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本のベストセラー

あしたのロボット [小説]

要約なのでネタバレです。注意してください。
ロボットにまつわる中編オムニバスの連作と、その間に続きものの短編がはいる。








続きものの短編では、未来の世界で人類が滅び、ロボットだけが生き残っている。
そこでは、ロボットも成長にあわせて手足を交換して次第に大人のロボットになっていくという設定。また機能停止=死も起こり得る。ロボットたちは人間の残した設備で仲間を作っているが、設備が壊れれば修復はできないため、やがて仲間をつくることはできなくなるらしい。
とあるロボットの村の少年ロボットは、大人ロボットから「テヅカオサム」と「鉄腕アトム」の話を聞いて、それを探しにいく決心をする。
失われた町や村をさまよい、旅をするロボットからテズカオサムのテーマパークの話をきき、ようやくたどり着く。
パークの研究施設のような建物で、倒壊した建物の下敷きになったアトムを発見する。少年ロボットはそこに残された資料からアトムをよみがえらせ、人間の話を聞くという決心をする。


ハル
科学ジャーナリストの主人公は、友達のロボット研究者の頼みで、舞台女優である妻をロボットA3のモデルにする。出来上がったロボットは妻そっくりの動きを再現し、主人公は強い違和感と危惧を覚える。
ちょうどそのころハルという名のペットロボットが大ヒットしており、そのユーザーの一部からハルが生きていると感じられるという報告が相次ぐ。
妻をモデルにしたロボットは大きな反響を呼び、主人公はマスコミの取材攻めにあう。ロボットA3はサンプリングした人間の動きをそっくりそのまま表現するロボットで、本人が意識しない癖までも再現するため、そこにある種の個性や魂のようなものを感じさせるらしい。
それを否定するために主人公は妻とA3で演じる舞台をつくり、A3が人のサンプリングをしているロボットであり魂をもつ存在ではないと暗に主張する。この舞台のあと、妻は交通事故で死亡する。
主張はうけいれられ、A3騒ぎは鎮静、ハルが生きているという件も一時は調査委員会まで結成されたが、結局生命のいかなる兆候もみつけられないという結論になった。
しかし、主人公はこちらがロボットに魂を感じるなら、やはり魂があるといえるのではないかとう考えをすてきれない。


夏のロボット
あるロボット研究者の家に、子どものロボットが預けられ、そこの家の子どもとともに暮らし、成長している。
研究者の妻恵は、自身もバイオ系の研究者であり、職場のPCで地球外生命体の探索ソフトを動かしている科学好きの女性だ。
ある日、恵のもとに叔父がなくなったという知らせが届き、恵は叔父の家の近くの科学館での出来事をおもいだす。
一人で科学館を訪れた恵はおしゃべりロボットロボ次郎にであう。会話ロボットであるロボ次郎と恵はたくさんのことを話、地球の未来のことも話す。また科学館の帰り道恵は麦わら帽子の男性にであい、ロボ次郎のことを話す。つもりロボットは考えることができるのかということを。男性は誰もいない森で木が倒れた時それを見ている人がいなければ、木は本当に倒れたとはいえない」という説を教え、恵の心に大きな疑問を残す。のちに恵はこの男性が未来からきたロボットではないかと思うようになっていた。
葬儀のあと恵は叔母からそのときの麦わら帽子(男性がくれた)が残っていることを教えられ、探し出す。また科学館でロボ次郎にあうが、このときのロボ次郎は一般の会話プログラムとなんらかわらない反応を示す。
家に戻った恵は自分の子どもがロボットの子どもと夢中になって楽しく遊んでいるのをみる。子供は間違いなくロボットに心を感じているのだ。そうだとしらたロボットに心があるといえるのではないか?


