をもった原子炉の他に、運動エネルギーを得るための蒸気機関が必要だ。
これらをいれるとアトムの胴回りは4mになる。アトムの体型だと、おそらく安全対策はないから放射能をまきちらいているに違いない。御茶ノ水博士の身体はボロボロだろう。


・巨大ロボットの操縦
初めて巨大ロボットに人間がのりこむという設定を使ったのはマジンガーZ。
しかし、そもそも人間が行くには危険だから、ロボットにいかせるのでは?

マジンガーZの身長は18mで人間のほぼ10倍。
歩幅6.8m時速50kmで歩くのえで、1秒に2歩。かなりの大股であるく。
このとき人間なら3㎝程度上下動すると考えると、マジンガーZの上下動は30cm。
これを時速50kmでぶっ飛ばすのだから、モトクロスの洗濯板をぶっとばすようなもので、乗り物酔いは必至。
走るとなるとびょそく100mの設定なので命が危険がある。空中では無重力が1.4秒つづき、着地するときは2tの力が2.3秒かかる。骨がミゾレ状に複雑骨折しそうだ。
ジャンプとなると20m飛ぶ設定で、しかも着地の体勢はほぼ直立。見えない程度に縮があると仮定しないとマジンガーZが壊れてしまうので縮が20㎝とすると、着地時間は0.02秒で衝撃7tが平均でかかる。絶対にお陀仏である。
殴り合う場合は、敵のロボットが同程度のパワーをもっていると仮定する。パンチのエネルギーは敵がパンチの動作に入ってからこぶしが当たるまでの時間できまる。マジンガーZのスピードは人間の10倍として、パンチの初動から打突までの時間は空手と同じ0.5秒。生まれた破壊力の半分がマジンガーZに伝わるとして(半分は敵にはねかえる)時速390kmでぶっ飛ぶことになる。操縦者はシートベルトをしていないので、時速360kmで前方に投げ出されることになるだろう。

コン・バトラーVの超電磁竜巻は、画面でみるかぎり自動車のエンジンと同じ程度まわっているように見える、毎分3千回転。1秒で50回転。操縦席が回転軸から1mはなれると重力の1万倍の力がかかる。同軸上にあっても膝から下に重力の4千倍のちからがかかる。
遠心力を最小限に抑える為に操縦者は手足を身体にしばりつけて回転軸上に直立するしかない。舌がひっぱられるかもしれないから私語は厳禁である。これでも肩や腕や足は重力の2500倍前後、脳の周辺部が重力の1千倍程度の遠心力をうけるが・・・

隊長400mの恐竜型ロボットが体を丸くして開店するボリューションプロテクトは、回転半径が大きくなるのでもっと危険だ。上と同じ毎分3千回転なら、乗務員にかかる遠心力は重力の30万倍、機械もすべてペシャンコだろう。

アルコールのような年生の小さな液体でコクピットを見たし、アクアラングをつけて潜って操縦すれば、ショックを吸収できるし、振動も防げる。回転運動はつたわらないので、一緒にまわらなくてもいい。
ただし、機械は高速で回転しているので、乗っているのに無線操縦だ。


・怪獣の武器
生物が火をふいたり、さまざまな光線を発射するなどできるのか?

ガボラ、パゴス、イングザウルス三世などはウランを食べるというが、ウランからエネルギーを取り出すには核分裂が必要で、その反応をコントロールするのは難しく、現実的ではない。反応するときの温度が高いので酵素もホルモンも役にたたないし。
石油を飲むなら可能性がなくはない。石油は空気を遮断すれば燃焼がとまるので、取り扱いも簡単だ。
ただ、自然界の石油は土砂とまざりあっているので、そのまま飲むと原油の4倍前後の土砂を飲む。石油怪獣の大便は原油廃棄物と土砂の混合だからアスファルトになるだろう。
ガメラは体内に石炭袋をもっているが、これは危険。石炭は固体なのですき間に空気がはいる。石炭を燃料にして火を吐くと体の中までやけてしまうかもしれない。
着火方法は、一番簡単なのは歯をガチガチ噛み合わせて火花をだすこと。ただし唾液まみれだと火がつきにくいから、かなり根性がいる。あるいは手をこすり合わせて高温をだすとか、どちらも根性がいる。

