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家庭教育の指針 (教え方のプロ・向山洋一全集 12) [子育て]

TOSS(教育技術法則化運動)の提唱者向山洋一氏の全集のうちの一冊
家庭教育について述べられたもの。
全集をつくるにあたって、それまでの著作をすべてバラして、関連あるところをまとめたのだいう。
だから他の著書で読んだことがあるものもある。

Ⅰ 成長の条件

子どもの成長に必要なのは、指針と能率を求めず遊び心、学ぶ心をわすれないこと。

いかなる学習にとっても大切なのは
1 丁寧さ
2 持続性
何年も教師をしてきて、社会人になった教え子たちをみていて、
知能のよしあしはあまり関係ないという。

日常生活の心がけ
1 正確に意思を伝える会話
2 自分のことを自分でやる習慣

テレビの視聴時間の二乗に反比例して言語、思考、持続力はおちる
だから、テレビの限度は一日1.5時間

小学生での要点
1 テレビ視聴を一日1.5時間以内に
2 家庭内での団らん会話の時間帯を確保する(食事中テレビをつけない)
3 自分のことは自分でさせる

Ⅱ 努力と成長の法則
科学性はないが、現象を分析して経験的に得られた向山仮説
子どもに前進を志向させるもの
1 努力と発達の関係を教えて子供を励ます。・・・努力は段階的に重ねなければならないが、発達は加速的に訪れる。
2 上昇曲線が訪れる「努力の蓄積の目やす」・・・100が一単位。プロを目指すなら1000が一単位
3 壁を突破した子供の波及効果・・・一人の子どもの上達は、子どもグループ内や学級内へと波及する。ただし波及するためには努力の蓄積がその子にあることが条件。また集団内にまじめに努力しようという空気があるほど効果が大きい。
4 どのくらい続ける力があればいいのか・・・過去100日間にやった日数で持続度が示される。
5 テレビ視聴時間が示す子どもののルール適応力・・・自分のことが律せるようになるのが目標。テレビ視聴の長い子は忘れ物が多く、自分を律することができない。手伝いができない。

子どもを教育するには教師と親のより大きな連携が必要。

Ⅲ 伸びる子のタイプ
第1 「ていねい」に物事に取り組む。のろのろしているようにみえて、いずれ力を出していく。ノートをみると一番わかりやすい
第2 真面目な子。机の前に毎日座る時間、座る習慣だけで2年はかかる。家庭教育の力が必要。時間は学年+10分。
第3 「挑戦」するタイプ
第4 「最後までやる」タイプ。きちんとする子はすくないが・・・
一つでもあったら上等。
そしてこれは備わったものでなく、育てるものである。
教育は手作りで時間がかかるものだと心得てじっくりみにつけさせてほしい

「事実」と「意見」を分けて述べられる子をそだてること。

父親の出番は万引きしたときなどの非常事態。
自己流で立ち向かうより、指導法則に頼った方がよい。

親がこまやかに手塩をかけてそだてることがなにより必要である。

Ⅳ 子どもを育てるポイント
菊を作るように子供を育ててはいけない、百姓が野菜や大根を育てるように作る。
子どもを思い通りにしようとしても効果はあがらない、子供の力を伸ばしたいときのポイント

伸びていく子供の3つの特徴
1 やる気をださせる。・・・前よりよくなったね、と励まし続けよう。ここがいいとよいところを見つけてあげる。
2 ほめてやる
3 家庭での学習時間は学年×10
4 テレビをみる時間のルールをつくる、1.5時間以内
5 なんにでも挑戦、やりはじめたら最後まで、最後まで丁寧にやる子は伸びる。どれもダメなら決断力をもたせること。

親子の会話について、子どもと親では数字が違う。
親の方が多い。
そしてシビアな調査では、子どもの見積もりより少ないのが普通である。

会話をする時間で一番いいのは食事中なので、食事中はテレビを消そう。

親は褒めたと思っているのに、子どもは褒められたとおもっていないことが多い
むやみにほめてはわざとらしいが、努力をしたとき、あるいは進歩がみられたとき、人間としてのすばらしい行為をしたときおもいっきり褒めよう。

