イラスト図解 太陽電池&太陽光発電のしくみがよくわかる本 [雑学]
技術的な知識に縁遠い人でも、太陽電池のことが理解できるようにまとめた本
第1章 太陽エネルギーに関する基礎知識
太陽
地球から約1億5000万kmの距離に位置し、直径が約139万km(地球の109倍)、質量が1.9891×10^30㎏(地球の33万倍)の恒星。
推定48億年歳で、寿命はあと50億年といわている。
中心温度約1500万度、気圧2500億気圧の核では、4つの水素が一つのヘリウムになる核融合反応が絶えずおこっている。
これにより、電力換算で1秒間に約3.85×10^23kWという膨大なエネルギーを放射している。
たった1秒で、地球の文明始まって以来の消費エネルギー総量より大きいといわれている。
地球に届く太陽エネルギー
太陽表面から放射された太陽光=電磁波が地中に到達するまで約8分20秒
地球の大気圏外に到達する太陽エネルギーは1秒間に約1.75×10^14kW
30%が大気中の微粒子や雲、地球表面の明るい部分(雪、氷、砂漠)によって直接反射される。
70%が大気圏内に吸収される。
大気圏内に吸収されたエネルギーのうち約47%が地表で熱になる。約23%が海中に蓄積されて蒸発や降雨をもたらす。
約0.2%が風や波海流をもたらす運動エネルギーになる。約0.02%が植物の光合成に利用されて酸素を生み出す。
地球は絶えずふりそそぐ太陽エネルギーの恩恵でシステムを維持している。
直接的なエネルギーの他に、風力・水力・波力・バイオマスも根源は太陽エネルギー。
石油・石炭などの化石資源も、広い意味では太陽エネルギーといえる。
大気圏外の入社を100%とすると、大気圏で反射・吸収されるので、地表に届く太陽エネルギーは50%くらい。
地表面に達する太陽エネルギーの1時間分で、全世界が1年間に消費するエネルギー量に相当するという。
総量としては膨大だが、面積あたりだと日本の中心付近の晴れた夏至の正中時でも1㎡あたり1kWほどと、密度は低くなる。
多くの太陽エネルギーを得ようとすると面積が必要になる。
また、地表に到達する太陽エネルギーは、緯度・季節・気象・時間に影響をうける。→供給が不安定。
一方で無尽蔵で枯渇しないという特徴がある。
太陽光
太陽光はさまざまな波長の電波の集まりである。波長の範囲で、紫外線(290~400nm)、可視光(400~780nm)、赤外線(780~3000nm)の3種類に分類される。
太陽光に占める割合は、紫外線約6%、可視光約52%、赤外線約42%である。
紫外線は物質に化学変化を起こしやすいので化学線ともよばれる。
赤外線は私たちが熱として感じることから熱線ともよばれる。
波長が短いほどエネルギーは高くなる。
太陽光を波長別にみたものを太陽光スペクトルという。この成分次第で得られるエネルギーは変わってくる。
光には波としての性質と粒子としての性質がある。→光の二面性
地球温暖化
温室効果ガス=水蒸気や二酸化炭素
温室効果ガスは地表面から放射されるエネルギーの多くを吸収して赤外線として地球に放射。地球をあたためている。
この温室効果がないと地球の温度は-19度くらいになるといわれている。実際は14度。
人間の活動によって、温室効果ガスが増えて、地球の温度が上がっているのが地球温暖化。
増えている温室効果ガスは二酸化炭素で石油や石炭、天然ガスといった化石燃料の消費によるもの。
このため期待されているのが再生可能エネルギーである。
地球温暖化問題に対応するため、政府間協議がはじまり、各国は二酸化炭素削減にとりくんでいる。
エネルギー・セキュリティ
世界のエネルギー需要の90%を占めている、化石燃料の可採年数は、
2008年のBPによる統計では、石油42年、石炭133年、天然ガス60年。ちなみにウラン100年。
人口は2009年に68億人、2050年には91億人に達する見込み。
エネルギー消費量は、2030年に40%増になると予想されている。
日本のエネルギー自給率は4%程度。
世界情勢に左右されず、自国のエネルギーを確保する=エネルギー・セキュリティの観点が必要。
その解決のひとつが再生可能エネルギー。
再生エネルギーの利用拡大は、エネルギーの多様化をもたらし、既存のエネルギーを長持ちさせると同時に、供給を安定させる。
第2章 太陽電池の基礎
太陽電池 Solar cell, photovoltaic cell
光エネルギーを電気エネルギーに変換する発電装置
1954年にアメリカのベル研究所の3人の研究者、ピアソン、フーラー、シャピンによって発明された。
乾電池や蓄電池は化学電池で、金属化合物の化学反応で電気をつくる。
太陽電池は、光を受け続けている限り発電をつづけ、蓄電はできない。
現在もっとも普及している太陽電池はシリコンという元素を使った半導体(semiconductor)を材料としている。
基本構造は、伝導形の異なるn型半導体とp型半導体を接合させたシリコン半導体、反射防止膜、電気を取り出すための表裏にある電極の3点でできている。この基本構造をセル(cell)という。
標準的なセルは、黒もしくは青っぽくて薄くて軽い板状のもの。形状が10-15㎝角の正方形で、厚さが0.15-0.2mmほど、電圧が約0.5V電流が3A得られる電力は、約2Wになる。直流しかとりだせない。
1つのセルでは得られる電力は小さいが、電圧がほしければ直列、電流がほしければ並列につなぎ、必要な電力を得られる。
モジュールとは、セルを数十枚直列で接続し、保護用の強化ガラス、透明な充填剤、裏面シートで封止(閉じ込め)たあと、金属フレームをつけたもの。メーカーによって異なるが標準的モジュールは1.5m×1m程度の長方形で厚さ5㎝前後、重さ20㎏前後、最大出力は150-180W程度。パネルとよばれることもある。
光の強弱=量、光の波長=質、このふたつで電気の大きさ=出力が変わる。
太陽電池を最大限に活用するには、いかに一定以上の強さと相性のいい波長の光を取り込むかが重要になる。
太陽電池自身の温度があがると電圧はさがるので、温度も重要。
発電メカニズム
n型とp型の半導体を連続的に接合(pn接合)いう。
n型半導体はマイナスの電荷をもつ電子が余っている。
p型半導体はプラスの電荷をもつホールと呼ばれる電子の抜けた孔がある。
電子とホールはキャリアと呼ばれる電荷を運ぶ役目をもつ。
pn接合面では電子とホールが中和して空乏層という層ができる。
空乏層のn型半導体側では電子を取り込んでマイナスに帯電したイオンが残り、
p型半導体側では電子を取り込んでマイナスに帯電したイオンが残っている。
このため、空乏層には内部電界(電気の力)が生じて、その向きはn型半導体から、p型半導体にむいたものになる。
内部電界は、n型半導体の電子が緒方半導体に向かおうとする流れ、
p型半導体のホールがn型半導体へ向かおうとする流れを妨げてそれぞれ逆向きに押し返そうと働く。
こうして空乏層が壁となってそれ以上の拡散がとまり、電子が溜まっているn型、ホールがたまっているp型、
キャリアのないpn接合部が釣り合って安定する。
しかし内部電界はあるので、電子があればn型に、ホールがあればp型に押し流される待機状態になる。
pn接合部に光があたると、光エネルギーによって新たに電子とホールがはじき出され、内部電界に導かれて
電子はn型、ホールはp型に移動する。その結果電子を外部へ押し出す力(起電力)が生まれる。
光を当てることで起電力が発生する現象は、光起電力効果と呼ばれる。
n型半導体(マイナス)、p型半導体(プラス)に電極をとりつけると直流電流を外部に取り出すことができる。
太陽電池の材料となる半導体
導体・・・金属などの電気を通しやすいもの
絶縁体・・ガラスやゴムなどの電気を通しにくいもの
半導体・・・外部からの刺激や純度によって電気を通したり通さなかったりする中間の物質
真性半導体・・・不純物を全く含まないで、わずかな電気しか通さない
不純物半導体・・・人工的に不純物を添加した半導体で、電気を通しやすい。n型、p型はこれ。
例としてシリコンがあがっていて、原子モデルや単結晶。n型、p型での結晶がのっていた。
n型は、最外殻に5つの電子をもったリンが添加されている。
p型は最外殻に3つの電子をもったボロンが添加されている。
太陽電池に使える半導体は、シリコンと同じ元素周期表のⅣ族(最外殻の電子が4個=4価)が基本。
シリコン、ゲルマニウム、炭素(ただしダイヤモンドの形として)は使える。
化合物半導体は、3価と5価、2価と6価の組み合わせで疑似的な4価をつくって使う方法。
変換効率
変換効率は、太陽電池の性能を表す指標
太陽電池に注がれた光エネルギーのうち、何%をエネルギーに変換できるかを示す重要な数値。
計算式は 変換効率=最大に出力できる電気エネルギー(W)/注がれたエネルギー(W)×100
各エネルギーは同一面積当たりのエネルギーとう条件がある。
変換効率が高いほど小さくて済むが、必ずしも最大出力がおおきくなるわけではないので注意が必要。
セル1枚あたりの面積から算出したセル変換効率と、モジュール面積から算出したモジュール変換効率の二つがある。
現在セル変換効率は15-20%程度、モジュール変換効率は13-16%程度。
80-85%の光エネルギーが活用できないのは、
波長の長い光はそのまま通過してしまう、波長の短い光もその一部は熱エネルギーに変わってしまう、
セルの表面でそのまま反射してしまう、太陽電池の内部抵抗がある、キャリアが再結合してしまう
などの理由がある。
動作特性