怪獣の吐く光線には、破壊光線、殺人光線、マグマ光線、溶岩熱光線、発条光線などいろいろあるが、限られたエネルギー源から出す光で物体を破壊するならレーザー光線だろう。
レーザー光線とは、同じ波長の光を上下を揃えて発射することなので、生物がレーザー光線を発射できるかは、体内でエネルギーをつくれるかと、レーザー発振体が京成できるかにかかっている。
生物である以上食物からエネルギーをとって、光や電気エネルギーにするわけで、蛍や電気鰻と同じ。
1秒で戦車を溶かすとなると、戦車50tでみつもってエネルギーは1400億J、炭水化物は810㎏必要だが、怪獣の体重の1万分の1以下だから問題はない。発振体も眼のレンズのようなものをつくればできるかもしれない。ただ、強力なレーザー光線を出すとなるとクロムなどの重金属が必要で、生物にとっては有害だから、寿命は短そうだ。

怪鳥ギャオスの超音波メスを考察。
超音波でモノを切断するのは可能だが、物体を切断することはできない。
音は質量の軽い空気分子の運動なので、変形しにくい物質なら共鳴を起こして割れるから、窓ガラスは割れるかもしれないが、人間にあたると血行がよくなって健康になるだけだろう。
超音波で切りたかったら、切りたい部分に金属や岩石の粉を置いて振動させないといけない。
ガメラを切りたかったら、一度着地して砂を塗り付けて超音波をあてないといけないわけだ。

火を吹く能力は捕食や防衛のためなら威力が強すぎるので、おそらく生殖のためだろう。
プロレスで火を吹くのをいっしょである。



第2部 この技を使ってはいけない!

・ウルトラ一本背負い
ヒーローの重量で着地したり、敵を投げ飛ばしたらどうなるのか?

ウルトラマンに投げ飛ばされたレッドキング(身長45m、体重2万トン)は、どのくらいの衝撃をうけるか?
背負い投げをくらったレッドキングは1秒でなげられているが、体勢が不十分なので、おそらく2秒はかかるだろう。
やや、かかんで30mからなげたとして、長さ60mの弧をえがくなら、運動エネルギーは400億J、ウルトラマンのパワーは2700万馬力。全国の発電量の17%である。
エネルギーの80%が地面の揺れ、熱に15%、音に5%振り分けらえるとすると、マグニチュード3.8の地震が地表でおこることになる。地面はトランポリンのように波打ち、ウルトラマンもたってはいられないだろう。
熱はレッドキングの体表にかかるとすると温度上昇は400度。
音は175デシベルの音になる。距離がはなれていればいいが、ウルトラマンはすぐちかくで、しかも人間の聴覚の1千倍でこの音をきくと気絶して、二度とたちあがれないだろう。ウルトラ警備隊員も同様である。

着地については、ウルトラマンのジャンプが8千mなので、ここから降りてきたと仮定してみる。
8千mから3万5千トンの物体が落下すると、空気抵抗がないばあい、2兆7500億Jである。抵抗はあまりないとおもわれるので無視して計算すると、着地の速度はマッハ1.2。レッドキングを投げ飛ばしたときの70倍のちからが発生する。
マグニチュード5の地震が発生、着地点から200km以内の人間が130デシベルを超える爆発音がきこえ、東京にウルトラマンがおりれば本州の人は失神する。
ウルトラマンの体重は人間の50万倍だが、骨の強さは5千倍なので、飛び降りたら瞬間的に骨は粉末になり、体はクラゲ上に地面にクラゲ状になってはりつく。

さらにはウルトラマンの怪獣スカイドンの体重は20万トン。これが地面に衝突するときのエネルギーは19京J。
宇宙からおちてくるなら空気摩擦も相当だ。半分が空気摩擦、半分が衝突とすると、熱の半分がスカイドンの身体にいくとして、スカイドンは蒸発してしまうはずだが、よっぽど熱に強いのか無事におりてきている。しかし一部でも解けだしていれば地上には溶けた弾丸がふりそそぐはずだ。
衝突はマッハ91.地面は陥没、8億トンのどぢゃが吹き上がる。マグニチュード8.1の地震が地表で起きる。音速を超えた物体が空気中を飛ぶと衝撃波が発生するので被害はさらに拡大するだろう。


・ウルトラ水流
ウルトラ水流は手から水をだす技である。高温の星に置き去りにされた人間が怪獣化したジャミラは水に弱く、この技で倒された。この技を実際に使用すると、どんなことがおこるのだろうか?

