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吉四六さんと庄屋さん (おもしろとんち話 (1)) [雑学]

あとがきによると「キッチョム」という名前は豊後の国(大分県)の野津市という村に、むかし実際に住んでいた広田吉右衛門とうひとの豊後なまりらしい。
各地に伝わるとんち話が、各地の主人公の話としてまとまっているもので、肥後の国(熊本県)には彦市どん、日向(宮崎県)には半ぴどんなどがいるということだ。
キッチョム=吉四六と表現したのは研究家の故・宮本清さんではないかといっていた。


この巻は吉四六さんとおもに庄屋さんのお話をまとめたもの。

・まさか、そげんことは
村の爺様には話がおもしろいところにくると「まさか、そげんことは、ありゃんすめえ」という癖があった。
そこで、吉四六さんは「もし、話の途中でそういったら、米一俵もらう」という約束をして話し出す。
御殿様が行列をしてあるいていると、トンビが飛んできて、いい声で鳴きだした。
殿さまがトンビをみようと籠の戸をあけると、トンビの糞が袴にかかった。そこで殿さまは袴をとりかえさせた。
同じことが刀におこって、刀もとりかえた。
次は糞が頭についたので、殿さまは頭を切り落として「代わりをもて」といったって。
ここで「まさか、そげんことは、ありゃんすめえ」が出て、吉四六さんの勝ち。


・ねこがみわける
庄屋さんは金持ちで、めずらしいものを手に入れては自慢する。
ある日左甚五郎の彫ったネズミを手に入れて自慢していたので、
吉四六さんが「そんなものなら、おれの家にもある」という。
庄屋さんが、「それなら持ってきてみろ」というので、翌日比べることになった。
その夜吉四六さんは、自分でへたくそなネズミを彫ってもっていき、
「比べるなら猫に選んでもらおう」といった。
すると猫は吉四六さんのネズミを選んでいった。
実は鰹節でネズミをほったのだ。
賭けに買った吉四六さんは10両を手に入れた。


・べんとうが仕事をする
庄屋さんは、村人に田畑の手伝いをさせては「仕事がおそい」などと文句ばかり
吉四六さんが人の2倍も3倍も働いてみせても
「これは、おれが出した弁当がはたらいたようなもの」という始末。
そこで吉四六さんは翌日クワに弁当をひっかけて畑にたてておき
「弁当が仕事するから」と自分は寝転んでいた。
別の日に草刈りの束を運んでいると、「もっと重たい草のたばを作れ」といっていた
「俺が抱えられないほどの束をつくれ」というので、吉四六さんは蛇いりの草束をつくっていって、
庄屋さんが驚いて抱えられないようにした。


・こんど火事があったら
夜中に家事に気付いた吉四六さんは、女房を起こして裃をつけて、のんびり庄屋さんを起こしにいった。
普通にしゃべっていたので、庄屋さんはなかなか起きず、あとで代官様にしかられた。
そこで「家事だったら、一番に俺の家をたたいて怒鳴れ」と怒った。
その夜吉四六さんは丸太で庄屋さんの家をたたきまくり、「火事だ!」と叫んだ。
庄屋さんが起きてくると「こうやって起こせばいいですか?」ときいた。


・いのちがあぶない
庄屋さんは酉年生まれなので、飼い始めたニワトリを可愛がり、村人の畑をあらしても
「酉年だから、大事にしたいから、勘弁してくれ」というばかり。
吉四六さんは畑に来た鶏全部を殺してしまった。
そして大鎌をかかえて庄屋さんのところにいくと
「庄屋さんを殺さないと村中の命が危ない」という、
庄屋さんが恐れてわけをきくと
「酉年でとりを大事にして放し飼いにするなら、寅年や申年も放し飼いにするから、村人の命があぶなくなるのだ」
といいだす。庄屋さんがわかったというと
「ニワトリの首はもらったが、庄屋さんの首はやめにしてやる」と悠々と引き揚げた。





吉四六さんと庄屋さん (おもしろとんち話 (1))

吉四六さんと庄屋さん (おもしろとんち話 (1))

  • 作者: とみた ひろゆき
  • 出版社/メーカー: 国土社
  • 発売日: 1983/10
  • メディア: 単行本



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