標準試験条件・・・太陽電池の性能を計る上での世界共通の測定条件。
太陽電池の性能は、入射する光の強さ、スペクトルの分布、温度で変化する。
AM1.5のAMはエアマス。太陽光が地上に到達するまでの大気層を通過する長さ。
太陽光が垂直に入射するときの大気層の長さをAM1.0とする。
放射照度・・・太陽からの単位面積当たりの単位時間に入射する放射エネルギー量(日射強度)単位はW/㎡
ソーラーシュミレーションで発生させた疑似太陽光をつかって屋内で測定される。
出力特性
カタログにある最大出力が公称なのは、太陽電池がさまざまな条件で特性が変化するため。
発生する電流=Iと発生する電圧=Vの相関関係曲線(I-V曲線)で電流と電圧の積が最大になるのが、
最大出力とされる。
乾電池とちがって、太陽電池は条件によって電圧、電流、それに伴う最大出力が変化する。
ハンドギャップ
半導体はあるエネルギーを与えると、導体の性質をしめす。
変化をおこす一定のエネルギーを禁制帯幅あるいはハンドギャップとよぶ。
ハンドギャップは物質の組成や結晶構造などによって固有に決まる。大きさは通常電子ボルト(eV)という単位で表す。
これは、電気を発生させるために吸収できる波長の範囲が材料できまるということ。
これを利用して、日差しをやわらげる窓ガラスの太陽電池などが作られている。
ハンドキャップはエネルギーとして吸収できる光の波長の範囲をしめしている。
第3章 太陽電池のいろいろ
太陽電池の種類
太陽電池の種類は、材料別にシリコン系、化合物系、有機系に分けられる。
シリコン系は、結晶シリコン系、アモルファスシリコンに分けられる。
化合物系は、元素の組み合わせで分けられる。
他の分け方として、材料の厚さによってバルク系と薄膜系に分ける方法と、
接合によって単接合、多接合、利用形態によって、集光系と、非集光系に分ける方法がある。
シリコン系太陽電池
結晶シリコン系は世界の太陽電池推定生産量の80%を占める。
シリコンは酸素に次いで地球の地殻中に大量に存在するが、単独では存在しない。
石英や二酸化シリコン(SiO2)という形でケイ石やケイ砂に存在している。
単に酸素を切り離しても、不純物が多く使えないので、加熱や還元といった複雑な工程を経て製造される。
単結晶シリコン太陽電池
もっとも歴史がある。実用化されているなかでは性能がすぐれている。
モジュール変換効率15-19%、形状は10-12.5㎝角の正方形。
一般的な製造方法はチョコラルスキー(CZ)法。詳しい製造法がのっていた。かなりの工程。
そのため性能はよいが、高価。
多結晶シリコン太陽電池
単結晶シリコン太陽電池の低コスト化、量産化を目指して開発。
性能では単結晶に劣るが、現在もっとも生産されているタイプ。
モジュール変換効率は12-16%、形状は約15㎝角の正方形もしくは同程度の長方形。
単結晶との違いはシリコンの結晶配列の規則性。
多結晶は結晶のむきがさまざまで、ちいさな単結晶があつまっている状態にあるため変換効率が若干劣る。
製造方法は主にキャスト(鋳型)法。製造方法が詳しくのっていた。
太陽電池の結晶シリコンは以前は集積回路用の高純度シリコンの規格外やスクラップを利用していたが、
需要がのびたので、ソーラーグレードシリコンという専用のシリコンが製造されている。
半導体よりは純度が劣るが、純度99.9999%以上という相当高いものである。
アモルファスシリコン太陽電池
アモルファス=不定型な
構成する原子の配列が結晶構造のような規則性をもたず、不規則な状態のことで、
非結晶あるいは非晶質とよばれる。
アモルファス上の身近な例はガラス。
結晶離婚に比べて、結晶が不規則な分だけ光と相互作用が大きく、それだけ多くの光を吸収できる性質になる。
0.001mm以下の膜厚でも発電できる。薄いのでシリコンの使用量がへらせて安く作れる。
不規則性が電子の流れを妨げるので変換効率は7-10%と低い。
大面積で連続的に製造できるので、量産化可能。
太陽電池付きの電卓や腕時計は、ほぼアモルファス。
アモルファスが得意な太陽光スペクトルは可視光領域なので、蛍光灯でも動く。
接合部はp、i、n三層。
温度が上がっても出力が低下しにくい。
プラズマCVD(化学気相成長)法で製造される。
HIT(ハイブリッド型)太陽電池
同じ材料の半導体でpn接合を作るのをホモ結合、
異なる材料の半導体同士で作られるpn接合をヘテロ接合という。
異なる材料を使うことで多くのメリットを引き出せる可能性がある。
HITは薄い真性の層をもつヘテロ結合とう意味。結晶シリコンとアモルファスシリコンを使ったヘテロ型おn接合を形成する。
従来のシリコン太陽電池では、pnの境界が明確でないので、不純物がある部分だけ接合の特性は低下。
また、高い温度で製造することで結晶にダメージが生じることがあった。
HITは低温で製造するので熱によるダメージや歪みがない。
結晶シリコンはある程度厚みがないと入射した光を逃がしてしまうが、アモルファスシリコンはそれはない。
表裏対称な構造をもっているので、両面から光を入れられる。
結晶シリコンが温度上昇による変換効率低下があるのに、HITはアモルファス同様に低下小さい。
化合物系太陽電池
太陽電池に用いる半導体は材料によって吸収できる光の波長がきまる。
シリコンは波長がおよそ1200nm以下の光しか吸収できない。
単一の材料でつくられた太陽電池は理論上の変換効率の限界が30%だが、
ことなる材料の太陽電池を複数枚積み重ねた構造(多接合、タンデム)では50%も可能である。
Ⅲ-V族系
代表はガリウム(Ga)とヒ素(As)の化合物「ガリウムヒ素」を使った太陽電池。
単接合としては最高の効率(26.0%)を達成。
主に宇宙用に開発された。
近年は集光型の構造として注目されている。
CdTe太陽電池
Ⅱ-Ⅳ族の化合物半導体、硫化カドミウム(CdS)を用いた太陽電池。
Cdsはn型の性質しかしめさないので、p型のテルル化カドミウム(CdTe)と組み合わせてpn接合をつくる。
ヘテロなので吸収できる光の波長域が広くなり効率がよくなる。
少量の薄膜構造で十分な性能が得られるので、ガラス基板上にスクリーン印刷して作れる。低コスト、大量生産可能。
製造エネルギーを回収できる期間=EPTは1年といわれている。
太陽電池のプライスリーダー。
非シリコン系薄膜CIS/CIGS
銅(Cu)、インジウム(In)、セレン(Se)、ガリウム(Ga)を組み合わせた、Ⅰ-Ⅲ-Ⅳ族の半導体を使った太陽電池。
結晶構造からカルコパイライト系ともよばれる。
材料の組成をかえると、ハンドギャップを1.0-1,7eVの範囲で調節できる。
基板には一般的に青板ガラスを使用、そのうえにMo(モリブデン)の電極を堆積させ、その上にDIGSの光吸収層を製膜する。さらにバッファ層を形成して、入射側になる酸化亜鉛の窓層がつくられる。
すべての材料が高品質である必要がある。
光吸収係数が大きく、薄膜でも十分な太陽光を吸収できる。
研究レベルの小面積のセルでは変換効率20%を実現。
小さくて軽くても大きな電力を得られる太陽電池として期待されている。
有機薄膜太陽電池
光収集層に伝導性ポリマーやフラーレンなどの有機化合物を材料とするもの。
有機ELの発光ポリマーと同じ構造をもち、その逆の原理で発電する。
光のエネルギーを受けると電子とホールがまだ結びついた状態の励起子(エキシトン)とよばれる状態のものが電荷分離海面に到達して、初めて自由なキャリアになり、拡散して電極から取り出される。
界面に達しないで消滅してしまう励起子も多いので、pn接合面にあたる混合膜を半導体内部にまんべんなくめぐらせた超階層ナノ構造セルとすることなどが目指されている。
製造工程に真空や高温など特殊な条件を必要とせず、液体の材料を塗布あるいは印刷することで、容易にできる。
設計の自由度も高いので、軽量で大面積、フレキシブルな基板の太陽電池を作れる。
繊維製品、窓ガラス、壁面用など多様な用途への適応が期待される。
希少金属などが必要なく、資源的な制約がすくないことも魅力。
効率が低いのが難点。
色素増感太陽電池
光合成模倣太陽電池ともよばれ、植物のクロロフィル色素が太陽光をエネルギーに変換するように発電する。
有機材料のなかで特定の光を吸収するものを使う。
酸化チタンの表面に吸着した色素が光を鳩首して励起され、電子は色素から酸化チタンに渡され、
電極を通ってセルの外へ運ばれる。
ヨウ素は反対側の電極から電子を受け取ってイオン化し、色素に電子を渡してもとに戻ります。
酸化チタンと接する電極には、一般的に透明な伝導性の酸化物をコートしたガラス基板が用いられ、
酸化チタンの微小結晶を含むペーストを塗布して焼成し薄膜電極とするが、
比較的低温で製膜することでプラスチック基板にすることもできる。
よってフレキシブルな薄型太陽電池とすることも可能。
さまざまな色素が使えるので、カラフルな太陽電池が作れる。
特殊な工程を必要としないので、製造コストが安くて大量生産できるが、変換効率が4-6%しかない。
色素の材料に希少金属がつかわれることがあるなど、改善点は多い。
集光型太陽電池
メガソーラー(大規模な太陽光発電)はスペインで実稼働しているものは。容量16MWの設備で
500倍の集光倍率で20-28%の変換効率が得られている。
パネルの一面に敷かれるのは、モジュールではなく、集光用のプラスチック製のフレネルレンズ。
パネルは太陽の動きを追尾して常に太陽に正対するように制御。
国内の実証実験でも従来型のシリコンの倍以上の発電量をだしている。