ウルトラマンはペスターが起こした石油コンビナート火災をウルトラ水流で消し止めた。
東京消防庁の保有している消防車は1854台、ポンプ車は643台、これで消し止められないくらいの火災を消すウルトラ水流はポンプ車1万台と見積もれる。すると1秒間に350tの放水力で、これは25mプール一杯分を1秒でいっぱいにすることになる。放水するときの手の形から見積もって放水の断面先から計算される水の速度はマッハ9.8になる。
水に研磨剤をいれてコンクリートや鉄を切断するウォータージェットでさえ、水流速度はマッハ1.5である。
ウルトラ水流をあびたジャミラは一瞬でバラバラである。火災がきえても施設も崩壊だ。
本人も反動で体重の3.5倍の力がかかり、後頭部を時速300kmで強打して、そのまま頭と足を交互に地面にぶつけながら放水地獄車となって、遠くに消し飛ぶだろう。

ウルトラ水流の水が体内からでているとすると、体重3万5千トンのウルトラマンの65%が水分だとしても、65秒でミイラになってしまう。テレビではジャミラに2回、計34秒放水していたが、体重の34%の水を失っているので脱水は間違いない。
では、水分は周りの空気中から集めているとすると、1㎡あたりに含まれる水は約10g程度なので、350tの水をあつめるには3500万平方メートルの空気が必要だ。ウルトラ水流が発射されると野球場10面の面積が上空300mまで一瞬で真空になる。建物は内部からの圧力で破裂して、国際平和場にいた各国の要人は一瞬で悲惨な死に方をしたにちがいない。
二次災害として、猛烈な竜巻と急激な温度低下がおこる。この台風のような低気圧が北にすすみ、巻き上げられた土砂が偏西風で地球を覆い、地球は氷河期に突入するだろう。


・100万度の炎
生物がこんな高温をだせるのか?出せたらなにがおこるのか?

ザンボラーは10万度の熱をだし、ジャミラは100万度の火を吐き、ゼットンは1兆度の火の玉を吐く。
自然界の生物が水とタンパク質でできている以上、これは不可能だ、タンパク質は60度を超えると煮えたり焼けたりして生命活動ができないのだ。
さらに数万度になると原子の周りの電子がはじきとばされてプラズマという高エネルギー状態になる。これでは化学反応はおこらない。

しかしまあ、こういう生物がいるとして、何がおこるか考えてみる。
太陽の表面は6千度なのにザンポラーは10万度だ。1平方メートルあたり1秒間に5兆7千億Jの熱が放出される。ザンボラーを長さ40m、直径15mのラグビーボールだとしてみると、1秒間に発生する熱は8800兆J。
10kmはなれても、太陽の9千倍の熱があたる。
ザンボラーが真冬に現れたとしても半径1300kmが真夏の暑さになる。東京に現れれば日本を囲む海の全域が亜熱帯になるので、カニやホタテはとれなくなってしまう。90km圏内では人間の皮膚はただれ、5km県内では全身の水分が沸騰して臓器が爆発。2km以内では体が炭になる。
空気中に10万度の物体があらわれれば、原爆のきのこ雲があがったような状態がずっと続き、上昇気流で雲が発生、降った雨は再びザンボラーの熱で上昇し、地球の半分を覆うような台風が発生。
岩は1200度で溶けて、1万度でプラズマになるのでザンボラーの足元の地面は溶けて、沈んでいく。

ジャミラは100万度の炎を吐く。
炎は燃焼中の気体だが、気体が燃焼する温度はもっとも高いアセチレンと酸素の混合ガスで3800度。
100万度ならどんな物質もプラズマだ。だからジャミラの吐いているのは100万度のジェット流。
これは工業で金属の切断に使われているが、その温度はせいぜい数万度。
ジャミラの炎があたれば瞬間的に蒸発してしまうから、炎をあげたり溶けたりはしない。
さらにプラズマジェットを吐くなら体内に濃厚なプラズマが相当の圧力で蓄えられているはずで、これがジェットといっしょに1秒間に1㎡あたり5京7千兆Jの光線がでるだろう。これは6秒で地球を貫通できる。

