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シャーロック=ホームズの帰還 上 シャーロック=ホームズ全集 (9) [小説]

BBCのドラマ「SHERLOCK」を見たら、すっごくおもしろかったので、原作を読んでみました。
ドラマの元ネタをひろいながら、あらすじを書いていくので、ネタバレしたくない人は特に後半は読まないでね。


7個の短編からなっていて、ホームズがライヘンバッハの滝から生還する「空き家の冒険」からはじまっている。
「踊る人形」はわりと有名かも。
逃亡中兄のマイクロフトの助けを借りているのはSHERLOCKでも同じ。
でも二人の再会は、SHERLOCKのほうがずっとコメディチックです。
最後の「C=A=ミルバートン」はSHERLOCKのシーズン3の元ネタだよね。
ホームズが依頼者の女性に代わって恐喝者と対決する話。
あと、どこで出てきたか忘れたけど、血まみれで槍をもって地下鉄に乗って下宿に戻ったといっているシーンがあったけど、ブラック・ピーターに似たようなシーンがある。
SHERLOCKでは「タクシーに乗車拒否された」といっていたけど、ホームズは馬車にのれたらしい。







1 空き家の冒険
貴族の次男で上流社交界の人間であるロナルド=アデア卿が、何者かに撃たれて死亡した。
若くてお金にも困っていなかったし、恋愛のもつれもない彼がなぜ殺されたか謎であった。
卿はカードが好きでいくつかのクラブに属していて、よくいっていたが、無謀な賭けをすることはなかったという。
事件の日、カードクラブからもどり、窓の空いた部屋で一人でいたところを撃たれたのだが、
部屋の鍵は内側からかけられていて、外からは拳銃でねらえる適当な場所がなかった。
外から壁を登ったりした痕跡もない。

ワトスンは、ホームズがいなくなってからもこのような新聞にのった奇妙な事件に興味を抱き、
時にはホームズの方法で推理を試みていた。
この事件にも興味をもって、卿の家にいってみることにした。
しかし、収穫はなく、たちさろうとしたとき、初老の男にぶつかって彼の持っていた本を落としてしまう。
男は詫びるワトソンに不快そうな一瞥をくれるとそそくさと立ち去った。

ワトスンが家に帰ると先ほどの男がやってきて、さっきはすまなかったという。
そして書棚の書物について話、ワトスンが振り返っているすきに変装をといた。
彼はシャーロック・ホームズの変装だったのだ。

ホームズが語ったところによると、ライヘンバッハの滝で格闘した末に落下したのはモリアーティ教授だけで、
自分はおちなかったのだという。
しかし、モリアーティの残党を油断させて捕まえるために、このまま死んだことにすることを思いつき、
崖を登っていった。そして岩棚で、ワトスン達がやってきて、二人が死んだという結論をだして戻るのを見守った。
ワトスン達が立ち去った後、上から石を落してきた人物がいる。
インドで虎狩りの名人として名を売ったモーラン大佐という人物で、
モリアーティによって悪の道にはいり、今回も二人の対決をみまもっていたのだ。
ホームズはなんとか元の場所まで崖をおりて徒歩で1週間かけてフィレンツェまで逃げた。
そしてマイクロフトの援助で3年間、チベットやペルシアを旅行してフランスに入りモンペリエ研究所で研究をした。
その間にモリアーティの残党のうちひとりしかロンドンにいないこと、そしてアデア卿の事件を聞いてもどってきたのだという。

そして、ワトスンに「仕事が悲しみを忘れる最良の方法だ」といって、
空き家の冒険に誘う。
実はアデア卿を殺害した銃は特殊な空気銃で射撃の名手モーラン大佐は、
カードのイカサマがアデア卿にばれたので、彼を殺したのだ。
そしてホームズが帰ってきていると知れば、彼をねらうだろうから、
ホームズはベーカー街の下宿に自分そっくりの蝋人形をたて、ハドソン夫人が一定時間で動かし、
自分たちはやってきたモーラン大佐と銃をおさえるという作戦をたてた。