超高率であるため、材料費が高い化合物系太陽電池を使い、小面積で発電する方法が検討されている。
使われるのは今まで宇宙用に使われていた、GaAs系のⅢ-Ⅴ族の化合物半導体。
InGaP/InGaAs/Geの3つのセルを重ねる多段接合で、200倍の集光で約40%の変換効率、
550倍の集光で31.5%の変換効率が記録されている。
量子ドット太陽電池
従来の電池にあった、吸収できる波長の範囲が限られる、
電子を励起する以外のエネルギーは熱として放出されてしまう、
生じたキャリアでも電気エネルギーとして取り出せず、消滅してしまうことがある
といった課題を解決すべく、新概念をとりいれた太陽電池を第3世代の太陽電池という。
量子ドット太陽電池もその一つ。
量子ドットは、光ファイバや半導体レーザーで実用化されている技術で、
寸法が数nm~数十nm程度のナノレベルの構造で光のエネルギーのキャリアを生成さえるかというハンドキャップを
細かく制御している。
電子の科学的ポテンシャルが小さい材料のナノ結晶を、よりポテンシャルの大きい材料で3次元的に囲むと、
電子の運動が狭いナノサイズの空間に閉じ込められる。これが量子ドット、人工原子ともよばれる。
空間のサイズとポテンシャルの差異によって、ハンデキャップが変化して、吸収できる光の波長を選択できる→量子サイズ効果
チューニングした材料をタンデム化して、広い範囲の波長を吸収させることができる。
量子ドットを3次元に規則正しく配列させると、量子ドット間に中間層ができる。
この中間層が通常の禁制帯のなかにもう一つのエネルギーバンド(中間バンド)を発生させ、
一つの材料の中に2種類のバンドギャップをもつ現象が現れる。
エネルギーの小さな光も利用できるが、量子ドットを均一に高密度に作る必要がある。
これまで余って熱としてして捨てていたエネルギーを再度キャリアの励起に使うこともできる。→マルチエキシントン効果
量子ドットは理論上60%の高効率につくれるといわれている。
材料としては化合物系が多く研究されている。
第4章 住宅用太陽光発電システムのしくみ
太陽光発電システムを構成するもの
太陽電池モジュール、接続箱、パワーコンディショナー、分電盤、電力メーター
接続箱は発電した電気をまとめてパワーコンディショナーへ送る。避雷素子、発電した電気を逆流させない逆流防止ダイオードがはいっている。
パワーコンディショナーは接続箱を介して集められた電気を交流電力に変換する。インバーターともよばれる。電圧、電流、周波数なども調整する。変換の過程で若干のロス(5%ほど)があるので、カタログには変換効率がのっている。製品によっては電力会社からの供給がストップしても、自立運転できるものがある。
分電盤は電力を住宅内に供給する。
電力メーターは、売電用と買い電用の2種類がある。売電用は電力会社によっては契約者負担。買い電用は従来のメータを逆転防止に交換する。
電力モニターや昇圧ユニットなども必要に応じて組み合わせる。
導入にあたっての注意
太陽光が当たるところであれば、どこでも太陽電池は設置できる。
契約から運転までの流れが一覧になっていた、設置者と設置業者、電力会社、地方公共団体の補助金申請の流れなどがのっていた。
海岸から500m以内の塩害地域以外で、屋外に一定のスペースがあり、各種法令などを満たしたところなら設置場所は問わない。一般的には屋根。
屋根で重要なのは角度より方角、南を100%とすると北は66%程度しか発電できない。
屋根の形状にあわせたモジュールを必要なら方角にふりわけて導入する。
平均的な世帯の年間の電力消費量は4734kWhで、出力3kWの太陽電池モジュールを設置すると半分程度賄えると考えられている。
実際には条件によってかわるので、その計算式ものっていた。
しかし、係数がおおいので、各メーカーが地域ごとに算出した概算などもHPにあるそうだ。
導入・維持のコスト
太陽光発電は導入コストが数百万円と高い。
一番かかるのは太陽電池モジュールで性能があがるほど高くなる。
その他に関連機器の設置も必要で、見積もりはもちろんとるし、ネットの一括見積もあるが、
設置する住宅の屋根を直接確認してくれる業者の方がよい。
参考例としては300万と200万の設置例があげられていた。
ランニングコストはほとんどかからない、一度稼働させてしまえば自動で発電するので、定期点検とメンテナンス費用のみ。
初期導入費が高いので、本の時点ではJ-PEC(太陽光発電普及拡大センター)が1Kwあたり7万円を交付(ただし条件あり)、他に各自治体の補助があるので、メーカーのHPで確認できるとしてあった。
寿命とメンテナンス
駆動部分がほとんどないため、期待寿命は太陽電池モジュールで20年、パワーコンディショナーなどの周辺機器で10年といわれている。まだ実績がないので期待とつけられている。
ただし設置から15年経過した太陽電池モジュールで目立った劣化がないことから、劣化の心配はあまりないようだ。
各メーカーは長期保証をつけているところもあるが、自然災害はほとんどが除外。
メーカーによる4年に一度の定期点検の他に、設置者による月一回の日常点検をすすめていた。
日常点検はモジュール表面の鳥の糞や木のはなど発電の妨げになるものを取り除くのが目的だが、屋根なので無理は禁物。
どのくらい環境にやさしいか
一般財団法人太陽光発電協会(JPEA)によると、
出力3kWのアモルファス型太陽電池モジュールを一般家庭の屋根に設置して、年間3000kWh発電すると、約540kg-cのCO2が削減できる。原油換算で740リットル。
出力10kWなら年間2700リットルの原油に相当するCO2削減効果がある。
EPT(エネルギー・ペイバック・タイム)という、システム製造時に要したエネルギー量を何年で回収できるかを示した値では、
日中しか発電しない太陽光発電でも、運転開始から1-2年で製造エネルギーを回収できる。
EPR(エネルギー収支比)はシステムの製造から廃棄に至るまでに要するエネルギー量の何倍の量を発電きるかを示した値では、火力発電所を超えている。
太陽光発電システムはリサイクル性にもすぐれており、太陽電池モジュールに使用されている強化ガラスは再生ガラスになり、
枠材や架台は再生可能。接続箱やパワーコンディショナーは一般家電製品と同等のリサイクル性を有している。
製造から稼働、廃棄の一連の過程で使用するエネルギーが少なく、リサイクルも容易で、稼働中に有害物質を排出しないという環境に負荷をかけないしすてむといえる。
短所について
・太陽光が当たっている時しか発電できない、季節・天候・時刻に左右されやすい。
・導入設置コストが高い
・他の方法に比べ発電効率がおとり、設置面積が必要。
日本における年間の発電量は1kWにつき、平均1000kWhとされているが、地域や年で1-3割のばらつきがある。
補助金を使っても100万円を超える投資になり、固定価格で買い取っても回収までに時間がかかる。
ただし、普及によってモジュールや機器の価格がさがり、現在の数十倍に普及すれば火力コストを下回ると試算されている。
発電効率をあげることで、設置面積が小さくすむように研究がすすんでいる。
無尽蔵のエネルギーである太陽光の利用は、先のない化石燃料の利用よりも将来的に期待できる。
発電した電気が余剰になった場合
晴天時の日中は発電量が使用量を上回ることがある。
この余った電気は電力会社に買い取ってもらえる。
2009年11月に太陽光発電の余剰電力買取制度がスタートした。(電力会社の義務)
余剰になった電力は自動的に電力会社の電力系統におくられるので設置者はなにもしなくてよい。
売電した分は電力メーターで確認できる。
買取価格は毎年見直されるが、申し込んだ年の買取価格が10年間保証される。価格は全国一律、すでに設置ずみでも契約すれば売電できる。
2011年は住宅用で1kWhにつき48円。
この制度を支えるものとして「太陽光発電促進付加金」があり、電力会社が買い取りにかかった費用を電気を利用するすべての人たちが負担するしくみである。
こうしたこころみで元をとるのが30年といわれた太陽光発電システムは、現在では15年といわれるようになった。
太陽光電池モジュールの寿命内におさまるようになったのである。
太陽光発電の政府の導入目標
2005年に一度補助金が打ち切られ、伸び悩んでいた普及が、2009年から補助金復活で設置が増加している。
現在の発電コストは1kWhあたり46-49円と火力の7倍であり、これが普及を妨げている。
技術革新と需要増大の相乗効果で今後3-5年で1kWhあたりの太陽光の発電コストを現在の半額24円に下げることを目標にしている。
2020年の導入目標を、2005年の約20倍、住宅用で約530万戸、発電出力合計で2800万kWとしている。
第5章 太陽光発電以外の再生可能エネルギー
太陽熱発電
太陽の熱を利用し、その熱で水蒸気を発生させてタービンを回し発電するシステム。
集中方式(タワー型)は中央のタワーに設置された集熱器に、周辺に並べられた多くの平面鏡で反射した太陽光を集中させて高熱を得る方法。平面鏡は太陽の動きに追従して向きを調節できるようになっている(ハリオスタットとよばれる)。タワーの上にある溶融塩入りの油を温め、タワーの下にある蒸気タービンをまわして発電。
分散方式(トラフ型)は薄い金属板でできた雨どいのような半円筒状の鏡を用いて、その中央の集熱管に流した媒体を過熱して熱を得る。集中させた熱を点ではなく線でとらえる。このモジュールをたくさん並べることで多くの熱を得ることができる。タワー型と違って一点に熱を集中させる仕組みがいらないので、大規模な設置が可能。
