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数字オンチの諸君! [自然科学]

著者は大学で数学を教えているが、数字オンチが社会に蔓延しているのは問題だし、数学の面白さや実生活への役立ちが見過ごされてい

ることが残念で、この本をかいたそうだ。

数字オンチの例
がんで陽性といわれたとき、本当にがんにかかっている確率は?
検査の正確さは98% 実際にがんにかかっている人は0.5% テストを受けた人数は1万人
数字オンチの人は98%と答えることが多いが、計算してみれば答えはちがう。
1万人のうち5% 50人ががんにかかっている。そのうちの98%に陽性がでるので、49人が陽性となる。
かかっていない9950人のうち、2%の人が陽性とでるので、199人が陽性とでる。
陽性の人は 49+199=248 そのうち49人が実際に陽性なので、確率は 49/248で約20%

数字オンチの人は「計算してみる」ということをしない。
計算してみれば矛盾していることに気が付くのに。

ノアの洪水で、「およそ天の下にある高い山はすべておおわれた」とあれば、地表が3000mから6000mの水におおわれたことになる。この

量を計算すれば、20億立方キロメートル以上。雨は40日40晩ふったから、960時間で1時間当たり4500mで降らないと前述の量にならない。

しかし、こんなに降ったら、航空母艦でも沈んでしまう。

これを治すには、とにかく考えて計算してみること。著者は学生によくこんな質問をするそうだ。
「人間の髪の毛は時速何キロメートルの速さで伸びるか?」
「世界中でどれくらいの人が毎日死亡しているか?」
「アメリカで年間に消費される煙草の量はどのくらいか?」
また、数字に敏感になること、アメリカの西海岸から東海岸の距離や、世界の人口に中国人が占める割合など。

人間は「偶然の一致」が好きだ。
でも、計算してみると偶然の一致と思っていることは以外にも確率が高い。数字オンチの人は偶然の一致の頻度を低く見積もりすぎるの

だ。そのくせ、決定的な証拠であっても、派手さのない統計にはほとんど注意を払わない。

50%の確率で誕生日が同じ人がいるには何人がいればよい?
1年の日数は365日とする。
5人の人のなかに同じ誕生日のひとがいる確率を考えてみる。5人の誕生日の組み合わせは365^5通り、しかし、5つとも違った日付を選ぶ

なら365×364×363×362×361通りになる。というわけでこれを365^5でわると無作為に選んで5人の誕生日がすべて異なっている確率が得

られる。これを1からひくと、5人のなかに同じ誕生日の人が少なくとも2人いる確率が得られる。
同じ方法で人数を多くしていくと、確率が50%になるのはたった23人。
あなたが、同じ誕生日の人に会う確率は案外高い。

また、幸運や成功にだけ注目して、悪運や失敗には目をつぶる。
カジノではスロットマシン大当たりがでれば電気をピカピカやって派手な音をつける。確率の計算など忘れさせる。
どんな例でも大きな集合の平均値も、小さな集合の平均値もほとんど変わらない。しかし、小さな集合の極端な値より、おおきな集合の

極端な値は、はるかに極端になっている。

人は平均がすきだが、平均より期待値のほうが役にたつ。
期待値はそれぞれの測定値にその値が起こる確率をかけて足し合わせたもの。

保険会社
1年のあいだに、20万ドルの支払い要求が1万件に1件、5万ドルの支払い要求が1000件に1件、2000ドルの支払いが50件に1件、残りは1銭も

請求されない。とすると、契約1件ごとの支払いの平均は、20万ドル×1/1万+5万ドル×1/1000+2000ドル×1/50+0ドル×9789/10000が

答えで110ドルとなる。
期待値がわかれば、その賭けがやる価値があるかわかる。

コイン投げでは表裏の確率は確かに1/2だが、続けて裏がでないとか、続けて裏だから次は表ということではない。
なぜなら、コイン投げでは1回1回の事象は独立していて、前の結果と関係ないから。数字オンチの人はよく、平均への回帰と、この事実