そして下宿を見張っていると、なんとモーラン大佐は二人が見張っている空き家にやってきて
蝋人形を撃った。
2人は大佐を捕まえることに成功する。
このとき押収した銃と弾からアデア卿殺害も彼であることが立証できるというわけ。

このときレストレード警部も登場する。


2 ノーウッドの建築業者
冒頭はホームズの「モリアーティがいなくなってロンドンが退屈だ」という不謹慎発言から始まる。
このころ、ワトスンは病院を売り払ってベーカー街にもどってきていた。
ワトスンの手記では、のちに病院を法外な値段でかってくれたのは、実はホームズ自身であるとかかれている。

そのとき、髪をふりみだした青年ジョン=ヘクター=マクフォーレンがやってくる。
ホームズは例によって話を聞く前に青年が弁護士で、フリーメースンの会員でぜんそくもちだと見抜く。
青年が驚きながら語ったところによると、自分に殺人嫌疑がかかっていて、もうまもなく逮捕されるという。
新聞をみると、事件はノーウッドの建築業者ジョナス=オールデカー氏52歳の材木置き場から出火。
しかし、オールデカー氏はあらわれず、彼の部屋には重要書類が散乱し、格闘のあとと血痕。
血の付いたステッキがみつかり、さらに窓からなにかを火災現場までひきずったあとがあったという。
現場からはなにか黒焦げのものと、オールデカー氏のズボンのボタンがみつかっている。
警察の担当はレストレード警部で、昨夜氏を訪問した青年を逮捕しようとしているというのだ。
ジョンは新聞を読んでホームズのところに駆け込んできたのである。

ジョンによるとオールデカー氏のことは両親の昔の知り合いということで名前だけは知っていた。
昨日事務所に現れ、全財産を自分に残したいという。
ジョンは承諾して遺言状をつくった。
そして見せておきたい書類があるので、家に来てほしいといわれた。
また、両親を驚かせたいから、秘密にするようにと言い含められた。
9時半にオールデカー氏を訪ね(家政婦がいた)、二人で書類を確認した。
11時から12時の間くらいに仕事を終えて帰ろうとしたが、夜中に家政婦を起こすとかわいそうだからと
オールデカー氏がフランス窓を開けて出してくれた。
このときステッキが見当たらなかったが、探しておいてくれるといわれた。
遅かったので旅館に泊まり、今日事務所に出勤する途中で事件を知ったのだという。

ホームズはオールデカー氏が持ってきた遺言状の下書きが車内でかかれたものであること。
遺言状で指定されたとたんに、あからさまに相手を殺害するなんて犯人だといっているようなもので、
おかしいこと。しかも訪問したことを家政婦に目撃されている。
しかも死体を処分したのにステッキをわすれるなんておかしい。
などと指摘して捜査をはじめる。
ジョンの母親は昔、オールデカー氏に結婚を申し込まれて断ってからひどく憎まれていることはわかった。
しかし、ジョンが犯人でない証拠は一向にみつからずホームズはがっかりする。
そこへ、新しい証拠が見つかったとレストレードから連絡が入る。
2人がノーウッドにいってみると、オールデカー氏の家の壁から血のついたジョンの指紋が見つかったというのだ。
指紋をみたホームズは、昨日そこに指紋がなかったことから、犯人がまだ家にいることを確信する。
そして家を調べ隠し部屋があると思われる3階で藁を燃やして「火事だ!」と刑事にさけばせた。
でてきたのはなんとオールデカー氏で、レストレードに「ただのいたずらだ」と言い張る。

ホームズはオールデカーの現金のほとんどがコーネリアスという人物にながれており、
オールデカーが借金をもっていることなどをつかんでおり、
残っている現金を持って消える算段をしていたとき、憎んでいたジョンの母親に復讐するために
この筋書きを考えたのだと説明。

レストレードは重大な過ちを犯すところを救ってもらったと感謝する。



3 踊る人形
ある日、ホームズが化学実験をしながら、ワトスンが南アフリカの株に投資するつもりがないことを指摘。
図星をさされたワトスンが説明をきいて、なーんだというところからはじまる。
ホームズは、どんな問題でも説明を一度きいてしまえば、子どもでもわかる簡単なものになってしまうという。
そして「踊る人形」の紙をワトスンに見せるのだ。