1981年に日本が実証実験に成功したものの、日射量で実用にいたらなかった。
アリゾナやモハベ、ネバダといった砂漠や、スペインのアンダルシアやグラナダといった日差しの強いところで、実験と実用とおこなわれている。
太陽熱利用
すでに相当の普及をしている太陽熱温水器はこの仕組み。
タンク一体型は、自然循環型とよばれ、太陽光の放射熱をうける集光器部分の水があたためられ、貯湯漕内の温度の低い水といれかわる仕組み。天候の影響をうけ、タンクが一体なので重いという欠点がある。
このため貯湯漕部分を屋根からおろして、ポンプを使って媒体を循環させ、それを熱交換システムで水に伝えるというシステムもあるが、高価になる。
そのかわり、規模を大きくして一般住宅だけでなく集合住宅や病院でも適用できる。
風力発電
風車はよくみかけるプロペラタイプの水平型のほかに、垂直型もある。
いろんな種類の絵がのっていた。
風をうける風車の軸の一方が発電機につながって電力が作られる。
風向きを検知して風車の向きを調節する装置、軸を回転を発電に必要な回転数まで増速する増速器、
風が強すぎるときに羽根の角度を調節して風を逃がし減速させてブレーキをかける仕組みなどがついている。
風車が風から受けるエネルギーは直系の2乗、風速の3乗に比例する。
発電用のローターは大型化しており、本の時点での最大は直径126m、定格出力6MW。
長らくドイツが1位だったが、2008年にアメリカが最大になった。日本は13位。
風がないと発電できないので補助発電の意味合いが強い。
日本では風の強いところは離島や山岳地域になり、設置コストが高く、送電が高くつくのが難点。
地熱発電
地下のマグマによって熱せられた高温の熱水や水蒸気を取り出してタービンを回して発電するのが地熱発電。
火山帯の日本では期待できるが、現在18か所21基の地熱発電所で、総電力設備容量の0.2%にしかなっていない。
太陽光や風力より安定した供給が期待できる。
地下深くまで掘られた坑井から取り出された熱水まじりの蒸気は、熱水と分離されて発電機タービンに供給され、
熱水は還元井で地中に戻される。
水蒸気には硫化水素などの火山性の毒ガスが混じっているので、ガスを取り除いて空気中に放出される。
熱水を再度利用する方法もある。
また掘削した地中の温度が低い場合、不ってんお低いペンタンなどの媒体を使うほうほうもある→地熱バイナリー発電
地中に高温の岩盤しかなく、熱水や水蒸気がない場合は、地表から水を圧入して水蒸気を発生させる方法もある→高温岩体発電
小規模水力発電
水力は現在日本の発電設備容量の20%を占めている。
大規模な視力ダムは、費用や時間、環境破壊の観点から開発は終了したといわれている。
水力は再生可能なクリーンなエネルギーであるため、中小規模、あるいはマイクロ水力発電と呼ばれる小型の設備の開発が注目されている。
既存の水流や落差を利用して小規模の発電を行う設備で平均的には1000kW以下の規模。
なかには数kW程度のものも実用化されている。
大規模な発電設備に比べると発電量単位あたりにかかる設備費が割高だが、河川や用水路をそのまま利用できる、
設置場所の条件位合わせて設置できるなど、分散型の電力供給源として期待されている。
地中熱利用と雪氷熱利用
地熱発電は地下1000-3000mのマグマに熱された水蒸気や熱水を利用するが、
それよりも浅い地下20-100mほどの地中の熱を使うのが地中熱利用。
この部分の温度は一年中一定なので、そこに熱交換器をうめこみ、水や熱媒体をヒートポンプで送って利用する。
地下水をくみ上げないので地盤沈下の心配がない。
雪氷熱利用は、冬の雪や氷を倉庫などに保管して冷房に利用する方法で、洞爺湖サミットでも利用された。
バイオマスエネルギー
もともとは生物用語だが、現在では「再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」と定義される。
カーボンニュートラルとは、バイオマスエネルギーの物質を燃やしたとき発生するCO2が、生育過程で光合成によって大気中から吸収したCO2を放出したとみなし、CO2が増えないとする考え方。
バイオマス資源は、燃料、発電、熱利用などの用途に使われ始めている。
バイオエタノールはガソリンに代わる燃料として注目されている。
日本では廃油からバイオディーゼル燃料(BDF)を創る地産地消ビジネスも実現されている。
稲わら、もみ殻、食品廃棄物や植物由来の建築廃材、古紙、パルプの廃液、家畜の糞尿や下水の汚泥などが広範囲のバイオマスに含まれる。
木炭もバイオマス燃料である。
燃料電池
燃料電池は再生可能エネルギーではないが、次世代エネルギーとして注目されている。
水素を燃料として有毒な排出ガスを出さない発電装置である。
自動車や家庭用コジェネレーション用の発電装置として市販されている。
燃料電池の発電原理は水の電気分解と逆のプロセス。
酸素と水素を反応させて、水と電気、熱を取り出す。
水の電気分解実験では水酸化ナトリウムを使用したが、このような役割を果たすのものを電解質とよぶ。
この電解質に何をつかうかで燃料電池の種類がわかれている。
電解質によって発生する熱の高さがちがうので、ハイブリッド自動車や家庭用コジェネレーションでは90度くらいの熱が発生するものを使っている。
ハイブリッド自動車や家庭用コジェネレーションの燃料電池の内部構造についても解説していた。
導入には補助金がでているそうだ。
第6章 太陽電池と太陽光発電のこれから
メガソーラー
日本でも電力会社などが建設をすすめている。
地域の遊休地などで発電する事業体にはグリーン電力証書の販売収入で配当するというシステムなども始まっている。
日照時間日本一の山梨県北杜市の実証プラントでは、大容量のパワーコンディショナーシステムの開発も同時におこなっている。
北海道稚内市の施設ではNAS電池とキャパシタを使って電気エネルギーを蓄積する制御システムも実験されている。
世界でも建築ラッシュが続いており、日本の企業も進出している。
太陽光発電を貯める技術
電気を貯めるのは難しく、発電の二倍コストがかかるといわれている。
自動車用バッテリーが進化しており、日本ガイシと東京電力が共同開発したNAS電池などが注目されている。
太陽光発電だけで他の電力系統とのかかわりを持たないシステムを独立型
並行して使用するのを連携型と呼ぶ。
連携型には双方向の流れが必要である。
宇宙開発と太陽電池
世界ではじめて太陽電池を搭載した人工衛星は1958年にアメリカがうちあげたバンガード1号。
温度が-100から+100mで変化する環境、放射能にさらされるなどの悪条件を乗り越える工夫がされている。
現在はISS,火星探査機などにも搭載されている。
宇宙太陽光発電(SPS)は、宇宙に太陽パネルを設置して発電した電力を地球に送るという構想。
宇宙空間では自然条件に左右されないエネルギーが得られるため、研究がつづけられている。
マスダール計画
UEの首都、アブダビ首長国が、すべての電力を再生可能エネルギーで賄い、完全なゼロエミッションの環境都市
マスダール・シティを建設すると発表。
2015年完成予定、総面積6.5キロ㎡、想定人口5万人。太陽光発電と風力発電を使い、車はすべて電気自動車。
2020年までに再生可能エネルギーを全エネルギー供給の7%までひきあげるのがマスダール計画。
ジェネシス計画
太陽光発電所を世界中に分散させて超伝導ケーブルでネットワークして、
どこでも必要な電力を得られるようにしようという壮大な計画。
太陽電池開発のパイオニア桑野光徳氏が提唱。
電気抵抗がほとんどゼロの送電に使う高温超電導直流電力ケーブルを開発。
スマートグリッド
供給側からだけでなく、需要側も含めた両方からの電力の動きを制御し最適化するネットワークを創ろうというもの。
アメリカのオバマ大統領がグリーン・ニューデール政策の柱としている。
スマートメーターと呼ばれる電力制御システムが電力会社と各家庭や施設をつなぎ、状況をリアルタイムに把握して
使用量を制御したりするという。
社会全体で電力を必要なところに送るという考え方。
コロラド州ボルダーで「スマートグリッド・シティ」という実証実験が行われている。
日本のNEDOもニューメキシコ州で「グリーングリッド」という実証実験をしている。
世界の太陽光発電の現状と今後
2006年の世界の全電力設備にしめる再生可能エネルギーの割合は2.3%。
市場の伸びは固定価格買取制度をつくったドイツとスペイン。
累計導入量で2003年まで1位だった日本は、3位になった。
太陽電池の生産量も2008年までは1位、その後中国。
メーカー別でも長く1位だったシャープがアメリカ、中国の会社にぬかれた。
需要ののびで、参入する企業もふえており、製造だけを手掛ける企業もでてきている。
多くの関連産業がこれから生まれるだろう。
太陽電池の技術的課題
生産されている大部分はシリコンウエハを材料とする。
当面はシリコンが主役。
低コストの導入はこれからの課題。
製造コスト、省資源などをふくめたトータルな性能のコストの検討が必要
セルの高効率化のテーマ、入射した光を反射させず、広範囲の波長の光を変換し、セル内できゃりを再結合させず、発生した電力を有効に引き出す。さまざまなアプローチがこころみられている。
既存の電力と同等のコストが目標。地球温暖化にストップをかける代替エネルギーのトップとして期待されている。
