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理系のためのクラウド知的生産術―メール処理から論文執筆まで [ビジネス]

著者は、海洋開発研究機構の研究者で、最新のライフハックや仕事術を紹介するブログ「Lifehacking.jp」管理人。

理系の研究者は研究が本職だが、近年の情報洪水ともいれる流れと、人員削減などによる事務仕事の増大で、研究よりメールや論文探しや整理に追われることになりつつある。
著者はクラウドの導入による研究以外の作業の軽量化の提案と、導入にあたっての考え方を紹介している。
ほとんどの理系研究者の直面する問題は「才能の無さ」ではなく「時間の無さ」、時間の自由がなければ私たちは自分の才能を信じて行動することができなくなる。クラウドで時間をつくりだし、知的生産性をあげよう。

クラウド導入する条件
・高速インターネット回線
・先進的ブラウザ、IEなら最新バージョンにする、Chrom, FireFoxなど
・ノートパソコン、スマートフォン、タブレット端末など、持ち歩いてクラウドに接続するもの
・モバイル通信環境
・クラウドサービスの使用量・・・無料のものもあるが、必要なら有料のものに投資しよう

★3つの基本クラウドサービス
導入と簡単な使い方解説
Googleアカウント・・・Gメール、Googleカレンダ-、Googleドキュメント(ワープロ・表計算など)いずれもブラウザ上で動くので、どこからアクセスしても、同じ情報がみれる。GoogleAppサービスは組織利用を前提としたサービス。
ドロップボックス・・・複数の端末でファイルを同期する、他人とファイルを共有する。
エバーノート・・・ノートやカードの機能をクラウド上で抽象的に表現するサービス、Webページのコピーや、メモ、添付ファイルなど、なんでもノートにまとめておける。いくつかのノートをまとめて管理できる。

これらのサービスで、どこからでも必要な情報にアクセスして閲覧可能になり、ファイルをダウンロードして仕事をすることができる。また検索ができるのでアクセスが早くなるという利点がある。


★メール処理
Gメールにすべてのメールを集約する。
Gメールは基本的に削除しないで、アーカイブする。必要なら検索するという発想でつくられている。
検索しやすくするために、ラベル機能があり、ラベルは階層化できる。
受診したメールに自動的にラベルをはって、自動的にフィルターで整理する。著者は150種類のフィルターを作っているそうである。
重要なメールは優先トレイに移すフィルターを作る、特定の人物などからのメールが優先トレイにうつるように設定する。
メール処理は朝一番にやる仕事ではない。午前中は集中力のいる重要な仕事に最適だから。著者は11時、15時がメールチェックときめているそう。電話も11時から12時しか出ないなどルール決めして周囲に理解をもとめているそう。
メールはすべても文字で説明しようとするから冗長でになる不便な道具と心得よう。必要なら電話(Skypeなど)やチャットを利用して、メールの推敲に何時間もかけたりしないこと。返信は10行以内を心がけよう。
スマートフォンやタブレットを利用してスキマ時間に返信するのもよい。


★論文管理
大事なのは論文を読む時間。検索や整理に時間をとられないこと。
ドロップボックスに総ての論文をいれておけば、どこからでも閲覧可能。論文1000本の必要要領は5-10G。このくらいならドロップボックスの有料サービス(年額99ドル)が5Gなので買っておく価値がある。

知識として利用可能で引用できる論文が大事なので古い論文は捨てる。
興味があるが今は読む暇がない論文は表紙のコピーをとってエバーノートで保管。これだけの情報があればあとで探してダウンロードできるから。
マイナーな論文で、あとでダウンロードできるか不安なら、ドキュメントスキャナーで電子化して保存。

検索するときはデスクトップ検索を使う。

メンデレイ(Mendeley)は論文をアルバムのように管理して整理しやすくするのと、文献を引用する際の目録を自動で作成してくれる。クラウドで同期する。複数のグループで共有できる。論文にメモをつけることができる。
メンデレイに登録された書誌情報は全世界のユーザーと共有できる。利用するひとが多くなるとメンデレイは賢くなる。ただし容量がすくないので、ドロップボックスで保管する。

重要な論文にメモやアイデアを張り付けたものをエバーノートで保管して論文ノートをつくる。ノートはメールに張り付けて送ることで他の人と共有できる。これらの処理がエバーノートを一つでできるのが最大の魅力。

ほしい論文が向こうからやってくる仕組みをつくる
①キーワードを指定して論文が自動的に届くようにするRSS配信。
Web of Scienceでは雑誌とキーワード指定でRSSでサービスをうけられる。
②Googleスカラーでは、学術論文や専門性の高いウェブサイト、研究者のブログなどを対象として検索サービス。


★情報整理法
スティーブ・ジョブズと仕事をしていたデザイナーのジョナサン・アイブの言葉
「アイデアは最終的にはとても強いものとなり得ますが、初めはそれはもろく、ほとんど形をなさない考えにすぎません。それは見失いやすく、簡単に壊れ、もみ消されてしまうのです。」