見護るものたち
タイでもカンボジア国境に近い村の少女リーは、周辺に地雷の埋まった村でくらしている。父親は地雷にあって体が不自由になり、それを恥じて(精霊のまもりがなかったといわれるらしい)家にこもって織物をしている。母親は畑と出稼ぎをしており、リーも畑を手伝っている。学校は校庭で地雷を踏んだ子供がでたあと閉鎖されたままだ。
あるリーは黒い犬と出会う。犬は点滅するLEDの首輪をしており、足の一部にけがをしていた。野良犬は追い払え(狂犬病になる)と教えられていたリーだが犬が首輪をしており、とても賢そうなのを見て、手当てをして食事を与える。
犬はリーの家にとどまり、翌朝水汲みにでたリーについていくが、途中で脇道にはいっていく。リーは地雷を恐れながら犬についていくと、ある機械をみつける。それは地雷除去のためのロボットで犬は地雷撤去犬であり、両者はチームで働く実証実験のために来ており、ロボットは誤って地雷にひっかかり動けなくなったのだった。犬の首輪から声がして「やめろ!それにさわるな!」という。それは実験チームがロボットを探しにきて、出した警告だった。
やがてジープがやってきて、リーが持ち帰ったロボットの脚を回収していく、リーは一行の中に日本人をみつけ彼が「デミル」といっているのを聞く。
日本人は杵島というロボット研究者で昔阪神淡路大震災でがれきの下敷きになったことがあり、その後レスキューロボットの研究にすすみ、ラウンド・ゼロで実際のレスキュー活動も行った人物だった。ラウンド・ゼロではロボットによる遺体の発見は12名。死者は5000人だったことを考えると少ないが、一方で350名の消防隊員が命を落としたことを考えるとロボットの役割はやはり大きい。しかし現実にはがれきや煙のなかを動きまわるロボットはまだ現実には難しかった。
やりきれない思いをかかえたまま帰国した杵島はタイでの地雷撤去につかうロボットの制作にかかわることになる。最初日本の研究者たちは従来のレスキューロボットを改造したものを使おうとするが、実際に現地で作業にあたっているNPOの岡田は、雨季ではドロドロになる地面など現地の過酷な環境と、地雷には金属探知機では感知できないものがあることを知らせ、研究者たちの考えを甘いと一蹴する。
そんな中で杵島は懸命にロボットをつくり、やっと現地でのテストにこぎつけたのだった。
最初の地雷撤去ロボットの失敗から2年半がたち、杵島は再びタイに実験にきていた。地雷撤去ロボットは地雷探査犬と協働する。地雷を発見するのは犬でロボットはその場所を確認してマーカーをつける。デモンストレーションは成功に終わる。その夜犬とロボットは宿舎から姿を消す。
犬のパートナーであるカンは、犬との絆が切れるのが怖いが、犬もロボットとの絆を感じているのではないかと話す。
犬とロボットはリーのところに来ていた。リーは少し大人になっていたが、地雷撤去の仕事に入ろうとするともだ子どもだからと断られがっかりしていた。犬とロボットをみたリーは何をしてもらいたいかを悟り、一緒に最初のロボットの落ちた地点にいく。犬の先導で地雷をさけ、なんとかロボットを助け出すが、本来地雷のない地点まで戻ったところで地雷を踏んで片足を失う。雨で地雷が流れてきていたのだ。
杵島たちは入院した少女を見舞うが、少女は「間に合ったのか?」と質問する。杵島には意味がわからない。岡田はタイの精霊の話をして、ロボットのいたところはロボットの精霊のいるのかもと話す。
苦い後悔とともに杵島は岡田とともに日本に帰る、帰りの飛行機の中岡田は「まだロボットをつくるか?」と尋ねる、言いよどむ杵島は岡田は「我々はロボットの時代において行かれつつある」という、求められるものに追いつけないと。それでも未来をみつめなければならないのだと。


亜季への扉
主人公は大学でヒューマノイドロボットの研究をしたあと、ロボットコンサルタントとして開業し、一人で仕事をしている男性。お店は1階が父親の義肢店、2階が主人公の店になっている。
ある日、小学生の少女長谷川亜希が拾ったヒューマノイドロボットを店にもってくる。主人公は不法投棄ロボットだと知りながら無償で修理してやる。起動したロボットは亜希によってロビイと名付けられ、亜希はロビイに心を奪われる。その後も亜希と主人公はロビイを通して交流する。主人公はロビイのモジュールをいじって「プリンセス・プライド」の市を朗読させたりする。
ロビイは8段階の成長プログラムをもち、持ち主とのやり取りで成長する、主人公は亜希に成長させる方法を教え、亜希は愛情をこめてロビイを育てる。
亜希は父の義足づくりをみたり、主人公の仕事のことを聞いたりして過ごすが、小5の夏休み前主人公に「好きだ」と告白。しかし拒絶され姿をみせなくなる。
世間ではガリレオ社の安価なロボットが台頭し、ロビイのような過渡期のロボットはほとんどみられなくなっていた。ある日主人公のところに緊急メールがとどき、ロビイの異常を伝える。それは以前軽い気持ちでお互いがピンチの時は助け合おうと、ロビイと店のPCの間で緊急時のメール設定をしたためだった。その後亜希が壊れたロビイを持って店を訪れる。故障を直し、伯母が使えるように、簡単なコマンドを作ってほしいという。主人公はぎりぎりの値段で引き受ける。設定したロビイをもっていくと亜希はうけとる。
その後亜希の父親が義足になったとき、技師として主人公の父を指名したり、前作の少女リーの義足を作ったのが主人公の父で、テレビ局が取材にくるなどのエピソードがはさまれる。
父に義足の礼をいいにきた亜希親子を送っていった主人公は、亜希から「なぜロビイは大きくならないの?私は大きくなるのに」と聞かれる。主人公は以前の緊急メールは亜希がロビイに苛立ち傷つけてしまったときのものだと悟る。亜希は「ロビイを成長させて、考えるロボットにしてほしい、ロビイに飽きるなんてできない、友達だったのに」という。主人公はロボットの限界を悟る。
ある日主人公は偶然ロビイを捨てた人物をみつける。やはり不法投棄でロボットを捨てていたのだ。後をつけた主人公は男のアパートにいくが、そこには死をまつロボットたちがひしめいていた。男は「最初は期待して買ったけど、期待以下だった。だのに飽きたからって死んでもくれないので、自分で死のプログラムを書いて乗せたのだと」主人公は絶望に駆られて男のアパートを後にする。
ある日、主人公が出張中に父親が火事をだす。駆けつけた主人公がみたのは亜希に助けられる父親だった。以前設定した緊急メールが届き、助けに来たのだという。
父親の病院で亜希は「工学部にいく」と告げ、以降はふたりはメールのやり取りをするようになる。そして物語の冒頭の年代にもどり、主人公は亜希にプロポーズするめに出かけるところだ。
エピローグでは、メンテナンスをしたロビイに主人公が語りかける。「早く亜希のところに帰りたいかい?」ロビイは「ハヤクカエリタイデス」といったあと「リョウスケサント イッショニ オハナヲモッテ」と付け加える。