第1章 太陽エネルギーに関する基礎知識
太陽
地球から約1億5000万kmの距離に位置し、直径が約139万km(地球の109倍)、質量が1.9891×10^30㎏(地球の33万倍)の恒星。
推定48億年歳で、寿命はあと50億年といわている。
中心温度約1500万度、気圧2500億気圧の核では、4つの水素が一つのヘリウムになる核融合反応が絶えずおこっている。
これにより、電力換算で1秒間に約3.85×10^23kWという膨大なエネルギーを放射している。
たった1秒で、地球の文明始まって以来の消費エネルギー総量より大きいといわれている。
地球に届く太陽エネルギー
太陽表面から放射された太陽光=電磁波が地中に到達するまで約8分20秒
地球の大気圏外に到達する太陽エネルギーは1秒間に約1.75×10^14kW
30%が大気中の微粒子や雲、地球表面の明るい部分(雪、氷、砂漠)によって直接反射される。
70%が大気圏内に吸収される。
大気圏内に吸収されたエネルギーのうち約47%が地表で熱になる。約23%が海中に蓄積されて蒸発や降雨をもたらす。
約0.2%が風や波海流をもたらす運動エネルギーになる。約0.02%が植物の光合成に利用されて酸素を生み出す。
地球は絶えずふりそそぐ太陽エネルギーの恩恵でシステムを維持している。
直接的なエネルギーの他に、風力・水力・波力・バイオマスも根源は太陽エネルギー。
石油・石炭などの化石資源も、広い意味では太陽エネルギーといえる。
大気圏外の入社を100%とすると、大気圏で反射・吸収されるので、地表に届く太陽エネルギーは50%くらい。
地表面に達する太陽エネルギーの1時間分で、全世界が1年間に消費するエネルギー量に相当するという。
総量としては膨大だが、面積あたりだと日本の中心付近の晴れた夏至の正中時でも1㎡あたり1kWほどと、密度は低くなる。
多くの太陽エネルギーを得ようとすると面積が必要になる。
また、地表に到達する太陽エネルギーは、緯度・季節・気象・時間に影響をうける。→供給が不安定。
一方で無尽蔵で枯渇しないという特徴がある。
太陽光
太陽光はさまざまな波長の電波の集まりである。波長の範囲で、紫外線(290~400nm)、可視光(400~780nm)、赤外線(780~3000nm)の3種類に分類される。
太陽光に占める割合は、紫外線約6%、可視光約52%、赤外線約42%である。
紫外線は物質に化学変化を起こしやすいので化学線ともよばれる。
赤外線は私たちが熱として感じることから熱線ともよばれる。
波長が短いほどエネルギーは高くなる。
太陽光を波長別にみたものを太陽光スペクトルという。この成分次第で得られるエネルギーは変わってくる。
光には波としての性質と粒子としての性質がある。→光の二面性
地球温暖化
温室効果ガス=水蒸気や二酸化炭素
温室効果ガスは地表面から放射されるエネルギーの多くを吸収して赤外線として地球に放射。地球をあたためている。
この温室効果がないと地球の温度は-19度くらいになるといわれている。実際は14度。
人間の活動によって、温室効果ガスが増えて、地球の温度が上がっているのが地球温暖化。
増えている温室効果ガスは二酸化炭素で石油や石炭、天然ガスといった化石燃料の消費によるもの。
このため期待されているのが再生可能エネルギーである。
地球温暖化問題に対応するため、政府間協議がはじまり、各国は二酸化炭素削減にとりくんでいる。
エネルギー・セキュリティ
世界のエネルギー需要の90%を占めている、化石燃料の可採年数は、
2008年のBPによる統計では、石油42年、石炭133年、天然ガス60年。ちなみにウラン100年。
人口は2009年に68億人、2050年には91億人に達する見込み。
エネルギー消費量は、2030年に40%増になると予想されている。
日本のエネルギー自給率は4%程度。
世界情勢に左右されず、自国のエネルギーを確保する=エネルギー・セキュリティの観点が必要。
その解決のひとつが再生可能エネルギー。
再生エネルギーの利用拡大は、エネルギーの多様化をもたらし、既存のエネルギーを長持ちさせると同時に、供給を安定させる。
第2章 太陽電池の基礎
太陽電池 Solar cell, photovoltaic cell
光エネルギーを電気エネルギーに変換する発電装置
1954年にアメリカのベル研究所の3人の研究者、ピアソン、フーラー、シャピンによって発明された。
乾電池や蓄電池は化学電池で、金属化合物の化学反応で電気をつくる。
太陽電池は、光を受け続けている限り発電をつづけ、蓄電はできない。
現在もっとも普及している太陽電池はシリコンという元素を使った半導体(semiconductor)を材料としている。
基本構造は、伝導形の異なるn型半導体とp型半導体を接合させたシリコン半導体、反射防止膜、電気を取り出すための表裏にある電極の3点でできている。この基本構造をセル(cell)という。
標準的なセルは、黒もしくは青っぽくて薄くて軽い板状のもの。形状が10-15㎝角の正方形で、厚さが0.15-0.2mmほど、電圧が約0.5V電流が3A得られる電力は、約2Wになる。直流しかとりだせない。
1つのセルでは得られる電力は小さいが、電圧がほしければ直列、電流がほしければ並列につなぎ、必要な電力を得られる。
モジュールとは、セルを数十枚直列で接続し、保護用の強化ガラス、透明な充填剤、裏面シートで封止(閉じ込め)たあと、金属フレームをつけたもの。メーカーによって異なるが標準的モジュールは1.5m×1m程度の長方形で厚さ5㎝前後、重さ20㎏前後、最大出力は150-180W程度。パネルとよばれることもある。
光の強弱=量、光の波長=質、このふたつで電気の大きさ=出力が変わる。
太陽電池を最大限に活用するには、いかに一定以上の強さと相性のいい波長の光を取り込むかが重要になる。
太陽電池自身の温度があがると電圧はさがるので、温度も重要。
発電メカニズム
n型とp型の半導体を連続的に接合(pn接合)いう。
n型半導体はマイナスの電荷をもつ電子が余っている。
p型半導体はプラスの電荷をもつホールと呼ばれる電子の抜けた孔がある。
電子とホールはキャリアと呼ばれる電荷を運ぶ役目をもつ。
pn接合面では電子とホールが中和して空乏層という層ができる。
空乏層のn型半導体側では電子を取り込んでマイナスに帯電したイオンが残り、
p型半導体側では電子を取り込んでマイナスに帯電したイオンが残っている。
このため、空乏層には内部電界(電気の力)が生じて、その向きはn型半導体から、p型半導体にむいたものになる。
内部電界は、n型半導体の電子が緒方半導体に向かおうとする流れ、
p型半導体のホールがn型半導体へ向かおうとする流れを妨げてそれぞれ逆向きに押し返そうと働く。
こうして空乏層が壁となってそれ以上の拡散がとまり、電子が溜まっているn型、ホールがたまっているp型、
キャリアのないpn接合部が釣り合って安定する。
しかし内部電界はあるので、電子があればn型に、ホールがあればp型に押し流される待機状態になる。
pn接合部に光があたると、光エネルギーによって新たに電子とホールがはじき出され、内部電界に導かれて
電子はn型、ホールはp型に移動する。その結果電子を外部へ押し出す力(起電力)が生まれる。
光を当てることで起電力が発生する現象は、光起電力効果と呼ばれる。
n型半導体(マイナス)、p型半導体(プラス)に電極をとりつけると直流電流を外部に取り出すことができる。
太陽電池の材料となる半導体
導体・・・金属などの電気を通しやすいもの
絶縁体・・ガラスやゴムなどの電気を通しにくいもの
半導体・・・外部からの刺激や純度によって電気を通したり通さなかったりする中間の物質
真性半導体・・・不純物を全く含まないで、わずかな電気しか通さない
不純物半導体・・・人工的に不純物を添加した半導体で、電気を通しやすい。n型、p型はこれ。
例としてシリコンがあがっていて、原子モデルや単結晶。n型、p型での結晶がのっていた。
n型は、最外殻に5つの電子をもったリンが添加されている。
p型は最外殻に3つの電子をもったボロンが添加されている。
太陽電池に使える半導体は、シリコンと同じ元素周期表のⅣ族(最外殻の電子が4個=4価)が基本。
シリコン、ゲルマニウム、炭素(ただしダイヤモンドの形として)は使える。
化合物半導体は、3価と5価、2価と6価の組み合わせで疑似的な4価をつくって使う方法。
変換効率
変換効率は、太陽電池の性能を表す指標
太陽電池に注がれた光エネルギーのうち、何%をエネルギーに変換できるかを示す重要な数値。
計算式は 変換効率=最大に出力できる電気エネルギー(W)/注がれたエネルギー(W)×100
各エネルギーは同一面積当たりのエネルギーとう条件がある。
変換効率が高いほど小さくて済むが、必ずしも最大出力がおおきくなるわけではないので注意が必要。
セル1枚あたりの面積から算出したセル変換効率と、モジュール面積から算出したモジュール変換効率の二つがある。
現在セル変換効率は15-20%程度、モジュール変換効率は13-16%程度。
80-85%の光エネルギーが活用できないのは、
波長の長い光はそのまま通過してしまう、波長の短い光もその一部は熱エネルギーに変わってしまう、
セルの表面でそのまま反射してしまう、太陽電池の内部抵抗がある、キャリアが再結合してしまう
などの理由がある。
動作特性
標準試験条件・・・太陽電池の性能を計る上での世界共通の測定条件。
太陽電池の性能は、入射する光の強さ、スペクトルの分布、温度で変化する。