大切なのは限られた我々の思考力をアイデアを深める方向につかうこと。
そのために記録して、タスク管理することを頭の外に追い出して、クラウドに管理してもらうという発想。

なにか気になること、興味あることがあったら、エバーノートで記録する。エバーノートならテキストだけでなく、写真や音声も記録できる。さらにタグをつけれらるので、あとで検索しやすい。

複雑な手順を踏んでいるときには、作業が長い期間に分散しておきるので、どこまでやったか思い出せないという事態に陥る、このコストは高い。だからエバーノートのToDoチェックボックスを利用して、次に行うことをいれておけぼ、頭からそれを追い出せる。

エバーノートは録音しながメモがとれるので講演記録に最適。
学会などであった人に、名刺をもって写真を撮らせてもらいエバーノートに記録する。エバーノートには写真から文字を切り出す機能があるので検索が容易になる。
同じようにポスターも写真で記録できる。

理系の人間は集めた情報を整理したがるものだが、エバーノートなら検索すればいいから整理は必要ない。
記憶をたどるときに一番頼りになるのは時系列なので、作成日や更新日から記憶をたどることもできる。

エバーノートを使うのは記録しておくためでなく、記録を外に追い出して客観的にながめ発想を得るため。
また、アイデアは実現されないといけない。アイデアをアクションにするためにGTDの考えを取り入れる。

GTD
①頭のなかにある「あれをしなければ」「これをしなければ」をすべて書き出す
②やるべきことが「今」「この場所で」できるかに基づいて整理する。そして次のアクションを明確にする
③①②を毎週見直して、常に頭の中が「やるべきこと」でいっぱいになっていない、クリアな状態に保つ。

「やるべきこと」で頭がいっぱい=常に頭の中で電話がなり響いている状態。
これでは集中力が続かず、アイデアを深い考えにつなげることができない。才能の問題ではない。

クラウドで使うタスク管理サービス「リメンバー・ザ・ミルク」紹介
複数のプロジェクトを並行して管理するのに、タグやリストがある。
時間にリマインダでメッセージを送ることができる。締切日にメッセージを出すなど
他の人と共有もできる。

★クラウド上で論文をかく

Googleドキュメントで論文をかく利点。
・クラウド上にあるたった一つのファイルを操作するので、ドロップボックスよりもファイル管理が楽。
・数式を入力しやすい。Tex書式が使える。パソコンにソフトがインストールされている必要がない。
・自動保存してくれる。ダブルスペース形式対応。文字数をカウントしてくれる。
・メンデレイで参考文献目録をつくりGoogleドキュメントにいれる方法紹介。
・図表はPicassaにアップローでしてGoogleドキュメントにいれる。
・離れた研究者と共同で論文を執筆するのに、コメントをつけれれる。チャットで会話しながら編集できる。
・オフラインで編集する方法紹介。
・Googleドキュメントが使えないところでは、エバーノートを使い、あとでGoogleドキュメントに統合する。
・アウトプットはWord、HTML、PDFなど好みの文書形式で出力可能。

★コラボレーション術
クラウドなら離れた同僚と共同作業可能

・スカイプの文字チャットでメールにするほどえない用件をおくれる。
・スカイプで画面共有を行う
・フェイスブックでつながる
・スライドシェアでプレゼンを共有。ただし著作権には気を付けて。
・マインドマイスターはマインドマップを描くソフト。これを共有することでシノプシスを共有する。
・研究室ないの連絡事項などをGoogleサイトのローカルページで管理。招待メンバー全員が情報を書き込めるのでコンテンツが充実しやすく、情報共有がしやすい。管理者が招待する制度なのでログイン管理が楽。
・研究を発表するブログをもつことで、研究の概略をより早く広く公開できる

自体の流れは遠くに離れた研究者ともつながり、効率的に研究を進めることが求められている。


★クラウドで細かい時間を稼ぐ
・バックアップ自動化 Carbonite Backblazeなど
・ATOKパスポートで専門用語を複数のパソコンで変換できるようにする。
・予稿集は重いのでドキュメントスキャナーで電子化してiPadにいれる
・研究室の紙をスキャンしてクラウド化する
・講演をストリーミング配信、録画して公開
・Google Apps for Educationで研究室運営のすべてを行う。
・ブックマークとパスワードを同期する。
・ファイルが散らばらないように、日付いり時系列で管理。またはデスクトップの検索を活用。
・LogMeInで外から端末にログインする
・新しい情報(クラウド活用法など)にアンテナをはる。



理系のためのクラウド知的生産術―メール処理から論文執筆まで (ブルーバックス)

理系のためのクラウド知的生産術―メール処理から論文執筆まで (ブルーバックス)

  • 作者: 堀 正岳
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/01/20
  • メディア: 新書



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