1兆度の火の玉を吐くゼットン。
これは現在の宇宙ではブラックホールの周囲にプラズマが集まった膠着円盤で発生するだけ。
ビッグバンのあと0.1秒後には1兆度にさがって、やっと電子が生まれた段階だ。
ゼットンの吐く火の玉を直径1mとすると1秒間に放出されるエネルギーは18京×1兆×1兆J。
太陽が放出しているエネルギーは1秒間に380兆×1兆J、ゼットンは太陽の460兆倍。
エネルギー源は自分の身体しかないが、身長60m体重3万トンのゼットンが命をふりしぼって火の玉をつくっても太陽と同じ核融合ではつくれる火の玉は原子の直径の6分の1くらいしか進めない。
テレビでみたゼットンは火の玉を2回吐いているから、エネルギーにみあうゼットンの大きさは身長19万km、質量1兆×1兆トンになる。これでは地球のすべてはゼットンに落ちていくだろう。ここまで大きければウルトラマンもみつけられまい。
本当に火の玉を拭いたら、地球は一瞬で蒸発、太陽系の星々は順次消滅、1億度を超える光はガンマ線になるが、生物は体重1㎏あたり300Jのガンマ線で即死する。ゼットンの吐いた火の玉のガンマ線がこのレベルを下回るのは90光年かなたなので、90光年以内の生物は全滅。
こんな高温にしなくても、山火事を起こしたり、化学特捜隊本部のガラスを割るのに10万度も100万度もいらない。


・ヒーローの飛行
ブースターやプロペラで本当に空がとべて、空中で殴り合ったり蹴り合ったりできるのか?

空を飛ぶ方法
・気球のように空気の浮力を利用数r
・ヘリコプターやロケットのように空気や燃焼ガスを吹き出して反作用を利用する
・飛行機のように空気の揚力を利用する
・人工衛星のように地球を周回する遠心力
気球は速度が遅く天候の変化に弱いという欠点がある。
遠心力を利用すると秒速7.9km=マッハ23が必要で、とても敵と戦える状態ではない。

モノをなベルト投げたほうも逆向きに力を受けるのが反作用。
松坂が時速150kmのボールを1秒間に130球投げ続ければ、体重80㎏の自分が空を飛べるのだ。
ボールの代わりにロケットは燃焼ガスを、ジェットエンジンは圧縮した空気を、ヘリコプターは空気を押し出している。

タカコプターはプロペラが1基しかないので、回転の反動で自分が逆回転してしまう。
ただ、ドラえもんの場合、タケコプターが小さいので、1分間に1回転するだけで済む。
しかし小さいがゆえに風はほとんど自分の体でうけてしまい。脇から漏れてきた風だけで浮き上がらなければならない。風の10%が浮き上がる力になっているとすると離陸するためには体重の10倍の1トン293㎏が必要である。
反作用の大きさは、空気の密度、プロペラの回転面積、風速の2乗で決まる。
これで計算すると直径20㎝のタケコプターで離陸するには秒速580m、マッハ1.7の風が必要だ。これは最大速度で飛んでいるジャンボジェットの機種に縛り付けられた時より強烈な風である。
風速が音速を超えると衝撃波で頭蓋骨がくだけてしまうだろう。

ガス噴射の場合、ジェットエンジンでは推力が小さいのでロケットエンジンで考えてみる。
燃料の量だが、全体の60%に液体水素と液体酸素の混合燃料をいれたとすると、コン・バトラーVが空中で戦えるのは6分52秒。短い。
空中の物体に力を加えるとき、重心を通る直線上で力が働くと物体はそのままの姿勢で運動するが、少しでも重心からはずれると回転してしまう。このため姿勢安定装置が必要だ。ロボットの各部に小さい噴射孔をつけて細かく姿勢制御するか、中心に地球ゴマのように軸を固定した円盤を設置して高速で回転させるかである。
前者は燃料を消費するのが速くなるのと、制御が難しいという難点があり、後者は高速で向きを変えるのが難しい。まるで二人羽織のような動きになるだろう。

物体が空地中をうけるとき抵抗をうけるが、物体の形状によっては空気の流れから浮かび上がる力を得られる。これが揚力で、飛行機の翼は揚力を最大にするように設計されている。
大型ジェット旅客機では時速850kmで飛んでいるとき、1㎡につき700㎏の揚力を生み出せる。
ロボットの場合速度は問題ないが、形は翼の形からほど遠い。検討するには模型が必要だ。
ところでウルトラマンの場合、絶対飛べない。体重が3万5千トンと重いのに体系が痩せているからだ。
設定ではマッハ5で飛ぶが、これをマッハ9.3にするか、面積をヒラメのようにひろげて飛ぶしかない。
テレビ画面でみるウルトラマンは10秒でマッハ5に到達しているようだが、その推進力は61万トンになる。これは水平飛行ならマッハ50になるが、空気抵抗で温度は14万度になる。