AM1.5のAMはエアマス。太陽光が地上に到達するまでの大気層を通過する長さ。
太陽光が垂直に入射するときの大気層の長さをAM1.0とする。
放射照度・・・太陽からの単位面積当たりの単位時間に入射する放射エネルギー量(日射強度)単位はW/㎡
ソーラーシュミレーションで発生させた疑似太陽光をつかって屋内で測定される。
出力特性
カタログにある最大出力が公称なのは、太陽電池がさまざまな条件で特性が変化するため。
発生する電流=Iと発生する電圧=Vの相関関係曲線(I-V曲線)で電流と電圧の積が最大になるのが、
最大出力とされる。
乾電池とちがって、太陽電池は条件によって電圧、電流、それに伴う最大出力が変化する。
ハンドギャップ
半導体はあるエネルギーを与えると、導体の性質をしめす。
変化をおこす一定のエネルギーを禁制帯幅あるいはハンドギャップとよぶ。
ハンドギャップは物質の組成や結晶構造などによって固有に決まる。大きさは通常電子ボルト(eV)という単位で表す。
これは、電気を発生させるために吸収できる波長の範囲が材料できまるということ。
これを利用して、日差しをやわらげる窓ガラスの太陽電池などが作られている。
ハンドキャップはエネルギーとして吸収できる光の波長の範囲をしめしている。
第3章 太陽電池のいろいろ
太陽電池の種類
太陽電池の種類は、材料別にシリコン系、化合物系、有機系に分けられる。
シリコン系は、結晶シリコン系、アモルファスシリコンに分けられる。
化合物系は、元素の組み合わせで分けられる。
他の分け方として、材料の厚さによってバルク系と薄膜系に分ける方法と、
接合によって単接合、多接合、利用形態によって、集光系と、非集光系に分ける方法がある。
シリコン系太陽電池
結晶シリコン系は世界の太陽電池推定生産量の80%を占める。
シリコンは酸素に次いで地球の地殻中に大量に存在するが、単独では存在しない。
石英や二酸化シリコン(SiO2)という形でケイ石やケイ砂に存在している。
単に酸素を切り離しても、不純物が多く使えないので、加熱や還元といった複雑な工程を経て製造される。
単結晶シリコン太陽電池
もっとも歴史がある。実用化されているなかでは性能がすぐれている。
モジュール変換効率15-19%、形状は10-12.5㎝角の正方形。
一般的な製造方法はチョコラルスキー(CZ)法。詳しい製造法がのっていた。かなりの工程。
そのため性能はよいが、高価。
多結晶シリコン太陽電池
単結晶シリコン太陽電池の低コスト化、量産化を目指して開発。
性能では単結晶に劣るが、現在もっとも生産されているタイプ。
モジュール変換効率は12-16%、形状は約15㎝角の正方形もしくは同程度の長方形。
単結晶との違いはシリコンの結晶配列の規則性。
多結晶は結晶のむきがさまざまで、ちいさな単結晶があつまっている状態にあるため変換効率が若干劣る。
製造方法は主にキャスト(鋳型)法。製造方法が詳しくのっていた。
太陽電池の結晶シリコンは以前は集積回路用の高純度シリコンの規格外やスクラップを利用していたが、
需要がのびたので、ソーラーグレードシリコンという専用のシリコンが製造されている。
半導体よりは純度が劣るが、純度99.9999%以上という相当高いものである。
アモルファスシリコン太陽電池
アモルファス=不定型な
構成する原子の配列が結晶構造のような規則性をもたず、不規則な状態のことで、
非結晶あるいは非晶質とよばれる。
アモルファス上の身近な例はガラス。
結晶離婚に比べて、結晶が不規則な分だけ光と相互作用が大きく、それだけ多くの光を吸収できる性質になる。
0.001mm以下の膜厚でも発電できる。薄いのでシリコンの使用量がへらせて安く作れる。
不規則性が電子の流れを妨げるので変換効率は7-10%と低い。
大面積で連続的に製造できるので、量産化可能。
太陽電池付きの電卓や腕時計は、ほぼアモルファス。
アモルファスが得意な太陽光スペクトルは可視光領域なので、蛍光灯でも動く。
接合部はp、i、n三層。
温度が上がっても出力が低下しにくい。
プラズマCVD(化学気相成長)法で製造される。
HIT(ハイブリッド型)太陽電池
同じ材料の半導体でpn接合を作るのをホモ結合、
異なる材料の半導体同士で作られるpn接合をヘテロ接合という。
異なる材料を使うことで多くのメリットを引き出せる可能性がある。
HITは薄い真性の層をもつヘテロ結合とう意味。結晶シリコンとアモルファスシリコンを使ったヘテロ型おn接合を形成する。
従来のシリコン太陽電池では、pnの境界が明確でないので、不純物がある部分だけ接合の特性は低下。
また、高い温度で製造することで結晶にダメージが生じることがあった。
HITは低温で製造するので熱によるダメージや歪みがない。
結晶シリコンはある程度厚みがないと入射した光を逃がしてしまうが、アモルファスシリコンはそれはない。
表裏対称な構造をもっているので、両面から光を入れられる。
結晶シリコンが温度上昇による変換効率低下があるのに、HITはアモルファス同様に低下小さい。
化合物系太陽電池
太陽電池に用いる半導体は材料によって吸収できる光の波長がきまる。
シリコンは波長がおよそ1200nm以下の光しか吸収できない。
単一の材料でつくられた太陽電池は理論上の変換効率の限界が30%だが、
ことなる材料の太陽電池を複数枚積み重ねた構造(多接合、タンデム)では50%も可能である。
Ⅲ-V族系
代表はガリウム(Ga)とヒ素(As)の化合物「ガリウムヒ素」を使った太陽電池。
単接合としては最高の効率(26.0%)を達成。
主に宇宙用に開発された。
近年は集光型の構造として注目されている。
CdTe太陽電池
Ⅱ-Ⅳ族の化合物半導体、硫化カドミウム(CdS)を用いた太陽電池。
Cdsはn型の性質しかしめさないので、p型のテルル化カドミウム(CdTe)と組み合わせてpn接合をつくる。
ヘテロなので吸収できる光の波長域が広くなり効率がよくなる。
少量の薄膜構造で十分な性能が得られるので、ガラス基板上にスクリーン印刷して作れる。低コスト、大量生産可能。
製造エネルギーを回収できる期間=EPTは1年といわれている。
太陽電池のプライスリーダー。
非シリコン系薄膜CIS/CIGS
銅(Cu)、インジウム(In)、セレン(Se)、ガリウム(Ga)を組み合わせた、Ⅰ-Ⅲ-Ⅳ族の半導体を使った太陽電池。
結晶構造からカルコパイライト系ともよばれる。
材料の組成をかえると、ハンドギャップを1.0-1,7eVの範囲で調節できる。
基板には一般的に青板ガラスを使用、そのうえにMo(モリブデン)の電極を堆積させ、その上にDIGSの光吸収層を製膜する。さらにバッファ層を形成して、入射側になる酸化亜鉛の窓層がつくられる。
すべての材料が高品質である必要がある。
光吸収係数が大きく、薄膜でも十分な太陽光を吸収できる。
研究レベルの小面積のセルでは変換効率20%を実現。
小さくて軽くても大きな電力を得られる太陽電池として期待されている。
有機薄膜太陽電池
光収集層に伝導性ポリマーやフラーレンなどの有機化合物を材料とするもの。
有機ELの発光ポリマーと同じ構造をもち、その逆の原理で発電する。
光のエネルギーを受けると電子とホールがまだ結びついた状態の励起子(エキシトン)とよばれる状態のものが電荷分離海面に到達して、初めて自由なキャリアになり、拡散して電極から取り出される。
界面に達しないで消滅してしまう励起子も多いので、pn接合面にあたる混合膜を半導体内部にまんべんなくめぐらせた超階層ナノ構造セルとすることなどが目指されている。
製造工程に真空や高温など特殊な条件を必要とせず、液体の材料を塗布あるいは印刷することで、容易にできる。
設計の自由度も高いので、軽量で大面積、フレキシブルな基板の太陽電池を作れる。
繊維製品、窓ガラス、壁面用など多様な用途への適応が期待される。
希少金属などが必要なく、資源的な制約がすくないことも魅力。
効率が低いのが難点。
色素増感太陽電池
光合成模倣太陽電池ともよばれ、植物のクロロフィル色素が太陽光をエネルギーに変換するように発電する。
有機材料のなかで特定の光を吸収するものを使う。
酸化チタンの表面に吸着した色素が光を鳩首して励起され、電子は色素から酸化チタンに渡され、
電極を通ってセルの外へ運ばれる。
ヨウ素は反対側の電極から電子を受け取ってイオン化し、色素に電子を渡してもとに戻ります。
酸化チタンと接する電極には、一般的に透明な伝導性の酸化物をコートしたガラス基板が用いられ、
酸化チタンの微小結晶を含むペーストを塗布して焼成し薄膜電極とするが、
比較的低温で製膜することでプラスチック基板にすることもできる。
よってフレキシブルな薄型太陽電池とすることも可能。
さまざまな色素が使えるので、カラフルな太陽電池が作れる。
特殊な工程を必要としないので、製造コストが安くて大量生産できるが、変換効率が4-6%しかない。
色素の材料に希少金属がつかわれることがあるなど、改善点は多い。
集光型太陽電池
メガソーラー(大規模な太陽光発電)はスペインで実稼働しているものは。容量16MWの設備で
500倍の集光倍率で20-28%の変換効率が得られている。
パネルの一面に敷かれるのは、モジュールではなく、集光用のプラスチック製のフレネルレンズ。
パネルは太陽の動きを追尾して常に太陽に正対するように制御。
国内の実証実験でも従来型のシリコンの倍以上の発電量をだしている。
超高率であるため、材料費が高い化合物系太陽電池を使い、小面積で発電する方法が検討されている。