その紙を送ってきたヒルトン=キュービット氏が現れ、説明をはじめる。
彼は5世紀前からつづくノフォーク州の名家の当主である。
ロンドンに来た時に知り合ったアメリカ人エルシー=パトリックという女性を愛するようになり結婚した。
夫人は、過去に不愉快な交際の思いであるので、過去には触れないでほしいといった。
キュービット氏は承諾し、二人はノフォークで幸福な暮らしを1年ほど送った。
しかし6月に夫人のところにアメリカから手紙が届き、夫人の様子が変わった。
手紙は燃やされてしまったし、過去を聞かない約束なので内容はきいていないという。
1週間ほど前、窓枠の下に「踊る人形」がチョークで書かれていた。
いたずら書きだと思って、消してからそれを夫人に告げると、夫人は青ざめて「次は見せてほしい」という。
送ってきた紙の「踊る人形は」昨日の朝日時計の上に置かれていたものだという。
ホームズは新顔の人間が周りに現れたら気を付けるように、また差し迫った事態なら
自分は必ず駆けつけると約束して、キュービット氏を帰す。

二週間後に再びキュービット氏があらわれて、同じようないたずら書きをみつけたともってきた。
そして、夜中に書きにくる人物を捕えようとしたが、夫人が邪魔をしたという。
キュービット氏が帰るとホームズは踊る人形の解読を始め、それが終わると海底電信で電報をうった。
二日間イライラしながら返事をまっている間に、キュービット氏から新しい「踊る人形」が届く。
ホームズは「事件をほっておきすぎた」といって、急ぎノフォークに向かう。

駅ではノーリッジ市のマーチン警部に出会い、昨夜キュービット氏が撃たれて死亡。
夫人も重体だと知らされる。
事件を防ぐことはできなかったが、ホームズは法が正しく執行されるように捜査に参加するといい、
マーチン警部は快諾した。
館について話をきくと昨夜3時ごろ女中と料理人の女性が銃声をきいて書斎にいってみると、
ドアは開いていて、テーブルの上にはろうそく、キュービット氏がうつ伏せに倒れてこときれており、
夫人は壁のそばでうずくまった状態だったという。
窓には内側から掛け金がかけてあった。
家には火薬のにおいが充満していたという。
夫婦の間に一度もケンカはなかったという。
ホームズは窓の下にある銃痕を指摘、3人目の人物が部屋にいたことを指摘する。
また、家じゅうに火薬のにおいが立ち込めていたのは、銃がつかわれたとき窓があいていたから。
庭の窓の下から男の足跡があり、庭には薬きょうがあった。

ホームズは「エルリッジ」とう名前に心当たりがないか使用人にたずね、
踊る人形の手紙を書いて、そこに届けるようにいう。
手紙を受け取って現れた人物はエイブ=スレイニーという人物で、
エルシーがアメリカで結婚の約束をしていた相手だった。
エルシーの悪党の父親がボスで、エイブはその手下だった。
エルシーは父親の悪行をきらって逃げたのだが、エイブはあきらめられずイギリスまで追ってきたのだ。
踊る人形は彼らの間の暗号であった。
エルシーは夫を裏切ることはできないからとお金を渡してエイブを追い払おうとするが、
エイブは怒り、そこをキュービット氏にみつかって撃ちあいにとなり、キュービット氏が死亡した。
夫人は窓をしめたあと、自殺を図ったのだった。

夫人が瀕死であること、夫殺しの罪に問われていることを知ったエイブはすべてを自供。
暗号をといたホームズに驚いていると、ホームズは人間がつくったものは人間にわかるはずだという。

暗号を解く方法は、英語で一番多用されるEが一番でてくる絵文字と仮定。
その後、夫人の名前や状況から単語を類推してアルファベットと対応させるものだった。


4 さびしい自転車乗り
いつもどおりのワトスンの回想からはじまる。
ホームズの能力が特に発揮されたわけではないが、調査が異様な結末を迎え、思いがけない悲劇におわったことが印象的とされていた。
1895年の4月23日。ミス・バイオレット=スミスが夜遅くベーカー街にやってきた。
若くて美しい女性だった。
ホームズはそのころ他の事件でいそがしかったが、相手の熱意に話を聞くことにした。
もっともその前に、彼女がしょっちゅう自転車に乗っていることを指摘して驚かれるいつものパターンが挿入されている。