非行に走るもの親にみとめてほしいから。

子どもの生活は意外と知らないもの。24時間を用意した表に書かせるとよくわかるので、一度やってみよう。
友人と遊ぶ時間が無いことどもは心配である。

Ⅴまさかの時が父親の出番
子どもの教育に自信のありすぎる母親は心配。ひとを意見をきかないでつっぱしるからである。
万引きなどの非常時が父親の出番。
万引き指導の一般法則
3-4か月万引きをつづけると品物があふれて友人にあげるようになるので、親が子供の持ち物に買った覚えのないものをみつけたら、聞いてみよう。そして、もらったというのならその子の親に電話して礼を述べよう。これで発覚する。
6か月をすぎると悪質になるので、指導が難しくなる。
万引きはハシカのようなものだと思った方がいい。おろおろしないで後始末しよう
1 弁償する。親が払って子どもの小遣いから補てんさせる。
2 あやまりにいく。親も頭をさげる
3 子どもを強くしかる。活き方の分かれ道である、真剣にしかる
4 叱ったらそのことを忘れる
これをすれば万引きも教育機会になる。

Ⅵ 体験は多くの情報を与える
テストによって測ることのできない力
・体験することによって身についていく能力
・目的を達成するまで工夫する力
これを大切にしたい。

Ⅶ 子どもの先輩として
親の仕事は「医師」「牧師」「教師」を同時にやるようなもの。大変である。
我流ではのりきれない、いろんな意見をききながら、おずおずと自分流の方法をつくるくらいでいい。

子どもに対して「人間のすばらしさ」「人としての生き方」を語ることも大切。

Ⅷ 学生の家庭学習法
中学で大切なのは、勉強のしかたを身につけること。
教師や友人、塾で教わるべきだが、わからないようなら親がみてやる必要がある。
向山氏の体験として、中間試験でなにをすべきかまったくわからなかったことと、その後受験雑誌を読んで勉強の仕方を覚えたこと。受験勉強として1冊の問題集を繰り返し完璧に仕上げたこと(このときは友人とやっていた)がのっていた。
勉強の方法として大切なこと
・机の前に座る習慣
・勉強のやり方のうち、どれか一つでもよいから自分のものにする、問題集にチェックをつけながら一冊マスターするなど
・できる科目はどんどん進め、できない科目はわかるところまで戻る

向山氏の体験として三国志演義、十八史略、五重の塔の読み込み(難解であるが読み込んでおもしろくなった)
知的な授業をしてくれる教師の存在。
中学時代にトップを争った級友二人は東大をでてエリート企業、京大で研究者になった。小学校教師になった向山氏は世間的にみれば、負け組かもしれないが、たくさんの著作をだし、テレビなどにも出演するようになった。学歴はオールマイティではない。一つの条件にすぎない。子供に将来のことをきかれたら、「世の中は変化するものだから、これから栄えていくものを選びなさい、次善の策としてやりたいこと、好きなことを仕事にしなさい、そうすれば世の中がどんなだろうとがまんできる。一番だめならのは現在の給料がいいことで選ぶこと。

受験勉強をさせるなら、親がマネージメントをしっかりと、健康管理と勉強の進み具合をみて助けること。

思春期の子どもは、自立したいという思いと、甘えたいという思いの間で揺れている。
理解し、受け入れる。

思春期をうまく乗り切るために
1 理想と目標
2 人生の先達、導き手
3 心の友
4 心の港・・・傷ついたときのよりどころ

Ⅸ 自分のことができるように子どもを育てる
移動教室などでふとんがたためない、絞ったタオルで体を拭けない子ども達がいる。自分自身を律していける人間に育てるのは大人の役目

他律からはじまった人生を数々のトラブルを経て自分を律することを学ばせ、自律へと導くのが大人の役割
放任と過保護では自律が欠如する。
「やりはじめたことは終わりまでやる」
「あとかたづけをする」は
思った以上に子供の発達に重要。

学校のきまりを守らせることは、社会生活への入り口であるが、できない子どもが多い、そうなると生活指導に多くの時間がとられ、肝心の授業ができないことなるので、家庭で学校のルールを確認し、守る努力を一緒にしてほしい。

子どもの暴力と食事内容、テレビの間には関連があるという研究がある。

子どもの教育にとって大切なのは実質。
自転車のルール、外出のルールなどは家庭で話し合い意味のあるものにしてほしい。

教育は、学校教育、家庭教育、社会教育がある。
家庭教育と学校教育は、それぞれ独自の内容をもつもので、不足があれば補完しあうものである。
家庭でルールがきめられないと、学校をだしにつかうのはよくない。親の権威で行うべきである。