使われるのは今まで宇宙用に使われていた、GaAs系のⅢ-Ⅴ族の化合物半導体。
InGaP/InGaAs/Geの3つのセルを重ねる多段接合で、200倍の集光で約40%の変換効率、
550倍の集光で31.5%の変換効率が記録されている。
量子ドット太陽電池
従来の電池にあった、吸収できる波長の範囲が限られる、
電子を励起する以外のエネルギーは熱として放出されてしまう、
生じたキャリアでも電気エネルギーとして取り出せず、消滅してしまうことがある
といった課題を解決すべく、新概念をとりいれた太陽電池を第3世代の太陽電池という。
量子ドット太陽電池もその一つ。
量子ドットは、光ファイバや半導体レーザーで実用化されている技術で、
寸法が数nm~数十nm程度のナノレベルの構造で光のエネルギーのキャリアを生成さえるかというハンドキャップを
細かく制御している。
電子の科学的ポテンシャルが小さい材料のナノ結晶を、よりポテンシャルの大きい材料で3次元的に囲むと、
電子の運動が狭いナノサイズの空間に閉じ込められる。これが量子ドット、人工原子ともよばれる。
空間のサイズとポテンシャルの差異によって、ハンデキャップが変化して、吸収できる光の波長を選択できる→量子サイズ効果
チューニングした材料をタンデム化して、広い範囲の波長を吸収させることができる。
量子ドットを3次元に規則正しく配列させると、量子ドット間に中間層ができる。
この中間層が通常の禁制帯のなかにもう一つのエネルギーバンド(中間バンド)を発生させ、
一つの材料の中に2種類のバンドギャップをもつ現象が現れる。
エネルギーの小さな光も利用できるが、量子ドットを均一に高密度に作る必要がある。
これまで余って熱としてして捨てていたエネルギーを再度キャリアの励起に使うこともできる。→マルチエキシントン効果
量子ドットは理論上60%の高効率につくれるといわれている。
材料としては化合物系が多く研究されている。
第4章 住宅用太陽光発電システムのしくみ
太陽光発電システムを構成するもの
太陽電池モジュール、接続箱、パワーコンディショナー、分電盤、電力メーター
接続箱は発電した電気をまとめてパワーコンディショナーへ送る。避雷素子、発電した電気を逆流させない逆流防止ダイオードがはいっている。
パワーコンディショナーは接続箱を介して集められた電気を交流電力に変換する。インバーターともよばれる。電圧、電流、周波数なども調整する。変換の過程で若干のロス(5%ほど)があるので、カタログには変換効率がのっている。製品によっては電力会社からの供給がストップしても、自立運転できるものがある。
分電盤は電力を住宅内に供給する。
電力メーターは、売電用と買い電用の2種類がある。売電用は電力会社によっては契約者負担。買い電用は従来のメータを逆転防止に交換する。
電力モニターや昇圧ユニットなども必要に応じて組み合わせる。
導入にあたっての注意
太陽光が当たるところであれば、どこでも太陽電池は設置できる。
契約から運転までの流れが一覧になっていた、設置者と設置業者、電力会社、地方公共団体の補助金申請の流れなどがのっていた。
海岸から500m以内の塩害地域以外で、屋外に一定のスペースがあり、各種法令などを満たしたところなら設置場所は問わない。一般的には屋根。
屋根で重要なのは角度より方角、南を100%とすると北は66%程度しか発電できない。
屋根の形状にあわせたモジュールを必要なら方角にふりわけて導入する。
平均的な世帯の年間の電力消費量は4734kWhで、出力3kWの太陽電池モジュールを設置すると半分程度賄えると考えられている。
実際には条件によってかわるので、その計算式ものっていた。
しかし、係数がおおいので、各メーカーが地域ごとに算出した概算などもHPにあるそうだ。
導入・維持のコスト
太陽光発電は導入コストが数百万円と高い。
一番かかるのは太陽電池モジュールで性能があがるほど高くなる。
その他に関連機器の設置も必要で、見積もりはもちろんとるし、ネットの一括見積もあるが、
設置する住宅の屋根を直接確認してくれる業者の方がよい。
参考例としては300万と200万の設置例があげられていた。
ランニングコストはほとんどかからない、一度稼働させてしまえば自動で発電するので、定期点検とメンテナンス費用のみ。
初期導入費が高いので、本の時点ではJ-PEC(太陽光発電普及拡大センター)が1Kwあたり7万円を交付(ただし条件あり)、他に各自治体の補助があるので、メーカーのHPで確認できるとしてあった。
寿命とメンテナンス
駆動部分がほとんどないため、期待寿命は太陽電池モジュールで20年、パワーコンディショナーなどの周辺機器で10年といわれている。まだ実績がないので期待とつけられている。
ただし設置から15年経過した太陽電池モジュールで目立った劣化がないことから、劣化の心配はあまりないようだ。
各メーカーは長期保証をつけているところもあるが、自然災害はほとんどが除外。
メーカーによる4年に一度の定期点検の他に、設置者による月一回の日常点検をすすめていた。
日常点検はモジュール表面の鳥の糞や木のはなど発電の妨げになるものを取り除くのが目的だが、屋根なので無理は禁物。
どのくらい環境にやさしいか
一般財団法人太陽光発電協会(JPEA)によると、
出力3kWのアモルファス型太陽電池モジュールを一般家庭の屋根に設置して、年間3000kWh発電すると、約540kg-cのCO2が削減できる。原油換算で740リットル。
出力10kWなら年間2700リットルの原油に相当するCO2削減効果がある。
EPT(エネルギー・ペイバック・タイム)という、システム製造時に要したエネルギー量を何年で回収できるかを示した値では、
日中しか発電しない太陽光発電でも、運転開始から1-2年で製造エネルギーを回収できる。
EPR(エネルギー収支比)はシステムの製造から廃棄に至るまでに要するエネルギー量の何倍の量を発電きるかを示した値では、火力発電所を超えている。
太陽光発電システムはリサイクル性にもすぐれており、太陽電池モジュールに使用されている強化ガラスは再生ガラスになり、
枠材や架台は再生可能。接続箱やパワーコンディショナーは一般家電製品と同等のリサイクル性を有している。
製造から稼働、廃棄の一連の過程で使用するエネルギーが少なく、リサイクルも容易で、稼働中に有害物質を排出しないという環境に負荷をかけないしすてむといえる。
短所について
・太陽光が当たっている時しか発電できない、季節・天候・時刻に左右されやすい。
・導入設置コストが高い
・他の方法に比べ発電効率がおとり、設置面積が必要。
日本における年間の発電量は1kWにつき、平均1000kWhとされているが、地域や年で1-3割のばらつきがある。
補助金を使っても100万円を超える投資になり、固定価格で買い取っても回収までに時間がかかる。
ただし、普及によってモジュールや機器の価格がさがり、現在の数十倍に普及すれば火力コストを下回ると試算されている。
発電効率をあげることで、設置面積が小さくすむように研究がすすんでいる。
無尽蔵のエネルギーである太陽光の利用は、先のない化石燃料の利用よりも将来的に期待できる。
発電した電気が余剰になった場合
晴天時の日中は発電量が使用量を上回ることがある。
この余った電気は電力会社に買い取ってもらえる。
2009年11月に太陽光発電の余剰電力買取制度がスタートした。(電力会社の義務)
余剰になった電力は自動的に電力会社の電力系統におくられるので設置者はなにもしなくてよい。
売電した分は電力メーターで確認できる。
買取価格は毎年見直されるが、申し込んだ年の買取価格が10年間保証される。価格は全国一律、すでに設置ずみでも契約すれば売電できる。
2011年は住宅用で1kWhにつき48円。
この制度を支えるものとして「太陽光発電促進付加金」があり、電力会社が買い取りにかかった費用を電気を利用するすべての人たちが負担するしくみである。
こうしたこころみで元をとるのが30年といわれた太陽光発電システムは、現在では15年といわれるようになった。
太陽光電池モジュールの寿命内におさまるようになったのである。
太陽光発電の政府の導入目標
2005年に一度補助金が打ち切られ、伸び悩んでいた普及が、2009年から補助金復活で設置が増加している。
現在の発電コストは1kWhあたり46-49円と火力の7倍であり、これが普及を妨げている。
技術革新と需要増大の相乗効果で今後3-5年で1kWhあたりの太陽光の発電コストを現在の半額24円に下げることを目標にしている。
2020年の導入目標を、2005年の約20倍、住宅用で約530万戸、発電出力合計で2800万kWとしている。
第5章 太陽光発電以外の再生可能エネルギー
太陽熱発電
太陽の熱を利用し、その熱で水蒸気を発生させてタービンを回し発電するシステム。
集中方式(タワー型)は中央のタワーに設置された集熱器に、周辺に並べられた多くの平面鏡で反射した太陽光を集中させて高熱を得る方法。平面鏡は太陽の動きに追従して向きを調節できるようになっている(ハリオスタットとよばれる)。タワーの上にある溶融塩入りの油を温め、タワーの下にある蒸気タービンをまわして発電。
分散方式(トラフ型)は薄い金属板でできた雨どいのような半円筒状の鏡を用いて、その中央の集熱管に流した媒体を過熱して熱を得る。集中させた熱を点ではなく線でとらえる。このモジュールをたくさん並べることで多くの熱を得ることができる。タワー型と違って一点に熱を集中させる仕組みがいらないので、大規模な設置が可能。
