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行動経済学入門 [ビジネス]

標準的な経済学では、人は合理的で利己的で常に確率を計算し効果が最大になるように行動すると過程されていた。(期待効用仮説)これをホモ・エコノミカスという。しかし、現実には人間は確率を計算しようとしないし、先送りの誘惑にかられ、得られる最大効果を逃したりする。行動経済学は心理学で発見された、こうした人間の合理的でない行動に光をあて、それを経済に応用したもの。

実際の人間はホモ・エコノミカスのように合理的ではない。現実の人間は莫大な情報を処理して自分にとって最適な計算をするほどの計算能力や認知能力をもっていないので、限定合理性をもつ。限定合理性をモデル化する一つの方法として、最適化のためのコストを効用最大化のプロセスに含めるという考えがある。
従来の、ゲーム理論や、期待効用仮説が、現実の実験では否定されるのを限定合理性はある程度説明してくれる。
従来は合理的でない人は市場から撤退するので、市場は合理的に動くとされていたが、実際には限定合理的な人々の行動は、合理的な人々の行動も変化させることで、市場全体にインパクトを与える。

人間は不確実性が存在すると「手短」な判断方法(ヒューリスティックス)に飛びつきたがる。
ヒューリスティックスの例
・代表制・・・本来客観的な法則性がないところに、直感的な判断で主観的法則性をみだしてしまうこと
図書館員はおとなしくて内向的な性格の人が多いので、××さんは図書館員に違いないなどという思い込み
異常値が発生しているから平均への回帰がおきているだけなのに、2年目のジンクスだといったり、叱責したから成績が向上したなどとおもうこと
・利用可能性・・・手近にある情報が判断の材料として優先的に利用されること
あるリストをみせられて男性が多いか女性が多いかきかれると、知っている人がいる性別が多いと答えたりする
・係留効果(アンカリング)・・・人々が物の大きさや価格など数量的な評価を行う際、答えがそのときにもたらされている情報に左右されること。
質問でミシシッピ川は70マイル以下か?と聞かれた後、全長の長さをきかれるのと
2000マイル以下か?と聞かれてから同じく全長の長さをきかれるのでは、後者の方が長い数字を答える傾向があるらしい。
また、人は連続して同じ事象がおこる確率を高く見積もる癖があるらしい。
・自信過剰・・・巷にこれだけ交通事故があふれているのに、自分だけは大丈夫とおもいこんだりする
・認知不協和・・・人は間違いをみとめたがらない。思惑と違って下がった株が売れない。

プロスペクト理論・・・リスクに直面するとき、人はどのように行動するのか?
主なものは下の3つ
損失回避・・・利得よりも同じ額の損失を重くうけとめる
非対称性・・・得をするときは確実性を好み、損をするときは危険志向になる
確率ウェート論・・・わずかな確率でもそれが発生する確立が正であれば、その確率を過大に認識する。

心の家計簿・・・人間の心で行われる特殊な金銭処理の習慣。同じお金なのに、ギャンブルで稼いだお金と働いて得たお金は心のなかで分けられている。

金融・資本市場において、合理的なファンダメンタルズとかけ離れた動きが起こるのは、非合理的な投資家の行動が市場にインパクトを与えるからだという行動ファイナンス理論があり、有力である。

人間は時間的に遠い利得は割り引いて考える。合理的には指数的割引関数で割り引いて現在価値をだすのだが、人間は総局的割引関数で現在価値をだしているらしい。この方法だといつまでたっても「今」が大事になってしまう。

ホモ・エコノミカスは純粋に利己的な人間だが、実際の人間は利他的にも行動する。
経済的に重要なのは「相互応報性」(目には目を、歯には歯を)、実際のゲームの実験などで、これが一番観察され、また安定した結果を出す。実験結果が国によったりしないのも注目される。

行動経済学は伝統的経済学を否定するものではなく、モデルと実際のギャップがでてきたときに、そのすきまを説明できるものとして注目される。





行動経済学入門

行動経済学入門

  • 作者: 多田 洋介
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
  • 発売日: 2003/12/11
  • メディア: 単行本



タグ:行動経済学
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