・超音速飛行
超音速で飛行すると起きる衝撃波を考える。

物体が超音速で運動すると、物体の先端から衝撃波が発生する。
ジェット戦闘機の衝撃波は5km先のガラスが割れる。
このため貯音速旅客機コンコルドは2万mの上空を飛行しているのだ。
コンコルドも超音速の衝撃波にさらされているが、それを避けるための形をしている。
衝撃波の形は、半径1の円をかき、円の中心からマッハで示された数値の長さの直線を引く(マッハ2なら半径の2倍)、直線の先端から、円の接戦を2本引くで求められる。
つまりマッハがあがるほど、衝撃波を避けられる範囲は狭くなるのだ。コンコルドは角度60度である。
マッハ3なら円錐の先端角は39度。キングギドラは首が飛んでしまう。
ウルトラマンのマッハ5だと23度で、頭が飛んでしまう。飛行形態に適した体型に変形して飛ぶしかないだろう。



第三部 役に立つのか、超科学技術

・地底戦車
これらは実用化されたという話がない。一番近いところでトンネル工事のシールドマシンがあるが、形は円筒形で速度は時速2m。地底戦車にはトンデモな欠点があるのか?

ジェットモグラタンクもマグマライザーもネジ状のドリルを回転させて地面を掘るが、通常人間がドリルをもって穴をあけるときドリル本体は人間が固定しているが、戦車にはそれがない。ドリルが回転する部分まで岩に食い込んだら本体が回転してしまう。戦車の中の人間は車内の機器に粉砕されてしまうだろう。

ウルトラマン太郎のベルミダー2世はドリルが2本ついていた。
しかし2本のドリルが同時に設置しなかった場合、片方がだkでて地面で固定され、そこを支点に回転してしまう可能性がある、さらにもう一方が刺さって回転したら、地面の上をのたうちまわっている状態になるだろう。同時に接地できてもドリルと車体の結合部まで潜ればそれで終わりである。(回転はしないけど)

地底戦車は地上を走る車と同程度の速度で岩盤をくだきながら疾走する。
これにはジェットエンジンやロケットエンジン並みのパワーが使われていて、逆回転を防ぐにも同等のパワーが必要だ。ジェットエンジンは大量の空気を使うので地下では使えない。ロケットエンジンは酸化剤を積んでいれば動かせるが、コントロールが難しい、岩盤の固さにあわせて回転力を加減するなんて無理な話だ。

ドリルが岩盤を削っていくと摩擦熱がでる。
石油を掘るときのボーリングは水で冷やしているが、それでも回転速度を1秒に1回におさえないと人造ダイヤモンドの切っ先が溶けてしまう。掘り進めるのは1日にせいぜい数十mである。
ドリルが摩擦熱に耐えられてもエンジンからの熱はどうしようもない。エンジンの熱量のうち運動エネルギーにならなかった分がエンジンの外に放出され、空気がないので熱の逃げ場がない。冷房も同じように逃がすところがないのでつけられないで、コクピットの内側には何十にも断熱材を張って、消防服をみにつけ、なるべく短時間でけりをつけるしかない。

さらに残土の問題がある。
地面と掘ると土がでるが、これは空気が入るため、体積が2から3倍になる。
モグラはもともと柔らかい土を押し広げるので大丈夫だし、トンネルなどは掘る機械そのものよりずっと大きな空間をつくったり、パイプ状になった機械の内部に土砂を落とし込んで地上に運んだりしている。
しかし、地底戦車にはこれがないので、数m進むと前にも後ろにも進めなくなる。
これを避ける為にベルトコンベアーなどで土を地上に送り出さないといけないが、これはすでに土木工事である。
経済効果は期待できるかもしれない。

では、エンジンは地底に固定して、動力をつ当てるフレキシブルシャフト、冷却水を通すパイプ、騒音をおさえる吸収材、土を地上におくるベルトコンベアをセットにしたコンテナ車をつくってつなぎ地底に送るのはどうか。
すでに地底戦車でなく地底電車だが・・・さらに連結が必要なのと掘り進む速度も歩くより遅くなると予想される。とても時速150kmで地底を移動する怪獣には立ち向かえないだろう。
ただし地底から帰ってくる冷却水は熱くなっているうえに、地中のミネラルが含まれて、いい温泉水になっているかも。

・人工重力発生装置
宇宙戦艦ヤマトやアルカディア号はどうやって重力をつくりだしているのか?