バイオレットは、父親を亡くし、母親と貧乏暮しをしていた。
身よりはラルフ=スミスというおじだけだが、25年前アフリカに渡ったきりだという。
ある日、タイムズ紙に二人の消息を尋ねる記事がのり、弁護士を訪ねると、
カラザースとウッドリーという南アフリカから来た紳士たちに紹介された。
2人はラルフの知り合いで、ロンドンの二人のことを援助してほしいとたのまれたのだという。
初対面でバイオレットはカラザースには好印象をもったが、ウッドリーにはいやな感じをうけた。
カラザースが自分の家に住み込んで10歳の一人娘に音楽を教えてくれれば年に100ポンドだすと
申し出てくれたので、週末はロンドンの母親のところに帰るのを条件に承諾し、
サリー州ファーナムのカラザースの家に住み込むことになった。
カラザースの妻はなくなっていて、家政婦が取り仕切る家に娘と住んでいた。
仕事は楽しかったが、ウッドリーがやってきて、酒を飲んで暴れたり、バイオレットにいいよったりしたので、
カラザースはウッドリーを出入り禁止にした。
バイオレットは毎週土曜日同じ汽車でロンドンに帰るが、屋敷から駅まで自転車を使う。
ところが2週間前から、あとをつけてくる男があるという。
それは屋敷から駅、駅から屋敷の両方だという。
カラザースに話すと馬車を注文してあげるといわれたが、まだ届いていない。
バイオレットは婚約しており、コベントリーの中部電力に勤めているという。
ただ、そのことはウッドリーやカラザースにはいっていない。
バイオレットの感触としてはカラザースも彼女に思いをよせているのではないかと、それも心配なのだという。
カラザースが金持ちなのは確かだが、仕事はよくわからないという。

ホームズは何か起こったら知らせてくれれば、なんとか駆けつけるから、それまでちがう行動をとらないように忠告して彼女を返す。
そしてワトスンを調査にいかせた。
ワトスンは駅から屋敷にかえるバイオレットを荒野からみて、たしかに男があとから自転車でついていくのを確認。
しかし、バイオレットが反対向きに漕ぎ出すと、逃げ出してチャーリントン屋敷の中に消えた。
ワトスンは地元の家屋周旋屋からチャーリントン屋敷の持ち主のことを調べ、ロンドンに戻った。
ホームズは報告を聞くと不機嫌になり、持ち主の名前なんて偽名にきまっている。
村の居酒屋にいって、どんな連中が出入りしているか調べるべきだとワトスンを責める。

翌日バイオレットからカラザースに結婚を申し込まれて断ったのできまずい状態だと手紙が届く。
ホームズはファーナムへ一人で調査にでかけ、
居酒屋でウッドリーがチャーリントン屋敷に出入りしていることを聞きこむ。
そこに本人が現れケンカになって、みごと殴り倒したといって帰ってきた。
木曜日にバイオレットから、近所でウッドリーをみかけたし、屋敷にもいづらいので、仕事をやめて
土曜日にロンドンに戻る。馬車が届いたので、もう自転車にのらなくていいと手紙が来た。
2人は土曜日にファーナムにいって見届けることにする。
ワトスンは美人を追いまわしている気の弱い男のすることをたかをくくっていたが、
ホームズがピストルを持っているのをみて気をひきしめる。

2人がみたのは空の馬車だった。
バイオレットはいつもより早い汽車に乗ろうとしていたのを、何者かにさらわれたのだ。
2人は馬車にのって引き返すと例の男の自転車乗りにあった。
正体はカラザースでバイオレットの安全を見守ろうとしていたのだという。
そのときチャーリントン屋敷から悲鳴が聞こえ、3人がかけつけると、バイオレットが無理やりウッドリーと
結婚させられるところだった。近くでは御者が殴り倒されている。
カラザースはウッドリーを撃つ。
ホームズは結婚式をおこなった牧師がピストルを抜こうとするよりはやく銃をつきつけた。
そして気が付いた御者の少年に手紙を持たせてファーナムの警察へいかせた。
ウッドリーは重傷だが命をとりとめそうだと聞いてカラザースはとどめを刺そうとするが、
ホームズは牧師は資格をとりあげられているし、矯正結婚は成立しないと止める。

