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45分でわかる! 14歳からの世界金融危機 [子育て]

週刊こどもニュースのお父さん役だった池上彰さんが子供向けに書いたサブプライム問題からオバマ大統領就任までの世界金融危機の解説。

サブプライムローンとはアメリカの低所得者向けローンのこと。
アメリカでは土地バブルがおきて、住宅をもてば将来は必ず値上がりすると考える人が増え、それまで住宅ローンを組めなかった人にも簡単に住宅ローンがお金を貸してくれるようになった。アメリカの住宅ローンは非遡及ローンなので、借りた人がローンを返せない場合、担保物件を銀行にさしだせばそれでよいことになっているのが普通。借りる方も気軽になっていた。貸す方も住宅価格があがっていたので審査がゆるくなり、さらに住宅ローン会社と借り手を紹介するブローカーまで存在し、サブプライムローンはどんどん増えていった。

住宅ローン会社はローンを「債権」として投資銀行に売った。こうすれば借り手がお金を返してくれる前に貸したお金がはいってくるので、その現金をまた貸し出して稼ぐことができる。こうしてお金の回るしくみができた。これを「信用創造」という。
さらに、ローンを証券化して売るという仕組みを投資銀行が考えた。サブプライムローンはもともと低所得者むけのローンだから返せないひとがでる確率が高いのだが、それに普通の住宅ローンなどをまぜこぜにして証券化して売るという方法を考えた。いろいろな種類のものに投資しているとリスク(損する確率)が減るので一般にリスクが減ると考えられる。投資銀行はこの証券を格付け会社にもちこみ、格付け会社はいろいろはいっているからリスクがひくいとして高い評価をつけた。保険会社も格付けが高いからと保障をつけた。
格付け会社のお墨付きをもらった証券はいろんなところが買った。とくにヘッジファンドが買った。

ところがアメリカの住宅バブルははじけ(バブルは必ずはじける)住宅価格が下がると、みんな不安になった。
サブプライムローン債権が不良債権になり、証券が紙くずになるのではないかと思ったのだ。
もっと悪いことにサブプライムローンの債権はいろんな債権といっしょくたにされて売られていたので、みんなそうした証券の商品が不安になり、買い手がつかなくなってしまった。さらに、ヘッジファンドに投資していた人たちもヘッジファンドがそういった証券をもっているからと不安になり解約しようとする。しかし買い手のなくなった証券は売れず、ヘッジファンドは顧客にお金を返せなくなる。これが金融不安のはじまり。

金融不安は「信用」が失われること。みんなだれがどれだけ損失を抱えているかわからないので、お金を貸そうとしなくなるし、それどころかなるべく自分のところに現金をおいておこうとする。
というわけで、銀行間のコール取引が機能しなくなり、お金の流れが止まる。ヘッジファンドに解約が殺到しヘッジファンドは持っていた株(とくに日本株)を売るので株式市場は暴落する。
株式市場の暴落でもうけられなくなった投機資金は一時原油・穀物市場にながれ暴騰するが、お金の流れが止まったことで、投機資金もひきあげ、このバブルもはじける。

そして、リーマン・ブラザーズが破たんする。リーマンは「レバレッジ」をかけた取引をしていたため、お金の流れがとまった影響も大きかった。さらにこのときアメリカは共和党政権。共和党政権は民間経済には口出ししない主義で、ブッシュ大統領はリーマンを見殺しにしたといわれている。結果的にはこれで一層金融不安が深化して銀行やヘッジファンドが現金を回収する動きが強まり金融不安は金融危機になったといわれている。1929年に世界恐慌がおきたときも共和党政権でフーバー大統領だったが、おなじような経緯があった。

ヘッジファンドは金利の安いところから借りて金利の高いところで運用するという行動をとっていた。世界で一番金利が安かった円を借りて他の国で運用していたのだが、手じまいで円が返され、一気に円高になった。
オーストラリアやアイスランドでは金利の安い円でローンを組んでいた人たちが急にローンがあがることになった。
また、証券への不信から「地方債」まで売れなくなり、カリフォルニア州が非常事態におちいるなどの事態がおきた。
銀行が貸し渋るようになったので、アメリカでは自動車ローンが組めなくなり、新車の販売台数が落ち込み、トヨタやホンダが打撃をうけ、さらにその下の部品産業全体が影響をうけた。
原油バブルがはじけたことで、中東でおきていたバブルも崩壊。とくに投資資金をあつめ開発をすすめていたドバイの影響はおおきかった。オイルマネーも引き上げ、世界中の投資・投機の動きも停止。

証券への「信用」が失われたことで、企業の「社債」もうれなくなり、企業は銀行に融資申し込みをするが、銀行も株が下落して自己資金比率がさがっており、そうそう貸し出せない。そうなると、企業は活動できず、世の中のお金は増えなくなって経済が小さくなってしまう、これが「信用収縮」

このため銀行は株を発行して、自己資金を増やし貸し出しをできるようにしようとしたり、公的資金が投入されて銀行の自己資金を増やそうとしたりしている。
また、アメリカのFRBは金利をほとんどゼロにしてお金を借りやすくしたり、住宅ローン担保証券を買い上げるといって、不安をなくそうとしている。
日本でも日銀が企業の債権を買うといって、不安を取り除こうとしている。
大事なのは「信用」を取り戻しお金の流れを作り出すこと

そして、アメリカでは共和党から民主党に政権がかわり、フーバーのあとルーズベルト大統領がニューデール政策をしたように、オバマ大統領も「グリーンニューデール」政策をしようとしている。

世界の金融はリハビリ中で、景気は悪くなったが、円高で輸入するものは相対的に安くなっているし、日本の銀行も相対的にはしっかりしている。
金融機関が破たんしたときのセーフティーネット(ペイオフ)なども整備されているし、いたずらに不安になる必要はない。日本では貯蓄から投資へのキャンペーンのあとバブルがはじけたり金融危機があったりで投資を不安に思う人も多いが、投資活動自体は経済を回す大事なもの。きちんと理解して投資すればよい。
でも、どんなときでもいちばんよいのは自己投資、とくに若い人は勉強して自己投資しよう。


45分でわかる! 14歳からの世界金融危機 (45 MINUTES SERIES 1)

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  • 作者: 池上 彰
  • 出版社/メーカー: マガジンハウス
  • 発売日: 2009/02/26
  • メディア: 単行本



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