宇宙戦艦ヤマトはイスカンダルまで往復29万6千光年の旅を1年弱でおこなった。
これだけの期間、人間が宇宙空間で暮らすには重力が必要だ。
筆者が考え付く人工重力発生方法
・慣性力
 自由落下と同じ速度で加速すればよいのだが、これでは光の速度に達するまで350日かかるという難点がある。
・遠心力
 円運動であれば、遠心力は物体の質力、回転数の2乗、および円の半径に比例する。しかしヤマトの形は円形とは程遠い。回転の方向として縦、横、キリモミが考えられるが、縦回転ではまともな重力がかかるのは艦尾と艦首で沖田船長の部屋はその0.4倍しかかからない。もっとも縦回転ですすむヤマトにはガミラスもびっくりだろうけど。横回転でもガミラスはびっくりするだろうけど、船内でもまともな重力がかかるのは艦首と艦尾の壁面だけだろう。キリモミ回転も見ていてびっくりだが、実は発生する重力の空間が広く、もっとも快適だ。しかし艦長室にかかる重力は艦底のおよそ3倍になる。しかも回転軸の距離が17mと小さくなるので、人間の身長が無視できなくなり足に血液がたまってしまうかも。
 縦回転と横回転は加速したり減速したりするときは回転を停止しないと空中ネズミ花火になる。波動砲をうつときも同様だ。キリモニなら回転軸が進行方向と同じなのでエンジン噴射も波動砲もうてるが、撃ってもどこに跳ぶかわからないし、離陸した戦闘機は収納口が回転しているので戻れないだろう。また船橋には重力が発生しないのでだれもいない。
・ヤマトの底に重い物体をとりつける。地球が一番いいが、そういうわけにいかないだろうから、金にすると直径3630kmの月よりでかい物体が必要になる。重さは5億×1兆トンで地球埋蔵量の1京倍。値段は我が国の国家予算の1京年分となる。
・質量の軽い物体を重くする方法
 相対性理論では、物体が高速で運動すると質量が重くなったのと同じ効果を静止している物体にもたらすと示されている。高速の99%で運動する物体は静止している物体に対して7.1倍の質量をもっている。ヤマトの艦底から100mのところで、直径2mの鉄の円柱で直径200mのリングをつくったものを、高速の99.999999999999994%の速さで回す。ただし、ヤマトもリングにひっぱられるので触れないように同じ出力でエンジンを噴射することになる。効率のためには、リングを後ろにつけてリングもキリモミ回転しながら追いかけてくるようにすることになる。しかし、この方法だとエンジンは止められない。通常目標速度に達したら燃料を節約するために加速はしないが、そんなことをすれば回転やすりに尻を削られてしまうだろう。しかも重力が得られるのは船尾の壁だけ。


・超高速マシン
新しいヒーローが出るたびに速くなるヒーローが乗るマシン。ジェット機顔負けの超高速で地上を走ることは可能なのか?
 F1マシンの最高速度は時速350km=マッハ0.29である。実用に耐える最高速度である。
バリアス7の速度は時速3千kmである。道路に沿って走っても東京から鹿児島までたった30分。マッハ2.5なのでコンコルドより速い。さらにピストルの弾丸より速く、ライフル弾と肩をならべる。ゴルゴ13もお手上げである。
エンジン、タイヤ、運転者の技術と安全について検証してみる。
 空気抵抗は速度の2乗に比例する、馬力は前進する力と速度に比例するので、結局速度の3乗に比例する大きさが要求される。3倍の速度を出すには、9倍の空気抵抗と戦うために、27倍のエンジン出力が必要だ。
 F1マシンだと600馬力で時速350km、これを基準にすると、出力は38万馬力が必要になってくる。戦艦大和が15万馬力だった。さらに排気量は2700リットルこれはかてい風呂の9倍。シリンダーも巨大だ。エンジンの重さは出力に比例するのでエンジンの重さは100トン、車体重量は300トンが必要だろう。

 タイヤは滑らず転がらないと前進できない。
物体が面の上を運動するとき、滑り具合について考える場合摩擦係数を使う。物体が45度の斜面に静止していられるとき摩擦係数は1だ。F1マシンが2.5秒で時速100kmまで加速するときには重量の1.3倍の摩擦力が必要。同じ割合で時速3千kmまで加速するには単純計算で75秒が必要、しかも31km距離を走らないといけない。しかもまっすぐな。短時間で加速するには、もっと摩擦係数の大きいタイヤが必要だ。10秒で3千kmまで加速するのに必要な摩擦係数は8.5で、83度の斜面に停止できる摩擦力である。こんな摩擦力はタイヤでは無理なので金属スパイクで着脱して走るしかない。自分で穴をあけていくとスピードが鈍るので穴はあらかじめあけておいて、スパイクを差し込みながらはしるのだ。というわけで露払いにマッハ2.5で走る戦闘機を飛ばして弾丸で地面にスパイク用の穴をあけていく。ただし穴をあけるには0.00012秒おきに弾丸をを撃たないといけない。1秒間位撃つ弾丸の総量は3.3トン、10分間の弾丸消費量はジャンボジェットの重量の6倍。