真相はラルフがアフリカで財産をつくり、瀕死の状態だったので、
悪党たちが彼の莫大な遺産の相続人を探して、結婚しようとたくらんだものだったのだ。
しかし、バイオレットはカラザースもウッドリーも結婚相手として選ばなかったので
強制的に結婚してしまおうとしたのである。
カラザースはバイオレットが好きになって、なんとか彼女をまもろうと、変装して彼女のあとをつけていたのだ。

ワトスンのメモによると牧師とウッドリーは誘拐と暴行で7-10年の刑をうけた。
カラザースも罪に問われたが、ウッドリーが悪名高かったので数か月の刑ですんだ。
バイオレットはその後莫大な遺産を相続し、婚約者と結婚。相手は電力会社の社長になった。


5 プライオリ学院
ベーカー街にりっぱな肩書をもった学者でブライオリ学院の院長である、ソーニクロフト=ハクステーブルが現れた。
大変弱っていて、倒れてしまった。
目を覚ますと一緒にマクルトンへきてくれないかという。

前内閣の大臣で大貴族のホールダーネス公爵の一人息子サルタイヤ卿が、
彼の学院からいなくなってしまったのだという。
すでに多額の懸賞金がかけられいるが3日たってもなんの手がかりもないのだという。
10歳のサルタイヤ卿が学院に預けられたのは3週間前、学院になじんだようすだったという。
学院に来る前に母親が家をでたので、沈み込んでいたので、父親の采配で入学させたのだという。
5月13日の夜中、同室の少年二人が眠っている間に、窓からつたをつたって出て行ったと思われる。
制服をきちんときていったようで、制服がなくなっている。
他にハイデガーというドイツ人の先生がいなくなっていた。
部屋は3階でサルタイヤ卿と同じ側のはずれにあった。
先生のほうは、いそいで身支度してだたらしく、靴下などが残っていた。
つたをつたって地面におり、自転車ででていったらしい。
公爵が世間に評判になるのをいやがったので、すぐにホームズに連絡はしなかった。
警察が調べたが、手掛かりはないという。
サルタイヤ卿には一度だけ父親の公爵から手紙がきただけだという。
手紙はいなくなる前日に届いていた。手紙はみつかっていないという。

学院につくと公爵が来ていて、個人秘書のワイルダーが勝手にホームズに相談したことを責めた。
しかし、公爵がすでに来ていただいたら捜査してもらうことにすると決定。
ホームズは前日に公爵が出した手紙について確認し、身代金の要求がないこと、
公爵夫人が関係しているかなどの質問をする。
大貴族というものの、物腰や態度がかかれていて、ちょっと時代を感じる。

その後部屋や学院周辺を捜索。
2人が大通りを通らなかったことは確実なこと、自転車が通れる地形であることから、
2人はブライオリ学院から北、ホールダーネス公爵の館のある方へいったと判断。
荒れ地を探し回って、ダンロップ製タイヤのあとと、パーマ製タイヤの跡を発見する。
パーマ製タイヤの自転車はハイデガー先生のもので、彼は頭を殴られた死体となって発見された。
周辺には牛の足跡があった。
ホームズはサルタイヤ卿が身支度をしていたことから、何者かにおびき出されたこと。
そして気が付いたハイデガー先生が自転車を使ったことから何か早いものにのっていたこと。
撲殺であるから、少年ではなく、つれが行ったであろうことを推理するが、
少年が使った乗り物の形跡がないのが謎だった。牛ではそれほど速くないはずだ。