アトムの子
主人公は公立大学でロボットのAIの研究をしたあと、私立大学に移った研究者。
鉄腕アトムの大ファンで、アトムのフォーラムに参加していた。
そして、若いころ学生にうけた質問「ロボットにとって正義とは何か」という疑問をずっと持っている。
主人公の家は手塚パークに近く、甥が小さいころよくいっていた。
甥の子どもとともに数年ぶりにそこを訪れた主人公は、パークの開園当初をおもいだしていた。
開園にあわせて鉄腕アトムが作られ、それが発表されるというので大きな話題になっていたのだ。しかし発表されたのは、他のロボットから流用したからだと、簡単な録音された言葉を話すだけのロボットで、期待は一気にしぼみ、ロボットブームは下火になった。その一方で家庭用のヒューマノイドは普及し、通信、家事、癒しなどに特化した娯楽性の強いロボットは普及していた。主人公はあのアトムがそれまでの科学技術への夢を砕いたものと考えていた。
甥の一家が喫茶室に行っている間、自由にパークを見て回ることにした主人公は科学省精密機械局のパビリオンにたどり着く、そこは閉鎖されていたが、そこでロビタに話しかけられた主人公はふとロビタの後は追う。するとロビタは科学省の建物にはいり、そこにはロボットの研究室と鉄腕アトムをつくろうというプロジェクトが進行していた。
実はプロジェクトメンバーは主人公もしっている退職した研究者たちで、アトムを知っている我々が本物のアのアトムを作ろうとしていた。ロビタもそのプロジェクトが作ったもので、チヒロもすでにつくられていた。
アトムの誕生日はメジャーな2003年4月7日で、手塚パークの開園日だったが、手塚治虫はアトムのいろいろなバージョンをかいていて、一つは2030年なのだ。研究者たちはこの年をめざしてアトムを製造していた。
誘われた主人公はメンバーに加わり、もう一人の研究者海渡とともにアトムの知性と情動をうけもつことになる。研究はかつてアトムのフォーラムを担当した中山が独立して作った会社と共同で進められ、アトムをしっている高齢の研究者とアトムを知らない若い世代の制作のなかですすめられる。
しかしハードは完成するころになっても主人公の「正義とはなにか」の答えは得られていなかった。
メンバーの海渡からは「社会のことはなんでもわかるが、自分のアイディンティティは失った存在。それがロボット。だからこそ正義の味方とうアイディンティティをもとうとする」といわれる。主人公は正義というアイディンティティを持ったロボットは殺戮を行うのではないかと苦悩する。
悩んだ末主人公は、以前聞いた噂をたしかめることにする。実は手塚パークの開園にあわせて制作されたアトムは別にあったが、研究中の事故で開発は中断され、手塚パークの地下に眠っているというのだ、主人公はそれが正義という概念を与えた故の事故だったのではないかと考え続けており、それを確かめるために夜中の手塚パークの地下にロボット、チヒロ、チビタともに入っていく。アトムを探すうちに主人公は「自分たちはいったい何をアトムに与えられるのか」との思いにかられ、それが頭からはなれなくなる。地図にのっていないエリアでようやくカプセルに眠る一部が壊れたアトムをみつけるが、それはスリープ装置になっており、2055年1月1日に目覚める設定になっていた。
マンガでは2055年はアトムがでてくる最後の年、ヒューマノイドの支配する世界で闘技場で戦わせるためにだけ生存させられている人間が逃げ出してアトムを起こし、保護を求める、アトムは無人島に人間を運び、追ってと戦うために戻る前にいう「ぼくたちの時代には、人間とロボットはうわべはうまくいていたようにみえましてこうなってしまったのか・・・・。あれはごかしだったんでしょうか?ほんとは信じていなかったのかも・・・・。」
それを思い出した主人公は、アトムが目を覚ます2055年までに、アトムにたくさんのものが与えられるように研究を続け、後進に残すことをこころに近い、地下をあとにする。チヒロとロビタには秘密を守るように、ただしアトムがいることだけは忘れないように命令する。



あしたのロボット

あしたのロボット

  • 作者: 瀬名 秀明
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2002/10
  • メディア: 単行本



間違えて、読もうとしちゃったよ。ひどいよ。借りた本でよかった。


ハル (文春文庫)

ハル (文春文庫)

  • 作者: 瀬名 秀明
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2005/10/07
  • メディア: 文庫



タグ:瀬名 秀明
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