 摩擦係数が8.5ということは8.5倍の力で加速していることを表している。乗っている人間は後ろ向きに体重の8.5倍の力をうける。体重66㎏なら560㎏で曙二人分だ。コーナリングではさらに力がかかり、F1と同じように最高速度の29%でコーナーをまわるとすると、かかる力は21トンで運転者は生きてはいないだろう。
 さらに摩擦熱も無視できない。気温20度の空気中をマッハ2.5で走れば空気と正面からぶつかる部分の温度は370度になる。石油製品は発火してしまう。温度をさげるには通風をよくするが、風をいれたら秒速830mの風で車の中は大嵐である。クーラーを使うなら車より大きいものが必要になる。これは無人運転するしかないだろう。
 衝撃波も発生する。マッハ2.5の車が市街地を走れば、周辺住民の鼓膜が破れ、窓ガラスやシャッターが破れ、すれ違った車は落ち葉のように舞い上がる。地面には衝撃波の爪痕がのこり、しかも前をジェット戦闘機が弾丸をうちながら飛んでいくのだ。逃げている悪人は自分より周辺の被害に愕然とするだろう。


・ロボットの空中合体
 空を飛びながら合体はできるのか?そしてそれは本当に役にたつのか?

 現実の世界で合体するのは列車か人工衛星くらいのもの。なぜ少ないか?連結部分を確実に合わせなければならないことと、合体の速度を合わせるのが難しいからだ。

 コン・バトラーVの場合を例に考えてみると、合体は全部パーツのエンジン噴射口が後部パーツに格納されている。ジェット燃料の噴射ガス温度は1500度で鉄が溶け始める温度である。熱に強いチタン合金でも1675度が限界である。エンジンをふかしたまま合体すると、溶接になってしまう。しかも熱で2%前後膨張しているから合体のときパーツ同士が同じ温度にしておかないといけない。
 エンジンを止めて合体するためには、一定の高度でエンジンを止め落下しながらおこなわないといけない。全部パーツがエンジンを切ったあと、後部パーツははじめ全部パーツを超える速度で飛んだあと、エンジンを停止して逆噴射をかけて、最終的に速度を同じにする必要がある。
 アニメでは10秒ほどで合体しているが、これと同じ時間で合体するには、秒速20mの速度で接近し、100mの位置で全部パーツはエンジンを停止、後部パーツはエンジン停止後重力の20%で逆噴射をかける。このとき合体部分の加熱できて両得かも。ただ実際の合体は空気抵抗がからむので操縦者の力量が必要になるが、コン・バトラーVの乗務員はたしか小学生から高校生だ。大丈夫か?

 難点はあるが合体自体は可能である。しかし戦いの最中に合体するには推力と時間の問題がある。
合体後に得られる推力は5号機のエンジンのみになる。だから番号がさがるほど各パーツの推力は大きくなる必要がある。つまり主人公の機体が一番弱い。
 さらに1か所の連結に32秒かかることになるので、他の合体を同時進行しても96秒かかる。敵がコン・バトラーVと同じマッハ3で飛んでくるなら98km彼方にいるうちに合体しないと間に合わない。もし敵がきてから合体なら一度逃げて合体してから引き帰すことになるが、11分12秒現場をはなれることになり、20分の番組の半分は逃げっぱなしになる。
 こんなことなら戦闘機のまま戦ったほうがよっぽど強い。


・バリア
 光子力研究所のバリアはドーム型や氷山型の光が研究所を包んで敵のミサイルやビーム砲から身を守るイメージを定着させた。でも最後は溶けて破れてバリバリと砕け散る。そうでないとマジンガーZの出番はない。