2人はダンロップ製のタイヤの跡(パーマー製とは別のルートだった)をおって、北側の道にただりつく、
左にホールダーネス館、右に闘鶏館という旅館がある。
ホームズは旅館にいって、足がつったふりをして自転車をかしてくれという。
主人はひどく愛想が悪く、二人を追い払おうとするが、ホームズがサルタイヤ卿がリバプールでみつかったと
知らせにいくというと、急に態度をかえてきた。
2人が食事をして、うまやを覗こうとすると主人がみつけてひどく怒りだし、追い出された。
2人が外にでてホールダーネス館に向かうと、公爵の個人秘書ワイルダーが自転車でやってきたので、
2人は身をひそめてやりすごしてから旅館に戻った。
そこに馬車にのって特別な客と思われる人物もやってきた。
ホームズはワイルダーの自転車のタイヤがダンロップ製だと調べると満足して駅で電報をうってからブライオリ学院に戻った。

翌日二人はホールダーネス公爵を訪ねるが、ワイルダーは取り次ごうとしない。
ホームズが押し切ってようやく公爵にあうと、ワイルダーを退席させて話が始まった。
最初にホームズは懸賞金を確認したので、ワトスンはびっくりする。
そしてなんと先に小切手を切ってくれという。
公爵がおこりだすと、ホームズはサルタイヤ卿は昨日の夜は闘鶏旅館にいたという。
すると公爵は崩れ落ちて小切手を切った。

ホームズが明かしたところによると、公爵の手紙に自分の手紙を紛れ込ませて、
サルタイヤ卿をそそのかして連れ出したのはワイルダーで、協力したのは闘鶏旅館の主人。
馬に牛の蹄鉄をはめて偽装していた。(あとでわかるがこれはホールダーネス公爵の先祖が考えた偽装方法)
追いかけてきたハイデガー先生を殺したのは旅館の主人だった。
そしてホームズも予想していなかったが、ワイルダーは公爵の息子で、そのことがわかってから、
ワイルダーはサルタイヤさらって、公爵を脅し、自分を相続人にするように公爵にせまることを企んでいたのだ。
ワイルダーの言うなりの公爵に愛想を尽かして夫人は家をでてしまったのだという。
公爵がそのことを知ったのは、ハイデガー先生の死体が発見されたのを知ったワイルダーが怖くなって、
すべてを公爵に打ち明けたからだという。
昨夜すべてを知った公爵は闘鶏旅館を訪ねたが、ワイルダーをかばうためにサルタイヤ卿を
連れて戻ることはしなかったのだという。
ホームズは罪もない少年を苦しめていいのかと責め、
公爵がワイルダーを庇おうと旅館の主人を逃がそうとしたことも責めた。
そして自分の手配で旅館の主人は逮捕されたことも告げる。
公爵は反省し、ホームズがサルタイヤ卿を迎えに行くように使用人に命じるのをゆるし、小切手を渡した。
そしてワイルダーにはオーストラリアで自分の力で生きていくようにいったし、
公爵夫人には戻るように手紙をかいたとうちあけた。



6 ブラック・ピーター
1895年におこったさまざまな事件に対するワトスンの回想から始まる。
そして異常な事件としてこの事件を取り上げた。

冒頭で、ワトスンが一人で朝食をとっていると、大きなアゴのついているヤリを抱えたホームズが帰ってくる。
(血はあびていない)
肉屋の天井から吊るしていあるとさつした豚をヤリでつきさしてきたという。
というのも、今回の事件の凶器が、被害者の部屋にあった巨大なモリで刺され、
死体ごと壁にとめられていたのだ。
ホームズはそんなことができるか確認にいっていたのである。