を誤解する。
逆はブラックジャックで、山札からカードを引けば、その結果がそのあと何のカードが出るかの確率に影響する。

エセ科学
数字オンチの人を従わせるためにエセ科学は数字を使う。純粋数学は確実性を扱っているが、その応用が適切化は、もとになっている経

験的家庭、単純化の度合い、判断の善し悪しに作用される。
「1+1=2」でも、カップ1杯の水とカップ1杯のポップコーンを足し合わせてもカップ2杯の水浸しのポップコーンにならない。
「AとBが等しければAのかわりにBを使ってもよい」ということにはならない。

レーガン大統領がコペンハーゲンをノルウェーの都市だと信じているとしても、コペンハーゲンがデンマークの首都であるからといって

、彼がデンマークの首都がノルウェーにあると考えているとは限らない。

超能力
計算された確率を超える偶然の一致が安定してでた結果はない。

占星術
3人の人間の中から、生年月日を頼りに正解の人物を選ぶテストで占星術師の成績は3回に1回で、でたらめとあまりちがわない。
政治家の年鑑から誕生日を集めて並べても、なんの偏りもみられない。

地球外生命体
計算してみると、行き来できるところに知的生命体がいる確率はいないと言えるレベルまで非常に低い。
UFOは未確認飛行物体であって、宇宙人とは限らない。

インチキ医療
病気はよくなったり、悪くなったりする。
たまに成功例はあるだろうが、失敗例は注目されない。

数霊術
文字を数字に置き換えて、でた数字でなにかを説明したり解読したりするものだが、一致するものは大々的に宣伝されるが、数字が一致

していても意味をなさないものは宣伝されていないことに注意しなければならない。

エセ科学では、結果を検証できない、どうとでもとれる、いいわけできるところをとらえて都合のいい数字だけを振り回す。
結果が宣伝通りにならなければ、条件が間違っていたなどと言い訳できるようにしていたりする。

数学教育
計算より、数学の面白さがわかる問題をやらせるべき。数学者はもっと一般向けに数学の楽しさ、面白さを伝え、実生活で役立てる方法

を知らせるべき。
対数による安全指数の表示などはどうか?交通事故で亡くなる人は5300人に一人なので安全指数は3.7。同様に喫煙や誘拐、テロ

などを出して比較してみるとよい。その際、それを行う可能性がある人を母集団に選ぶとより正確になると思われる。

統計
サンプル数が十分かを検討する。
質問方法と回答の集め方で結果が変わることを理解しておく。
社会的な取引には「囚人のジレンマ」がつきまとい。必ずしも最適な方法になるとは限らないことを理解する。
無作為のサンプルを集めるのは現実問題として難しいことを理解する。(母集団が偏っている可能性がある)

ひそかに個人情報を得る
100人の人にコインを投げてもらい。表の人には正直な答えを、裏のひとには必ず「イエス」をいってもらう。
回答から、裏のイエスの数の期待値50を引くと、正確な情報が得られると考えられる。

捕獲ー再捕獲
ある池の魚を数える。100匹を捕まえて、しるしをつけ、池に戻す。十分魚が拡散したのを見計らって、再度100匹を捕まえる。そ

のなかにしるしをつけた魚が何%いるかを調べると、全体の数が数えられる。

相関関係と因果関係
あるものに相関関係があるからといって、因果関係があるとは限らない。

数字オンチの人を数で誤解させる例
ゲーム「ダンジョン=ドラゴン」をやる若者は自殺しやすいという仮定
この年代の1年間の自殺者は10万人に12人。
ゲームは300万本売れたので、予想される自殺者数は300万×12/10万人で焼く360人。実際の自殺者は28人。
因果関係は低いと判断するのが妥当だろう。



数字オンチの諸君!

数字オンチの諸君!

  • 作者: ジョン・アレン・パウロス
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 1990/07
  • メディア: 単行本



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