1981年に日本が実証実験に成功したものの、日射量で実用にいたらなかった。
アリゾナやモハベ、ネバダといった砂漠や、スペインのアンダルシアやグラナダといった日差しの強いところで、実験と実用とおこなわれている。
太陽熱利用
すでに相当の普及をしている太陽熱温水器はこの仕組み。
タンク一体型は、自然循環型とよばれ、太陽光の放射熱をうける集光器部分の水があたためられ、貯湯漕内の温度の低い水といれかわる仕組み。天候の影響をうけ、タンクが一体なので重いという欠点がある。
このため貯湯漕部分を屋根からおろして、ポンプを使って媒体を循環させ、それを熱交換システムで水に伝えるというシステムもあるが、高価になる。
そのかわり、規模を大きくして一般住宅だけでなく集合住宅や病院でも適用できる。
風力発電
風車はよくみかけるプロペラタイプの水平型のほかに、垂直型もある。
いろんな種類の絵がのっていた。
風をうける風車の軸の一方が発電機につながって電力が作られる。
風向きを検知して風車の向きを調節する装置、軸を回転を発電に必要な回転数まで増速する増速器、
風が強すぎるときに羽根の角度を調節して風を逃がし減速させてブレーキをかける仕組みなどがついている。
風車が風から受けるエネルギーは直系の2乗、風速の3乗に比例する。
発電用のローターは大型化しており、本の時点での最大は直径126m、定格出力6MW。
長らくドイツが1位だったが、2008年にアメリカが最大になった。日本は13位。
風がないと発電できないので補助発電の意味合いが強い。
日本では風の強いところは離島や山岳地域になり、設置コストが高く、送電が高くつくのが難点。
地熱発電
地下のマグマによって熱せられた高温の熱水や水蒸気を取り出してタービンを回して発電するのが地熱発電。
火山帯の日本では期待できるが、現在18か所21基の地熱発電所で、総電力設備容量の0.2%にしかなっていない。
太陽光や風力より安定した供給が期待できる。
地下深くまで掘られた坑井から取り出された熱水まじりの蒸気は、熱水と分離されて発電機タービンに供給され、
熱水は還元井で地中に戻される。
水蒸気には硫化水素などの火山性の毒ガスが混じっているので、ガスを取り除いて空気中に放出される。
熱水を再度利用する方法もある。
また掘削した地中の温度が低い場合、不ってんお低いペンタンなどの媒体を使うほうほうもある→地熱バイナリー発電
地中に高温の岩盤しかなく、熱水や水蒸気がない場合は、地表から水を圧入して水蒸気を発生させる方法もある→高温岩体発電
小規模水力発電
水力は現在日本の発電設備容量の20%を占めている。
大規模な視力ダムは、費用や時間、環境破壊の観点から開発は終了したといわれている。
水力は再生可能なクリーンなエネルギーであるため、中小規模、あるいはマイクロ水力発電と呼ばれる小型の設備の開発が注目されている。
既存の水流や落差を利用して小規模の発電を行う設備で平均的には1000kW以下の規模。
なかには数kW程度のものも実用化されている。
大規模な発電設備に比べると発電量単位あたりにかかる設備費が割高だが、河川や用水路をそのまま利用できる、
設置場所の条件位合わせて設置できるなど、分散型の電力供給源として期待されている。
地中熱利用と雪氷熱利用
地熱発電は地下1000-3000mのマグマに熱された水蒸気や熱水を利用するが、
それよりも浅い地下20-100mほどの地中の熱を使うのが地中熱利用。
この部分の温度は一年中一定なので、そこに熱交換器をうめこみ、水や熱媒体をヒートポンプで送って利用する。
地下水をくみ上げないので地盤沈下の心配がない。
雪氷熱利用は、冬の雪や氷を倉庫などに保管して冷房に利用する方法で、洞爺湖サミットでも利用された。
バイオマスエネルギー
もともとは生物用語だが、現在では「再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」と定義される。
カーボンニュートラルとは、バイオマスエネルギーの物質を燃やしたとき発生するCO2が、生育過程で光合成によって大気中から吸収したCO2を放出したとみなし、CO2が増えないとする考え方。
バイオマス資源は、燃料、発電、熱利用などの用途に使われ始めている。
バイオエタノールはガソリンに代わる燃料として注目されている。
日本では廃油からバイオディーゼル燃料(BDF)を創る地産地消ビジネスも実現されている。
稲わら、もみ殻、食品廃棄物や植物由来の建築廃材、古紙、パルプの廃液、家畜の糞尿や下水の汚泥などが広範囲のバイオマスに含まれる。
木炭もバイオマス燃料である。
燃料電池
燃料電池は再生可能エネルギーではないが、次世代エネルギーとして注目されている。
水素を燃料として有毒な排出ガスを出さない発電装置である。
自動車や家庭用コジェネレーション用の発電装置として市販されている。
燃料電池の発電原理は水の電気分解と逆のプロセス。
酸素と水素を反応させて、水と電気、熱を取り出す。
水の電気分解実験では水酸化ナトリウムを使用したが、このような役割を果たすのものを電解質とよぶ。
この電解質に何をつかうかで燃料電池の種類がわかれている。
電解質によって発生する熱の高さがちがうので、ハイブリッド自動車や家庭用コジェネレーションでは90度くらいの熱が発生するものを使っている。
ハイブリッド自動車や家庭用コジェネレーションの燃料電池の内部構造についても解説していた。
導入には補助金がでているそうだ。
第6章 太陽電池と太陽光発電のこれから
メガソーラー
日本でも電力会社などが建設をすすめている。
地域の遊休地などで発電する事業体にはグリーン電力証書の販売収入で配当するというシステムなども始まっている。
日照時間日本一の山梨県北杜市の実証プラントでは、大容量のパワーコンディショナーシステムの開発も同時におこなっている。
北海道稚内市の施設ではNAS電池とキャパシタを使って電気エネルギーを蓄積する制御システムも実験されている。
世界でも建築ラッシュが続いており、日本の企業も進出している。
太陽光発電を貯める技術
電気を貯めるのは難しく、発電の二倍コストがかかるといわれている。
自動車用バッテリーが進化しており、日本ガイシと東京電力が共同開発したNAS電池などが注目されている。
太陽光発電だけで他の電力系統とのかかわりを持たないシステムを独立型
並行して使用するのを連携型と呼ぶ。
連携型には双方向の流れが必要である。
宇宙開発と太陽電池
世界ではじめて太陽電池を搭載した人工衛星は1958年にアメリカがうちあげたバンガード1号。
温度が-100から+100mで変化する環境、放射能にさらされるなどの悪条件を乗り越える工夫がされている。
現在はISS,火星探査機などにも搭載されている。
宇宙太陽光発電(SPS)は、宇宙に太陽パネルを設置して発電した電力を地球に送るという構想。
宇宙空間では自然条件に左右されないエネルギーが得られるため、研究がつづけられている。
マスダール計画
UEの首都、アブダビ首長国が、すべての電力を再生可能エネルギーで賄い、完全なゼロエミッションの環境都市
マスダール・シティを建設すると発表。
2015年完成予定、総面積6.5キロ㎡、想定人口5万人。太陽光発電と風力発電を使い、車はすべて電気自動車。
2020年までに再生可能エネルギーを全エネルギー供給の7%までひきあげるのがマスダール計画。
ジェネシス計画
太陽光発電所を世界中に分散させて超伝導ケーブルでネットワークして、
どこでも必要な電力を得られるようにしようという壮大な計画。
太陽電池開発のパイオニア桑野光徳氏が提唱。
電気抵抗がほとんどゼロの送電に使う高温超電導直流電力ケーブルを開発。
スマートグリッド
供給側からだけでなく、需要側も含めた両方からの電力の動きを制御し最適化するネットワークを創ろうというもの。
アメリカのオバマ大統領がグリーン・ニューデール政策の柱としている。
スマートメーターと呼ばれる電力制御システムが電力会社と各家庭や施設をつなぎ、状況をリアルタイムに把握して
使用量を制御したりするという。
社会全体で電力を必要なところに送るという考え方。
コロラド州ボルダーで「スマートグリッド・シティ」という実証実験が行われている。
日本のNEDOもニューメキシコ州で「グリーングリッド」という実証実験をしている。
世界の太陽光発電の現状と今後
2006年の世界の全電力設備にしめる再生可能エネルギーの割合は2.3%。
市場の伸びは固定価格買取制度をつくったドイツとスペイン。
累計導入量で2003年まで1位だった日本は、3位になった。
太陽電池の生産量も2008年までは1位、その後中国。
メーカー別でも長く1位だったシャープがアメリカ、中国の会社にぬかれた。
需要ののびで、参入する企業もふえており、製造だけを手掛ける企業もでてきている。
多くの関連産業がこれから生まれるだろう。
太陽電池の技術的課題
生産されている大部分はシリコンウエハを材料とする。
当面はシリコンが主役。
低コストの導入はこれからの課題。
製造コスト、省資源などをふくめたトータルな性能のコストの検討が必要
セルの高効率化のテーマ、入射した光を反射させず、広範囲の波長の光を変換し、セル内できゃりを再結合させず、発生した電力を有効に引き出す。さまざまなアプローチがこころみられている。
既存の電力と同等のコストが目標。地球温暖化にストップをかける代替エネルギーのトップとして期待されている。
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