事件を担当している警部のホプキンズがやってきて事件のあらましがかたられる。
被害者はピーター=ケアリー、50歳、船長としてクジラとアザラシの捕獲で成功した。
引退してからサセックス州のフォレスト・ロウに近いウッドマンズ・リーに土地を買って、
妻と20歳になる娘と住み着いた。
普段はおとなしいが大酒のみで、飲むと暴れて妻と娘を夜中に家の外にたたき出して鞭でたたくような危険な男だった。仲間内ではブラック・ピーターと呼ばれ恐れられていた。近所でもそうだった。
家の離れを船室となずけ、一人で寝起きしていた、誰もいれなかった。
離れには街道に向かった窓があり、殺人の二日前にレイスターという石工がピーター以外の人間の影をみている。
殺人が起きたのは水曜日で、火曜日に機嫌をそこねたピーターは暴れまわり、女たちが逃げ惑った。
午前2時ごろ小屋で叫び声が聞こえたが、酔っ払いが叫んでいると思い、見に行かなかった。
朝7時にメイドがモリでつきさされたピーターを見つけた。
離れのなかは片側に作り付けの寝台があり、船員用の所持品箱や地図、海図、航海日誌が置かれ、
本当の船室のようだった。凶器のモリはそうした飾りのひとつだった。
離れの周りに足跡はなかった。
ピーターはきちんと服をきていて、だれかが訪問したらしくテーブルにラム酒とグラスが二つあった。
他の酒は手がついていなかった。
テーブルの真ん中にアザラシの皮で作った煙草入れがあり、強い船員タバコが入っていた。イニシャルはP・C
他に犯行の跡床におちたとおもわれる手帳があり、イニシャルと数字がならんでいた。
これは有価証券リストと思われるが、室内には有価証券はなく、他になくなったものはなかった。
現場からは鞘にはいったナイフもみつかっているが、被害者のものだという。

ホプキンスの話をきいた二人は現場にいくことにする。
離れについてみると、扉にこじ開けようとした跡がある。
ホプキンスによると昨夜はなかったとうことで、3人は侵入者を捕まえることにする。
ホームズは室内を探索したが、なにか箱か本がのっていたあとと思われる埃の後以外はなにもみつからなかった。
夜中に侵入者が現れ、捕まえてみるとジョン=ホプリー=ネリガンと名乗った。
自分は西部地方で銀行をしていたドースン・アンド・ネリガンのネリガンの息子だという。
銀行は支払いができなくてコーンウォール州の旧家の半分を破産させ、ネリガンは行方をくらましていた。
真相は持ち逃げではなく、証券を現金化して債務を変えそうとノルウェーへヨットで出航して行方不明になったのだという。
しかし、今頃になって持って行った有価証券の一部がロンドンにでまわっていることから、
父親のヨットにであった船の船長が有価証券を奪ったのではないかと思い、
父の無実を証明しようと船長に会いに来たら、相手が死んでいた、それで航海日誌を手に入れようとしたのだという。しかし、問題のページはやぶりとってあった。
ネリガンは昨夜はじめてここに来たといったが、ホプキンスに現場におちて血の付いた手帳をつきつけられ、
殺害のあった晩にきたことを認め、逮捕された。

しかし、ホームズは彼がやったとは思っておらず、ロンドンに帰ると、別口の調査結果を確認した。
それは、犯人がモリうちであることを推理して、北極探検の話をでっちあげ、モリうちを募集するという方法だった。
また、ピーター船長とともに、航海した船員でイニシャルが同じ人物も調べ上げてあった。
その朝、ホプキンスも呼び出したうえで面接し、犯人のパトリック=ケアンズを捕まえたのだ。
ケアンズによると、ネリガンを助けたピーターが彼の証券を奪って、ネリガンを海に落として殺害したという。
ピーターの居場所がわかったので、口止め料をもらいにいくと、相手は酔っていて、ナイフを握ったので
先手をうってモリで殺したといった。
しかし、ネリガンから奪ったと思われる箱を盗んでみたものの、中身は紙ばかりで途方にくれていたら、
モリうちを募集していたので応募してきたのだという。
ピーターを殺したのは後悔していないし、礼をいわれたいくらいだといっていた。



7 C=A=ミルバートン
実際の事件がわからないように日付や事実を秘密にしているというワトスンの前置きから始まる。

2人が夕方の散歩から戻ると
「代理人 チャールズ=オーガスタス=ミルバートン ハムステッド、アプルドア・タワーズ」
という名刺が残されていた。裏には6時半にくると書いてあった。
誰なのか尋ねるワトスンに、ホームズは恐喝者の王様で、特に女は絶対に逃れられず、
干物になるまでしぼりとられるという。
ロンドンには彼の名前を聞くだけで色を失うものが何百人もいて、いつ彼に脅されるかわからないという
恐怖とともにいる。
彼は使用人や御婦人たちをだますゴロツキから高い値段で証拠を買取り、
すぐには使わず何年もねかせてから、一番高く売れると気を見計らって使ってくる。
すでに膨らんでいる財布を膨らませるために人の心を苦しめるロンドン一の悪党だという。
しかも、法律で捕まえてもせいぜい2・3か月だし、犠牲者は反撃する勇気もないのだという。