幼児にテレビをみせすぎると自閉症になりやすい
知能が同じで成績の違う子どもは、テレビを多くみているほうが成績が悪い
テレビを見すぎる子はフリッカー値が低い

子どもは悪いことは報告しない、サバをよむものである。それはどの子は同じなので、それを踏まえて子供の話をきいてほしい。
一日の時間の使い方調査票1981年調布地区

女子非行の特徴
・窃盗が多い
・粗暴化の傾向がみられる
・覚せい剤を使用する子が急増しており、それらの子は暴力団と結びついている。
非行に陥る子
・家でも学校でも受け入れてもらえない子
・親の愛情が満たされていない子
小学校のときいじめられていた子が、先生は助けてくれなかったと、いじめる側にまわることもあるという。

教育の理論はよく検討されていないものも多いので、注意すること。
子どもは自由にさせた方がいいという理論も、普通程度のしつけがないと、だらしのない怠惰な人間ができあがるだけ。
早くに勉強を覚えさせたが、入学時にボタンをかけられず、遊び道具の始末もできず、飴をみせても数えられない、ひらがなで名前をかけない。でも漢字は読めるという子ども。
自分で自分を律していけない子どもは学習する力が弱い。
子育てのきほんは「自立性」と「自律性」をともにそだてていくことである。
自分勝手な自立だけの「放任」からは怠惰な子、落ちこぼれる子、非行的な子が生まれやすい
「過保護・溺愛」からは意志が弱く、わがままで、やる気のない子が生まれやすい。
効率よく生活を律していった「過管理・過干渉」からは思春期の家庭内暴力が生まれやすい。
「子どもは遊びの中で育つ」という友人との協同・トラブルを含んだ生活が子どもには欠くことができない。

人間は学習によって大人になる。
ことばかけは大切な行為で、テレビに代用はできない。
行為は親や教師から学習するしかない。

箸が正しく使えることは正しい家庭教育の証拠である。

生活の決まりで生命を守るもの(例外はありえない)
・登下校は通学路を通る
・忘れ物はとりに戻らない
・登校後、児童一人での帰宅はさせない
・欠席・遅刻の連絡はきまった連絡帳でする。


Ⅹ 教師修業は果てしがなく
教師生活をしていると、同じような能力を持ちながら、伸びていく子とそうでない子がいる。伸びていく粉は環境がめぐまれている場合が多い。もちろんそうでない場合もあるが、少ない。
めぐまれた過程で育った子どもには持続性と丁寧さがあり、生まれた時からの家庭教育の積み重ねがある。
向山氏は子ども達に持続性を習慣化させるために、毎日二時間机に向かうこと、努力は一つ一つ積み重ねるしかないが、成長は加速的に訪れることを話、励まし続けたという。
テレビは害になるので、なるべく減らすようにも言った。
努力の持続性は過去100日の結果を採点し、90を超えていれば優秀とした。
持続性を身につけた子供たちは進歩していった。
努力のすばらしさを子供たちに伝えるためにいろんな話をして、つてを頼って王選手に色紙を描いてもらったりした。

教師が指導をしんどいといってはならない。仕事なのだから。
批判など、意見をくれた人への手紙の例

善意に満ちた教師が、なんということなしに教師には痕跡さえ残らないことで、実は教え子の心のその最も奥深いところで傷つけるのは悲しい出来事。悪人ではないが鈍感すぎるのだ。
家で働かないといけない子、父親のいない子、失業している家の子、机のない子、障害のある子、一人一人を意識しなければならない。

日記は子どもの生活を知るために始めたが、続けると、子どものものを見る目や考える力がしっかりしてくることや、毎日一定の努力をする習慣が育ってくるなど付随効果もあった。
生徒との日記のやりとりの例



解説として

教育とは、やがて教育をする必要のない人間に教え育てることを終局の目標とした営みである。
特に幼児期の保護者の教育はその一生を左右するものであり、「自律心」と「自主心」の育成が重要である。

しつけ三原則
・くつをそろえること、いすをいれること
・はい、と返事をすること
・あいさつをすること

人間は学習によって人間になる。
狼に育てられた赤ん坊は、コップから水を飲むことすらできない。
まねることで人間になるのである。

小学校時代の家庭では、家庭が子どものことを考え、子ども中心に動いていくこと、成長を喜び合うことが大切なのである。


家庭教育の指針 (教え方のプロ・向山洋一全集 12)

家庭教育の指針 (教え方のプロ・向山洋一全集 12)

  • 作者: 向山 洋一
  • 出版社/メーカー: 明治図書出版
  • 発売日: 1999/11
  • メディア: 単行本



タグ:向山洋一
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