 光子力研究所のバリアは何でできているのか?アニメでは、ミサイルやレーザー砲まであらゆる敵の攻撃を防ぎ、光って、割れる。これが条件だ。
 あらゆる攻撃に耐えるとなると、おおざっぱに砲弾やミサイルの物体兵器、レーザーなどの電磁波兵器、電子ビームなどの素粒子兵器に耐えるわけだ。
 光る板で物体の運動やエネルギーの流れを妨害するなら、プラズマか高速素粒子で作ったスクリーンのどちらかだろう。最有力候補はプラズマだ。プラズマが集まっている領域に他の物体が侵入すると、そのエネルギーは熱として物体に与えられるからだ。
 100万度のプラズマでバリアをつくったとしよう。ここに敵のミサイルがマッハ3で飛んできた場合、もし厚さが薄い場合は熱を奪う速度がおいつかずミサイルは通ってしまう。画面でみる光子力研究所のバリアは厚させいぜい1mだから、これではプラズマバリアは役にたたない。直径20㎝の砲弾を蒸発させるには39mのバリアが必要だ。厚みが足りなければ溶けた砲弾が降ってくることになる。
 しかもこのバリアが空気に触れると通常の原子にもどってしまう、ガラス容器などに封入してもガラスに触れさせてもいけない。プラズマは磁場からは抜け出しにくいので、数10メートルのすき間をもった2重のガラス瓶を光子力研究所にかぶせ、ガラス瓶のいたるところに電磁石をおいて、すき間の空気を抜いてそこに100万度のプラズマを流し込む。これなら光る、割れるもクリアするが、防げるのは1発目の砲弾だけで、その後は空気がはいって役にたたなくなるだろう。

 高速素粒子のスクリーンバリアはどうか?
電子や陽子などの素粒子が空気中を走ると空気と衝突して光を放つ。オーロラである。
ビーム源を一列に配置し、素粒子ビームを連続的に滝のように発生させれば輝くスクリーンをつくれる。
しかしこれで防げるのは軽くて速度の遅い炎くらいしか防げない、素粒子は軽くて物体の進行方向を変えることもできないので、砲弾はそのまま飛んでくる。また敵が素粒子で攻撃してきた場合、相手の素粒子は跳ね返るが自分の素粒子も自分のほうに飛んできて自爆する。
 さらに素粒子を発生させるに直径数百メートルから数キロメートルにおよぶ円形のコースに沿っていくつもの電磁板と電磁石を配置する必要がある。この施設の建設に膨大な費用がかかるが、これで得られるのは一筋だけ、バリアとなると数千個のビーム源が必要だ。

 どうにもならないので、光ると割れるを放棄してみる。
コンクリートや鉄板で光子力研究所を覆えばどうか?問題は人やマシンの出入りだが、砲弾を防ぐほどの屋根を開閉させるとなると11時間かかる計算になり、半開きで敵を迎え撃つこちになる。
 レーザー光線を防ぐには、よく鏡を使っているが、鏡では100%反射率にならず鏡が破壊されてしまうだろう。レーザー光線は空気によってエネルギーが吸収されたり拡散されたりするので、一番簡単なのはお湯を沸かすことである。お湯を沸かす装置を破壊されないように周囲にも装置をたくさんおけば完璧にレーザー光線は防げるだろう。
 光子力研究所の周りに強力な磁場をつくる方法はどうか?磁場で敵の攻撃を敵に返したら素晴らしい。
ただ強い磁場をつくるには、上下一体になた電磁版のすき間をできるだけ狭くしないといけない。しかも狭いすき間に平行に打ち込んでもらう必要がある。プラスマイナスの確認も必要だ。しかも磁場バリアでは電気をもった素粒子ビームしか防げない。中性子ビームは貫通だ。中性子ビームのエネルギーを10%落とすには、厚さ34cmの鉛のドームで覆う必要がある。

 というわけで、万能のバリアは無理なので、いろんなバリアを併用することになる。
1 中性子対策として厚さ数mの鉛ドームで覆う
2 物体兵器対策として厚さ数mの鉄板のドームで鉛のドームを覆う
3 その周りに超強化ガラスを数十メートルの間隔で2重にかぶせ、プラズマをいれる。
4 素粒子対策として何組もの電磁版を設置して強い磁場をかける
5 レーザー光線対策にお湯をガンガン沸かす。
6 炎攻撃対策として、何千という施設から滝状に素粒子ビームを発射し、スクリーンをつくる。
これではデカすぎて山の向こうからみえるだろうが・・・
あと、出撃できないので、マジンガーZは外に置かないといけない。



空想科学読本1[新装版] (空想科学研究所の本)

空想科学読本1[新装版] (空想科学研究所の本)

  • 作者: 柳田 理科雄
  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2006/07/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

[PR]Kindle ストア ベストセラー

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。