ホームズはそうして脅されているレディ・エバ=ブラックウェルという女性の依頼で、
ドーバーコート伯爵と結婚するところだが、昔、田舎の貧乏地主にあてて書いた手紙をネタに
ミルバートンに脅されているのだという。
ホームズは代理人として、なるべく有利になるように交渉を頼まれているのだ。

ミルバートンは50歳くらいのふっくらした男で金縁眼鏡をかけた慈悲深そうな容姿にあわない
冷たい目をした男だった。
手紙の代金として7000ポンドの値をつけてきた。
ホームズが、婦人が払えるのはせいぜい2000ポンドだというと、
ミルバートンは婦人ひとりならそうだろうけど、まわりの友人や親せきからあつめればよい、
または、もらったダイヤモンドを模造品にしたらしいなどといい、
実際に自分の仕事で結婚式の二日前に破談になった例を挙げて脅すとでていこうとする。
ホームズは拳銃をつきつけたが、ミルバートンは今自分を殺すと別の場所にある手紙は手に入らないといって
悠然とでていった。

ホームズは変装してでていくと、数日その姿で出入りしていたが、
ある日ワトスンに、ミルバートンの家の女中を色仕掛けでだまして結婚の約束をして、
家の中をすっかりしらべあげ、今夜押し入って手紙を取り戻すと告げる。
ワトスンは犯罪だといって止めようとするが、ホームズは悪党に勝つにはこれしか方法はないという。
ワトスンはホームズに同行を申し出て止められるが、押し切って二人はゴム底の靴をはき、覆面をつけ、ピストルをもってでかける。

庭の犬はホームズがだました女中がつないでいるので、二人は庭を通って温室のガラスを切り取って侵入。
書斎に忍び込んだ。おかしなことにベランダの窓の鍵はあいていた。
2人はとりあえず仕事にとりかかり、ホームズが金庫を破った(得意らしい)
そこに廊下から誰かがきたので、二人はカーテンに隠れた。
入ってきたのはミルバートンで、二人のすぐ前の椅子に腰かけて書類をみながら葉巻をすっている。
しばらくするとベランドの窓から一人の婦人が現れた。
ミルバートンの話から、主人の手紙を持ち込んだ女中と思われたが、
ベールをとった夫人をみてミルバートンは驚愕する。
以前、彼が破滅に追い込んだ婦人だったのだ。
女性は彼のしたことで、立派な人物だった夫が自殺した復讐にきたといい、
小さな拳銃を抜くとつづけさまに弾丸を撃ち込んで去った。

婦人が立ち去るとホームズは扉のほう(二人の侵入口)に鍵をかけ、
金庫の中身をすべて暖炉にいれて燃やすと、ミルバートンが見ていた血まみれの書類もそうした。
だれかが鍵のかかった扉をたたいている。
2人はもう一方の扉からでると庭を横切って逃げた。
塀をのりこえるとき、ワトスンが足をつかまれたが蹴って逃れ、野原を走って追手をふりきると、下宿に戻った。
翌朝レストレードが殺人事件の調査を手伝ってほしいといってくるが、
ホームズはミルバートンという男は悪人だが、法律で裁けない。被害者より犯人に同情しているので手伝えないとはっきり断る。
さらには、逃げた男の人相をきいて、「あいまいだな、それじゃワトスンもあてはまるぞ」なんていっていた。
昼食の最中にホームズは何かを思い出し、ワトスンをつれてリージェント街にやってくる、
そこには東大の有名人や麗人の写真がならんでいたが、そこにミルバートンを射殺した貴婦人の写真もあったのだ。
2人は無言でそこを立ち去る。


シャーロック=ホームズの帰還 上 シャーロック=ホームズ全集 (9)

シャーロック=ホームズの帰還 上 シャーロック=ホームズ全集 (9)

  • 作者: コナン=ドイル
  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 1983/11
  • メディア: 単行本



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