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野球を学問する [雑学]

読売ジャイアンツの投手だった桑田真澄さんは、引退後早稲田大学大学院のスポーツ科学研究科に入学した。
この学科は社会人対象に、1年で研究テーマを絞ってほりさげる学科で、本はこのときの担当教官平田竹男氏との共著(対談)である。

桑田さんの野球人生と勉強、入学の経緯や大学院での勉強の様子。
研究内容であった「野球道」に対する、桑田さんの考え方などが紹介されている。

桑田さんが中学生のころにたてた3つの目標
1 PL学園で甲子園優勝
2 早稲田大学入学
3 読売ジャイアンツのエースになる

もともとプロをやめたら、一般入試で早稲田大学をめざすつもりだったらしい。
小学校のころは勉強はまるでダメで、野球だけはうまかった。
母親に「PL学園にいきたいならすこしは勉強ができないとダメ、早稲田なら抜群に勉強ができないとダメ」といわれ
中学から勉強するようになり、びりだったので、やれば上がるのがおもしろくなったといっていた。
ただし、野球もやっていたので、家に帰ると9時くらい、それでも30分復習はやるときめ、あとは授業を集中して聞いたという。
大学院にはいったのは、野球からもらったたくさんの幸せをお返しするため。
実績だけでなく、ビジネス、組織、経済、社会について学んで発言に説得力を持たせたいとかんがえたから。
なんでも「やる」ではなく「させていただく」

桑田さんの研究テーマについて
「『野球道』の再定義による日本野球界のさらなる発展策に関する研究」
野球の伝来から、一高野球部黄金時代。そして「野球道」の祖といわれる早稲田の飛田穂州(プレーヤーとして主将をつとめて、雑誌や新聞ではたらき、早稲田大学野球部監督になった人物)についてまとめている。
彼の考えが現在の野球道の基になっており、それを桑田さんは
「精神の鍛錬」
「練習量の重視」
「絶対服従」
という3つの言葉でまとめている。
桑田さんの考える野球界の弊害は、この「野球道」からはじまっているという。
いじめ、体罰、長時間練習による非効率的、非合理的練習が選手の身心悪影響を与えているという。
また、自分で考える力を奪っている。
ただし、時代背景として戦争中に野球がアメリカ伝来として排除されそうであったため、兵士の鍛錬にやくだち、教育効果があると宣伝するためであった側面もあるのではないかといっていた。

桑田さんの考える新しい野球道として
スポーツマンシップを中心において
「心の調和バランス」・・・野球・勉強・遊びをバランスよく、自律精神の修養、バランスのとれた人間になる
「練習の質の重視(サイエンス)」・・・効率的、合理的な練習、最新スポーツ医学の活用、失敗の奨励
「尊敬(リスペクト)」・・・指導者・選手へのリスペスト、審判や対戦相手へのリスペクト、自分へのリスペクト
この3つをもとに立派な人間を育成するとしている。

研究方法としてはアンケートという方法をとり、
大学と、現役プロ野球選手(270人)にどのような野球生活を送ってきたかアンケートをとった。
桑田さんの経験と同じく、体罰やいじめの経験があったが、意外なほど容認派が多い。一方で長時間練習については、自分が指導するならやらないと否定派が多かった。
引退後、プロの指導をしたい、アマの指導をしたいという人も30%を超えている。桑田氏も新しい野球の伝道師になってほしいといっていた。(現在はプロアマ規定があって、プロ選手はアマチュアの指導はできない)
また、野球界の改革が必要と答えたのは62%と多かった。
情けないといっていたのが、タバコと飲酒で、中学生や高校生のまえで行うのはやめてほしいといってた。

勉強するとなったら、一生懸命やる桑田氏の姿勢は早稲田でもかわらず、
授業は一番前できき、苦手なパソコンも研究室の大学院生たちに教えてもらい、毎回進歩したパワポをつくってきたという。
担当教官らは、1年で論文をしあげるためにかなりたたいたようだが、へこたれず、
結局最優秀論文賞を獲得し、総代を務めたそうだ。

研究の話に交えて、自身の経験も話しており、小学校3年のとき、6年のチームにいれられて、準備や片づけをひとりでやらせれ、いじめをうけて野球をやめてしまったこと、そのご5年から別のチームにはいった。
中学校では準硬式野球をはじめ全国制覇をはたすが、進学にあたり、学校側から指定の高校へいけと再三強要され(桑田さんがいけば、他の部員も全員とってくれるといわれた)、PLに行きたかった桑田氏は父親に頼んで中学3年の3学期に転校しているそうだ。
PL学園でも1年からレギュラーだった桑田、清原はプレッシャーやいじめをうけ、清原はホームランを打つと後で先輩から殴られるので、泣きながらベースをまわっていたという。
練習も、長時間練習の根性野球で「水は飲むな」といわれていたので便器の水や水たまりの上澄みをのんだそうだ。
甲子園でもベスト4以降は連投になるので、投手が壊れるといわれていた。
桑田さんは監督にかけあって。9時間だった練習を全体練習3時間、その後は個別練習という形態に変えてもらったそう。
そのごPL学園は圧倒的に強くなった。合理的練習の方が強くなるという革新の基になっている。
プロにはいっても、むだな長時間練習はつづき、アップが気温の高いグアムでも1時間半もやる非合理的なままだったという。
長くやることがいいという「無駄な残業」のような風習はやっとなくなったといっていた。

桑田氏は野球をやる人がピラミッド構造になっており、底辺に少年野球があって、てっぺんにプロ野球。
次第に振り落とされ、上に行くほどエライという考えになっているのも問題だと桑田氏はいっていた。
平田氏の考えた。逆台形モデル(子どものころのスポーツ体験を土台といする、トップ選手だけでなく、審判や指導者、スポンサーやメディアが上にくる形に感銘をうけたという。
だれが、ファンを育てるのかという視点にかけていると指摘していた。


平田竹男氏は、経済産業省を経て、日本サッカー協会の専務理事に就任、Jリーグ立ち上げやtotoくじの立ち上げなどに関与。
高校時代から海外サッカーにかぶれ、3つの夢は
1 プロリーグ設立
2 W杯日本開催
3 サッカーくじの創設
本の中で桑田さんが感心していたのが、チームを強化するためのマッチメイクの方法。
4年後にワールドカップで日本が活躍するために、いつくらいに、どんなレベルのチームと強化試合をすべきが逆算していく方法。
「サッカーという名の戦争」

野球とサッカーの違いについて、協会がどのくらい力があるかという差があるといっていた。
FIFAはたとえ政府あいてでも反対勢力がある国ではW杯は開催しないという権限があり、それがサッカーの組織をきちんとさせちるのだいっていた。
野球は団体がたくさんあって混乱しているとも。


野球を学問する

野球を学問する

  • 作者: 桑田 真澄
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/03
  • メディア: 単行本



タグ:桑田 真澄
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